本記事は、Jovan Rocanov氏による「5 designer personas every design team has to have」(2021年1月4日公開)の和訳を、著者の許可を得て掲載しているものです。
#デザインチームが抱えるべき5人のペルソナ
イアソンはどのようにチームを作ったのか―アルゴ探検隊
##はじめに
昔々、古代ギリシャには、イアソンという若くて野心的なデザインディレクターが住んでいました。
イアソンの会社コルキスは、デジタルトランスフォーメーションを推進する有望な企業でした。イアソンは、その実現のために「アルゴ」と言うデザインシステム構築を進めていました。
でも、それは彼一人でできる仕事ではありませんでした。イアソンは考えました。アルゴ探検隊は、このミッションで自分と一緒にやっていくために採用したデザイナーのチームになるだろう。成功のためには、幅広いスキルを持つ多様性のある集団でなければならない、と。
アルゴ探検隊を探す方法と場所を知るために、イアソンは旧友のキロンを訪ねました。キロンは、有名な人事部の幹部でありリーダーシップコーチです。
キロンは、シャビーシックな服装、特徴のあるポニーテール、比類のない知恵で知られていました。
「人々は幅広い筆致でデザイナーを描く。それは間違いだ。創造性を考えてみよう。創造性だけを追求していたら、チームは限界を迎える。」キロンはポニーテールをいじりながら話し始めました。「互いに補い合い、チームの最重要事項である共通のマインドセットを形作る、多様なデザイナーのペルソナを明らかにする必要がある。人間は社会的な動物だ。
デザイン分野も例外ではない。」
「...そして、必ずタマダを入れるんだ。」
「タマダ?」イアソンは戸惑いました。タマダって何だよ?!
「ああ、タマダだ。ギリシャ語じゃない。コーカサス地方から来た言葉だと思う。文字通りの意味は司会者だ。だが私の考えでは、チーム全体の気分を盛り上げられる特殊能力を持った人のことだ。タマダは貴重だよ。私を信じるんだ!」
イアソンは適切な人材を探すために、最高級のエジプトの羊皮紙で作った手帳に、それぞれのデザイナーのペルソナの概要を書きました。
##1. 指導者
指導者は、管理能力を持つデザイナーです。でも、指導者自身が管理者なのではありません。これはよくある誤解です。管理者の役割は、チームの仲間意識とは遠いことを意味します。指導者は他の仲間と同じように現場にいます。管理者は違います。彼らは損失を数え、報告書に記入します。管理者は、組織によって上から下に与えられる立場です。指導者は、チームメイトによって下から上に与えられる立場です。経験豊富な指導者の真価は、戦略の落とし穴や戦術的な待ち伏せを予測して、自信を持ってチームを導けることです。
**好き:**実質的なこと
どんな種類の価値も構築するためには、強固な基盤、実物、実質が必要です。指導者は、それを見つけるという聖なる探求に取り組んでいます。鼓舞された巡礼者のように、消費者、製品、デザインチームにとって重要なものを探求します。
**嫌い:**表面的なこと
指導者は、表面的なことを責任の欠如とみなします。彼らにとっては許されざる罪です。デザインプロセスを妨げ、望ましい成果に影響を与え、チームの精神に致命的な影響を及ぼします。時間や予算の制約は、責任の欠如の言い訳に過ぎません。
**特徴:**自信
##2. デザインの英雄
デザインの英雄と言うと大げさに聞こえますが、彼らは一体何者で、その価値は一体何なのでしょうか。英雄は、優れた才能の持ち主で、それを堂々と披露してくれる人です。非線形思考の持ち主です。ほとんどの人には見えない隠れたパターンを見抜き、その才能のおかげで、問題を簡単に解決できます。また彼らは、チームに多大な影響を与えます。才能はインスピレーションを与えます。才能は伝染します。才能はカリスマ性があります。そして生意気なこともあります。そう、普通の忍耐力が欠けていたり、少し自己中心的だったりします。でも、それは掘り出し物の一面でしかありません。
**好き:**創造
創造は神聖な行為です。その特権を断る人がいるでしょうか?英雄は、創造がすべてです。彼らのインナーチャイルドは生き生きとしていて、想像力は無傷で揺るぎないものです。
**嫌い:**保守
デザインプロセスは、創造と保守を長丁場で繰り返すことです。英雄は保守に熱心ではありません。それは人間の仕事です。ほとんどの最適化は、退屈な作業と認識し、彼らの時間と才能に見合うものとは考えていません。
**特徴:**カリスマ性
##3. 職人
デザインは、想像力を用いて実利的な現実に合わせる技術と言えます。職人は、その技術の核心に深く専念しているデザイナーです。実用主義的な部分に異議を唱えることはありません。実用的な目的を果たすには、想像力を働かせる必要があります。さもなくば、それはアートです。アートは空想の冒険です。デザインは特定の目標を持つ計画的な活動です。デザインの達人とは異なり、職人は、アートと技術の間の曖昧な境界線を理解して、あなたのチームに貢献します。英雄とは異なり、職人は露出を望むことはありません。習得の成果は満足と充実感の源です。
**好き:**熟練
熟練とは、特定のテーマにおける総合的な能力と定義されます。それは職人の極楽であり、あらゆる形の苦しみから解放された絶対的な至福の境地です。達成された熟練と、熟練への道は、彼らにとって等しく重要です。
**嫌い:**無能
無能は作る喜びを台無しにします。熟練への道を行く上で、克服できない障害です。無能な方法で形作られ、導かれた仕事は、職人のエネルギーはすぐに枯渇し、悲しく空虚なものにしてしまいます。
**特徴:**謙虚
##4. 学者
学者は、デザインデータを処理します。すべてを記録し、文書化します。他のデザイナーが、文書化は退屈で冗長な書類仕事だと悪口を言うのに、学者は、デザインチームの成功に必要不可欠な要素としてそれを受け入れます。彼らにとって、文書化はアマチュアとプロの境界線を示すものなのです。アマチュアは楽しみのためにデザインするので、記録を残す必要はありません。プロは問題解決のためにデザインするので、記録を残さなければなりません。さもなくば、学習し成長することができません。チームに学者がいなければ、直感と個人的な偏見だけがデザインの決定を左右するアマチュアになってしまいます。
**好き:**秩序
秩序は、創造の自由への障害であるという汚名を背負っています。学者はこれに強く反対するでしょう。秩序は創造性を高めます。雑然とした職場では、課題に取り組み、創造的な解決策を得るのに、より多くの時間が必要になります。秩序は混乱を一掃し、その学習曲線を平らにします。
**嫌い:**即興
即興とは、計画を立てずに行う行為のことです。計画を立てず戦略を練らなければ、どのように目の前の課題に立ち向かえるのでしょうか?即興とは、曖昧な結果をもたらす危険な戦術です。学者にとって、一番の恐怖です。
**特徴:**正確さ
##5. 盛り上げ役・タマダ
人間は機械ではありません。チームは感情を糧にします。盛り上げ役・タマダはチームの心情を察知し、その感情を読み取ることができる独自の資質を持つデザイナーです。彼らは感情を増幅させる存在です。共感力のあるオーラは、その揺るぎない個性でプロジェクトやプロセスの混乱からチームメイトを守ります。人々が落胆したり、燃え尽きたり、怖がったりしている時、盛り上げ役はさらに力を入れます。彼らには癒しの力があります。ちょっとした一言やジョーク、絵文字、あるいは笑顔だけで、暗いムードが反転します。盛り上げ役はチームの魂です。
**好き:**仲間意識
ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン。盛り上げ役はそれを深く信じています。彼らにとって、仲間意識は毎日仕事に行く理由なのです。楽しい人たちと一緒にいることほど、やりがいのあることはありません。誠実なおしゃべり、たくさんの笑い、時には涙や告白が彼らの喜びです。
**嫌い:**政治
職場での政治は誰も好きではありませんが、盛り上げ役は特に敏感です。職場の政治は共感の対義語です。従属からくるパワーゲーム、隠されたヒエラルキー、派閥争いは、盛り上げ役の社会的な回復力を消耗させ、ユーモアのセンスに自己検閲を課します。
**特徴:**ユーモアのセンス
イアソンは、デザインの英雄にわざと女性の姿を使いました。古代ギリシャの世界は偏見と先入観に満ちていました。何百年にもわたる家父長制が、男性しか仕事ができないという考え方を形成しました。危険なナンセンスです。多様性は全ての職場で必要です。イアソンはそのための道を歩んでいました。
一日が終わりかけています。時間は流れていく貴重な資源です。アルゴ探検隊のビジョンを掲げ、彼は目標達成に一歩近付きました。
##翻訳協力
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Original Author: Jovan Rocanov
Original Article: 5 designer personas every design team has to have
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