それでは、今年もZabbixのAdvent Calendarにチャレンジしましょう!
初日は、Zabbixのバージョンについておさらいしておきます。
Zabbixを利用されている方はたくさんいらっしゃると思うのですが、時々、もうサポートが終了してしまったバージョンを新規に利用開始しようとされているのをお見かけします。
そこで、Zabbixのバージョン番号はどのように付与されていて、現時点での最新バージョンは何であるのかを多くの方にご理解頂ければということで、最初のテーマとして取り上げさせていただきました。
特に、長期間利用されることを想定されている方にお読み頂ければと思います。
Zabbixのバージョン番号について
Zabixのバージョン番号は、「3.0.5」のように3つの数字をピリオドで区切って表現されています。
バージョン番号の頭の部分の数字2の部分、例えば、バージョン番号が「3.0.5」であった場合の「3.0」の部分を、「メジャーバージョン」と呼んでいます。
同様に、バージョン番号の最後の数字の部分、例えば、バージョン番号が「3.0.5」であった場合の「5」の部分を、「マイナーバージョン」と呼んでいます。
メジャーバージョンの数字の二つ目が奇数のバージョン、例えば2.1や2.3は、開発版のバージョンですので、次のバージョンの新機能を試してみたい方のみご試用ください。
サポート期間中は、リリース後、不具合や脆弱性の問題があった場合は、マイナーバージョンを上げて修正されたバージョンがリリースされます。
同じバージョン番号に、パッチを適用して対策するのではなく、新しいバージョンとしてリリースされるわけです。
例えば、3.0.5は、メジャーバージョン3.0のリリースのうち、3.0.5よりも前に確認された不具合や脆弱性の問題に対応したバージョンです。3.0.0から数えれば6回目のリリースとなります。
そして、同じメジャーバージョン間は、データベースのスキーマを変更しないなど、極力互換性を維持した状態でバージョンアップされるので、修正されたモジュールに入れ替えるだけで、バージョンアップすることができます。
それに対して、メジャーバージョンのバージョンアップ、例えば「1.8」から「2.0」とか、「2.2」から「3.0」というようなバージョンアップに関しては、データベースの変更が含まれる場合があるので、バージョンアップに時間がかかることも想定した上でバージョンアップを計画して実施するようにしてください。
万が一を考慮するのであれば、マイナーバージョンアップであってもメジャーバージョンアップであっても、きちんとバックアップを取得した上でバージョンアップ作業を行うことをお勧めします。
Zabbixのリリースバージョン
Zabbixのバージョン番号を説明したので、具体的にそれぞれのバージョン番号が付与されたリリースについて説明したいと思います。
Zabbixのリリースの形態には、以下の2つの形態があります。
- LTS(Long Term Support)リリース
- ポイントリリース
LTS(Long Term Support)リリースというのは、名前からも想像できるかもしれませんが、長期間のサポートが提供されるリリースバージョンです。
それに対して、ポイントリリースというのは、次のLTSに向けて、随時新機能の追加や機能改善を行うリリースバージョンになります。
ポイントリリースは、新機能が使えるのですが、サポート期間が短いことに注意が必要です。
現在のサポート状況
現在の各バージョンのサポート状況は以下の通りです。
バージョン | 種類 | リリース日 | フルサポート終了 | リミテッドサポート終了 |
---|---|---|---|---|
1.8 | - | 2009年12月07日 | - | 2014年11月 (終了) |
2.0 | LTS | 2012年05月21日 | 2015年05月 (終了) | 2017年05月 |
2.2 | LTS | 2013年11月12日 | 2017年08月 | 2019年08月 |
2.4 | ポイント | 2014年09月11日 | 2016年02月 (終了) | 2016年03月 (終了) |
3.0 | LTS | 2016年02月16日 | 2019年02月 | 2021年02月 |
3.2 | ポイント | 2016年09月14日 | 2017年03月 | 2017年04月 |
※ 3.2の期限は、3.4が2017年03月にリリースされた場合
フルサポート期間内であれば、基本的には細かなバグであっても修正されてリリースされますが、その期間を過ぎてしまったリミテッドサポート期間では、致命的なバグ対応とセキュリティフィックスしか提供されなくなります。
リミテッドサポート期間が終了してしまうと、公式には、バグの修正はされませんし、脆弱性の問題が発覚しても修正されたバージョンはリリースされないでしょう。
今後の予定
現時点の予定では、2017年3月頃に3.4というポイントリリース、2017年9月頃に4.0というLTSがリリース予定になっています。
あくまでも予定ですので、変更される可能性がありますが、3.4がリリースされたら、3.2はその1ヶ月後までのサポートになりますし、4.0がリリースされたら、3.4はその1ヶ月後までのサポートになります。
ポイントリリースと呼ばれる3.2や3.4を選択して利用される場合は、次のバージョンがリリースされたら、速やかにバージョンアップしないとサポートが終了してしまうということにご注意ください。
先ほどの表と同様に埋めるとしたら、以下のようになります。
バージョン | 種類 | リリース | フルサポート終了 | リミテッドサポート終了 |
---|---|---|---|---|
3.0 | LTS | 2016年02月16日 | 2019年02月 | 2021年02月 |
3.2 | ポイント | 2016年09月14日 | 2017年03月 | 2017年04月 |
3.4(予定) | ポイント | 2017年03月 | 2017年09月 | 2017年10月 |
4.0(予定) | LTS | 2017年09月 | 2020年09月 | 2023年09月 |
詳細は、以下のURLに記載されています。
Zabbix サポート期間とリリースポリシー
http://www.zabbix.com/jp/life_cycle_and_release_policy
最後に
2016年12月1日時点では、長期間利用することを想定するのであれば、Zabbix 3.0をお勧めします。
どうしても新機能を使用したいということであれば、Zabbix 3.2をご利用ください。
ただし、サポート期間が短いので、次のバージョンがリリースされたら速やかにバージョンアップをしなければならないということを覚えておいてください。
Zabbix Advent Calendarの2日目は池田さんよろしくお願いします。