目的
Windows Server 2016の延長サポートが2027年1月12日に完全終了します。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/windows-server-2016
Amazon WorkSpaces内にWindows Server 2016上で
SPSS Modeler Clientを使用している環境があるため
本環境についてOSバージョンアップを行う方法をまとめました。
今回はOSのバージョンアップ方法とファイルの転送方法についてまとめています。
対象読者
・Windows Server2016上でSPSS Modeler Clientを使用している方
・Amazon WorkSpaces上でSPSS Modeler Clientを使用している方
・SPSS Modeler Clientを社内で共有する方法を検討されている方
参考文献
今回の記事を作成するにあたり、参考にさせて頂いた記事を列挙します。
環境設定について
Amazon WorkSpaces上にWindows Server 2016の環境があり
その中にSPSS Modeler Clientを導入しているケースを想定しています。
*注意:ご利用するSPSS ModelerのバージョンがAmazon WorkSpacesをサポートしているかは、ご自身にてご確認ください
全体の流れ
複数台のWorkSpacesを移行する場合は、まず1台をマスター環境として構築し
そのカスタムバンドルを使って2台目以降を移行するのが効率的です。
【1台目(マスター)の構築】
OS移行 → SPSSモジュールを環境に転送 → SPSSインストール → イメージ化 → カスタムバンドル化
【2台目以降】
カスタムバンドルを指定して移行(SPSSの再インストール作業は不要)
目次
1章 Amazon WorkSpacesのOSバージョン更新について
本章ではWorkSpacesのOSのバージョン更新方法についてまとめています。
以下が移行にあたっての公式ドキュメントになります。
SPSS Modeler Clientが導入されている環境にとって一番の問題になるのが
移行にあたってCドライブ(ルートボリューム)が保持されない点です。
なお、Dドライブ(ユーザーボリューム)は保持されるため、ユーザーデータは引き継がれます。
OSのバージョンによって、SPSS Modeler ClientのサポートOSが異なりますが
現状の環境をそのまま新しいOSのバージョンの環境に移行して使用できない点が問題になります。
今回は環境のOSバージョンを更新し、グループポリシー設定を変更することで利用できる
File Transfer機能を使用して、新しいSPSS Modeler Clientのモジュールをアップロードする流れをご紹介します。
本機能はWorkSpaces環境がインターネットに接続していない場合にも利用できます。
追加料金がかからないので気軽に使うことが出来ます。
コンソールからAmazon WorkSpacesに進みます。
移行対象のWorkSpaceを選択状態にして、アクションから「WorkSpacesを移行」をクリックします。
1度に複数の環境を移行することも可能です。
所有者の部分を「パブリックバンドル」に変更することで一覧が出力されます。
ハードウェアタイプについては現状と同じものを選択してください。
バンドル一覧から「Windows Server 2025」を選択します。
右下の「WorkSpacesを移行」をクリックすると移行がスタートします。
1時間弱程度かかります。
完了後に選択したWorkSpaceのオペレーティングシステムが
「Windows Server 2025」に更新されていることを確認します。
移行に伴いエラーが発生した場合に原因を調査する方法として
C:\Program Files\Amazon配下にImageChecker.exeが準備されています。
実行すると環境内について調査してくれます。
本ツールは3章のイメージ作成前のチェックにも活用できます。
2章 環境へのファイル転送方法について
本章ではローカルの資源をインターネットに接続していないWorkSpaceの環境に
アップロードする方法をご紹介します。
今回は2つの方法を試してみたので、それぞれメリット・デメリットをまとめておきます。
急ぎでない場合はFile Transfer機能、急ぎの場合はS3経由がおすすめです。
| 観点 | File Transfer機能 | S3 + Invoke-WebRequest |
|---|---|---|
| 3GBファイル所要時間 | 約40分 | 約1分 |
| 追加料金 | なし | Gateway型VPCエンドポイントは無料(データ転送料は発生) |
| 事前設定 | グループポリシー編集、再起動 | VPCエンドポイント作成、バケットポリシー設定 |
| インターネット接続 | 不要 | 不要(VPCエンドポイント経由) |
2-1. File Transfer機能を使う方法
ここでは1環境のみ設定を変更する方法を記載します。
なお、File Transfer機能はDCV(旧WSP)ストリーミングプロトコルを使用するパーソナルWorkSpacesでサポートされています。
WSP/DCVのバージョンが古いとFile Transferタブが表示されない場合があるため、
あらかじめ最新版にアップデートしておくことをおすすめします。
Windows Server 2025にアップデートした環境に入り
以下の2ファイルのバックアップを取得します。
・C:\Windows\PolicyDefinitions\wsp.admx
・C:\Windows\PolicyDefinitions\en-US\wsp.adml
C:\Program Files\amazon配下のwsp.admx, wsp.admlファイルを
先ほどのコピー元のC:\Windows\PolicyDefinitions(en-US)配下に
上書きコピーします。
ローカルグループポリシーエディターを開きます。
wsp.admx,wsp.admlファイルをコピーしたことで
管理用テンプレート内にAmazon\WSPフォルダが作成されています。
この中の「Configure session storage」を編集します。
有効にチェックを入れます。
ここではローカルからWorkSpace環境へのアップロードのみを許可する
「Upload Only」に設定しています。
アップロードした資源を保存するパスも設定できます。
(デフォルトではD:\UserName配下に出力されます。)
右下のOKボタンで編集画面を閉じて環境を再起動します。
再起動した環境に入り直すと
「File Transfer」タブが追加されます。
ファイルをアップロードすると先ほど設定したフォルダに転送されます。
最新のSPSS Modeler Client 19.0のモジュールをアップロードしてみます。
アップロードには40分弱程度かかりました。
料金がかからないので、タイムアウトなどを許容できる方にはお勧めです。
また、後述のS3経由の方法と比較して、S3バケットや権限まわりの設計が不要な点もメリットです。
2-2. S3経由でダウンロードする方法
S3にモジュールをアップロードし、PowerShellの Invoke-WebRequest で環境にダウンロードしたところ、3GBのファイルが1分弱で完了しました。急ぎで資材を環境に持ち込みたい方にはこの方法がおすすめです。
事前準備
- S3用のVPCエンドポイント(Gateway型)を作成する ※Gateway型は追加料金なし
- 対象S3バケットのバケットポリシーで、当該VPCエンドポイント経由の
s3:GetObjectを許可する
以下はバケットポリシーの一例です。
aws:SourceVpce 条件キーを使って、特定のVPCエンドポイント経由のアクセスのみ許可する形にすると、不要な公開を避けられます。
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Effect": "Allow",
"Principal": "*",
"Action": "s3:GetObject",
"Resource": "arn:aws:s3:::<bucket-name>/*",
"Condition": {
"StringEquals": {
"aws:SourceVpce": "vpce-xxxxxxxxxxxxxxxxx"
}
}
}
]
}
ダウンロード実行時のポイント
PowerShellで Invoke-WebRequest を実行する前に、以下を実行して進捗表示を無効化してください。これを入れないとダウンロード速度が極端に遅くなります(進捗バーの描画がボトルネックになるためです)。
$ProgressPreference = 'SilentlyContinue'
Invoke-WebRequest -Uri "https://<bucket-name>.s3.<region>.amazonaws.com/<key>" -OutFile "C:\temp\spss_modeler.exe"
以上が、環境にファイルを転送する方法になります。
3章に進む前に、環境へのSPSSクライアントのインストールをお願いします。
3章 作成した環境の展開について
2章まででOSのバージョンアップをし、CドライブにSPSSクライアントをインストールすることが出来ました。
この環境を他の環境の移行に使用する方法をご紹介します。
イメージ作成前に、1章で紹介したImageChecker.exeを実行して環境状態を確認しておくと
作成失敗を減らせます。
コンソールからAmazon WorkSpacesに進みます。
SPSSクライアントをインストールしたWorkSpaceを選択して「イメージの作成」をクリックします。
イメージ名を入力して、「イメージの作成」をクリックするとスタートします。
こちらも1時間弱程度かかります。
作成したイメージを選択して、アクションタブ内の「バンドルの作成」を選択します。
バンドル名には任意の名前を入力します。
バンドルのハードウェアタイプには現行と同じタイプを選択します。
ストレージ設定を選択して、右下の「バンドルの作成」をクリックします。
こちらも40分程度かかります。
以上でCドライブにSPSS Modeler Clientをインストールした状態の環境の
カスタムバンドルを作成出来ました。
1章の中では環境を移行する際に、パブリックバンドルを選択しましたが
作成したカスタムバンドルを使用して移行することでCドライブを保持したまま
移行することが出来ます。
あとがき
今回はAmazon WorkSpaces上でのOSのバージョンアップを行う方法と作成した環境にファイルを転送する方法をまとめてみました。
Amazon WorkSpacesを利用すると1ライセンスのSPSS Modeler Clientでも同じ部署の中で共有して使うことが出来ます。
File Transfer機能を使うと安全にファイルを環境に転送することが出来、簡単に分析も始められます。
急ぎの場合や大容量ファイルを扱う場合は、S3 + VPCエンドポイント経由の方法も選択肢になります。
記事の内容につきましてご不明点、ご指摘ございましたらお気軽にコメントください。
拙い文章ではございますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました















