今は昔、ある会社にて、毎日の売上を帳面に手書きし、経理へFAXを送っていた人々がおりました。紙と電話回線に頼るその姿は、当時は当たり前の光景でございました。
しかし時代は流れ、手書きとFAXをやめ、Excelに入力することとなりました。人々は「これで毎日FAXせずに済む。紙代も通信費も削減できる」と喜んだのでございます。
されど最初のやり方は、日ごとにシートを分けて入力するものでございました。
まるで帳面をそのまま写したような形でございます。これでは集計をしようにも、シートが散らばり、月次や年次の売上をまとめるのに難儀いたしました。さらに金額が合わぬときには、どのシートのどこに誤りがあるのか探すのに、また苦労したのでございます。
せっかくExcelを用いても、従来のやり方のままでは意味がないこと。人々はなかなか気づけなかったのでございます。
それでも人々はしばらくの間、その方法を続けておりました。
数字が合わぬときには、あちらこちらのシートをめくり、どこが違っているのかを探すのに多くの時間を費やしたと申します。
便利になったはずのExcelが、いつしか新たな負担となっていたのでございます。
そこで我慢ならぬ者が現れました。
その者は知恵を絞り、データベースのように一つの表へ縦に積み重ねる方法へと改めました。
日付、商品名、数量、金額を並べ、一行ごとに記すのでございます。
するとどうでしょう。月の集計も瞬く間に終わり、ピボットテーブルを使えば分析も容易。
売上管理ソフトと数字が違えば、該当する行をすぐに見つけられるようになりました。
間違いを探すのも早くなり、業務は格段に正確になったのでございます。人々はこれを見て感嘆いたしました。
今まで紙で管理していたものを電子で扱うようになったとき、なぜ同じやり方をそのまま続けるのでしょう。
そこは知恵を働かせ、形を改めるべきでございます。
道具を変えるだけでは何も変わらぬ。
使い方を変えてこそ、真の利が生まれる。
小さな工夫が大きな成果を生み、人々の働き方を変えたのでございます。
これこそが、世にいう業務変革の一例にございましょう。
Excelはただの表計算ではなく、業務改善の武器となったのでございます。