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S3だけで個人開発!爆速でポートフォリオサイトを作る最短ルート

Last updated at Posted at 2025-08-12

Qiita技術ブログ (7).png

はじめに

「自分のポートフォリオサイトを作りたいけど、サーバーの構築とか面倒くさそう…」
「お金も時間もかけたくない…」

そう思っていませんか?

もしあなたがHTML、CSS、JavaScriptだけで作られた静的なサイトを持っているなら、AWSのS3(Simple Storage Service)を使うのが最も簡単で、最も費用を抑えられる方法です。

この記事では、AWSの知識がほとんどなくても、S3だけでポートフォリオサイトを公開する最短ルートを解説します。

この記事を読めば、以下のメリットが得られます。

サーバー構築の知識が不要:複雑なサーバー設定は一切ありません。

圧倒的な低コスト:トラフィックが少ない個人サイトなら、月額数十円~数百円で運用できます。

AWSの基礎が身につく:今後のキャリアに役立つAWSの基本的なサービスに触れることができます。

さあ、一緒にサクッとサイトを公開してみましょう!

1. サイト公開までの全体像

まずは、これから構築するシステムの全体像を理解しましょう。

今回目指すのは、以下の図のようなシンプルな構成です。

sample.jpg

画像の説明:ユーザーがブラウザから独自ドメインにアクセス。リクエストはCloudFrontを経由してS3バケットに送られ、保存されている静的ファイル(HTML, CSSなど)がユーザーに返される。ACMがSSL証明書を管理する。

この構成のポイントは、以下の3つです。

構成ポイント

S3:静的ウェブサイトのファイルを保存する「倉庫」の役割をします。

Route 53:取得した独自ドメインを管理します。

CloudFront:サイトの表示速度を上げ、HTTPS通信を可能にするためのサービスです。

これら3つのサービスを連携させることで、安全で高速なポートフォリオサイトが完成します。

2. S3で静的ホスティングを始めるための準備

サイトを公開するために必要なものを準備しましょう。

  1. AWSアカウントの作成
    まだAWSアカウントを持っていない場合は、公式サイトから作成してください。クレジットカード情報の登録が必要ですが、無料利用枠があるので、今回の構成であればほとんど費用はかかりません。

  2. ポートフォリオサイトのファイルを用意
    公開したいポートフォリオサイトのファイル一式(index.html, style.css, main.js, 画像ファイルなど)を用意してください。
    このとき、トップページは必ずindex.htmlというファイル名にしておく必要があります。

3. S3バケットを作成しよう

それでは、いよいよAWSコンソールを操作していきます。

  1. バケットの作成
    AWSマネジメントコンソールにログインし、検索窓から「S3」と入力してサービスを開きます。
    「バケットを作成」ボタンをクリックし、以下の設定でバケットを作成します。

AWSリージョン:東京(ap-northeast-1)など、利用者に近いリージョンを選択

バケット名:サイトのドメイン名と完全に一致させる必要があります。(例:www.yourdomain.com)

オブジェクト所有権:「ACL無効(推奨)」のまま

パブリックアクセスの設定:「パブリックアクセスをすべてブロック」のチェックを外す

バケットポリシー:後で設定するので、このまま

(S3バケット作成画面の画像)
画像の説明:バケット名にドメイン名を指定し、「パブリックアクセスをすべてブロック」のチェックを外している画面のキャプチャ。

  1. 静的ウェブサイトホスティングの有効化
    バケットが作成できたら、そのバケットの詳細画面に移動し、「プロパティ」タブを開きます。
    一番下までスクロールすると、「静的ウェブサイトホスティング」という項目があるので、「編集」をクリックします。

静的ウェブサイトホスティング:「有効にする」を選択

ホスティングタイプ:「静的ウェブサイトをホストする」を選択

インデックスドキュメント:index.html

エラードキュメント:404.html (任意)

変更を保存すると、バケットの詳細画面に「バケットウェブサイトエンドポイント」が表示されます。これは、S3に直接アクセスするためのURLです。後で使うので覚えておいてください。

  1. バケットポリシーの設定
    最後に、このS3バケットを誰でも閲覧できるように、アクセス権限を設定します。
    バケットの詳細画面で「アクセス許可」タブを開き、「バケットポリシー」を編集します。

以下のポリシーをコピー&ペーストし、「Resource」の部分をあなたのバケット名に合わせて書き換えて保存します。

JSON

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Sid": "PublicReadGetObject",
            "Effect": "Allow",
            "Principal": "*",
            "Action": "s3:GetObject",
            "Resource": "arn:aws:s3:::www.yourdomain.com/*"
        }
    ]
}

これでS3の設定は完了です!

4. ドメイン名を設定しよう

次に、ポートフォリオサイトに独自ドメインを設定します。
Route 53というサービスを使います。

  1. Route 53でドメインを取得
    まだ独自ドメインを持っていない場合は、Route 53からドメインを取得するのが一番簡単です。
    「Route 53」サービスを開き、「ドメイン登録」から好きなドメインを取得しましょう。

  2. ドメインとS3バケットを連携させる
    ドメインを取得すると、自動的に「ホストゾーン」が作成されます。このホストゾーンに、S3とドメインを紐づける設定を追加します。

まず、S3バケットの詳細画面で確認した「バケットウェブサイトエンドポイント」をメモしておきましょう。
次に、Route 53のホストゾーン画面に移動し、「レコードを作成」ボタンをクリックします。

ルーティングポリシー:シンプルルーティング

レコード名:www

エイリアス:「エイリアス」をオンにし、ターゲットを「S3ウェブサイトエンドポイントへのエイリアス」から、先ほど作成したS3バケットを選択します。

(Route 53レコード作成画面の画像)
画像の説明:wwwレコードのエイリアス設定で、S3バケットを選択している画面キャプチャ。

これで、www.yourdomain.comというURLでS3にアクセスできるようになります。

5. HTTPS化でサイトをセキュアに

S3の静的ウェブサイトホスティングはHTTP通信のみをサポートしており、そのままではHTTPS(SSL/TLS暗号化通信)に対応できません。

そこで、CloudFrontと**ACM(AWS Certificate Manager)**を使って、HTTPS化を行います。

  1. SSL/TLS証明書の取得(ACM)
    「ACM」サービスを開き、**「バージニア北部リージョン(us-east-1)」**で証明書をリクエストします。
    CloudFrontは証明書をバージニア北部リージョンからしか参照できないため、このリージョンで作成する必要があります。

ドメイン名にyourdomain.comと*.yourdomain.comの2つを入力し、検証方法を「DNS検証」にしてリクエストを送信します。
その後、Route 53でのレコード作成を促されるので、指示に従って作成しましょう。数分で証明書が発行されます。

(ACM証明書リクエスト画面の画像)
画像の説明:ACMでドメイン名(yourdomain.comと*.yourdomain.com)を入力し、DNS検証を選択している画面キャプチャ。

  1. CloudFrontの設定
    次に、CloudFrontサービスを開き、「ディストリビューションを作成」します。

オリジンドメイン:S3の「バケットウェブサイトエンドポイント」を選択

ビューワープロトコルポリシー:「Redirect HTTP to HTTPS」を選択

代替ドメイン名(CNAME):www.yourdomain.com

カスタムSSL証明書:ACMで作成した証明書を選択

(CloudFrontディストリビューション作成画面の画像)
画像の説明:オリジンにS3ウェブサイトエンドポイント、代替ドメインにwww.yourdomain.com、SSL証明書にACMで作成したものを選択している画面キャプチャ。

これでCloudFrontの設定は完了です。ディストリビューションの作成には数分~数十分かかります。

最後に、Route 53に戻り、www.yourdomain.comのエイリアスターゲットを、S3ではなくCloudFrontのディストリビューションドメイン名に修正します。

6. ファイルをアップロードして公開

いよいよ最後のステップです。
S3バケットに、あなたのポートフォリオサイトのファイルをアップロードします。

  1. S3へのファイルアップロード方法
    一番簡単なのは、S3コンソールからドラッグ&ドロップでアップロードする方法です。
    「オブジェクト」タブを開き、フォルダごとアップロードすればOKです。

より効率的に作業したい場合は、AWS CLI(コマンドラインインターフェース)をローカルPCにインストールし、以下のコマンドで同期するのが便利です。

aws s3 sync ./path/to/your/site s3://www.yourdomain.com --delete

--deleteオプションを付けると、ローカルにないファイルがS3から削除されるので、常に最新の状態を保てます。

  1. 公開後の確認
    ファイルのアップロード後、https://www.yourdomain.comにアクセスして、サイトが表示されるか確認しましょう。
    CloudFrontのキャッシュが反映されるまで時間がかかる場合がありますが、無事に表示されれば成功です!

7. まとめと次のステップ

今回は、S3、Route 53、CloudFront、ACMを連携させることで、安全で費用対効果の高いポートフォリオサイトを構築しました。

この構成の最大のメリットは、メンテナンスフリーであることです。サーバーの管理やOSのアップデートを気にする必要がなく、あなたの貴重な時間を開発に集中させることができます。

次のステップとして、GitHubにソースコードをプッシュするだけで、S3へのデプロイが自動化されるCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインを構築してみましょう。AWS CodePipelineとCodeBuildを組み合わせると、より効率的な開発が可能になります。

今回の記事が、あなたのAWS学習のきっかけになれば嬉しいです。
質問や感想があれば、ぜひコメントで教えてください!

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