1. はじめに
本記事では、Google Antigravityをクライアントとして使用し、Gemini 3.8 FlashにUnity MCP経由でゲーム改善を任せました。
詳しい仕様や制約は一切与えず、「面白くして」「ビジュアルを盛って」という曖昧で乱暴なリクエストだけを投げます。人間は、AIが提案してくるアイデアの中から「ふんぞり返って好みのものをポチポチ選ぶだけ」です。
果たしてGeminiは既存コードの意図を汲み取り、何を提案し、どこまで自律的にゲームを形にしてくれるのでしょうか? 実際に試行錯誤したプロセスとCodexとの比較、そして使ってみて分かったリアルな課題感をまとめました。
題材にしたゲームはitch.ioに公開していますので、ご興味のある方は一度プレイしていただけるとより深く記事の内容を理解できるかと思います。(インストール不要でWebブラウザから即プレイ可能です。)
検証の結論としてはAntigravity(Gemini 3.8 Flash)による改善前と改善後の動画を見比べてもらうのが一番早いかと思います。
Before / Afterの動画を貼り付けましたので、まずはこちらをご参照ください。
Before
After
先に結論:雑な丸投げでもここまで変わった!
機能面(ゲーム性)
「面白くして」という曖昧な要求に対し、既存の走行ロジックを解析した上で「ターンのタイミング判定(Perfect / Great / Good)」と演出UIを自律提案・実装。
以前Codexに頼んだときには一発目の変更ではUIレイアウトの視認性が悪かったものの、今回は一発で違和感のない操作感とリッチなスコア加算システムが組み込まれました。
外観面(グラフィック・演出)
「ビジュアルを盛って」に対し、コレジャナイ感のエフェクトや失敗(四角い板パーティクル)を経ながらも、試行錯誤を繰り返し、速度連動の砂煙&急旋回時の摩擦火花を実現。
さらに、背景を夜空・大気フォグ・黒曜石床・発光ラインで構成する「トワイライト・クリスタル」テーマへ全面刷新。
加えて、外部3Dアセットを使わず、数式から直径48mの3軸回転「巨大古代天球儀メガリング」をプロシージャル生成し、配置するところまでやってのけました。
2. 環境構築でのハマりどころ
「環境構築の話は退屈だから削ろうかな」とも思いましたが、ここが最初の大きな罠だったので共有しておきます。
当初は以下の流れで進めようとしました。
- Unity MCP Server の設定を追加する
- ターミナルから gemini を起動して接続を試みる
- Unity側で接続要求を許可する
ターミナル側で Google ログインを試みたところ次のようなエラーが発生しました。
Webブラウザが開いてGoogleアカウントによるログイン自体には成功しているのですが...
Failed to sign in. Message: This client is no longer supported for Gemini Code Assist for individuals. To continue using Gemini, please migrate to the Antigravity suite of products: https://antigravity.google
エラーメッセージによると、個人向けではこのクライアントはもはやサポートされていないようなので、素直にhttps://antigravity.googleへアクセスしてAntigravityをインストールしました。
(未検証ですがAPIキーを使用する場合は、問題なく使用できるという情報もあります。)
Antigravityを起動し、現在開いているUnityプロジェクトへのアクセスを指示すると、また接続要求のダイアログが開き、Allowをクリックすると接続に成功しました。
Other Connectionsにあるgemini-cli-mcp-clientはもう使用できず、codex-mcp-clientは前回の検証で使用したものです。
3. プロジェクトの概要把握
プロジェクトの内容について特にヒントを与えず「分析して欲しい、以上」くらいのざっくりした要求を投げました。
今開いているUnityProjectについて内容を分析して説明して欲しい。
プロジェクト内のファイルには自由にアクセスしてもらって構わない。
そのプロンプトに対するレスポンスが次の通りです。(かなり長いです)
Codexで検証したときと同様、C#のソースコードまで解析して正確に把握しています。
このゲームは、タイトル画面、メインとなるプレイ画面、リザルト画面の3つの画面を1つのシーンで実装していますが、その点についても正確に把握しています。
4. 丸投げした3つの「雑リクエスト」と試行錯誤
1. 「このゲームを面白くして」
人間の指示: ルールや仕様の説明は一切なし。「面白くして」のひと言のみ。
Geminiの対応:
PlayerCharacterManager や StageBuilder などのスクリプトを自律探索し、ランゲームのルールを正確に把握。
「コーナー旋回時の精度判定システム」を提案してきたので、それを採用。
タイル通過位置と入力タイミングのズレを計算し、Perfect / Great / Good のポップアップUIとスコア加算を実装。
CodexではUIが画面端に埋まるなどの手直しが必要でしたが、今回は最初から画面中央に見栄え良く配置されました。
2. 「ビジュアルを盛って」
ここが一番人間とAIの壁打ちが発生した部分です。
最初はコミック風の煙を提案されたのですが、動かしてみると四角いポリゴン板がそのまま舞い散る「コレジャナイ」状態に。
四角い板がパタパタしており「砂煙っぽくないよね。シンプルにさりげない砂煙にして。速度連動で広がるように」 と修正の指示をしたところ、問題は修正されました。
さらに「広い範囲も大きく変えて」とリクエストすると、背景を「トワイライト・クリスタル」テーマへ全面刷新。 満天の星空、深いトワイライトフォグ、黒曜石の床、ネオンブルーの発光ルーンラインへと一変させました。
3. 「デカいランドマークを浮かべて」
トワイライトの夜空が完成した後、「何かデカいシンボルを浮遊させて」と雑に振りました。するとわずか数分で巨大な輝く天球儀が生成されました。
その時点では、どのような実装で生成したのか把握していませんでしたが、後からGeminiに確認したところ以下のようなことをやっていたようです。
C#スクリプトの数学的円環式(Torus)から直径48mのメッシュを自前生成。
3軸がそれぞれ異なる速度でゆっくり回転し、中央にオーロラ球体を抱えた「星界の古代天球儀メガリング」を作り上げました。
5. AntigravityとCodexを比較した所感
前回はCodex上でGPT-6 Astraを使用しました。今回はAntigravity上でGemini 3.8 Flashを使用しています。
利用上限について
Codexの場合、利用上限に達してしばらく作業できなくなることが何度かありました。Antigravityでは一度も利用上限に達することなく止まらずに作業を継続できました。
試行錯誤について
一発でこちらの期待どおりの結果にならないことがあるのは両方とも同じですが、何度かコミュニケーションを繰り返すことで解決できました。
許可について
Codexは、細かい許可をあまり求めてこず、プロンプトを打った後はしばらく放置できました。
一方、Antigravityの場合、細かい許可を頻繁に求めてくるため、その都度Allowを選択する必要がありました。
ただ、この辺はあらかじめ権限を付与しておくことで解決できる可能性がありそうです。要調査。
外部ファイルへの出力
Codexの場合、提案内容なども会話のなかで返してくれるので読み返すのが楽です。
Antigravityの場合、提案内容を別ファイルに出力するのですが、そのファイルがその後の会話の中で上書きされることもあり、後から過去のやりとりを正確に把握するのが少々困難でした。
6. おわりに
「面白くして」「ビジュアルを盛って」という雑なリクエストでも、Unity MCP + Antigravity(Gemini 3.8 Flash)は文脈を汲み取り、具体的なゲーム性提案からURPシェーダー・数学的メッシュ生成までやり切ってくれました。
数年後、SEとしての私の仕事は残っているのか。少々不安にもなりました。
一方で、生成AIをうまく取り込み、生産性を高める能力そのものが、これからのエンジニアに求められるスキルになっていくのかもしれません。
生成AIのアウトプットを正確に把握するには時間がかかり、すべてを追い切るのは容易ではありません。
一方で、何が行われたのかまったく理解しないまま完全に丸投げするのも危険だと感じました。
どこまでをAIに任せ、どこから人間が理解・確認するのか。そのバランス感覚も、これから求められていくのだと思います。
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ゲームの制作過程を紹介するQiita連載をもとに、コードや説明を見直して再編集したものです。
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