はじめに
昨年、宇宙機・宇宙ロボット向けのROSであるSpace ROSに関する勉強会として「Space ROS Club」を立ち上げ、約1年間運用してきました。
本記事では、改めましてSpace ROS Clubの概要や、この1年間どんな活動を行ってきたのか、簡単にまとめていきたいと思います。
Space ROSについての詳しい説明は、これまでたくさん記事にしてきたので、そちらにお譲りします。
Space ROS Clubとは
Space ROS Clubは、宇宙機・宇宙ロボット向けのROS (Robot Operating System) であるSpace ROSに関する勉強会、開発などの活動を行うコミュニティです。
「Space ROS」や「宇宙ロボット」の開発を日本から盛り上げるために、Space ROSの概要からチュートリアル、研究・開発など、様々な議論を行っています。
名前に「Space ROS」とありますが、Space ROSに関わらず、宇宙ロボット好きな人達が集まったコミュニティという感じで、宇宙機・宇宙ロボットに関する幅広いお話しをしています。
イベント概要
Space ROS Clubの活動は、基本的に毎週 火曜日の19時から、30分~1時間程度で開催しています。
発表→質疑・雑談という感じで、ゆるく、コンスタントにやっています。
内容は情報交換のような軽い発表(LT)から、がっつりしたものまで、幅広く受けつけますので、皆様のお気軽にご参加ください。
参加の仕方
基本的に、勉強会などのイベントは、Space ROS Clubのconnpass上で作成・募集しています。下記の「Space ROS Club connpass」ページ右上の「メンバーになる」をクリックし、本グル－プ上で公開される、勉強会や講習会などのイベントに申し込んでください (Discord上で開催する場合も記録用にイベントは作成しますが、申し込みは不要です)。
また、Space ROSや宇宙ロボットに関する情報共有や議論などを行う場として、Space ROS ClubのDiscordサーバーを用意しています。メインとなる活動の場は、こちらになるのでお気軽にご参加ください。
connpassとDiscordの棲み分けは、イベント管理、資料の共有、発表者受付はconnpassを使い、交流、勉強会は、Discordを使うことを想定しています。
【 勉強会に参加するまでの3ステップ！ 】
- ステップ 1：connpassグループ & Discordサーバーのメンバーになる。
- ステップ 2：connpassグループ上で公開される、勉強会や講習会などのイベントに申し込む (参加枠 or 発表枠)。
- ステップ 3：勉強会当日に、connpassのイベント上で指定された方法で、参加 or 発表する。
実際のところ
ただし、上記はあくまで想定であり、実際の運用とは異なる点があります。
「ゆるく継続する」がモットーで、現在は毎週火曜日19時から Discord 上の「ボイスチャンネル」で勉強会を行っています。
毎週というそこそこ高頻度で勉強会を実施しているため、時間が合えば気軽に参加してもらえるような雰囲気を大切にしています。
ただ、この気軽さゆえに、毎週 connpass でイベントを立ち上げていると管理が大変になってしまうため、最近は connpass には掲載せず、Discord のみで運用している状況です。
資料などは Docswell 上にアップしたり、しなかったりといった状態ですが、今回のような Qiita 記事などに、なるべく残しておこうという気持ちはあります。
運営がしっかりしていないというのはごもっともですが、こんな感じでゆるくやっています。
なにか良さそうな運営方法があれば、ぜひコメントください。
ちなみにですが、現在は161名の方にDiscordに参加いただいています。毎週の活動自体は、数名から多くても20名くらいでやっているという感じです。
盛り上げ方
X(旧Twitter)のハッシュタグは #SpaceROSClub です！
Club活動に関する感想やコメントなどは、参加された際にはぜひぜひ投稿していってください！
ほとんど私の投稿ですが、下記のような形でSpace ROS Clubの活動状況をたまに、紹介しています。
質問は発表中でもマイクをONにして自由にしてもらっても、チャットしてもらっても構いません。
インタラクティブで有意義な勉強会になれば良いという考えでやっています。
Space ROS Club 2025 年間活動記録 (1〜11月)
下記では、2025年の 1〜11月にかけて行った活動を、月ごとにざっくりまとめてみました。今後参加される方は、ご参考までに。
ちなみにですが、下記で扱った内容は基本的には「Space ROS Advent Calendar 2025」にもまとめていく予定ですので、こちらも良かったらぜひチェックしてみてください。
🌓 1月：キックオフ（試験開催）
- 第0回として、これまでClosedにSpace ROSを追い、開発を進めていた人たちで、試験的な勉強会を実施しました。
- Space ROS Club の方針共有や、今後扱いたいテーマのブレインストーミングを行っていました。
- 「Space ROS Advent Calendar 2024」をベースに、ROS2、宇宙システム、リアルタイムOSなど、参加者の興味領域をざっくり把握する回となりました。
🌒 2月：Space ROS Clubスタート（軽めのLT & 情報交換）
- Space ROS Clubを本格的に開始しました。
- 発表テーマは固定せず、ROS2・宇宙開発・組込み関連の話題共有を中心に進めました。
- まずは「Space ROS Advent Calendar 2024」を中心に、これまでのSpace ROSに関する調査結果や、開発成果を共有していきました。
🌓 3月：技術テーマの方向性が固まり始める
- ROS2 の基礎や Space ROS の概要など、基礎知識の勉強会を中心に実施しました。
- cFS（NASA のフライトソフトウェア基盤）、RACS2（宇宙機向けROS2構成）、micro-ROS（小型MCU向けROS2）、RTOS などの候補テーマが具体化していきました。
- 今後のハンズオン実施に向けて、環境構築の検討も進めました。
🌔 4月：RACS2 ハンズオン（超概要）
- JAXAが開発した RACS2 の概要学習と超概要ハンズオンを開催しました (RACS2：宇宙ソフトのフレームワークである cFS と ROS2 をブリッジするアーキテクチャ)。
- 宇宙機向けフライトソフトウェアの構造をざっくり理解することを目的としました。
- 「Space ROS × 宇宙向けフライトソフトウェア」の関係性を把握するための基礎となる回でした。
🌕 5月：cFS ハンズオン開始 & Mars Rover デモ準備
- cFS の超概要解説と basecamp（基礎編）を開始しました (cFS：NASA が開発したモジュール型フライトソフトウェアフレームワーク)。
- NASA 由来の cFS の構造やモジュール性について学習しました。
- Space ROS を用いた Mars Rover デモの準備・実施を行いました。
🌖 6月：micro-ROS・Mars Rover・NASA 文書読み会
- cFS basecamp の第2回を実施しました。
- RACS2 ハンズオン（Mars Rover デモ編）を実施しました。
- micro-ROS の pub/sub デモハンズオンを行いました (micro-ROS：マイコンなど小型デバイスで ROS2 を使えるようにする仕組み)。
- NASA の大規模な技術文書を読み、宇宙機ソフトウェア標準やアーキテクチャ思想を学習しました。
- 「Space Turtlebot」構想について議論しました（宇宙向けロボット試作のアイデア）。
🌗 7月：RTEMS 概要・MoveIt Pro・IKOS
- RTEMS の概要解説を実施しました (RTEMS：宇宙機でも使われるリアルタイムOSの一種)。
- MoveIt Pro の概要紹介とデモを実施しました（モーションプランニングツール）。
- IKOS（静的解析ツール）の紹介を行い、宇宙向けソフトウェア品質保証について理解を深めました。
🌘 8月：NAV2 & Zephyr ハンズオン
- NAV2 の紹介を行い、宇宙分野への応用可能性について議論しました。
- Zephyr ハンズオン（その1）を実施しました (Zephyr：軽量で IoT/組込み向けの RTOS。ROS2・micro-ROSとの連携に注目)。
- 軽量RTOS上で ROS2 / micro-ROS を活用する可能性を調査しました。
🌑 9月：RTEMS ハンズオンと IKOS 続編
- IKOS の第2回（より実践的な解析内容）を実施しました。
- RTEMS ハンズオン（実作業編）を実施しました。
- IntBall2 + RACS2 の ROSCon JP 発表練習を行いました。
- 宇宙ロボット・フライトモデル開発に関する知見共有を行いました。
🌒 10月：Zephyr ハンズオン第2回
- Zephyr ハンズオン（その2）を実施しました。
- micro-ROS や pub/sub デモの検証に向けた基盤を整えた月でもありました。
🌓 11月：宇宙プロジェクト系の紹介が充実
- RoboCup @ Space の紹介を行い、宇宙ロボット競技の最新情報を共有しました。
- MMX（火星衛星探査ミッション）の紹介を行いました。
- RACS2 demo に関連する Space ROS PR マージのノウハウ共有を行いました。
- Advent Calendar 2025 に向けた作戦会議を実施しました。
以上のような形で、Space ROSに関する勉強会を進めてきました。なんとなく勉強会のイメージはつきましたでしょうか。
最後に
Space ROSは宇宙開発のみならず、地上でも宇宙機並みの品質が求められるシステムに適用できると考えています
宇宙開発に関係する方々も、宇宙開発に関係しない方々も、Space ROSに興味を持っていただけると嬉しいです。ぜひ一緒にSpace ROSを盛り上げていきましょう！！
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