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「プログラマー脳」から学ぶコードを読むときの混乱とその原因

Last updated at Posted at 2023-12-24

はじめに

この記事では、「プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ」に記載されているコードを読むときに発生する3つの混乱とコードを読むことに影響を与える3つの認知プロセスについて、紹介していく

コードを読むときに発生する3つの混乱

見慣れないコードや久しぶりに書いたコードを読むと、混乱する(コードが何をするか、なぜそのように書かれているか理解できない)ことがあり、その種類は3つに分類できる

具体例で確認

与えられた数値 N または n を二進数表現に変換するコード

1. 知識不足

APLでの二進数表現変換コード

2 2 2 2 2 T n

=>演算子 T が何をするのかわからない

2. 情報不足

Javaでの二進数表現変換コード

public class BinaryCalculator {
    public static void main(Integer n) {
        System.out.println(Integer.toBinaryString(n));
    }
}

=>toBinaryString() の内部でどうゆう処理が行われているのかわからない
(toBinaryString() の定義を見つけて読む必要がある、情報がすぐに得られない)

3. 処理能力不足

BASICでの二進数表現変換コード

LET N2 = ABS ( INT( N ) )
LET B$ = ""
FOR N1 = N2 TO 0 STEP 0
    LET N2 = INT ( N1 / 2 )
    LET B$ = STR$ (N1-N2*2) + B$
    LET N1 = N2
NEXT N1
PRINT B$
RETURN

=>実行される処理のすべてを脳内で追いかけることはできない(メモしないとわからない)

コードを読むことに影響を与える3つの認知プロセス

1. 長期記憶

  • 永続的に保存される記憶装置

cf. ハードディスク

2. 短期記憶

  • 一時的に保存される記憶装置
  • 目の前の問題が解決されると削除される

cf. RAM、キャッシュ

3. ワーキングメモリ

  • 問題の処理に用いられる短期記憶
  • 実際の思考が行われる
  • 新しい考えやアイデア、問題の解決方法が形成される

cf. プロセッサ

短期記憶とワーキングメモリの具体例

  • 短期記憶:電話番号を一時的に記憶
  • ワーキングメモリ:計算処理

3つの認知プロセスのまとめ

  1. 長期記憶:長期間覚えておきたい情報を保持
  2. 短期記憶:読み聞きしたばかりの情報を一時的に保持
  3. ワーキングメモリ:上記の情報を処理して、新しい思考を形作る

3つの認知プロセスの相互作用

コードを読んでいるときは、3つの認知プロセスが相互作用しながらすべて働いている

image.png (65.7 kB)1

まとめ

コードを読むときの混乱は3種類に分類でき、それぞれ認知プロセスの影響を受けている

今回紹介した混乱に対する対処法も「プログラマー脳」内で紹介されています。

参考文献

  • Felienne Hermans 著、水野貴明 訳、水野いずみ 監訳「プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ」秀和システム、2023
  1. elienne Hermans 著、水野貴明 訳、水野いずみ 監訳「プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ」秀和システム、2023、P11

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