概要
IBM CloudでのWindows Serverの起動トラブルを、特定のファイル削除で解決する手順を紹介します。
特に、CrowdStrikeの障害を発端とするWindowsホストの障害に対処する方法を例に説明します。
本記事では、IBM Cloud Virtual Server for VPCのWindows Serverにおける復旧手順についての内容です。
前提
・VPCが作成されていて、OriginalなWindows Serverが作成されている
・そのWindows Server上に削除したいファイルがある
復旧の方針
- インスタンスのブート・ボリュームのスナップショットを作成する
- 同じAvailability Zoneでスナップショットから新しいボリュームを作成する
- 同じAvailability Zoneで新しいWindowsインスタンスを作成する
- 新しいボリュームをデータ・ボリュームとして新しいインスタンスにアタッチする
- 作成したWindowsインスタンスにログインする
- アタッチされたボリュームの X:\Windows\System32\drivers\CrowdStrike\ ディレクトリに移動し、C-00000291*.sysを削除する
※この例では、X: は影響を受けるインスタンスのセカンダリボリュームに割り当てられたドライブ文字である。利用する環境では異なる文字である可能性がある。 - 新しいインスタンスからボリュームを切り離す
- 切り離したデータボリュームをブートボリュームとしてWindows Serverを作成する
復旧の手順
1. インスタンスのブート・ボリュームのスナップショットを作成する
IBM Cloud ポータルで、対象のVirtual Server for VPC
を選択し、ストレージ・ボリューム
セクションからブート・ボリューム
を見つけます。そのボリュームのスナップショットを作成します。
IBM Cloud Docs:Block Storage for VPC スナップショットの作成
2. 同じAvailability Zoneでスナップショットから新しいボリュームを作成する
作成したスナップショットから新しいボリュームを同じAvailability Zoneで作成します。
作成したスナップショット
を選択し、アクション
メニューからボリュームの作成
に進み、スナップショットからボリュームを作成します。
3. 同じAvailability Zoneで新しいWindows インスタンスを作成する
同じAvailability Zoneで新しいWindows インスタンスを作成します。IBM Cloud ポータルから、新規VSIを作成します。ロケーション
名前
イメージ
プロファイル
ネットワーキング
等を適切に設定します。
仮想サーバー・インスタンスの作成
浮動IPを利用してWindows Serverにログインする場合には、必要に応じて浮動IPを付与しておきます。
浮動 IP アドレスを使用したネットワーク・インターフェースの作成
4. 新しいボリュームをデータ・ボリュームとして新しいインスタンスにアタッチする
新しいボリュームを新しいWindowsインスタンスにデータ・ボリュームとしてアタッチします。
新しい仮想サーバー・インスタンス
の概要
タブの下部にあるストレージ・ボリューム
セクションへ移動します。接続
から2で作成した新しいボリュームを選択して保存
します。
新しいボリュームがデータ・ボリュームとしてインスタンスにアタッチされていることを確認します。
5. 作成したWindowsインスタンスにログインする
今回は、Virtual Serverに浮動IPを付与して、Microsoft Remote DesktopでWindows インスタンスにログインしています。
IBM Cloud: VPCのWindows仮想サーバーへのログイン方法
6. アタッチされたボリュームの X:\Windows\System32\drivers\CrowdStrike\ ディレクトリに移動し、C-00000291*.sysを削除する
スタートメニューを右クリックし、Disk Management
を選択し、アタッチされたボリュームを確認します。必要に応じてボリュームの初期化、New Simple Volumeを作成し、ボリュームをマウントします。
X:\Windows\System32\drivers\CrowdStrike\
フォルダに移動し、CrowdStrikeフォルダ内の.sysファイル
を見つけて削除します。
本検証環境ではCrowdStrikeは利用していないので、Original Serverにtest fileを置いて検証しています。マウントしたボリュームからtest fileを削除できることを確認しています。
7. 新しいインスタンスからボリュームを切り離す
新しい仮想サーバー・インスタンス
の概要
タブの下部にあるストレージ・ボリューム
セクションへ移動し、データ・ボリューム
切り離します。
1番右側の切り離しマークから操作ができます。
仮想サーバー・インスタンスからの Block Storage for VPC ボリュームの切り離し
8. 切り離したデータボリュームをブートボリュームとしてWindows Serverを作成する
VPC用のブロック・ストレージ・ボリュームのリストからインスタンスから切り離したボリュームを選択し、ボリュームの詳細を確認します。接続済み仮想インスタンス
セクションで、接続されている仮想インスタンスはないことを確認します。
接続
→ サーバーの作成
→ブート・ボリュームとして接続
を選択し、復旧版となるWindows Serverを作成します。
さいごに
ご紹介した手順ではOriginal Serverとは別のIPアドレスに変わってしまいます。IPアドレスが変わらないようにするためには、一度Original Serverを削除した上で、復旧版ServerのIPアドレスを予約済みIPから設定することで解決できます。
Original Server削除時に、boot volumeが一緒に削除されないように、Auto release(自動削除)の設定を無効にしておくと安心です。