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そもそも「AI エージェント」ってなに? — チャットとの違いと、コーディング系エージェント一覧

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Last updated at Posted at 2026-07-14

どうもこんにちは、Tadash です。ここまで IBM Bob(Bob Shell) の話を続けてきました。モードだの承認だのセッション記録だの、けっこう細かいところまで踏み込んできたのですが、今日はいったんぐっと引いて、そもそも論をやります。

「AI エージェント」という言葉、よく聞くようになりました。でも、いざ「チャットの AI と何が違うの?」と訊かれると、意外と説明しづらい。ここを一度、地に足をつけて整理しておきます。

AI エージェントとは、「自分で手を動かす AI」

ざっくり言うと、こうです。

目標を渡すと、自分でやることを分解し、道具を使って、何ステップも動いて、結果まで持っていく AI。

ポイントは4つ。

  • 目標で動く … 「バグを直して」「この CSV を集計して」のように、手順ではなくゴールを渡す。
  • 自分で段取る … 次に何をするかを、AI が自分で決める。
  • 道具を使う … ファイルを読み書きする、コマンドを走らせる、Web を見る、API を叩く。テキストを返すだけではない。
  • 回す … 実行 → 結果を見る → 次の手、を繰り返す。うまくいかなければ、やり直す。

この「道具を使って、自分でループを回す」ところが、ふつうのチャットとの決定的な違いです。

チャットとの違いは、「教える」か「やる」か

同じ「このバグを直して」でも、返ってくるものが違います。

チャット(対話型 AI) AI エージェント
返ってくるもの 直し方の説明(テキスト) 実際に直したコードと結果
誰が手を動かすか あなた(コピペ・実行は人間) AI(ファイル編集・コマンド実行まで)
やり取りの形 1問1答 ゴールを渡して、あとは経過を監督
道具 基本は文章の生成 ファイル・シェル・Web・API を操作
人間の役割 質問する・判断する 承認する・監督する

チャットは「教えてくれる」。エージェントは「やってくれる」。この一線です。

そして——ここまで本連載で触ってきた Bob Shell も、まさにこのエージェントです。だからこそ、「勝手に実行させない承認」や「どのモードで動くか」や「何をやったか残るセッション記録」の話をしてきたわけです。手を動かす相手だから、手綱と記録がいる。逆に言えば、ただのチャットにこれらは要りません。

できること — 「コーディング系」でも、やることは広い

エージェントにはいろんな畑があります。PC を操作する computer use、企業の業務を回すもの、なんでも屋の汎用型……。ただ、いま一番数が多く、進化も速いのは開発向け=コーディング系です。この記事では、そこにしぼって見ていきます。

そして「コーディング系」といっても、コードを打つだけではありません。ゴールをひとつ渡すと、開発まわりをまるごと動きます。

  • コードを書く・直す … 複数ファイルの修正、リファクタ、テスト生成、バグ調査
  • 調べる … コードベースを読んで把握する、Web やドキュメントを横断して調べる
  • コマンドを走らせる … ビルド・テスト・git・パッケージ導入
  • 環境を触る … CI の失敗を直す、依存を解決する、ブラウザで動作を確かめる

「コード生成ツール」というより、開発という仕事のかなりの部分を任せられる相手、と捉えるほうが実態に近い。根っこはどれも「目標 → 自律 → 道具 → ループ」です。

コーディングエージェント一覧

いま名前を聞くコーディング系を、できるだけ挙げます。アルファベット順。米国勢だけでなく、中国勢オープンソース(OSS)も入れました。

表の「形」は、ざっくりの使われ方です。

  • CLI … ターミナルで動く
  • IDE … それ自体がエディタ(統合開発環境)
  • 拡張 … VS Code などのエディタに入れて使う
  • クラウド … 非同期でクラウド側が実行する

1つの製品が複数の形を持つこともあります(例:拡張でも CLI でも使える)。

No. 名前 概要 ベンダー
1 Aider CLI ターミナルの AI ペアプロ。git ネイティブな編集が持ち味 オープンソース
2 Amazon Q Developer IDE/CLI AWS 開発向け。補完からエージェントまで Amazon(AWS)
3 Antigravity CLI CLI Google の CLI エージェント(旧 Gemini CLI、2026/6 に移行) Google
4 Bob CLI/IDE エンタープライズ向け AI コーディング本連載の主役 IBM
5 Claude Code CLI ターミナル常駐のコーディングエージェント Anthropic
6 Cline 拡張/CLI VS Code 拡張が出発点。CLI 版も成熟 オープンソース
7 CodeBuddy IDE/拡張 Hunyuan+DeepSeek。200 以上の言語 Tencent(腾讯)
8 CodeGeeX 拡張 完全無料・OSS。300 以上の言語 Zhipu AI(智谱・清華系)
9 Codex CLI/クラウド CLI・クラウドで動くコーディングエージェント OpenAI
10 Comate(文心快码) 拡張 文心(ERNIE)ベースの AI コーディング Baidu(百度)
11 Continue 拡張/CLI OSS。ローカルモデルに強い。CLI は cn オープンソース
12 Cursor IDE AI エディタ。エージェント機能を内蔵 Anysphere
13 Devin クラウド 非同期で長時間タスクを任せる自律型 Cognition
14 GitHub Copilot IDE/CLI/クラウド 補完から自律的な PR 作成まで GitHub(Microsoft)
15 Goose CLI OSS の汎用コーディングエージェント Block(Linux Foundation 傘下へ)
16 Jules クラウド 非同期にクラウドで Issue を処理 Google
17 OpenCode CLI 2026 に台頭した OSS ターミナルエージェント。多数のモデルに対応 オープンソース(Anomaly/旧 SST)
18 OpenHands クラウド/CLI 計画 → 実行を回す自律型(旧 OpenDevin) All Hands AI(OSS)
19 Qoder CN(旧 通义灵码 / Tongyi Lingma) IDE/拡張 中国の代表格。Qwen ベース Alibaba(阿里)
20 Qwen Code CLI 中国発のターミナル CLI。Qwen ベース Alibaba(阿里)
21 Replit Agent クラウド プロンプトからフルスタック生成・デプロイ Replit
22 Trae IDE AI IDE。SOLO モードで一気通貫に作る ByteDance(字节跳动)
23 Windsurf(現 Devin Desktop) IDE AI エディタ(旧 Codeium) Cognition

全部は網羅しきれません(毎月増えるし、消えもします)。それでも並べると、いくつか見えてきます。米国勢・中国勢・OSS の三つ巴であること。中国勢は価格と現地最適化で攻めていること。OSS は「特定のモデルに縛られない」身軽さで伸びていること。もう一社の独占ではありません。

ひとつ注意:入れ替わりが激しい

この手の一覧は、書いたそばから古くなります。実際、2026 年前半だけでも、Google が Gemini CLI を終了して別物(Antigravity CLI)へ切り替え、Windsurf は Cognition 傘下(Devin Desktop へ改称)に、といった動きがありました。だから「最新の正解」は各社の公式で確かめてください。この表は、いまの見取り図として。

今後の展望

コーディング系にしぼると、方向はこのあたりです。

  • もっと自律・非同期に … 「その場で一緒に書く」から、「Issue を渡して、クラウドで走らせて、PR で受け取る」へ。Devin や Jules のような非同期型が増えています。
  • 複数エージェントの分担 … 設計役・実装役・レビュー役、と役割を分けて協調させる「マルチエージェント」へ。
  • 標準でつなぐ … ツールや別のエージェントとやり取りするための共通規格が広がっています。MCP(道具の接続)、AGENTS.md(振る舞いの指示書)——ツールをまたいで同じ作法が効くようになりつつあります。
  • 価格とモデルの自由化 … 中国勢の低価格攻勢と、OSS の「モデル非依存」。特定ベンダーの囲い込みが崩れつつあります。

一方で、任せる範囲が広がるほど、手綱と説明責任が問われます。勝手に実行させない・機密を渡さない・誰が何をやったか後から辿れる——本連載で Bob Shell を題材に見てきた「地味だけど大事なところ」は、コーディングエージェント全体の宿題そのものです。派手な自動化より、使う側の作法がものを言う。そう見ています。

まとめ

  • AI エージェントは「自分で手を動かす AI」。目標 → 自律 → 道具 → ループ、が骨格。
  • チャットは「教える」、エージェントは「やる」。だから承認と記録がいる。
  • コーディング系だけでも、米国勢・中国勢・OSS の三つ巴。しかも入れ替わりが速い。
  • これからは、もっと自律・非同期に。そのぶん手綱と説明責任が主役になる。

——というわけで、本連載で触ってきた Bob Shell も、この「コーディングエージェント」の一つです。


※投稿内容は個人の見解であり、必ずしも私の所属団体・企業における立場、戦略、意見を代表するものではありません。製品名・ベンダー・数値は 2026-07-14 時点で確認したものです。この分野は動きが速いので、最新は各社の公式情報でご確認ください。

出典


IBM Bob

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