こんにちは!株式会社TRAILBLAZER(通称:トレブレ)でPdMを務めている清河です。
私たちは2025年10月に創立2周年を迎えました。フルリモートの当社では年に一度、全社員が一堂に会するリアル開催のAll-Handsを行っています。
創立2周年にあたり、私は「会社を盛り上げたい」という思いから有志の運営委員に手を挙げました。今年のAll-Handsは結果的に 96.6% という高い参加者満足度を達成することができました。
本日はこの記録を通じて当社のユニークな文化、熱意ある社風を感じていただき、「トレブレって面白そう」と感じていただけたら嬉しいです!
第1章:リアル開催の意義と企画の核:目的の言語化
フルリモートで全国に社員がいるトレブレにとって、年一回のリアル開催は極めて重要なイベントです。運営委員(有志10名)として企画をスタートさせる際、私たちが重要視したのは、「イベントが終わった後に、組織として何を得ているか」という目的の言語化でした。
昨年のフィードバックを踏まえ、今年は「楽しかった」という表面的な感情ではなく、その先に生まれる組織的な成果を求めることに決めました。
🎯 主目的:コミュニケーションの「活性化」
運営委員全員で議論を重ね、最終的に導き出された主目的は「コミュニケーションの活性化」です。私たちはこの目的に対し、曖昧な言葉ではない、具体的な 2つの成功条件(達成基準) を定義しました。このロジックこそが私たちの思考の土台となりました。
| 軸 | 成功条件(達成基準) | なぜその条件を設定したか |
|---|---|---|
| 広さ | 初対面の社員との会話が発生している | リモートで希薄になりがちなタテ・ヨコ・ナナメのつながりを一気に広げ、部門や役職の壁を越えた接点づくりにコミットする。 |
| 深さ | 人となりを知り、相手に関心を持ち、心理的に安心して話せるようなフラットな雰囲気ができている | 意見交換やフィードバックに不可欠な「心理的安全性」を確保し、仕事相手としてだけでなく、「一人の人間」として関心を持つ土台を築く。 |
コンセプトメイクのより詳細な記事はこちら
第2章:目的達成への挑戦:成功条件から逆算したコンテンツ設計プロセス
目的が明確になれば、次はこの達成基準を満たすコンテンツをロジカルに設計することに注力しました。
1. ありきたりなアイデアからの脱却と論理の可視化
Web事例や思いつきのアイデアは、トレブレらしさがなく、目的達成に貢献できるか疑問がありました。
🌟 運営委員の思考プロセス
コンテンツが最終ゴールにつながる因果関係を可視化し、「コンテンツ」と「ゴール」、「効果(社員の感情)」の関係性を整理しました。このステップを経ることで、「個のアイデア」から「目的を達成するための戦略的な要素」へと、企画の質が一気に向上したと感じています。
2. 「広さ」への施策:自由な交流をデザインする
まず、「初対面の社員との会話が発生している」という達成条件を満たすため、社員が自発的に会話する環境をデザインすることが最善だと判断しました。なお、こちらは第2部の懇親の時間を活用することで実現させています。
- 立食形式の採用: 社員が自由に移動し、会話する相手を「自分で選べる」自由な環境を創出。
- 積極的な「シャッフル」設計: 偶然の出会いを意図的に作り出すため、複数のシャッフルタイムを設けました。ただしランダムではなく、一定の共通項を持つ属性でグルーピングすることで、会話のきっかけを意図的に用意し、心理的なハードルを下げました。
3. 「深さ」への施策:心理的安全性の確保とメインコンテンツの創造
残る課題は「心理的安全性の確保」と「人となりを知り、相手に関心を持つ」という深さの達成基準を満たすことでした。こちらは第1部の時間を利用しています。
💡 心理的安全性の土台作り:事前アンケートと経営層との連携
「心理的安全性」の確保には経営からのメッセージパートが極めて重要だと考えました。
- 事前アンケートの実施: 社員が感じている不安の解像度を上げるため、事前に全社員にアンケートを実施。
- 経営層へのフィードバック: 結果から見えた社員のリアルな感情や期待を経営層へフィードバックし、当日のメッセージに盛り込んでもらうよう依頼。
この取り組みを通じて、「会社は社員の声を聞き、真摯に応えようとしている」という安心感を醸成し、続く交流パートの土台を築くことができました。
💡 人となりを知り、相手に関心を持つ:メインコンテンツのアイデア出し
当初のブレストには、一般的なクイズ、ゲーム、ワークショップなどのアイデアが多く、それらは「個」の深い理解には繋がらないと感じていました。
-
転換点:視点を「個」から「全体」へ
「社員あてクイズ」という「個」に注目したアイデアから、逆に「全体」へ目を向けました。創立2年で急成長した変遷を全体的にとらえて共有することが、2周年All-Handsにふさわしいという着想を得ました。この気づきから、「データを扱う会社」であるトレブレの特性を活かした多角的なデータ視点のアイデアが一気に膨らみました。 -
視点を戻す:「全体」から「個」の賞賛へ
全体感を共有した後、MVV(Mission/Vision/Value)に共感して入社している社員が多いという事実に着目し、MVVの体現度や会社の制度活用度など、「トレブレらしい軸」で社員個人にスポットを当てるランキング企画のアイデアが出てきました。
🌟 運営委員の思考プロセス
「個」→「全体」→「個の賞賛」という往復によって、コンテンツは「個人の相互理解」と「組織への愛着」という2つの効果を持つ形へと昇華しました。
4. 輪郭を鮮明にする「定義づけ」と具体的なコンテンツ
アイデアが固まった段階で、それぞれのコンテンツの「定義」を言語化。これにより輪郭が鮮明になり、運営委員間の共通認識を確立できました。
| コンテンツ | 定義 | 意図・狙い |
|---|---|---|
| データでみるトレブレ | データ(数字)を用いて多角的に会社を可視化。創立からの2年間の変遷を追う企画。 | 改めて「トレブレってすごいな」という社員の自尊心を高め、普段話さない人も接点が見つかる糸口になればと期待。 |
| 勝手にランキング | MVVの体現度や会社の資産活用量など、「トレブレらしい軸」で社員個人を勝手に表彰する企画。 | 社員が増える中で、個人にスポットライトを当て、「こんな社員がいるんだ」という相互理解の機会を提供する。 |
採用した「データでみるトレブレ」の軸の一例
組織の規模変遷、社員の居住地分布、保有資格、Slackの趣味チャンネルの活発さ、部署別酒飲み率など、お堅いものからユーモラスなものを含めて幅広く採用しました。
採用した「勝手にランキング」の軸
- MVV体現度
- 伸びしろしかないで賞(動画学習コンテンツの1日当たりの利用時間など、自己啓発を評価)
- 西からいこか賞(入社を機にJR西日本エリアにお引っ越し)
- はよやろう賞(必須研修の案内から終了までの時間の短さなど、スピード感やコミットメントを評価)
- コミュニケーション賞(フルリモート下でもSlackを活用して組織のつながりを推進)
🎉 第3章:結果:私たちの「想い」は社員に届いたか?
目的を言語化し、コンテンツを徹底的に逆算して設計する――私たち運営委員会の熱意は、社員に届いたのでしょうか?
イベント後のアンケート結果は、私たちが目指した組織の理想が実現したことを証明してくれました。
🥇 驚異の成果と目的達成度
| 評価指標 | 結果(5点満点) | 達成度(アンケートより) |
|---|---|---|
| 会全体満足度 | 4.61点 | 96.6% の社員が「満足」または「概ね満足」と回答。 |
| 心理的安全性 | 4.57点 | 84.5% の社員が肯定的に評価。 |
| 交流促進(広さ) | 初対面との交流 | 参加者の 36.2% が 6〜10名の新しい社員と対面で交流。 |
「データでみるトレブレ」「勝手にランキング」についても、「面白かった」「データ活用が会社らしさを出し、雰囲気を和ませた」と評価が集中し、参加者の緊張を解き、交流の質を高めることに貢献したと確信しています。
🤝 結論:トレブレの「熱意」は組織をドライブする
今回、創立2周年All-Handsの運営委員として活動し、「目的を明確化し、ロジックをもってコンテンツに落とし込む」というトレブレの仕事への向き合い方を、イベント企画という側面から改めて強く実感することができました。
フルリモート組織であっても、「コミュニケーションの活性化」と「心理的安全性」を最優先に考え、データと熱意をもって実行すれば、これほどの成果を出せることを証明できたのは、運営委員会にとって大きな自信となりました。
この記録が、トレイルブレイザーの文化と社風を伝える一助となれば幸いです。
💖 運営後記
運営委員をやってみて、普段はプロダクトマネージャーとして対峙する「課題」を、社員全員の「体験価値」として捉え直すことができ、非常に学びの多い経験でした。この場を借りて、運営委員の皆、そして協力してくれた社員全員に心からの感謝を申し上げます!



