この記事のゴール
- AI2L の考え方を、やさしい言葉で共有する
- 今日から使える「運用チェックリスト(簡易版)」を配布する
- 誰でも参加できる連載(Advent Calendar)の進め方を示す
AI2L (AI to Learn) とは
AI2L は AI to Learn の略で、
学びの段階では AI を活用しつつ、
最終的な成果物(コード、手順、図表など)は「人が読んで理解・再現できる形」にする
という考え方です。
- 発案者は私ですが、考えが同じ方向なら自由に解釈・応用してもらって構いません
- 専門用語はできるだけ減らし、具体例と手順を重視します
- 「AI 任せのブラックボックス」を増やさず、人の理解を残すことを目的にしています
AI2L の 4 つの柱(ざっくり版)
-
ブラックボックスを残さない
完成物(コード・手順・図表など)は、人が読んで再現できる形にする -
アカウンタビリティ(説明責任)
結果だけでなく、根拠・前提・プロンプトなども、後から追える形で残す -
情報保護
個人情報や機密情報は使わない/使う場合は匿名化・マスキングなどの対策をする -
Green AI(省エネ・低コスト)
むやみに大きなモデルに頼らず、軽くて速く、無駄の少ないやり方を考える
よくあるモヤモヤと、AI2L での向き合い方
-
どこまで AI に任せてよいか分からない
→ 「学びの手助け」まで。最終判断と責任は人が持つ -
出力が正しいか不安
→ 「根拠を示す形」で出力させ、人が 根拠ごと チェックする -
機密情報が心配
→ 入力前チェック・匿名化・最小権限で運用する
(機密を入れない前提で設計する) -
コストが読みにくい
→ 1 回あたりの 時間・リクエスト回数・費用 を簡単にメモしておく
AI2L では、「AIに任せる範囲」と「人が責任を持つ範囲」を明確に分けることを大切にします。
今日の手順(10 分でできる AI2L 実験)
まずは、仕事や研究、勉強の中から「小さなタスク」を 1 つ決めて、次の 5 ステップだけ試してみてください。
-
目的を書く
例:
「社内 FAQ の回答草案づくりを早くしたい」
「実験ノートのドラフトを書く時間を短くしたい」 など -
完成物の形を決める
例:
「人が最終チェックして直した文章+根拠リンクのセット」
「手順書(箇条書き)+注意点のメモ」 など -
入力の準備をする
- 機密情報や個人情報は入れない
- 必要なら、ダミーの値やサンプルデータに置き換える
-
出力のチェック方法を決める
「何がそろっていれば OK とみなすか」を事前に決めておきます。
例:- 根拠リンクが必ず付いている
- 手順が 3〜7 ステップに収まっている
- 禁止している情報源を使っていない など
-
コストの記録方法を決める
- かかった時間(ストップウォッチでも感覚値でも可)
- リクエスト回数
- 料金が分かれば、おおよその費用
→ ざっくりでよいので、あとから見返せるようメモしておきます
運用チェックリスト(簡易版)
AI2L 的に「最低限ここだけは押さえたい」というチェックリストです。
この記事を読みながら、実際に手元のタスクでチェックしてみてください。
- この記事(またはタスク)の目的を書いた
- 最終的な成果物の形(人が理解できる形)を決めた
- 入力に機密情報や個人情報を含めていない
- 出力に根拠や手順が含まれている
- 重要な部分は、人が実際に確認した
- かかった時間や費用を簡単にメモした
- 「次回こう直したい」という点を 1 つ書いた(小さくても OK)
例:社内 FAQ の草案づくり(小さな実験)
ここでは、よくあるタスクの一例として「社内 FAQ の回答案づくり」を取り上げます。
-
目的
回答案をゼロから書く時間を短くする -
完成物
人が最終チェックして直した文章 + 根拠リンク(社内ドキュメントなど) -
手順(AI2L 的な進め方)
- まず、AI には 社内の公開情報だけ を読み込ませる
(社外秘や個人情報が含まれないようにする) - 回答を生成するときに、根拠となるページや文書へのリンクを必ず入れる よう指示する
- 出力された回答を人が読み、
- 言い回し(トーン・丁寧さ)
- 事実関係(内容・リンク先)
を確認して修正する
- まず、AI には 社内の公開情報だけ を読み込ませる
-
振り返り(例)
- よかったこと
- ゼロから書くより、草案づくりが明らかに速い
- 気づき
- 根拠が曖昧な回答は、そもそも社内ドキュメント側の整理が必要
(「AIのせい」ではなく、元情報の課題が見える)
- 根拠が曖昧な回答は、そもそも社内ドキュメント側の整理が必要
- 次に試すこと
- プロンプトを短く・共通化して、「同じ型」を他の FAQ でも再利用する
- よかったこと
このように、1 つの小さなタスクを題材にして、AI2L の 4 つの柱を意識してみるのが Day 1 のゴールです。
書くときのコツ(AI2L な記事づくり)
この Advent Calendar では、「うまくいった話」だけでなく、「試してみて分かったこと」も歓迎します。
もしあなたが記事を書くときは、次のポイントを意識すると、読みやすくなります。
- まず 結論(この記事でできること)を短く 書く
- 手順は 3〜5 ステップ 程度の最小構成にする
- 成功例だけでなく、つまずきや失敗からの学び も書く
- 読者が「じゃあ自分もやってみよう」と思える
「次の一歩」 を 1 つだけでいいので入れる
(チェックリスト・テンプレート・簡単なプロンプト例など)
Advent Calendar とのつながり
この Day 1 の記事は、次の 2 つの Advent Calendar の最初の記事として公開しました。
-
AI to Learn(AI2L)実践録:ブラックボックスを残さない生成AI運用 25 Advent Calendar 2025
- 研究室や実務の現場で、AI2L の考え方に沿った生成 AI の運用事例を集めるカレンダーです
- 「ブラックボックスを残さない」運用ルールやワークフローの共有を歓迎します
-
AI2L オープン実践録:だれでも参加OK 生成AIを安全に使う Advent Calendar 2025
- だれでも参加できるオープンな連載です
- 専門用語なしでも大丈夫です。入門・小さな工夫・失敗談の振り返りも歓迎します
後半で、それぞれのカレンダーの趣旨をもう少し詳しく紹介します。
参考:AI to Learn(AI2L)プレプリント
AI2L の背景や考え方を、もう少し学術的に整理したプレプリントです。
-
AI to Learn(AI2L)プレプリント
DOI: https://doi.org/10.51094/jxiv.1435
Advent Calendar 用テキスト(研究室カレンダー版)
AI to Learn(AI2L)実践録:ブラックボックスを残さない生成AI運用 25 Advent Calendar 2025
このカレンダーは、「AI to Learn(AI2L)」の考え方にそって、生成 AI を安全に・わかりやすく・無理なく使う工夫 を集めるものです。
AI2L とは、
「AI を学びの手助けとして使い、最終的な成果物は人が理解できる形にする」
という考え方です。
このカレンダーでは、AI2L コンセプトに沿った 実務・研究での生成 AI 活用例 を共有していきます。
AI2L の 4 つの柱(やさしい説明)
-
ブラックボックスを残さない
完成物(コードや手順)は、人が読んで再現できる形にする -
アカウンタビリティ(説明責任)
結果だけでなく、根拠や前提、プロンプトなども書き残す -
情報保護
個人情報や機密は使わない/使う場合は匿名化・マスキングなどの対策をする -
Green AI(省エネ・低コスト)
無駄に大きなモデルだけに頼らず、軽くて速い方法も検討する
参考
- AI to Learn(AI2L)プレプリント
DOI: https://doi.org/10.51094/jxiv.1435
オープン版(誰でも参加 OK)へのリンク
AI2L のオープン連載カレンダーはこちらです:
オープン版では、次のような記事を歓迎します(専門用語がなくても大丈夫です)。
- 実務で役に立った 小さな工夫 や ルールづくり
- 失敗から学んだこと(やらかしの振り返り)
- お金や時間を節約できたやり方
(プロンプトの短縮、キャッシュ、手作業との分担など) - 安全に使うための決めごと
(入力前チェック、出力の見直し、社内ガイドライン など) - 授業・勉強会・研究での使い方
(教材づくりのコツ、発表準備の短縮 など)
Advent Calendar 用テキスト(オープン版カレンダー)
AI2L オープン実践録:だれでも参加OK 生成AIを安全に使う Advent Calendar 2025
このカレンダーは、だれでも参加できるオープン連載 です。
テーマは一言でいうと、
「AI を学びの手助けに使い、最終成果物は人が理解できる形にする」
です。
専門用語は最小限で、手順と気づきの共有 を重視します。
入門レベルの話、小さな工夫、失敗談の振り返りも大歓迎です。
参加ルール(シンプル)
- 機密情報や個人情報は投稿しない
(必要であればダミー化・匿名化する) - 出力はうのみにせず、人が最終チェックする
- できれば「成果物の形(コード・手順・図表など)」を残す
- 同じ記事を他のカレンダー(研究室版など)にも登録して OK
歓迎する内容
- 仕事・研究・授業で役立った 小さな工夫
- うまくいかなかった点と、次回に向けた改善
- 安全に使うための決めごと
(入力前チェック、出力の見直し など) - お金や時間の節約につながる工夫
(短いプロンプト、キャッシュ活用、軽量モデルの利用 など)
書き方の目安
- 今日のゴール(この記事で読者ができるようになること)
- 手順(3〜5 ステップの最小構成)
- 結果(良かった点・注意点・想定外のこと)
- 素材(サンプルコード、テンプレート、参考リンクなど)
- 次の一歩(読者がすぐ試せる提案)
参考
- AI to Learn(AI2L)プレプリント
DOI: https://doi.org/10.51094/jxiv.1435