はじめに
Visual Studio 2026 から、ついに MCP(Model Context Protocol)が IDE に標準対応しました。
これ、地味ですが VS2026 最大級のアップデートです。(いや、地味ではないか…)
その背景には、Copilot の役割そのものが変化したことがあります。
- VS2022 までは Copilot は “補完・提案” がメイン
- VS2026 では Copilot が外部ツールを叩ける 「エージェント」 へ進化
そしてこのエージェント化を支えているのが MCP です。
- Copilot が MCP ツールを標準で扱える
[ビルトイン] nugetMCP サーバーが最初から付属- 有効化はチェックを入れるだけ
- MCP サーバーの実行は UI で可視化され、確認ダイアログも出る
つまり VS2026 は、
MCP を使って外部ツールにアクセスできる 初めての Visual Studio
になりました!!
今回は、まず最初の第一歩として
NuGet MCP サーバーを有効化し、MCP が動作している証拠を取る!
という超シンプルな手順をまとめてみました。
補足:Visual Studio 2022 でも MCP の API 自体は利用可能でしたが、Copilot からのツール実行・ツール選択 UI・[ビルトイン] MCP サーバーの統合が行われたのは Visual Studio 2026 が初めてです。 本記事では、この「IDE に統合された MCP」の動作を対象にしています。
前提条件
- Visual Studio 2026(Community / Professional / Enterprise いずれか)
- GitHub アカウント
- GitHub Copilot(個人 / Business どちらでもOK)
- .NET の基本的なプロジェクト作成が分かること
※ VS 2022以前のバージョン は業務用にそのまま残し、VS 2026 を個人用に別インストールする前提で書いています。
1. 公式サイトから Visual Studio ダウンロード
※個人利用なら Community で OK。
VS 2026 は Copilot 統合を前提としているので、標準インストールで Copilot が使える構成になっています。
VS 2022 と違って、VS 2026 は .NET 10 / C# 14 が最初からフル対応になっているので、今後 MCP サーバーを .NET 10 で作る時もそのまま使えます。
2. Visual Studio 2026 をインストールする
ダウンロードしたファイルをクリックしてインストールしていきます。
2-1. インストール方法の選択
インストーラーを起動すると、まずこんな画面になります。
(Visual Studioが既にインストールされている場合)
ここでは 「ワークロードとコンポーネントを手動で選択する」 を選びました。
- VS 2022 の業務用設定を 2026 に混ぜたくない
- 個人用としてクリーンな環境にしたい
という理由です。
2-2. ワークロードの選択
次にワークロード選択画面になります。
最低限、個人検証用ならとりあえず「.NET ディスクトップ開発」だけで十分です。
- ✅ .NET デスクトップ開発
- 右側の「インストールの詳細」で以下が有効になっていることを確認!
- IntelliCode
- GitHub Copilot
- そのほかは既定のままでOK
- 右側の「インストールの詳細」で以下が有効になっていることを確認!
その他のワークロード(ASP.NET、C++ など)は、後からいつでも追加できます。
3. 最初のコンソール プロジェクトを作成
VS 2026 が起動したらスタート画面が表示されます。
(もし表示されなかったらメニューから開いてください!)
ここから 「新しいプロジェクトの作成」 を選びます。
- テンプレートから 「コンソール アプリ(C#)」 を選択
- プロジェクト名は任意(なんでもいい)
- ターゲット フレームワークは既定のまま(.NET 10 など)
- 「作成」を押してプロジェクトを開く
もしかしたら、ここで Visual Studioアカウント連携になるかも! GitHubアカウントでサインしてもOKです。
4. GitHub Copilot にサインインしてチャットを開く
- メニューの [表示]→[GitHub Copilot]→[Chat] をクリック
- 右側に「GitHub Copilot チャット」ペインが開きます
- サインインを求められたら GitHub でログインして Copilot を有効化
- 試しに
こんにちはと送って返事がくれば OK
ここまでは通常の Copilot 利用と同じです。
5. NuGet MCP サーバーを有効化する
いよいよ MCP の出番です。
Copilot Chat から 「ツール(Tools)」 を開きます。
以下の画像の赤丸です!
-
Copilot チャットの入力欄付近にある レンチアイコン(🔧) をクリック
-
「ツールの選択」ダイアログが開きます
-
一覧の中から
[ビルトイン] nugetという項目を探します -
その左のチェックボックスと、配下の 5 つのツールをすべてオンにします
get-latest-package-versionget-nuget-solverget-nuget-solver-latest-versionsget-package-readmeupdate-package-to-version
最終的に 「nuget 5/5」 のように表示されていれば、
この VS 2026 環境で NuGet MCP サーバーが有効化されています。
6. 本当に MCP を使っているか?
MCP が動いているかどうかを判断するには、 「通常の Copilot の回答」と「MCP ツール経由の回答」 を比較するのが最も分かりやすいです。
6-1. プロジェクト側の状態
- まだ NuGet パッケージを一切追加していないプロジェクト
-
.csproj内に<PackageReference>がひとつもない状態 - つまり、ローカルのプロジェクト情報だけでは「Newtonsoft.Json のバージョン」は分からない
こうしておくことで、Copilot が外部の NuGet MCP を本当に呼んでいるかが分かりやすくなります。
6-2. 実際に投げたプロンプト
Copilot チャットに次のように入力します。
Newtonsoft.Json の最新の安定版バージョンを、nuget ツールを使って調べて教えて。
このプロジェクトにはまだ参照を追加していません。
6-3. MCP を使わない場合
まずは、通常のCopilotのみの場合、次のようなダイアログが表示されました。
Copilot が nuget.org にアクセスできず、外部問い合わせを行わない通常モードで動作、最新バージョンを取得せずにローカルで確認する方法(nuget.exe/dotnet CLI/Visual Studio GUI)を案内している状態を示しています。
6-4. MCP を使う場合
次に、NuGet MCP サーバー経由の場合の以下のようになります。
Copilot が NuGet の MCP ツール(get-latest-package-version)を実行しようとしていることを、ユーザーに確認しているダイアログです。
つまり、「今から MCP サーバー(nuget)にアクセスして Newtonsoft.Json の最新バージョン情報を取得します。実行してもよいですか?」 という “外部ツール実行の許可確認” を行っています。
もちろんOKなので、「確認」を押すと、nuget.org から取得した最新版のバージョンが返ってきます。
MCP 経由で NuGet.org から取得した
Newtonsoft.Json の最新版(13.0.4) が Copilot から返ってきます。
画像のように、Copilot のメッセージには次が表示されます。
-
Ran get-latest-package-version(MCP ツールが実行された) - 取得した最新の安定版バージョン(例:13.0.4)
- プロジェクトへ追加するための
dotnet addコマンド -
.csprojに直接追加する場合の<PackageReference>スニペット - インストール後に確認するための
dotnet list packageコマンド
ここまで Copilot が出力している内容は すべて MCP ツールが取得したデータに基づいたもの で、ローカル推測ではなく “nuget.org の実データ” を元に回答している点が特徴です。
つまり
・・という経路でツール呼び出しが行われていることが、この画面だけで確認できます。
補足:MCP サーバーは「外部サービス」ではなく、開発者の PC 上で動作するローカルプロセスです。
Copilot → MCPサーバー(ローカル) → NuGet.org という流れで情報を取得するため、 実行前に「外部ツール実行の確認ダイアログ」が表示されます。
7. おまけ - ほかに試せるプロンプト例
MCP がしっかり動いていると分かったら、次のような質問も試せます。
Serilog の最新版と、その依存関係を nuget ツールで調べて教えて。JSON 関連の人気 NuGet パッケージを 3 つ、nuget から候補を出して。- (パッケージを追加した後で)
このプロジェクトで使っている NuGet パッケージとバージョンを一覧で教えて。
特に、プロジェクトにまだ入っていないパッケージについて質問すると、ローカル情報だけでは答えられないため、必ず MCP が動くので確認しやすいです。
まとめ
-
Visual Studio 2026 では、GitHub Copilot から NuGet MCP サーバー が組み込みで利用できる
-
「ツールの選択」ダイアログで
[ビルトイン] nugetを有効化するだけでよい -
Newtonsoft.Json の最新バージョンを nuget ツールで調べてといった質問をすると、Running get-latest-package-version-
This tool is from 'nuget' (MCP Server).
といったダイアログが表示され、MCP 経由でツールが実行されていることが確認できる
まずは組み込みの NuGet MCP で動作をつかんでおくと、今後 自作 MCP サーバー を C# や .NET で作るときのイメージがかなり掴みやすくなります。
次は、社内 API やデータベースにアクセスする 自分専用 MCP サーバーを作って、同じように Copilot から呼べるようにしていきたいところです。
注意:この記事の内容は 2025年11月時点の Visual Studio 2026 の仕様を基にしています。 MCP ツールの構成や NuGet MCP サーバーのツール一覧は、今後のアップデートで変更される可能性があります。












