はじめに
Microsoft Fabricを使用中に、ワークスペース内のすべてのアイテム(ノートブック、ウェアハウスなど)が突然参照できなくなるトラブルに遭遇したのでその時の状況と対策方法についてまとめました。
このトラブルは、Fabric容量の付け替えや停止・再開を頻繁に行った際に発生する可能性があります。
本記事では、この問題の発生経緯から解決方法、そして予防策まで時系列で解説します。
同様の問題でお困りの方の参考になれば幸いです。
解決方法だけ知りたい方はこちら
起きた事象(特定のワークスペース内のすべてアイテムが見れなくなった)
問題の概要
ある日、ワークスペースA内のアイテムがすべて参照できなくなってしまいました。
具体的には以下のような状況が発生:
ノートブックを開いたときの画面
ウェアハウスを開いたときの画面
初期調査結果-Fabric容量の割り当ての確認-
このワークスペースAには Fabric容量①(F2) を割り当てていました。スロットリングも起きていませんでした。
念のため、以下の確認を行いました:
- ワークスペースAのワークスペース設定から容量①が割り当てられていることを再確認
- Azureポータルからも容量①が起動していることを確認
設定上は問題ないように見えるのに、なぜかアイテムが参照できない状態でした。
トラブルが起こる前の状況-容量の付け替え・停止を行っていた-
ワークスペースAについては以下のような運用をしていました
- 通常時は容量①で運用
- 容量①がスロットリング → 容量②(アイテム参照用の容量)を起動し、ワークスペースAにアタッチ
- 容量①スロットリングが解消したら、容量②を停止し、再び容量①に戻す
- このサイクルを何度も繰り返していた
このような運用を続けていた中で、今回の「ワークスペースAのアイテムがすべて参照できなくなる」というトラブルが発生しました。
現状の原因
ワークスペース設定からの容量割り当て
トラブル発生後、まずはワークスペース側の設定を確認しました。
これまで、容量の付け替えは「ワークスペース設定」の「ライセンス情報」から行っていました。
この画面(再掲)では、容量①が正常にワークスペースAに割り当てられているように見えました。
Fabric管理ポータルからの容量割り当て
Fabric容量はFabric管理ポータルからも割り当て可能です。
Fabric管理ポータルから容量の割り当て状況を確認すると、
以下画像のように、容量①の管理画面にアクセスすると、ワークスペース設定では割り当てられているはずなのに、管理ポータル側では割り当てられていないことが分かりました。
原因の推測
この状況から、以下のような原因が考えられます:
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容量移行の反映が不完全
- 容量の付け替えや停止・再開を頻繁に行ったことで、容量移行の反映が正常に完了していなかった
-
容量移行完了前の変更
- Fabric容量への移行が完全に完了する前に、容量を一時停止するなどの変更を行ったことで、移行プロセスが中断された可能性
解決方法
解決の流れ
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管理ポータルからの操作が不可能
- 管理ポータルの画面からは容量①をワークスペースAにアタッチすることができませんでした
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意外な解決策
- 以前割り当てていた参照用の容量②(この時点では停止状態)を再開したところ、なぜか管理ポータルからのワークスペースAへの容量①のアタッチが可能になりました
-
ワークスペースAのアイテムが見れるようになった
- ワークスペースAのアイテムを開いてみると無事再び参照できるようになりました
なぜこの方法で解決したのか(容量移行の反映がうまくいっていなかった)
明確な原因や事象が発生したタイミングは特定できませんでしたが、ワークスペース側の問題ではなく、容量移行プロセスの問題でした。
容量の付け替えや停止・再開を頻繁に行ったことで、容量移行の反映がうまくいっていなかったことが根本原因と考えられます。
特に、Fabric容量への移行が完全に完了する前に、容量を一時停止するなどの変更を行ったことが、移行プロセスを中断させた可能性が高いです。
おわりに(防止方法)
今回のトラブルの根本原因は、容量移行が完全に完了する前に旧容量を停止したことでした。
コスト節約のために移行後すぐに旧容量を停止したくなる気持ちは理解できますが、容量移行には内部的な処理時間が必要です。
移行直後は少し待って移行が完全に完了したことを確認してから停止することを推奨します。