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ロッカーの「荷物回収指示」が誤送信され続けていた理由 〜配達員の負担から読み解いた“ステータス不整合バグ”の発見〜

Last updated at Posted at 2025-11-26

この記事は、特定企業に依存しない一般的な「ロッカー運用 × 配送システム × ステータス同期」の事例として再構成しています。実在企業を特定できる情報は一切含まれていません。

はじめに

あるEC系企業のロッカー運用チームに所属していた頃の話です。
配達員アプリに 「荷物回収指示」 が頻繁に届くという問い合わせが多発しました。

しかし、配達員さんから返ってくる言葉はほぼ同じでした。

「ロッカーには荷物が無いのに、回収指示が来るんです…」

チームの一部では

「荷物がなければ無視してください」

という処理で片付けられていました。

しかしこれは危険です。
“誤通知の放置=バグ検知システムの死” を意味します。

この記事では、

  • なぜ誤った回収指示が送られていたのか
  • どうやって不整合を見抜いたのか
  • なぜ現場では気づけなかったのか

を、技術的な視点から解説します。


1. 発端:配達員からの問い合わせ

問い合わせ内容はどれも同じでした。

  • 「ロッカーに荷物が無いのに、回収指示が来る」
  • 「空っぽなのに何度も回収通知が届く」
  • 「行っても意味がないので困る」

しかしサポートチームでは深刻に扱われず、

  • 「荷物がないなら無視してください」

という“運用対応”で終わっていました。

僕は直感的に「おかしい」と感じました。


2. ステータス履歴を追跡すると、不自然な挙動が発覚

ロッカー・配送管理・顧客アプリの
ステータス履歴を丁寧に確認 していくと、明らかな不整合を発見しました。

🟥 実際に多発していた“不整合”の例

ログ項目 不自然な状態
荷物ステータス 「顧客荷物受け取り済み」
操作したユーザー 「配達員」
ロッカー在庫状況 荷物は存在しない(空)
その後の挙動 回収指示が繰り返し送信

決定的だったのは、

顧客が受け取るはずの荷物を、なぜか“配達員が受け取った”ことになっている

という矛盾です。

これは明確に
複数システム間の状態同期が破綻しているサイン でした。

3. 推定された原因:

「荷物が消えた理由」をどのシステムも理解できていなかった

ステータス履歴を辿っていくと、こういう状況が見えてきました。

  1. 本来は顧客が取り出すべき荷物
  2. しかし実際には他の誰かが取り出していた
  3. しかし操作が正しく記録されていない
  4. 各システムが 別の“現実” を見始める

▼ 図:3つのシステムが“違う現実”を見ていた

ロッカー:荷物が無い
配送管理:荷物はロッカーにある
顧客アプリ:受け取り操作なし(未受取)

この三者の“認識のズレ”により、配送管理側は

「荷物ある → 受け取ってない → 回収指示!」

と判断し続けてしまっていました。


4. 回収指示が誤送信され続けた理由

ポイントはこれです:

ステータス不整合を“解消するトリガー”がどこにも存在しなかった

本来は、

  • 顧客が受け取った
  • 配達員が改修した
  • 誤操作があった

などの正しい “理由付け” が必要です。

しかし各システムがそれを理解できず、

  • ロッカー → 荷物ない
  • 顧客アプリ → 未受取
  • 配送管理 → ロッカーにあるはず

という矛盾が永続化してしまいました。

その結果、配送管理は

「受け取られていないのに荷物がある。じゃあ配達員に回収させよう」

と自動判断し続けたのです。


5. 真に危険だったのは「現場が報告しなくなること」

配達員さんはとにかく忙しい。

同じ誤通知が何度も続くと、

「また誤通知だろうし、報告しても意味がない」

と、誤通知を無視するようになります。

配達員さんには「誤通知でも必ず現地へ行く」という負荷がある

誤通知は単なるシステム問題ではなく、
現場の心理負担を確実に蓄積する“見えない負債” です。

以下は、誤通知が現場へどのような影響を与えるかを図示したものです。

こうした負荷が積み重なると、

  • 誤通知に慣れてしまう
  • 報告しても改善されないと思い込む
  • 問題の早期発見が不可能になる

という 「静かな運用崩壊」 が始まります。


6. 最後は「正しい部署に投げた」だけで大ごとに

チーム内で取り合ってもらえなかったため、
僕は自分で担当部署を探し、慎重にチケットを起票しました。

「もし担当部署が違っていたら申し訳ありません。
ただ、ロッカー・顧客アプリ・配送システムの整合性に
深刻な問題がある可能性があります。」

すると数日後——

複数部署が即座に反応し、大規模調査がスタート。

他部署でも「なんか変」と思われていたものの、
全員が“点”でしか状況を捉えられていなかった のだと思います。

“点”がつながると、一気に全体像が見えました。


7. まとめ:状態不整合は見逃してはいけない

今回の経験から得た教訓は非常にシンプルです。

✔ 「問い合わせ」は全部、何かのバグの兆候
✔ ステータス不整合は早期に潰さないと運用崩壊
✔ 複数システムがある以上、“現実のズレ”は必ず起きる
✔ だから「順序 × 条件 × 人の動作」を総合して観察せよ

あなたの現場にも、
誰も気づいていない “静かな不整合” が潜んでいるかもしれません。

小さくていいから、気づいたら誰かに相談してみる。
それだけで、大事故を防げることがあります。

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