はじめに
Web サイト上で設定されたコンバージョン(CV)に寄与しているページコンテンツは何なのか、また寄与していないページコンテンツをいかに改善していくかを検討する手法のひとつとしてコンテンツ貢献度分析があります。
今回は Adobe Analytics を活用してコンテンツ貢献度分析を行う方法について解説していきたいと思います。
本記事は投稿時点の情報に基づいて掲載しています。とくに Adobe Analytics に関する情報に関しては、その後の機能アップデート等によっては内容が変更となっている場合がありますのでご了承ください。
コンテンツ貢献度分析とは
コンテンツを評価する考え方として、CV に至るまでの間に特定のコンテンツを経由している回数が多いほど良いコンテンツ(CV に押し上げる力がある)と定義して分析を行います。
例えば、3 人の CV をした訪問者がいたとして、それぞれの人が CV に至るまでに通ったコンテンツを見ると、Contents A が 3 人、Contents B が 1 人、Contents C が 2 人だった場合、Contents A は 3 人全員が通っているので CV への寄与度が高いと言えます。
※「Form」などの CV に到達するまでに必ず通るようなページは CV 貢献度が高くなりますが、コンテンツ貢献度分析の観点からは見ても仕方のないページ(貢献度が高くなって当たり前のページ)ですので、分析対象からは除外します。
Adobe Analytics で見るコンテンツ貢献度分析アウトプットと見方
Adobe Analytics では散布図(バブルチャート)ビジュアライゼーションを活用し、ポートフォリオアプローチを行うことができます。
縦軸にコンバーション率(CVR)、横軸にトラフィック、バブルの大きさに CV 数を取ることでコンテンツを 4 象限に分けて評価することができます。
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花形
4 象限の右上が CV 貢献度も高く、トラフィックも多い、つまり CV への寄与度が高いページ群であると言えます。ここに入っていないページは改善を行う必要があるかもしれません。 -
金のなる木
4 象限の左上は貢献度は高いものの、トラフィックが少ないページ群です。ここに位置しているページ群はトラフィックが増えればCV への寄与度が高いページへ変化する可能性があるため、現状課題の分析やトラフィックを増加させるための仮説、施策立案・実行を行います。 -
問題児
4 象限の左下はトラフィックが多いものの、貢献度が低いページ群です。ここに位置しているページ群はCV 数が増加するためのページ内改善ができないかや、金のなる木ページへ誘導ができないかなどを検討する余地があります。 -
負け犬
4 象限の左下は貢献度も低く、トラフィックも少ないページ群です。ここに位置しているページを改善するには大きな労力を伴う可能性が高いため、金のなる木や問題児のページ群を優先的に改善するのが良いでしょう。
作成手順
Adobe Analytics のワークスペースを使用して以下作成を行います。
- フリーフォームテーブル(数表データ)を作成
- 散布図(バブルチャート)ビジュアライゼーションを作成
1. フリーフォームテーブル(数表データ)を作成
コンテンツ貢献度分析を行う場合、event 指標(CV)や計算指標(CVR)にアトリビューションモデルのパーティシペーションを適応する必要があります。本エントリーでは「CV が発生した訪問におけるページコンテンツの貢献度を分析する」という想定で設定手順についてご説明いたします。
今回使用する「パーティシペーション」など、アトリビューションモデルの詳細については、別のエントリーで詳しく解説していますので必要に応じてご参照ください。
Adobe AnalyticsのAttribution IQってどう使う?
まず、フリーフォームテーブルの表側に分析したい軸のディメンションを配置します。ディメンションはページタイトルなどコンテンツを判別できるものや階層情報(サイトセクションなど)を使用すると良いでしょう。もしなければページディメンションでも分析可能です。
続いて、表頭に指標を配置していきますが、CV(event 指標)とCVR(計算指標)にアトリビューションモデルを適用する手順を解説します。
CV(event 指標)にパーティシペーションを適応する手順
フリーフォームテーブルの右上に今回分析したい CV の event 変数を配置し、指標の上にマウスオーバーすると表示される歯車マークをクリック、表示されるメニュー下部の「デフォルト以外のアトリビューションモデルを使用」にチェックを入れます。
次に、ポップアップ画面が表示されますので、以下項目を選択し [適用] をクリックします。
CVR(計算指標)にパーティシペーションを適応する手順
CVR を計算指標で作成する際に CV(event 変数)にパーティシペーションを適応させることができます。
event 変数の上にマウスオーバーすると表示される歯車マークをクリック、表示されるメニューの「デフォルト以外のアトリビューションモデルを使用」にチェックを入れます。
次に、ポップアップ画面が表示されますので、以下項目を選択し [適用] をクリックします。
2. 散布図(バブルチャート)ビジュアライゼーションを作成
散布図ビジュアライゼーションを使用して分析する場合、指標は左から① CVR(パーティシペーション)、②トラフィック指標(訪問回数またはユニーク訪問者)、③ CV(パーティシペーション)の順番で並べます。また、②トラフィック指標(訪問回数またはユニーク訪問者)が降順になるようにソートします。
次に、画面左側の縦に 3 つ並んだアイコンのうち真ん中(ビジュアライゼーション)をクリックし、「散布図」をパネル上にドラッグ & ドロップします。
先に作成したフリーフォームテーブルのディメンション・指標のデータを使用し、自動的に散布図(バブルチャート)が作成されます。また、散布図上にマウスオーバーすると表示される右上の歯車マークをクリックすると、ビジュアライゼーションの表示内容を細かく設定することもできます。ご自身で分析しやすいよう設定しましょう。
今回ご紹介した散布図(バブルチャート)以外にも Adobe Analytics では様々なビジュアライゼーションをご用意しています。別のエントリーで解説していますので、ご興味のある方はぜひそちらもご覧ください。
正しくデータを可視化するために知っておくべきこと
おわりに
今回は Adobe Analytics でコンテンツ貢献度分析をする方法をご紹介いたしました。
Adobe Analytics ではノーコードで高度な分析を簡単に行える環境が揃っています。使い方や考え方さえマスターしてしまえば即座にデータを分析していただくことが可能ですので、今後もみなさまのデジタルマーケティング活動の参考にしていただけそうな記事を投稿していきたいと考えています。
また、私が所属するアドビのカスタマーサクセス部門では技術のエキスパートを随時募集しています。私たちの部門や職種のご紹介をしていますので、以下のページもぜひご覧ください。