はじめに
Adobe Analyticsのワークスペースの機能では、直感的に、簡単に分析をすることができ、マーケティングによる貢献度を簡単に評価することができます。
単純にディメンションと指標をかけあわせてレポートするだけでも便利なのですが、場合によっては評価方法を変えて効果を見てみたいといったこともあるかもしれません。
例えば、訪問者が複数のチャネルで複数回サイトに訪問し、最終的にコンバージョンしたとします。
この時、コンバージョンに貢献したチャネルは、
最初に訪問したチャネルでしょうか?
それとも最後に訪問したチャネルでしょうか?
それとも様々なチャネルを経由しているので均等に影響があったとみた方が良いでしょうか?
コンテキストに応じて効果の配分を変えて効果を見てみたい・・・
そんな期待に応えてくれるのがAttribution IQです。
ここではAttribution IQの使い方を紹介したいと思います。
Attribution IQって聞いたことあるけれども、実際にどう使ったら良いのか活用イメージがわかない・・・といった方のヒントにもなると幸いです。
アトリビューションとは?
アトリビューションとは、コンバージョンや売上に対する貢献度をマーケティングの接点に割り当て、最も効果的に機能している接点を特定し、それに応じてリソースを配分することです。
Adobe Analyticsは、効果を配分して分析するためのアトリビューションモデルが予め用意されています。
ラストタッチ、ファーストタッチ、線形・・・など様々なモデルがあります。
アトリビューションのモデルと定義詳細についてもっと詳細を知りたい方は、製品ヘルプを参照ください。
例えば売上に貢献したページタイプ(ページの種類)を評価したい時。
デフォルトはラストタッチなので、Order Confirmationに100%割り当てられますが、
ファーストタッチモデルを使うことによって、認知(Awareness)に貢献したページの可視化が可能になります。
上記表の場合、やはりHomeがファーストタッチとしては貢献が高いですが、Departmentも貢献度が高いことがわかります。
線形では、コンバージョンが発生する前に通った全てのページタイプに均等に割り当てられるので、比較的よく通るページタイプがわかります。(導線としてカートを通るのでこの例ではカートに寄ってしまいますが・・・)
タイムディケイモデルは、貢献イベントに一番近いものから順に、貢献度が割り当てられます。
上記の例では分かり辛くなってしまいましたが、マーケティングチャネルなど、複数のチャネルにまたがってランディングする場合、コンバージョンからさかのぼって近しいもの順に貢献度が割り当てられるので、コンバージョンの直近で影響を与えたマーケティングチャネルはどれ?といった具合に分析したい時におすすめのモデルです。
また、アトリビューションとはどんなもの?にAdobe AnalyticsプロダクトマーケティングがQA形式で提供している記事もありますので、こちらもぜひご覧ください。
各モデルの特徴と利用事例
よく使うアトリビューションのモデルと、使い方事例を簡単に紹介します!
モデル | 特徴 | 利用事例 |
---|---|---|
ラストタッチ | コンバージョンの直前のタッチポイントに100%配分されます | 検索キーワードなど、コンバージョンにつながる行動を分析する際に効果的です |
ファーストタッチ | アトリビューションの適用期間(ルックバックウィンドウ)の一番最初のタッチポイントに100%配分されます | 流入元として効果のあるチャネル(マーケティングチャネル)を分析したい場合に効果的です |
線形 | 全てのタッチポイントに按分します。重複するタッチポイントがあった場合は、重複する分だけ加算されます | コンバージョンまでに通った軌跡(ページ)を把握したいときなど貢献度の高いページを分析する際に効果的です |
パーティシペーション | 全てのタッチポイントに100%配分されます。重複するタッチポイントがあった場合、重複分は除いて加算されることはありません | 検索キーワードやページ表示回数など、コンバージョンにつながる行動を分析する際に効果的です。売上高など金額ベースの指標でパーティシペーションを利用すると、実際の金額から積算されてしまうので金額系の指標に利用することはあまりお勧めはしません |
U字形 | 最初と最後のタッチポイントに、それぞれ40%ずつ配分され、それ以外の中間のタッチポイントに残りの20%を均等に配分します | 商品やサービスのページなど、目的を達成するために情報収集をしコンバージョンに至るようなケースで、各タッチポイントのインパクトが同程度で複数ある場合の評価に効果的です(線形も各タッチポイントに配分しますが、均等に配分されるので、最初と最後に特に価値を高めて評価したい場合はU字型が有効です) |
タイムディケイ | コンバージョンに近いタッチポイントに多く配分を行い、最後→最初のタッチポイントに向けて指数関数的に減らして配分します | 新商品/サービスの開始日が決まっており、それに向けて認知度を高める時に打った施策を評価したい時などに有効です(新しいものは比較的覚えているけれども古い情報は忘れてしまうというような特性を考慮したい場合) |
実際に使ってみよう
Attribution IQは簡単に設定することができます。
指標のヘッダにある歯車アイコンをクリックし、「デフォルト以外のアトリビューションモデルを使用」にチェックを入れます。
「モデル」と「ルックバックウィンドウ」を設定し、適用することで、簡単に配分モデルを変えることができます。
※「ルックバックウィンドウ」とは、どのくらいの過去まで遡るか指定するオプションです。
他にもこんな使い方ができます
アトリビューションをもっと活用していただくための、便利な使い方をいくつか紹介したいと思います。
1. アトリビューションパネル
複数のアトリビューションモデルを一度に作成、比較ができます。
パネル > アトリビューションをドラッグ&ドロップ
「成功指標」と「ディメンション」を指定
「含まれるモデル」では、比較したいモデルを一度に複数選択できます!!
最後に「作成」をクリックするだけで、モデル別に比較したレポートが簡単に作成できます。
とても簡単なので、レポートテンプレートとして利用しても良いですね!
2.計算指標
アトリビューションモデルは計算指標でも使えます。
よく使う指標は、あらかじめ複数のモデルを適用した指標を作っておくのも良いでしょう。
3. 分類(ブレークダウン)
例えばマーケティングチャネルをファーストタッチで表示します。Eメールがファーストタッチとして効果があるようです。
次に、Emailにトラッキングコードをかけ合わせてみます。効果のあったメールがわかります。
デフォルトではトラッキングコードにもファーストタッチが使われていますが、トラッキングコードはラストタッチのものを見てみたいと思います。
トラッキングコードの列ヘッダにマウスオーバーすると、(編集)リンクが表示されるのでクリックします。
ラストタッチモデルを選択してみましょう。
マーケティングチャネルはファーストタッチ、ファーストタッチとして貢献度の高いEmailをトラッキングコードで分類し、さらにトラッキングコードはラストタッチといった、アトリビューションモデルの掛け合わせができます。
4. セグメントやディメンションのクロス集計
アトリビューションモデルを使用した指標に対して、セグメントやディメンションを利用することもできます。
初回訪問者とリターン訪問者では流入経路が異なるのか?
リターン顧客は会員になっているので、メール経由が有効なチャネルだけれども初回は広告流入が効果的かもしれない。
また、デバイス別の違いもあるのだろうか?
とセグメント別に最適な手段を見つけることができるかもしれません。
セグメントとアトリビューションモデルを掛け合わせて分析できるのもAdobe Analyticsの大きなメリットです。
マーケティングチャネルと一緒に使う場合のベストプラクティス
マーケティングチャネルは古くからある機能なのですが、Attribution IQは後から追加されたとても便利な機能です。
それゆえ、Attribution IQのメリットを最大限活用するために、いくつかのベストプラクティスを導入していただきたいと思います。
製品ページで詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
また、マーケティングチャネルを使った流入分析について別の記事で紹介しているので、こちらもぜひ。
おわりに
Attribution IQって聞いたことあるけれども、実際にどう活用したら良いのか分からなかった・・・という方に、事例を交えながらAttribution IQの活用イメージをもっていただけたら幸いです。
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