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Azureのコストに関するよくある8つの質問

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Last updated at Posted at 2026-09-30

Azureのコストに関するよくある8つの質問:正式名称・略称・日本語説明を併記した手書き風ガイド

出典: 予約によるコスト削減 / Savings Plan の割引 / Windows Server の Azure Hybrid Benefit / Well-Architected Framework のコスト整理 / Azure Policy の概要 / FinOps toolkit

目次

お客様・パートナー様から実際によく頂く質問と、まず見てほしいサービス・機能の早見表です。気になる質問からクリックしてみてください。

# よく頂く質問 まず見るもの
1 Azure の見積もり方がわからない Azure 料金計算ツール(Pricing Calculator)、見積もりの考え方
2 利用部門の自由度を保ちつつ、最低限のルールをセットしたい タグ、Azure Policy、EA の契約側の設定
3 コストを抑える方法を知りたい Azure Reservations(予約)、Azure savings plans(節約プラン)、Azure Hybrid Benefit
4 古い OS の継続利用と、延長セキュリティ更新を考えたい Extended Security Updates(ESU)
5 サードパーティ製品を使いたい Microsoft Marketplace、プライベート Marketplace
6 いまの利用額を確認し、予算を設定したい Microsoft Cost Management(コスト分析・予算・異常検出)
7 無駄やコスト削減の余地を確認したい Azure Advisor
8 FinOps ってなに? FinOps をはじめたい Microsoft Learn のトレーニング、FinOps on Azure、FinOps アセスメント、FinOps toolkit

この記事では契約形態の比較や個別の契約割引などは扱いません。また、ESU は更改・移行までの期限付き対策であり、古い OS を無期限に使い続けることを推奨するものではありませんのでご注意ください。

情報確認日: 2026年9月25日。公開情報に基づく解説と、2026年9月に撮影した料金計算ツール・予約の実画面を掲載しています。その他の画面・図は、公式資料や Microsoft の説明資料からの引用、または公式資料に基づく説明です。購入・適用・交換・解約の実操作は実施していません。対象・価格・提供条件は、利用時にも公式資料と契約内容で確認してください。

1. Azure の見積もり方がわからない

Microsoft は、いつでも・誰でも使える Azure Pricing Calculator(Azure 料金計算ツール) という Web サイトを公開しています。

ツールは無料で利用できます。「今の構成ならいくらか」「RI や AHB を適用するとどう変わるか」を比較するときに使います。

作成した見積もりは保存・共有でき、CSV へのエクスポートも可能です。エクスポートした表をそのまま社内稟議の資料に使う、といった使い方ができます。

1-1. ツールを触る前に押さえるポイント

Azure の見積もりは、慣れていないと難しく感じるかもしれません。「Microsoft Azure の見積もりの考え方」というページに分かりやすく整理されているので、初めての方は先に目を通しておくと良いと思います。このページには、次のようなことが書かれています。

ポイント 意味すること
サービスによって計算方法が違う スペック別×使用時間(VM)、性能・容量別×使用時間(ストレージ)、機能別×ユーザー数 など
1つの機能が複数サービスの組み合わせになる 仮想マシン=コンピュート+ディスク+IP アドレス など
1つのサービス内に複数の課金要素がある Azure Backup=バックアップ対象数の月額+ストレージ容量
リージョンによって単価が異なる 同じ構成でも東日本・西日本・海外で金額が変わる
すべてのサービスが有償とは限らない 無償のサービス・機能もある(→ Azureの無料サービス)
明示的に作らなくても課金されるものがある 送信データ転送、ストレージのトランザクション など
プレビュー版と一般提供版で価格が違うことがある プレビュー価格のまま本番想定の試算をしない

稼働時間の扱いも実務的です。VPN Gateway や ExpressRoute Gateway、パブリック IP のように停められないリソースは、1か月=730時間として積むのが一般的です。逆に、停止できる開発環境の VM などは、実際に動かす時間で計算します。

ネットワークは、インターネットから Azure への受信、外部への送信、リージョン間転送などで料金条件が異なります。送信量だけでなく、VNet ピアリングやゲートウェイ等の費用も通信経路に沿って確認します。

同ページには、サンプル アーキテクチャをもとにした見積もり例もあります。図中の番号ごとに、どのサービスをどう見積もるかが解説されています。

可用性を考慮した IaaS 構成のサンプルアーキテクチャ。Hub VNet の ExpressRoute Gateway・VPN Gateway・Azure Firewall と、Spoke VNet の AP・DB サブネット、Azure Backup に番号が振られている
出典: 政府・公共機関向け Microsoft Azure「Microsoft Azure の見積もりの考え方」(同ページ掲載の図を引用)。教育目的の引用です。最新の内容は元ページをご確認ください。

この例では、VM 本体(1A)だけでなく、ディスク(1B)、Azure Backup(2)、Load Balancer(3)、VNet ピアリング(4)、ExpressRoute とゲートウェイ(5A・5B)、VPN Gateway(6)、帯域幅(7)、Azure Firewall とパブリック IP(8A・8B)がそれぞれ課金対象です。「VM 何台分」だけでは見積もりにならないことが、図で見ると分かりやすくなります。

出典: 政府・公共機関向け Microsoft Azure「Microsoft Azure の見積もりの考え方」。同ページは仮想マシン・管理ディスク・Azure Backup・Load Balancer・VNet ピアリング・ExpressRoute・VPN Gateway・帯域幅・Azure Firewall・パブリック IP の見積もり例を画面付きで紹介しています。

1-2. 料金計算ツールを使う

料金計算ツールの割引のオプション。従量課金・節約プラン・予約と Windows ライセンスの選択肢

Azure 料金計算ツールの実際の画面です。よく使われる仮想マシン(Virtual Machine/VM)を例にしています。東日本・Windows・D2ds v6・1台・730時間・JPY の公開価格例です。ディスクは追加していません。節約プラン・予約の割引率は、選んだサイズ・リージョン・撮影時点の価格によって変わります。

  1. 製品一覧で Virtual Machines を見積もりに追加します。
  2. リージョン、OS、VM サイズ、台数、利用時間を選びます。
  3. 割引のオプションで、従量課金、Savings Plan、予約を比較します。
  4. Windows のライセンス込み料金と AHB の違いを確認します。
  5. ディスクや通信など、構成全体に必要な費用も追加します。

実画面で VM の追加、東日本・Windows・JPY の選択と、コンピュート/OS の料金表示を確認しました。見積もりは請求額の保証ではありません。旧世代のサイズでは予約が選択できないと表示されることもあります。対象はサイズ・リージョンごとに確認してください。

比較するときは同じ構成・稼働時間・期間で比べます。 730時間は見積もり上の入力例であり、実際のすべての月が730時間という意味ではありません。表示されるのは参考価格で、最終的な購入価格は契約やリセラーによって決まります。

2. 利用部門の自由度を保ちつつ、最低限のルールをセットしたい

まずは、タグ付けのルールを決めて、Azure Policy でルールを守らせるところから始めましょう。すべてを中央管理者の個別承認にするのではなく、共通で守ることと利用部門が判断できることを分けます。

タグで「どの部門・システムがいくら使っているか」を見えるようにし、Policy で「タグの付け忘れ」と「意図しない高額利用」を防ぐ、という組み合わせです。どちらも割引を購入する仕組みではありません。

タグは無料で使える Azure の便利な機能の1つです。

2-1. まずタグ付け: どの部門・システムでいくら使っているかを見えるようにする

最低限のルールとして最初に決めたいのは、リソースへのタグ付けです。

Azure の費用は、標準でもサブスクリプション、リソース グループ、サービス、リソースといった単位で確認できます。ただし、それとは違う切り口で見たいときがあります。 たとえば「この部門の費用」「このシステムの費用」「本番環境だけの費用」は、リソース グループをまたぐことも、1つのリソース グループの中に混在することもあります。

リソースに 部門 や システム名 といったタグを付けておくと、Microsoft Cost Management でタグ別に費用を集計でき、既存の入れ物の分け方に縛られずに、見たい軸で費用を切り出せます(→ 6. いまの利用額を確認し、予算を設定したい)。

ポイント 内容
何ができる 部門・システム・環境(本番/検証)・コストセンター等の単位で費用を集計できる
費用 タグ自体は無料。1つのリソースに最大50個まで付けられる
決めること タグのキー名(例: Department / System / Env)と値の書き方を先に統一する
注意 タグを付けた後の利用分から集計できる。過去にさかのぼって付け直すことはできない。また、すべてのリソースの種類がタグに対応しているわけではない

タグ付けは、Azure Well-Architected Framework(WAF)のコスト最適化で示されているAzureにおけるベスト プラクティスの1つです。WAF は信頼性・セキュリティ・コスト最適化・オペレーショナル エクセレンス・パフォーマンス効率の5つの柱からAzure環境を評価する指針で、公開ドキュメントは無料で参照できます(Web Application Firewall の略ではありません)。

コスト最適化の CO:03「コスト データの収集とレビュー」では、部門・プロジェクトなどの単位でコストを分類し、関係者へ正しく配賦することが推奨されています。タグはその分類を Azure 上で実現する手段です。

そのほかの観点は、公式のコスト最適化の設計レビュー チェックリストをそのままレビュー項目として使えます。安くすることで信頼性や性能が犠牲になるケースは、コスト最適化のトレードオフに整理されています。

2-2. Azure Policy: タグの付け忘れと、意図しない高額利用を防ぐ

Azure Policyは、リソースの設定をポリシーで評価するサービスです。ポリシーは自分で書かなくても、組み込み定義を割り当てるだけで始められます。

Azure Policy も無料で使える Azure の便利な機能の1つです。

Azure Policy 自体の説明や、組み込み定義を使った始め方は、以前まとめた次の記事を参照してください。

この記事では、コスト面で最初に効く次の2つを紹介します。

タグの付け忘れを防ぐ

タグ付けをルールにしても、運用に任せると必ず付け忘れが出ます。Policy を使えば、タグがないリソースは作らせない/自動でタグを付けるという形で強制できます。

組み込み定義の例 できること
Require a tag on resources(リソースにタグが必要) 指定したタグがないリソースの作成を拒否する
Inherit a tag from the resource group(リソース グループからタグを継承) リソース グループのタグを、配下のリソースへ自動で付与する
Add or replace a tag on resources(リソースにタグを追加・置換) 既存リソースを含めて、決めたタグを付け直す

意図せず高額なサービスを使ってしまうのを防ぐ

クラウドは、画面から数クリックで高額なリソースを作れてしまいます。使えるものをあらかじめ絞っておくと、請求を見て驚く事故を減らせます。

組み込み定義の例 できること
Allowed virtual machine size SKUs(許可される VM サイズ) 利用できる VM サイズを限定する。GPU や大容量メモリなど高額なサイズを外しておく
Not allowed resource types(許可されないリソースの種類) 使わせたくないサービスそのものをデプロイさせない
Allowed locations(許可されている場所) 作成できるリージョンを限定する。意図しない海外リージョンでの作成を防ぐ

どのサービスが高額になりやすいかは、以前まとめたAzure の無料サービス(付録: Azure の中でもわりと高額なサービス)も参考にしてください。

監査(Audit)は不適合を検出し、拒否(Deny)は対象操作を阻止します。まず Audit で影響範囲を見てから Deny へ切り替えると、既存システムを意図せず止めずに済みます。既存リソースの修復には、対応する効果や修復タスク、権限の準備が必要です。

Policy は請求額を一定額で止める装置ではありません。 影響範囲を検証し、既存システムの更新やデプロイを意図せず止めないように導入します。

出典: タグでリソースを整理する(上限・制限) / Well-Architected Framework / CO:03 コスト データの収集とレビュー / コスト最適化のチェックリスト / Azure Policy の概要 / 組み込みポリシー定義一覧 / Azure Policy の価格

2-3. 契約側の設定: Marketplace・予約・節約プランの購入を許可するか決める

Azure Policy がリソースに対するルールなのに対し、Enterprise Agreement(EA)では契約(課金アカウント)側の設定で、Marketplace・予約・節約プランの購入そのものを有効/無効にできます。 「利用部門には VM は作らせるが、長期のコミットメントやサードパーティ製品の購入は中央で判断したい」といった場合に使えます。

EA の課金アカウントのポリシー画面。Azure Marketplace(Off / On / Free/BYOL SKUs Only)、部門管理者・アカウント所有者の料金表示、Reserved Instances、Savings Plan の各設定が並んでいる
出典: Azure portal での EA 課金管理(登録ポリシーを表示して管理する)(同ページ掲載の画面を引用)。

EA 管理者が、Azure portal の Cost Management + Billing → 課金スコープ → 対象の課金アカウント → ポリシー で設定します。

設定項目 設定すると
Azure Marketplace 登録配下のサブスクリプションでサードパーティ製品を購入できるかを決める。画面では Off / On のほか、無料・ライセンス持ち込み(BYOL)の製品だけを許可する選択肢もある。Marketplace の料金は別請求で、Azure の前払い(クレジット)は充当されない
Reserved Instances オフにすると、予約を購入できるのは EA 管理者だけになる
Savings Plan オフにすると、節約プランを購入できるのは EA 管理者だけになる

この設定は、購入の可否を決めるものです。 購入済みの予約・節約プランやリソースの利用を止めるものではありません。

Marketplace を製品単位で許可したい場合は、プライベート Marketplace を使います(→ 5-2. プライベート Marketplace)。

出典: Azure portal での EA 課金管理 / Azure Marketplace での購入を有効にする / 予約の購入と権限 / 節約プランの購入に必要な権限

3. コストを抑える方法を知りたい

代表的な選択肢が Azure Reservations・Azure savings plans・Azure Hybrid Benefit です。 それぞれ対応サービス、期間、支払方法、割引率、前提事項が異なるので1つずつ詳しく見ていきましょう。

各サービスの概要は表で、詳しい条件は ▶ の付いた項目をクリックすると開きます。

3-1. Azure Reservations(Azure 予約)

項目 内容
概要 対象製品を一定期間使うことを約束(コミット)し、条件に合う利用へ自動で割引を適用する
対象サービス VM / Dedicated Host、Azure SQL Database・SQL Managed Instance、PostgreSQL・MySQL、Cosmos DB、Blob Storage・Azure Files、Databricks 事前購入プラン など製品ごと
期間 1年または3年(製品による)
支払方法 一括前払い または 月払い。総額は同じで、月払いに分割手数料はない
割引率 最大72%(従量課金制と比べた公式の上限表記。推定36〜72%で、製品・SKU・リージョン・期間で異なる)
前提事項 対象オファーのサブスクリプション(EA / MCA / 従量課金 / CSP など)。サブスクリプションの所有者または予約購入者ロール(カスタム ロールは不可)。EA では課金側で予約購入が許可されていること

Azure Reservations(Azure 予約)は VM 専用の仕組みではありません。Azure Reserved Virtual Machine Instances(RI / Azure VM 予約)はその一種で、RI は一般に Reserved Instance の略として使われます。以下の VM 操作・サイズ変更の説明は、この VM 予約を例にしています。

3-1-1. 先に押さえておきたいこと
  • 割引の対象は、製品ごとに決まった費用だけです。 VM 予約なら対象はコンピュート部分で、Windows / SQL Server のライセンス、ディスク、ネットワークの料金は別に課金されます。
  • VM を作り直す操作ではありません。 条件に合う利用へ割引が自動適用されるので、既存 VM のまま適用されます。
  • 予約を買っても VM の起動は保証されません。 配置容量を確保する Capacity Reservation は別の仕組みです。
  • VM 予約を1つ買えば、すべての製品に使えるわけではありません。 製品ごとに対象 SKU、リージョン、期間、数量の単位を選びます。
  • 対象 VM ではインスタンスサイズの柔軟性が使えます。 ただし任意の VM に適用できるわけではありません。
  • 予約が一覧に出ないときは、「購入していない」と「権限がない」を切り分けます。 予約を参照・管理できる人は限られています(→ 3-1-2)。

対象になる主な製品と、割引になる費用は次のとおりです。最大72%が、これらすべてに共通する割引率ではありません。

  • Azure Virtual Machines / Dedicated Host — 対象のコンピュート。Windows・SQL 等のソフトウェア、ディスク、通信費は別。
  • Azure SQL Database / SQL Managed Instance — 対象のコンピュート。SQL ライセンス、ストレージ、通信費は別。
  • Azure Database for PostgreSQL / MySQL — 対象のコンピュート。ストレージ・通信費等は別。
  • Azure Cosmos DB — 対象のプロビジョニング済みスループット。ストレージ・通信費は別。VM 予約とは異なる製品。
  • Azure Blob Storage / Azure Files — 条件に一致する保存容量。転送・トランザクション等は予約製品ごとに確認。
  • Azure Databricks の事前購入プラン — DBU(Databricks の処理量に応じた課金単位)。交換・返金不可の例外製品。

出典: 予約がカバーする料金

3-1-2. 購入から適用確認まで

Azureの予約製品一覧の一部
プレビューポータルで予約の追加画面を開いた例です。製品一覧の一部を切り出しています。サービスごとに対象条件が異なります。

  1. Advisor 等の推奨事項と実際の利用状況を確認し、購入量を検討します。
  2. Azure portal で 予約を開き、追加から対象サービスを選びます。
  3. 課金先、スコープ、リージョン、対象サイズ・数量、期間、支払い頻度を確認します。
  4. 合計のコミットメント、適用条件、更新設定を確認してから購入します。
  5. 購入後は予約の詳細で使用率を確認し、対象リソースに適用されているか確認します。

購入時に決める・確認することは次のとおりです。

  • 購入した予約を適用できる範囲(スコープ)
    • 単一のリソース グループ
    • 単一のサブスクリプション
    • 管理グループ(管理グループ配下のサブスクリプション)
    • 共有
      • EA の場合: 登録(Enrollment)全体。登録内の複数の Microsoft Entra テナントも範囲に含まれる
      • MCA の場合: 課金プロファイル。課金プロファイル内の複数のテナントも範囲に含まれる
      • 従量課金の場合: アカウント管理者が作成した有効なサブスクリプション
  • 一括前払いと月払いを選べます。
    • 月払いは、予約の総コストを対象期間の月数で均等に分割する方式です。前払いも月払いも総コストは同じで、月払いの追加料金はありません。月払いでも月単位の契約ではなく、期間全体へのコミットメントです。
    • MCA の月払いは、為替によって毎月の請求額が変わる場合があります。SUSE・Red Hat のプランや事前購入プランなど、月払いを選べない予約もあります。
  • 自動更新をオンにしておけば、期限が切れたときに新しい予約が自動的に購入されます。
    • 購入時は既定でオンです。オフの場合は、有効期限が近づくと管理者等に期限切れの通知メールが届きます。
    • 期限が切れた予約は更新できず、新しい予約の購入になります。
  • 購入・管理に必要な権限
    • 購入には、サブスクリプションの組み込みの所有者ロール、または予約購入者ロールが必要です。これらを模したカスタム ロールでは購入できません。
    • 購入した予約を既定で参照・管理できるのは、主に次の人です。予約はサブスクリプションとは別のリソースなので、サブスクリプションの権限は引き継がれません。
      • 予約を購入した人
      • 購入時の課金サブスクリプションのアカウント管理者
      • EA または MCA の課金管理者
      • 予約の所有者・閲覧者などのロールを付与された人(閲覧者は参照のみ)

ロールが足りていても、契約側の設定で予約購入が禁止されていると購入できません。 EA では、Azure portal のポリシーメニューで「Reserved Instances」のポリシー オプションを無効にすると、購入を EA 管理者だけに制限できます。

「権限はあるはずなのに購入ボタンが進まない」ときは、サブスクリプションのロールだけでなく、課金側のポリシー設定も確認してください(→ 2-3. 契約側の設定)。

出典: 予約の購入(スコープ・月払い・購入できる人) / 予約を自動的に更新する / 予約を表示・管理するためのアクセス許可

3-1-3. 変更・キャンセル

VM を止めても、その時間の予約料金は免除されません。

項目 理解しておきたいこと
スコープ変更 割引の適用範囲を変更する操作。購入後いつでも変更でき、期間はリセットされない
交換 対象の予約を返却して新しい予約を購入する操作。通常は新しい期間が始まる。交換条件・対象制限あり
払い戻し 対象予約では可能だが、残存価値やキャンセル済みコミットメントの上限等に制限あり
更新 自動更新でも新しい予約の購入になる。更新時の価格・数量・期間を再確認する

交換では、新しい予約の総コミットメント額が、返却する予約の残りのコミットメント以上である必要があります。たとえば月100ドルの3年予約を18回支払った時点なら、残りは1,800ドルなので、新しい予約は総額1,800ドル以上にします。交換すると、その時点から新しい期間が始まります(Premium Storage 対応・非対応の入れ替えなど、一部は期間がリセットされません)。交換自体には手数料や年間回数の制限はありません。

払い戻しでは、対象の課金スコープにおけるキャンセル済みコミットメントの合計に、直近12か月で50,000米ドルの上限があります。月次払いの未払い分も関係します。これは「毎年1月にリセットされる返金枠」ではありません。Red Hat / SUSE のプランや事前購入プランなどサービス別の例外もあります。中途解約料は現時点では請求されていませんが、公式ドキュメントには将来12%の解約料が発生する可能性があると記載されています。開始時期は示されていないため、「解約しても必ず全額が日割りで戻る」前提で購入額を決めないでください。

返金額は残り日数に基づいて算定され、購入価格と現在価格の低い方が基準になります。月払いの将来分は「既に支払った金額の返金」とは異なりますが、キャンセル済みコミットメントの上限には関係します。最終的な返金見積もりと返金先は、操作前の確認画面で確認します。

変更予定: 2027年2月1日以降に購入する予約は、対応サービスが Savings Plan の対象の場合、原則として交換対象外になる予定です。同日より前の購入分には最後の交換権が残ります。適用除外もあります。スコープ変更、インスタンスサイズの柔軟性、キャンセル、Savings Plan への下取りは、交換と別の条件です(2026年9月25日時点の公式情報)。

出典: Azure Reservations とは / 予約の購入 / 交換と払い戻し / 交換ポリシーの変更 / 購入できない場合

3-1-4. 一部の VM シリーズで新規購入・更新が終了

2026年7月1日以降、次の VM シリーズでは RI の新規購入と更新ができません。

変更内容 対象の VM シリーズ
1年 RI が購入・更新できない Av2、Amv2、Bv1、D、Ds、Dv2、Dsv2、F、Fs、Fsv2、G、Gs、Ls、Lsv2
1年・3年 RI とも購入・更新できない Dv3、Dsv3、Ev3、Esv3

誤解しやすい点を先に整理します。

  • 7月1日に既存の RI が終了するわけではありません。 購入済みの RI は、それぞれの期間満了まで割引が続きます。
  • 稼働中のワークロードは止まりません。 RI は課金上の仕組みで、容量の確保や強制移行ではありません。
  • 何もしないと、満了後は従量課金に戻ります。 自動更新を設定していても、対象シリーズでは更新されません。

満了後の選択肢は次の3つです。VM を変更する予定があるかどうかで判断が変わります。

選択肢 向く状況 確認すること
従量課金のまま使う 近いうちに廃止・縮小する 増えるコストを許容できるか
Savings Plan へ移行する VM の構成やリージョンが変わり得る 時間当たりの安定需要、下取りの条件
新しい VM シリーズへ移行して RI / Savings Plan を購入する 更改の時期が近い 移行作業、移行先 SKU の提供状況

2026年9月時点では購入・更新終了日はすでに過ぎています。「2026年7月1日までに更新する」という選択肢は、現在の対応策には含めません。

自分の環境が対象かは、Azure portal の予約で製品タイプを Virtual Machines に絞り、VM ファミリと有効期限を確認します。公式ガイドは、期限当日ではなく満了の6〜12か月前から計画を始めることを推奨しています。

出典: 廃止された Azure 予約 VM インスタンスの移行ガイド

3-1-5. よくある疑問(VM予約を例に)
質問 回答
既存 VM にも適用できる? はい。対象条件とスコープに合う利用へ自動適用され、作り直しは不要です
VM を別サイズへ変更したら? 同じインスタンスサイズ柔軟性グループ内なら適用できる場合があります。それ以外は未適用になる可能性があり、対象条件・交換可否を確認します
夜間停止すれば予約の支払いも止まる? 止まりません。同じ時間の別の適格な利用に適用される場合はありますが、未使用分は翌時間に繰り越せません
返金上限は、現金で戻る額だけを数える? いいえ。月払いで今後支払う予定だった分を含む、キャンセル済みコミットメントの合計で判定します
交換の返金も50,000米ドル枠を消費する? 交換に伴う返金は、この返金上限にカウントされません。新規予約の総コミット額や交換対象の条件は別途満たす必要があります
購入と返金は同じ権限でできる? 必ずしも同じではありません。返金・交換は予約注文側の所有者等の権限が必要です。CSP 経由の場合はパートナーへ依頼します

出典: VM 予約割引の適用 / インスタンスサイズの柔軟性 / 交換と払い戻し

3-2. Azure savings plans(SP / Azure 節約プラン)

項目 内容
概要 対象サービスに対して1時間当たり一定の金額を使うことをコミットし、その範囲の利用へ割引を適用する
対象サービス Compute向け: VM、App Service、Functions(Premium)、Container Instances、Container Apps、Dedicated Host など
Databases向け: Azure SQL Database・SQL Managed Instance、PostgreSQL・MySQL、Cosmos DB など
期間 1年または3年(Compute向け・Databases向けとも)
支払方法 一括前払い または 月払い
割引率 Compute向けは最大65%、Databases向けは最大35%(従量課金制と比べた公式の上限表記。推定はそれぞれ11〜65%、0〜35%)
前提事項 Enterprise Agreement(EA)、Microsoft 顧客契約(MCA)、Microsoft パートナー契約(MPA)のいずれか。購入後のキャンセル・交換・返金は不可。時間コミット額・期間は変更不可

Azure savings plans(Azure 節約プラン)には Compute向けと Databases向けの2種類があり、購入した種類の対象サービス・スコープ内でのみ適用されます。Compute 用を買っても、すべての Azure サービスが割引になるわけではありません。 同じ時間コミット額を2種類で共有することもできません。

3-2-1. 対象になる主なサービス

サービス名が対象でも、その全プラン・全メーターが対象とは限りません。 メーターは Azure が料金を計算する単位です。

Compute向けで対象になるのはインフラ費用です。ソフトウェア、ネットワーク、ストレージの料金は含まれません。

  • Azure Virtual Machines — 対象 VM のコンピュート。Spot VM は対象外。
  • Azure App Service — 対象プランのコンピュート。購入時の「含まれる製品」で SKU を確認。
  • Azure Functions — Premium プラン。ほかの実行プランへ一律に適用しない。
  • Azure Container Instances — 対象のコンテナー実行基盤の料金。
  • Azure Container Apps — 対象プラン・メーターの料金。関連リソースは別。
  • Azure Dedicated Host — 対象のホストのコンピュート。
  • Azure Spring Apps Enterprise — 公式概要に記載される対象インフラ費用。新規採用はサービスの提供・廃止状況も別途確認。

AKS など、別のサービス内で使う対象 VM のコンピュート費用にも適用を検討できます。 たとえば AKS のワーカーノードが対象 VM なら、VM 部分を評価します。AKS の管理料金やディスク代まで一括で割引になるという意味ではありません。App Service も古い資料の SKU 一覧を固定的に使わず、最新の対象製品・メーターで確認します。

Databases向けの主な対象は次のとおりです。Compute向けの対象外条件をそのまま転用しないでください。

  • Azure SQL Database / Azure SQL Managed Instance — 対象のインフラ・ソフトウェア費用。SQL Database の Hyperscale・サーバーレスも公式概要に記載。
  • Azure Database for PostgreSQL / MySQL — 対象メーター。サービス全体の請求が一律に割引されるわけではない。
  • Azure Cosmos DB / Azure DocumentDB — 対象の製品・メーターを公式価格表で確認。
  • Azure Database Migration Service — 対象のメーターを確認。
  • SQL Server on Azure VM / Azure Arc の時間単位ライセンス — 公式概要では、通常の従量課金価格で Databases向けプランのコミットメントを消費。対象でも割引が付くとは限らない。

AHB の資格・適用有無も確認し、購入前にどのメーターがいくらでコミットメントを消費するかを確認します。

出典: 節約プランの種類・対象サービス / 対象製品の価格表 / AKS のコスト最適化と割引

3-2-2. 期間・支払いと、未使用コミットメント

1年または3年の期間を選び、一括前払いまたは月払いで支払います。分割による追加手数料はありません。ただし現地通貨の月額請求は、契約によって為替の影響を受ける場合があります。

たとえば、説明用に「1時間当たり100円相当のコミットメント」を考えます。

その時間の対象利用(Savings Plan 料金で評価) 扱い
80円相当 コミットメント100円のうち20円分が未使用。翌時間に繰り越せない
100円相当 その時間のコミットメントを使い切る
コミットメントを超える利用 コミットメントでカバーできない利用は通常の従量料金で課金

上記は仕組みを説明する仮の値で、購入可能額・価格・実測値ではありません。月間の利用総額だけでなく、時間ごとの安定した利用を基に購入額を検討します。

3-2-3. 割引が適用される順番
  • 同じ時間に予約と節約プランの両方が使える利用には、予約が先に適用されます。両方が重ねて適用されるわけではありません。
  • Savings Plan の中では、割引率が大きい製品からコミットメントを消費します。
  • 期間の違う複数のプランがあれば3年のプランから、スコープの違うプランがあれば範囲が狭いプランから適用されます。
  • 使用状況の集計には最大48時間のずれがあり、その間に使用率の表示が変わることがあります。
  • Savings Plan の価格は購入時に固定されません。価格改定は月初に反映され、その時点の Savings Plan 価格で割引が計算されます。時間当たりのコミットメント額そのものは変わりません。
3-2-4. 購入・変更・キャンセル
  1. Azure portal の 節約プラン / Savings plans を開きます。
  2. 種類、対象範囲、推奨コミット額と過去の利用を確認します。
  3. 時間当たりのコミットメント、期間、支払い頻度、更新設定を確認します。
  4. 条件を確認して購入し、購入後に使用率と適用範囲を確認します。

EA では、契約側の設定で節約プランの購入を EA 管理者だけに制限できます(→ 2-3. 契約側の設定)。

項目 購入後の扱い
スコープ 変更可能。対象となる範囲内で設定
自動更新 設定の変更が可能
時間当たりのコミットメント 変更不可
期間・支払い頻度 変更不可
月払いの課金サブスクリプション 購入後は変更不可。割引の適用スコープとは別
キャンセル・交換・払い戻し 不可

一括と月次払いを選択できますが、月次払いでも中途解約はできません。 リソースを停止・削除しても支払いは続きます。

対象の予約を Savings Plan に下取り(トレードイン)する選択肢はありますが、任意の予約を自由に変更できるわけではありません。対象は VM、Dedicated Host、App Service の予約とデータベース予約で、コンピュートの予約は Compute の、データベースの予約は Database の節約プランへ、と種別をまたげません。Savings Plan の総コミットメント額は返却する予約の残りのコミットメント以上にする必要があり、下取り後は新しい1年または3年の期間が始まります。1回の購入で下取りできるのは最大100件で、逆向き(Savings Plan から予約へ)の交換はできません。

3-2-5. 予約との比較・よくある疑問

以下は、VM予約(RI)とCompute向け節約プランを例にした比較です。Databases向けは、前述の対象サービス・メーターで確認します。

Azure savings plan for compute と Reserved Instances の比較表。節約率(最大65%/最大72%)、コミットメントの種類、適用範囲、期間、支払い方法、キャンセル可否を並べている
Compute 向け節約プランと VM の予約インスタンス(RI)の比較です。画像下の注記は2022年2月時点の算出例ですが、最大65%・最大72%という上限は、現在の公式ページでも同じです(算出に使う構成は変わっています)。RI の払い戻しは、直近12か月のキャンセル済みコミットメント50,000米ドルが上限です(→ 3-1-3)。

選ぶときは、上の比較に加えて次の点も確認します。

観点 VM の RI Compute Savings Plan
向く利用 構成・リージョンが安定 対象サービスやリージョンが変わり得る
未使用のリスク 予約を使い切れない 時間当たりの金額を使い切れない

「柔軟だから Savings Plan なら解約できる」は誤解です。柔軟なのは主に割引を適用する対象です。

予約と節約プランの違い・共通点(対象サービス、スコープの考え方など)は、Microsoft の課金サポート チームによる節約プランと予約の違いや共通する点(Japan Azure 課金 サブスクリプション サポート ブログ)も分かりやすく整理しています。

質問 回答
利用が増えたら、購入済みプランの金額を増やせる? 既存プランの時間コミット額は変更できません。必要に応じて別のプランを追加購入します
支出が減ったら月払いを止められる? できません。残る対象利用への適用やスコープの見直しを検討します
3年契約ならサービスの単価も固定される? 固定されるのは時間コミット額です。Savings Plan の価格改定は月初に反映されます
購入すれば VM を必ず起動できる? いいえ。課金上の割引であり、配置容量の確保とは別です
自動更新をオフにすれば解約になる? いいえ。満了後の再購入を止める操作で、現在の期間の支払いは続きます

出典: 節約プランとは / 対象製品の価格表 / 割引の適用方法 / 管理・変更の可否 / 予約からの下取り

3-3. Azure Hybrid Benefit(AHB / Azure ハイブリッド特典)

項目 内容
概要 保有する対象ライセンス等の資格に基づき、Azure リソースのライセンス相当部分へ価格特典を適用する
対象サービス Windows Server を実行する VM / VM Scale Sets、SQL Server on Azure VM、Azure SQL Database(vCore)、Azure SQL Managed Instance、対象の RHEL / SLES VM
期間 購入・コミットではないため期間の概念はない。資格を維持している間は適用できる
支払方法 AHB 自体の支払いはない。適用すると Azure 利用料が下がる。ライセンスや SA は別契約で支払う
割引率 公式ページでは、Windows Server は予約 VM インスタンス等との組み合わせで最大80%、SQL Server は最大85%、Linux(RHEL / SLES)は3年予約との組み合わせで最大76%と案内。いずれも従量課金制と比べた上限値で、すべての構成に当てはまる割引率ではない
前提事項 有効な Software Assurance(SA)付きの対象ライセンス、または適格なサブスクリプションライセンス等。必要コア数の保有。Azure SQL は vCore モデルのみ(DTU モデル・サーバーレスは対象外)。RHEL / SLES は Red Hat / SUSE 側の対象資格

Azure Hybrid Benefit(AHB / Azure ハイブリッド特典)は、予約/節約プランのように Azure の利用量・利用金額を約束して購入するものではありません。主に、Windows Server/SQL Server の対象ライセンス、または RHEL/SUSE の対象サブスクリプションを保有する組織のライセンス・基盤管理担当者向けです。

Software Assurance(SA) は、対象ソフトウェアのライセンスに付随する保守・特典の仕組みです。「Windows を持っている」「Visual Studio 特典がある」というだけでは、対象の本番ワークロードに AHB を使えるとは限りません。

3-3-1. 対象ごとの確認ポイント
  • Windows Server を実行する Azure VM / VM Scale Sets — 適用先は Windows Server のライセンス相当部分。有効な SA 付き対象コアライセンス、または適格なサブスクリプションライセンス等が必要。VM 1台あたり最低8コア分のライセンスが必要(詳細は下の図と箇条書き)。
  • SQL Server on Azure VM — 適用先は SQL Server のライセンス相当部分。対象エディション、SA、必要コア数に加え、SQL IaaS Agent 拡張機能への登録とライセンス種別を確認。
  • Azure SQL Database — vCore モデルのプロビジョニング済みコンピュートが対象。DTU モデル・サーバーレスは対象外。
  • Azure SQL Managed Instance — SQL ライセンスのエディション・サービス階層によって換算比率が異なる。
  • 対象の RHEL / SLES を実行する Azure VM — Linux のソフトウェアサブスクリプション費用が対象。Red Hat/SUSE の対象資格と対象イメージが必要で、Linux 全般への一律特典ではない。

Windows Server の Azure ハイブリッド特典の説明。Windows VM のコストは基本コンピューティングと Windows OS で構成され、AHB を使うと Windows OS 部分が SA の権利でまかなわれる。Standard と Datacenter のエディション別に、利用できる VM・コア数と、オンプレミスと Azure で同時に使えるかを比較している
Windows Server の AHB の考え方です。画像中の「最大40%」は資料作成時点の表記です。現在の公式ページでは、予約 VM インスタンス等と組み合わせた場合に Windows Server で最大80%と案内されています。割引率はリージョン・シリーズ・サイズなどで変わります。

  • Windows VM の料金は、基本コンピューティングと Windows OS のライセンス相当部分に分かれます。 AHB を適用すると、Windows OS の部分を保有ライセンス(SA の権利)でまかない、基本コンピューティングの料金だけを支払います。
  • 16コア分のライセンス(または2プロセッサ ライセンス)で、最大8コアの VM 2台、または最大16コアの VM 1台に適用できます。 4コアの VM でも8コア分が必要です。
  • Standard は、オンプレミスと Azure のどちらか一方で使います。 移行のための最大180日間だけは併用できます。
  • Datacenter は、オンプレミスと Azure の両方で同時に使えます(Azure VM の場合)。
  • 移行と同時に購入する SA 付きのライセンスも対象です。

Azure Dedicated Host や Azure VMware Solution などにも関連する特典がありますが、上の VM/SQL の条件をそのまま転用せず、製品別のライセンス条件を確認します。

割引率は構成によって変わります。 保有ライセンスや SA の費用も含め、構成ごとのライセンス込み価格と適用後価格を料金計算ツールで比較して判断してください。

3-3-2. 期間・支払いと適用の流れ

AHB 自体の「1年・3年分を購入する」という支払いはありません。適用後の Azure 利用料と、別途保有するライセンス・SA・サブスクリプション等の費用をそれぞれ支払います。利用できる期間は、該当する資格を維持する期間です。

  1. ライセンス担当者と利用資格・保有数・既存の割り当てを確認します。
  2. VM または SQL の作成・設定画面で AHB の項目を確認します。
  3. 利用条件を満たす場合だけ適用します。
  4. 適用状態と料金を確認し、ライセンスの有効期限も管理します。
  5. 資格を失う場合は、更新、特典の解除、対象ワークロードの廃止等を検討します。

コンピュート部分の RI/Savings Plan と、ライセンス部分の AHB は組み合わせを検討できます。ただし、同じ費用が無条件に二重割引されるという意味ではありません。

3-3-3. 変更・解除・よくある疑問

AHB では、購入した予約の「キャンセル・返金」ではなく、リソースの適用設定とライセンスの割り当てを管理すると考えます。

質問 回答
VM 作成後でも適用できる? 対象 Windows VM/SQL リソースでは既存リソースへの適用が可能です。資格を先に確認し、適用状態を変更します
適用するために再起動が必要? Windows VM のライセンス種別変更、SQL VM の課金モデル変更、Azure SQL への適用は、公式手順で停止不要とされています。構成変更全般が無停止という意味ではありません
Windows の AHB を有効にすれば SQL も割引になる? なりません。Windows と SQL の資格・適用設定をそれぞれ確認します
VM を大きくしたら? 必要なコアライセンス数を再確認します。ポータルの設定が有効なままでも、保有数が足りる保証にはなりません
SA や対象サブスクリプションが切れたら? 資格を更新するか、特典を解除するか、対象ワークロードを廃止する等の対応が必要です
AHB をオフにするとライセンス契約も解約される? されません。Azure の課金設定と、ライセンス/SA 等の購入契約は別です。既存 RI/Savings Plan の支払いも継続します
オンプレミスと Azure で同時に使える? 製品・エディションで異なります。Windows Server は Datacenter なら Azure VM と同時利用でき、Standard は移行時の最大180日間だけ併用できます。SQL にも移行用の180日間の併用期間がありますが、無期限の二重利用権として扱わず Product Terms を確認します

この資料では AHB の設定変更を行っていません。適用資格は Product Terms と保有ライセンスに基づき、ライセンス販売元・担当者へ確認してください。

出典: Windows Server の AHB / Windows VM の適用・変更 / SQL VM の課金モデル変更 / Azure SQL の対象と条件 / Linux VM の AHB / Azure ハイブリッド特典(割引率の公式表記)

4. 古い OS の継続利用と、延長セキュリティ更新を考えたい

まずは、ESU の対象と期限を確認しましょう。 古い OS を使う場合でも、サポート終了前なら通常の更新を利用します。サポート終了後は、まず更改・移行の計画を立て、その間を埋める選択肢として ESU を検討します。

概要と期限は常に表示し、支払い・解除などの詳しい条件は ▶ の付いた項目をクリックすると開きます。

4-1. ESU の概要・誰向け?

Extended Security Updates(ESU / 拡張セキュリティ更新プログラム)は、サポート終了後の対象製品にセキュリティ更新を提供する制度です。Azure 利用料を割り引く制度でも、通常サポートをすべて延長する制度でもありません。 直ちに更改できない既存システムの運用・セキュリティ担当者が、アップグレード・移行までの一時的な対策として検討します。

Azure への移行で ESU の追加費用が不要になる対象もありますが、すべての製品に共通する特典ではありません。

4-2. 対象製品・Azure サービスと提供期間

例 Azure 上 Azure 以外
Windows Server 2012 / 2012 R2 対象環境で ESU の追加料金なし。VM 等の費用は別 Azure Arc 経由等での有償 ESU
SQL Server 2014 対象の Azure VM で無料 ESU Azure Arc 経由等での有償 ESU
SQL Server 2016 Azure VM 上でも有償。SQL IaaS Agent 拡張機能への登録等を確認 Azure Arc 経由等での有償 ESU

Windows Server 2012 / 2012 R2 の ESU は2026年10月13日に終了予定です。 Azure へ移行した日から新しく3年間延長されるわけではありません。製品・バージョンごとの期限は、Microsoft ライフサイクル ポリシーの製品検索で製品名を引いて確認できます。

Azure Dedicated Host、Azure VMware Solution、Azure Local 等の扱いも製品別です。Azure Arc は Azure 外のサーバーを Azure から管理するための仕組みで、Arc 接続と ESU の購入は別の手続きです。

4-3. 支払い・登録・変更
利用方法 支払い・管理の要点
無料対象の Azure VM 等 ESU 自体の追加料金なし。ただし VM・ディスク・通信等の利用料は別
Windows Server の Arc ESU ライセンスのコア数・エディション等に基づく月次請求。後からの登録・コア追加は遡及請求の対象
SQL Server の Arc ESU 対象コア数等に基づく時間単位の課金。購読時期によって当該 ESU 年の開始時点からの遡及請求や過年度分の条件あり

登録前に、次の点を確認します。

  • 対象製品、バージョン、エディション、必要な更新プログラムを確認する。
  • Windows Server と SQL Server では、登録・配信・課金の仕組みを分けて確認する。
  • Arc 接続と ESU の有償登録は別。接続しただけで対象製品がすべて無料になるわけではない。
  • Windows Server の Arc ESU は、対象ライセンスを作成・有効化し、対象サーバーへリンクする流れを確認する。
  • SQL Server は、対象の SQL 管理画面から ESU の購読を確認する。
  • アップグレード・移行後の登録解除やライセンス減数、終了後の課金を確認する。

Windows Server の Arc ESU では、後からの登録に遡及請求が関係する場合があり、無効化・削除・減数後にも最大5暦日の課金が残る場合があります。登録した期間だけを単純に掛け算して見積もらず、該当バージョンの課金条件を確認します。

4-4. 解除・よくある疑問
質問 回答
Arc から切断、またはサーバーを停止すれば無料になる? Windows Server の Arc ESU は、有効化済みライセンスが未接続でも課金対象になります。サーバー停止・切断をライセンス解除の代わりにしないでください
Windows Server の ESU コア数は変更できる? 増減できます。追加コアの遡及請求と、減数後最大5暦日の課金に注意します。Standard/Datacenter のライセンス種別は変更不可です
一度解除して、パッチが必要な月だけ再契約できる? Windows Server の Arc ESU では、再有効化・再作成時に空白期間の遡及請求があります。断続利用で料金を回避する前提にはできません
SQL Server の Arc ESU は中途解除できる? 購読は解除可能で、将来の課金を停止できます。解除前の課金・遡及分の返金とは別です。SQL 側の購読手順で確認します
移行・アップグレードが終わったら? 更新の受信状態だけでなく、不要な ESU ライセンス・購読が残っていないかと、その後の請求を確認します

出典: Windows Server ESU と期限 / Azure での ESU 提供 / Arc ESU の登録 / Windows Server Arc ESU の課金 / SQL Server ESU / SQL Arc ESU の課金・解除 / SQL VM の ESU

5. サードパーティ製品を使いたい

サードパーティ製品は、Microsoft Marketplace から調達できます。

概要とプライベート Marketplace は常に表示し、購入形態・権限・返金などの詳しい条件は ▶ の付いた項目をクリックすると開きます。

5-1. Marketplace の概要・誰向け?

Microsoft Marketplace(マイクロソフト マーケットプレース)はソフトウェアやサービスを探して購入するための仕組みです。Marketplace 自体が、全製品を安くする割引ではありません。 製品・プラン・提供元ごとに料金と条件を確認します。SaaS は Software as a Service の略で、クラウド経由で利用するソフトウェアを指します。

主に、ソフトウェア調達や請求管理を整理したい調達・IT・利用部門向けです。公開オファーのほか、提供元と合意した価格・条件で購入するプライベート オファーがありますが、必ず値引きされるわけではありません。

5-2. プライベート Marketplace で、使える製品を絞る

契約側の設定(→ 2-3)が Marketplace での購入を「すべて許可/禁止」するのに対し、プライベート Microsoft Marketplace を使うと、管理者が承認した製品だけを購入・デプロイできるようにできます。「Marketplace は使わせたいが、使ってよい製品は IT 部門で決めたい」といった場合に向きます。

  • 設定は Azure テナント単位です。有効にすると、テナントのすべてのユーザーに適用されます。
  • 管理するには、テナントのグローバル管理者から Marketplace 管理者ロールを割り当ててもらいます。
  • 承認はプラン(SKU)単位で行えます。コレクションを作ると、サブスクリプションごとに使える製品を分けることもできます。
  • 利用者は Marketplace のカタログ全体を検索できますが、購入・デプロイできるのは承認済みの製品だけです。未承認の製品は、管理者へ承認を依頼できます。
  • 制御の対象は Microsoft パートナー(ISV)の製品です。Microsoft が公開している製品と、動作保証済みの Linux ディストリビューションは既定で承認されています。
5-3. 対象となる製品と、Azure 利用料の関係
製品の例 費用で注意すること
ソフトウェア入り VM VM のインフラ費用とソフトウェア料金を区別
SaaS ユーザー数、利用量、期間、支払い頻度、更新条件を確認
Azure Managed Applications / コンテナー製品 提供元製品の料金と、デプロイされる Azure リソースの料金を確認
ライセンスを外部で別途調達する製品 ソフトウェアのライセンスは別契約。Azure のインフラもライセンスも無料という意味ではない
無料試用 期限、課金への切り替え条件、自動更新を確認

Azure portal の Marketplace では、価格の種類(無料 / 無料試用版 / ライセンス持ち込み / 従量課金制)で製品を絞り込めます。VM 製品では、ライセンス持ち込みならライセンス費用は提供元から、従量課金制ならインフラ費用とソフトウェア費用の両方が Microsoft から請求されます。「Marketplace から導入したのに Azure の請求にソフトウェア代が見当たらない」ときは、まずこの違いを確認します。

なお、Windows Server や一部の Linux ディストリビューションのように、イメージの費用が VM のプランに含まれているものもあります。

5-4. 購入形態・期間・支払い
形態 概要 手続きの特徴
パブリック オファー 価格と条件が公開されているオファー Azure portal から自分で購入できる
プライベート プラン 特定の顧客にだけ公開されるプラン 購入操作はパブリック オファーと同じ
プライベート オファー 提供元と個別に条件・価格を決めたオファー 受諾と購入が別の手続きで、必要な権限も異なる

このほか、パートナー経由の多者間プライベート オファー(MPO)や、CSP 契約で購入する形態もあります。

課金方式の例 期間・支払いの考え方
従量課金の VM 製品 VM の利用に応じたソフトウェア料金。Azure インフラ料金は別の課金要素
定額・ユーザー数ベースの SaaS 月・年・複数年などの契約期間。対応プランで月払い・年払い・一括払いを選択
使用量ベースの SaaS API 呼び出し回数等のメーター課金。基本料金と超過料金の組み合わせもある
プライベート オファー 契約期間・価格・支払い頻度等の合意条件。対応するオファーには個別の請求スケジュールもある

契約期間と支払い頻度は別です。たとえば3年契約の月払いを、1か月単位の契約として扱わないでください。また、すべての製品が Azure 請求にまとまるわけではなく、外部で別途ライセンスを購入する形態もあります。

5-5. 購入に必要な権限と流れ

購入にはロールが必要です。特にプライベート オファーは、契約条件の受諾と、その後の購入で権限が異なります。公式ドキュメントでは次のように整理されています。

契約 オファー 受諾に必要なロール 購入に必要なロール
MCA パブリック オファー/プライベート プラン 不要 サブスクリプションの所有者または共同作成者
MCA プライベート オファー 課金アカウントの所有者または共同作成者 サブスクリプションの所有者または共同作成者(VM ソフトウェア予約は所有者または予約購入者)
EA パブリック オファー/プライベート プラン 不要 サブスクリプションの所有者または共同作成者
EA プライベート オファー エンタープライズ管理者 サブスクリプションの所有者または共同作成者(VM ソフトウェア予約は所有者または予約購入者)

自分の権限は、Azure portal 右上のアカウント プロフィールからアクセス許可を開いて確認できます。足りない場合は、サブスクリプションのアクセス制御(IAM)で所有者・共同作成者を探します。ロールが足りていても、EA では契約側の設定で Marketplace での購入が無効、または無料・BYOL の製品だけに制限されている場合があります(→ 2-3. 契約側の設定)。プライベート Marketplace が有効な場合は、承認されていない製品も購入できません(→ 5-2)。

SaaS を購入する流れは次のとおりです。

  1. Azure portal の Marketplace で製品を検索します。
  2. 提供元、料金プラン、利用規約、プライバシー条件を確認します。
  3. 課金先、期間、支払い頻度、ユーザー数、自動更新を確認します。
  4. 内容を確認して購入を完了します。
  5. 必要に応じて提供元のサイトでアカウントを構成します。
  6. Azure portal の SaaS から製品・プラン・請求・更新を管理します。

課金開始は製品の自動アクティブ化設定にも依存します。 購入後に提供元サイトを開かなければ絶対に課金されない、とは考えないでください。

5-6. 変更・キャンセル・返金
操作・製品 扱い
SaaS のプラン変更 同じ契約期間・支払い方式のプラン間など、対応条件内で変更可能。提供元が承認できない場合は変更不可。料金は日割り調整
SaaS のユーザー数変更 提供元の最小・最大人数等の範囲内で対応。プラン変更が先に必要な場合あり
SaaS の自動更新停止 次の更新を止める操作。現在の契約が即時終了するわけではなく、満了でサービスが終了
SaaS の中途キャンセル ソフトウェアへのアクセスを失う操作。将来の未払いが残る長期契約は、標準の72時間経過後に通常のキャンセルができない場合あり
SaaS の返金 購入後72時間以内のキャンセルは、メーター課金を除き全額返金の対象。期間後は提供元へ相談し、承認・サポート手続きが必要
従量課金の VM 製品 利用済みの使用量・消費量に応じた料金は返金対象外
VM ソフトウェア予約(VMSR) 通常は購入後72時間以内に限定された返金制度。プライベート オファー経由は通常のキャンセル不可で、提供元への相談が必要
Azure Managed Applications 購入後72時間以内に削除した場合の固定月額料金に返金制度あり。変動メーター料金は対象外

Azure VM のコンピュート予約(RI)と、Marketplace の VM ソフトウェア予約は別製品です。 RI の交換・返金条件をそのまま適用しないでください。

5-7. よくある疑問
質問 回答
Marketplace で買えば RI/Compute Savings Plan がソフトウェア代にも適用される? 適用されません。対象 VM のインフラ部分と、提供元のソフトウェア料金を分けて確認します
プライベート オファーを受諾すれば使える? 受諾だけでは購入完了とは限りません。購入・サブスクライブと、必要に応じた提供元側の設定まで確認します
年契約を月払いにすれば毎月解約できる? いいえ。支払い頻度と契約期間は別です。将来の支払い義務と解約条件を先に確認します
自動更新を止めれば残りの支払いもなくなる? なくなりません。現在の契約期間が終了するまでの支払いと、次回更新を分けます
72時間を過ぎた返金は絶対に不可能? 標準の返金期間外です。提供元の承認を得てサポート手続きを行う場合がありますが、承認・返金は保証されません
製品のことは、どこに問い合わせる? 製品の機能・技術的な問題・提供予定、返金の要望などは提供元の会社へ問い合わせます。コスト分析での Marketplace の費用の確認や、Azure portal での SaaS のプラン変更方法など課金に関することは、Azure の課金サポートへ問い合わせます

Marketplace 製品の問い合わせ先の切り分けは、Azure Marketplace製品のお問い合わせ先に関して(Japan Azure 課金 サブスクリプション サポート ブログ)に具体例付きでまとめられています。

出典: SaaS の購入と支払い方式 / VM 製品の購入 / ロールとアクセス許可 / プライベート Microsoft Marketplace / SaaS の変更・更新・解約 / 製品別の返金ポリシー / Azure Marketplace製品のお問い合わせ先に関して

6. いまの利用額を確認し、予算を設定したい

利用額の確認と予算の設定には、Microsoft Cost Management を使いましょう。 「どこにいくら使ったか」「予算に対してどうか」、そして「普段と違う増減が起きていないか」を確認する入口です。具体的な改善候補を探す Advisor とは役割を分けます。

6-1. Cost Management: 実績・部門別の負担を見る

Microsoft Cost Managementは、費用の分析、予算・アラート、配賦等を支援します。Azure の標準機能は追加料金なしですが、エクスポート先のストレージ等には料金がかかります。

Azure portal の Cost Management でスコープを選び、コスト分析を開きます。最初は期間とサービス別の内訳を確認します。

コスト分析の画面例。フィルターの追加でタグやリソース グループなどに絞り込み、グループ化でタグ(environment)別の累積コストを表示している。下部の円グラフはサービス名・場所・リソース グループ名別の内訳
コスト分析の画面例です。スコープ名はマスクしています。フィルターの追加でタグ・リソース グループ・サービス名などに絞り込み、グループ化でタグを選ぶと、タグ別の内訳を表示できます(→ 2-1. タグ付け)。下部の円グラフも、サービス名・場所・リソース グループ名などに切り替えられます。

見る項目 分かること
サービス・リソース別の内訳 どこに大きな費用がかかっているか
日別の推移 いつから費用が増えたか
タグ・部門別の内訳 どの部門・用途の費用か。タグ等の事前整備が必要
実際のコスト 購入や利用の料金がいつ計上されたか
償却コスト 予約等の費用を利用期間へ配分した場合の負担

たとえば RI の一括購入月に支出が増えても、それだけで利用量が急増したとは限りません。購入費用と日々の利用を区別し、実際のコストと償却コストを目的に応じて使い分けます。 データには反映の遅延があり、閲覧できる範囲は権限・契約条件によって異なります。

6-2. 予算を設定し、超過の兆候を通知する

予算には金額・期間・通知先・しきい値を設定できますが、予算だけでリソースが自動停止するわけではありません。 自動停止には別の仕組みと、停止可能な対象の設計が必要です。予算通知はリアルタイムの課金遮断でもありません。

6-3. コストの異常を検知する

予算は「決めた金額に対してどうか」を見る仕組みです。これに対して異常検出(コストの異常検知)は、過去の傾向と比べて普段と違う使われ方を見つける仕組みで、予算内でも起きた急な増減に気づけます。追加料金はかかりません。

調査対象になる変化は、大きく次の3種類です。

変化の種類 例
新しいコスト 開始・追加されたリソース。ゼロから始まるコストとして現れる
削除されたコスト 停止・削除されたリソース。ゼロで終わるコストとして現れる
増減したコスト VM のサイズ変更など。旧メーターが消え、新メーターが増える形で現れることもある

確認する場所は、Azure portal の Cost Management → コスト分析で、スコープにサブスクリプションを選び、スマート ビュー(例: リソース)を開きます。異常があれば**分析情報(Insights)**として表示され、リンクから該当期間の日別の内訳へ掘り下げられます。異常がなければ「異常が検出されませんでした」と評価日が表示されます。

検出のしくみも押さえておくと、表示の読み違いを防げます。異常はサブスクリプション単位で毎日評価され、過去60日間の利用実績から予測した値とその日の合計使用量を比較します。曜日ごとの周期なども考慮されます。評価はデータが揃うよう、UTC の日終わりから36時間後に実行されます。

通知を受け取りたい場合は、異常アラートを作成します。 Cost Management → コストのアラート → 追加で、アラートの種類に異常を選びます。作成には Cost Management 共同作成者以上のロール(またはカスタム ロールの Microsoft.CostManagement/scheduledActions/write)が必要です。

運用前に確認しておきたい制限があります。

  • 異常アラート ルールはサブスクリプション スコープのみで作成でき、1サブスクリプションあたり5件までです。
  • 異常アラートのメールは、検出時に1回だけ送信されます。届かない場合は、ルール作成者の権限、宛先アドレス、microsoft-noreply@microsoft.com のブロック・迷惑メール振り分けを確認します。
  • 異常アラートはAzure パブリック クラウドのみで、Azure Government などのソブリン クラウドでは利用できません。

アラートは「原因が分かった」ことを意味しません。 通知後は、コスト分析でリソース グループ → リソース → メーターの順に絞り込み、どのメーターがいつ増えたかを特定します。そのうえで、アクティビティ ログ(監査ログ)や Azure Resource Graph の変更履歴、タグ、スコープの書き込み権限を持つ担当者から、変更した人と理由を確認します。

出典: Microsoft Cost Management / コストの異常と予期しない変化を特定する / 償却コスト / 予算 / 価格

7. 無駄やコスト削減の余地を確認したい

無駄の洗い出しには、Azure Advisor のコスト推奨事項が入口になります。 質問3の Reservations/SP/AHB が主に価格・適用条件の説明なのに対し、ここでは実際の利用状況から改善候補を探します。

7-1. Azure Advisor: 改善候補を見つける

Azure Advisorは、構成や利用状況等に基づいて推奨事項を提示します。Advisor 自体は追加料金なしです。推奨に基づいてリソースを変更したり予約を購入したりすれば、その費用は別途発生します。

Azure Advisor のコスト画面。推奨事項の一覧と、小売価格に基づく予想年間節約額が表示され、右側に「予約インスタンスを購入する」の推奨事項で対象の VM と推奨数・節約見込み額が並んでいる
Advisor のコストでは、予約インスタンスの購入、サイズの適正化、使用率の低い VM のシャットダウンなどを、利用状況に合わせて推奨します。推奨事項ごとに、実現可能な節約見込み額も表示されます。アカウント名はマスクしています。画面の表示どおり小売価格に基づく見込み額なので、契約価格での削減額とは異なる場合があります。

具体的にどんな推奨事項が出るか

Advisor のコストに関する推奨事項は、サービスごとに公式ドキュメントで一覧化されています。このうち、予約・ストレージ・VM に関する主なものは次のとおりです。

分類 推奨事項(公式ドキュメントの表記を要約) 内容 影響度
予約 期限切れ間近の予約の自動更新を構成する まもなく期限切れ、または最近期限切れになった予約を通知。期限後は従量課金の料金になるため、自動更新か新しい予約の購入を検討する 高
予約 仮想マシンの予約インスタンスを検討する 選択した期間とルックバック期間(過去の利用を分析する期間)の使用状況から、節約額が最大になる予約を推奨。節約額はサブスクリプションごとに見積もる 高
予約 コンピューティングの節約プランを購入する 最近のコンピューティング使用量を分析し、節約プランの追加を推奨 高
予約 App Service・SQL PaaS DB・Database for MySQL / PostgreSQL・Cosmos DB・Cache for Redis などの予約インスタンスを検討する VM 以外の PaaS・データベースも、使用状況に応じて予約を推奨 高
予約(ストレージ) Blob Storage(BLOB v2 / Data Lake Storage Gen2)・Azure Files・マネージド ディスクの予約インスタンスを検討する 保存容量に対する予約を推奨 高
ストレージ Premium Storage の方がコスト効率が高くなる可能性がある トランザクション/TB の比率が高いストレージ アカウントでは、Premium への移行で請求額が下がる場合がある 中
VM(ディスク) VM に接続されていないディスクを確認する どの VM にも接続されていないディスクを通知。削除は元に戻せないため、スナップショットを取ってから判断する 中
VM(ディスク) Standard SSD ディスクの課金上限 高 IO のワークロードを Standard HDD で動かしている場合、Standard SSD への変更で性能・SLA が上がり、課金されるトランザクション数にも上限がある 中
VM 使用率が低い仮想マシンを適切なサイズに変更するかシャットダウンする 使用パターンを分析し、使用率が低い VM を通知。サイズと台数の見直しでコストを下げる 高
VM 使用率が低い仮想マシン スケール セットを適切なサイズに変更するかシャットダウンする 過去7日間の使用パターンから、使用率が低いスケール セットを通知 高

このほか、App Service プラン・AKS・Azure Monitor・Cosmos DB・Data Explorer などにもコストの推奨事項があります。一覧はコストに関する推奨事項を参照してください。

推奨事項は判断の材料です。 設計上あえて使用率を低くしている VM もあるため、性能・可用性への影響を確認してから変更・購入します。

出典: Azure Advisor / コストに関する推奨事項 / Advisor の価格

8. FinOps ってなに? FinOps をはじめたい

まずは FinOps の考え方を知り、Azure での進め方をガイドでつかみましょう。そのうえで FinOps アセスメントで現状を整理し、必要な実践を FinOps toolkit で支えます。 ツールを導入しただけで、組織の FinOps が完成するわけではありません。

8-1. そもそも FinOps とは: まずはトレーニングで学ぶ

そもそも FinOps とは何かを学びたい方は、Microsoft Learn の無料トレーニング モジュール Azure で FinOps を採用する から始めるのがおすすめです。FinOps Foundation の FinOps Framework に基づき、FinOps のドメインと機能、導入の始め方、FinOps を実践するための Microsoft のツールを、次の流れで学べます。

  • クラウドの使用状況とコストを理解する
  • ビジネス価値を定量化する
  • クラウドの使用状況とコストを最適化する
  • FinOps の取り組みを管理する
  • FinOps のイテレーション(改善のサイクル)を実行する

8-2. FinOps on Azure: Azure での始め方をガイドで体験する

Azure で FinOps を始めるなら、Microsoft のインタラクティブ ガイド FinOps on Azure が分かりやすいです。FinOps の主な取り組みを8つの演習(Exercise)に分け、それぞれを Azure のどの機能で進めるかを順に確認できます。所要時間は約1時間で、内容は英語です。

FinOps on Azure インタラクティブ ガイドのトップ画面。Allocation、Reporting and analytics、Workload optimization、Anomaly management、Forecasting、Budgeting、Rate optimization、Cloud sustainability の8つの演習が並んでいる
出典: FinOps on Azure(Interactive guides)(同ページの画面を引用)。

演習 内容 この記事で関連する章
1. Allocation 費用を部門・プロジェクト等へ割り当てる(配賦) 2. 最低限のルール(タグ)
2. Reporting and analytics 費用・利用状況を可視化して分析する 6. 利用額の確認
3. Workload optimization 不要・過大なリソースを見直す 7. 無駄の確認
4. Anomaly management 普段と違う費用の増減に気づき、原因を調べる 6. 利用額の確認(異常検出)
5. Forecasting 今後の費用を予測する —
6. Budgeting 予算を設定し、超過の兆候を通知する 6. 利用額の確認(予算)
7. Rate optimization 予約・節約プラン等で単価を下げる 3. コストを抑える方法
8. Cloud sustainability クラウド利用に伴う環境負荷を把握する —

演習の順番どおりに進める必要はありません。この記事で気になった章に対応する演習から試すと、画面の流れをつかみやすくなります。

8-3. FinOps アセスメント: 何から始めるかを整理する

Microsoft Learn の Microsoft FinOps Review(FinOps アセスメント) は、組織の取り組みに関する質問に答え、課題と推奨事項を整理する自己評価です。Azure リソースを自動スキャンして削減額を算出する Advisor のような機能ではありません。

観点 FinOps アセスメント FinOps toolkit
主な目的 現状・不足する取り組み・優先課題を整理する 決めた取り組みの分析・可視化・自動化を支援する
入口 組織の状況を質問に回答する 必要なツールを選び、データや実行基盤を準備する
得られるもの シナリオに応じたガイダンス・改善の推奨事項 レポート、データ分析基盤、自動化等

始め方の例です。

  1. 技術・財務・利用部門で、「費用の可視化」「予算の精度」など当面の目標を決めます。
  2. FinOps Review に回答し、結果を関係者で確認します。不明な項目は推測せず、担当者に確認します。
  3. 推奨事項を影響と作業負担で優先順位付けし、担当者・期限・測定指標を決めます。
  4. 必要な改善に合わせて Cost Management、Advisor、FinOps toolkit 等を選びます。
  5. 結果を記録し、1〜3か月後に再評価して進捗を確認します。

上記は進め方の例です。本記事では組織の評価や回答の送信は行っていません。評価結果は認定やコスト削減額の保証ではなく、次の取り組みを決める材料として使います。

出典: FinOps の評価 / FinOps Review

8-4. FinOps toolkit: 決めた取り組みをツールで支える

Microsoft FinOps toolkit(FinOps ツールキット)は、実践を支援するオープンソースのツール群です。横断分析や独自レポート、自動化が必要になった FinOps 担当、クラウド推進組織、データ分析担当者に役立ちます。アセスメントとは別のもので、すべてを一括導入する必要はありません。

ツール 役割 別途確認する費用
FinOps hubs Cost Management のエクスポート等を収集・加工して分析基盤を構築 ストレージ、データ処理、Data Explorer/Fabric 等、採用構成の費用
Power BI reports 費用・利用・配賦等のレポートのひな型 利用・共有方法に応じた Power BI 等のライセンス
FinOps workbooks コストやガバナンスの確認画面を提供 利用するデータソース・関連 Azure サービスの費用
Azure Optimization Engine / PowerShell module 独自推奨事項の収集や管理の自動化 実行基盤と保存先、運用・保守の負担

ツール自体が無料でも、稼働する Azure リソースまで無料になるわけではありません。まず Cost Management と Advisor で不足することを明確にし、必要なツールから追加します。

FinOps hubs の構成

中心となる FinOps hubs は、複数のサブスクリプションや他クラウドの費用データを1か所に集めて分析するための基盤です。

FinOps hubs の構成図。Cost Management からエクスポートしたデータを Data Lake storage(msexports)に置き、Data Factory のパイプラインで変換して ingestion に格納し、ADX / Fabric に正規化データとして取り込む。他クラウドのデータも変換して取り込み、ADX / Fabric のダッシュボード、Power BI レポート、GitHub Copilot のエージェントから参照する
出典: FinOps hubs - FinOps toolkit(同ページ掲載の図を引用)。

  1. Cost Management のエクスポート機能で、費用・価格等のデータをストレージ(Data Lake storage)へ出力します。
  2. Data Factory のパイプラインがデータを変換し、Azure Data Explorer(ADX)または Microsoft Fabric へ取り込みます。取り込んだデータは、クラウド共通の費用データ仕様(FOCUS)に沿って正規化されます。
  3. 他クラウドなどの費用・推奨事項のデータも、変換して同じ場所へ取り込めます。
  4. ADX / Fabric のダッシュボード、Power BI のレポート、GitHub Copilot のエージェントから、同じデータを参照します。

FinOps hubs 自体はオープンソースですが、構築したストレージや ADX / Fabric などの費用がかかります。公式サイトでは、推定費用を月額120米ドル+監視対象の支出100万米ドルあたり月額10米ドルからと案内しています(2026年9月時点。構成・契約で変わります)。

GitHub Copilot を使うと、こんなこともできます

上の構成図にあるとおり、FinOps hubs のデータには GitHub Copilot のエージェントからも問い合わせできます。VS Code の GitHub Copilot(エージェント モード)に Azure MCP サーバーと、FinOps toolkit が配布している FinOps hubs 用の Copilot 向け指示ファイルを組み合わせると、「コストの高いリソース グループは?」「直近3か月で急に増えたサービスは?」といった質問に、自然な言葉で答えてもらえます。

VS Code で GitHub Copilot に作成を依頼した FinOps 月次コストレポートのプレビュー。当月コスト合計、対象テナント数・サブスクリプション数、データソース(ADX + Cost Management API)、エグゼクティブ サマリー、テナント別コスト概要が表示されている
GitHub Copilot に依頼して作成した、FinOps 月次コストレポートの例です。テナント ID はマスクしています。

この例では、2つのテナントの費用を集め、次のような月次レポートを Markdown で作成しています。

  • データソースを使い分けて集計: FinOps hubs(ADX)と Cost Management の REST API から、テナント・サブスクリプションをまたいで費用を集計
  • サマリーの自動作成: 当月の合計、テナント別の構成比、コスト上位のサービスが占める割合を、文章と表で整理
  • 作業の自動化: エクスポートの作成や再実行に使う PowerShell スクリプトも、Copilot と一緒に作成

公式ドキュメントでは、ほかにも次のような問い合わせ例が紹介されています。

FinOps の取り組み 質問の例
配賦 コストの高いリソース グループを教えて
レポートと分析 直近3か月で増加・減少が大きいサービスの上位5件を、変化率付きで表示して
異常管理 直近3か月で、普段と違うコストの急増はあった?
予測 今月コストの高いサブスクリプションについて、先月・今月・月末予測を表示して
単価の最適化 先月のコミットメント割引・契約割引による節約額と、有効節約率(ESR)を表示して

AI の回答は、FinOps hubs に取り込まれたデータと、与えた指示の範囲に限られます。 数値を報告に使うときは、Copilot が実行したクエリ(KQL)を表示させ、Data Explorer やコスト分析でも確認してください。データの参照には、Data Explorer のデータベースに対する閲覧者以上の権限が必要です。

8-5. 継続管理の確認例

  1. 前月から費用が増えたサービス・部門を確認する。
  2. 不要・過大なリソースの改善候補と、性能・可用性への影響を確認する。
  3. 予約/節約プランの使用率・未使用分と、予約でカバーできている割合を確認する。
  4. 次の更新・構成変更に合わせ、コミット量を見直す。
  5. AHB の資格・割り当て、ESU の期限、Marketplace の次回更新を確認する。

出典: FinOps の概要 / FinOps toolkit / FinOps hubs と稼働費用 / FinOps hubs(toolkit サイト) / FinOps hubs の AI エージェントの構成と使用 / Power BI reports

まとめ

  • 料金を見て、無駄を減らしてから割引を検討する。
  • Reservations はVM以外も含む予約、savings plans はCompute向け・Databases向けを区別する。約束する対象が異なり、月次払いでも短期契約ではない。
  • 2026年7月1日以降、一部の旧 VM シリーズでは RI を新規購入・更新できない。既存 RI の満了日を早めに確認する。
  • AHB は保有ライセンスの利用条件を確認して適用する。
  • ESU は期限付きのセキュリティ更新。製品ごとに料金と期限を確認する。
  • Marketplace は購入後の課金開始・更新・解約まで確認する。購入形態と必要なロールを先に確認し、使える製品を絞るならプライベート Marketplace を使う。
  • WAF/Policy で設計・ルールを整え、EA では契約側の設定で Marketplace・予約・節約プランの購入可否も決める。Cost Management/Advisor で実績と改善候補を確認する。
  • 予算は「決めた金額に対して」、異常検出は「普段の傾向に対して」見る仕組み。両方を併用し、アラート後はメーター単位まで掘り下げて原因を確認する。
  • FinOps はツール導入だけでなく、関係者で費用と価値を管理する取り組み。Microsoft Learn のトレーニングで基本を学び、FinOps on Azure のガイドで全体像をつかみ、FinOps アセスメントで優先課題を整理し、必要な実践を toolkit(GitHub Copilot との連携を含む)で補完する。
  • 購入した後も使用率とコストを確認し、使い切れないコミットメントを増やさない。

参考リンク

本記事は GitHub Copilot および Microsoft Foundry を活用して作成されています。ヒーローのイラストは画像生成モデル MAI-Image-2.6 で生成し、正式名称などの文字・レイアウトはローカルで合成しています。内容の正確性については各公式ドキュメントをご確認ください。

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