SPSS Statisticsによる生存分析①生命表
SPSS Statisticsによる生存分析②Kaplan-Meier
SPSS Statisticsによる生存分析③Cox回帰
SPSS Statisticsによる生存分析④時間依存のCox回帰
はじめに
■環境
Windows 10
SPSS Statistics 28.0.1
SPSS Advanced Statisticsオプション
■データ
製品同梱サンプルファイル pain_medical.sav
SPSS Statisticsの生存分析
生存分析とは、ある事象(イベント)が起こるまでの時間の長さに対する分析です。たとえば、患者の治療時間や生存期間、登録会員が退会するまでの期間、機械、システム、製品、部品の故障までの時間や寿命の長さ、またローン審査にかかる時間など分析することができます。これらのデータの特徴は時間の経過に伴い分析の対象が減少していく点にあります。患者の治療時間を扱う場合、治療完了のステータスになるとその患者のデータはその時点から対象から除かれます。また、何らかの事情で途中で治療を取りやめてしまった場合にもその患者のデータはその時点から対象から除かれます。このような「打ち切り」を含むデータを生存分析では扱うことができます。
生存分析分析のメニューは次の通りです。
それぞれのメニューの主な目的と概要です。
Kaplan-Meier
ここでは、Kaplan-Meier(カプランマイヤー法)を取り上げます。
このメニューの主な目的は、生存率曲線を求め、生存時間を群(グループ)間で比較をすることです。
手順は、[分析]メニュー>[生存分析]>[Kaplan-Meier]を選択します。
① 時間変数を[生存変数]に指定します。
② 状況や状態などを表す変数を[状態変数]に指定し、[事象の定義]で[状態変数]の事象(イベント)を表すコードを指定します。
③ 生存時間を比較(効果を評価)したい[因子変数]を指定します。
④ [因子の比較]ボタンをクリックして、[検定統計量]の[ログランク]、[Breslow]、[Tarone-Ware]を選択します。
⑤ [オプション]ボタンをクリックして、[作図]の[累積生存率]を選択します。
実行すると[生存率表]が1つのテーブル内で[新薬]と[既存薬]に分割されて出力されます。一部を抜粋してみます。このテーブルから薬が効果を発揮する時刻を見ることができます。
生存率曲線は、生存率表を視覚的に表したものです。横軸はイベントまでの時間を示します。このプロットでは、薬が患者に効果を発揮するたびに、生存率曲線が低下します。縦軸は生存確率です。したがって、生存率曲線上の任意の点は、特定の治療を受けている患者がその時点までに薬の効き目(効果)を得られていない可能性を示しています。新薬のプロットは、このテストの大部分を通じて既存薬のプロットより下にあり、新薬は既存薬よりも早く効き目がある可能性を示唆しています。これらの違いが偶然によるものかどうかを判断するには検定の結果を確認します。
[生存時間の平均値および中央値]テーブルは、新薬・既存薬の効果が発揮された時間の統計量です。信頼区間が重複しているので「平均」生存時間に大きな差があるとは考えにくいです。
[全体の比較]テーブルは検定結果です。どの検定手法でも有意確率が0.10 より大きいため、生存率曲線間の差を判断することはできませんでした。
さらに、ストラータ(層別)変数を追加することで、因子ごとのストラータごとの比較も可能です。
まとめ
SPSS Statistics生存分析のKaplan-Meireの主な機能を紹介しました。
参考