Amazon S3のストレージクラスに関する、ざっくりとしたまとめである。基本は公式ページに書いてあることをベースに説明する。
Amazon S3標準
基準となるのが、このストレージクラスである。
特徴
- 3以上のAZにまたがってデータを保存
- イレブンナインの耐久性
- 99.99%の可用性(SLA99.9%)
- 最低サイズの定めなし
- 最低保管期間の定めなし
- ミリ秒単位でアクセス可能
用途
一般的に、アクセス頻度が高いオブジェクトは、このストレージクラスで格納することをお勧めする。
Amazon S3 Express 1ゾーン
とにかく高速なアクセスがどうしても必要な場合、2023年11月に追加された、このストレージクラスを用いると良い。
特徴
- 1AZにデータを保存
- 1AZについてイレブンナインの耐久性
- 99.95%の可用性(SLA99.9%)
- 最低サイズの定めなし
- 最低保管期間1時間
- 1桁ミリ秒でアクセス可能
- S3標準より高価なストレージ料金
- 少量のデータであればS3標準より安価な取得・保存料金
用途
どうしても高速性能が必要な場合、検討すべきである
Amazon S3標準 - 低頻度(IA)
アクセス頻度が少ない(概ね月1回程度)場合、このストレージクラスが適しているとされる。
特徴
- 3以上のAZにまたがってデータを保存
- イレブンナインの耐久性
- 99.9%の可用性(SLA99%)
- 最低サイズ128KiB(これを下回る場合、128KiB扱いになる)
- 最低保管期間30日(30日以内に上書き・削除などを行った場合、30日分の費用が発生する)
- ミリ秒単位でアクセス可能
- S3標準より安価なストレージ料金と、高価な取得・保存料金
用途
月1回程度のアクセスを見込む、直近のログなどに用いると良い。
Amazon S3 1ゾーン - IA
S3標準 - IAと異なり、1ゾーンに保存する。
特徴
- 1AZにデータを保存
- 1AZについてイレブンナインの耐久性
- 99.5%の可用性(SLA99%)
- 最低サイズ128KiB(これを下回る場合、128KiB扱いになる)
- 最低保管期間30日(30日以内に上書き・削除などを行った場合、30日分の費用が発生する)
- ミリ秒単位でアクセス可能
- S3標準 - IAよりストレージ料金が安価
用途
月1回程度のアクセスを見込む、再生成が可能なデータの保存に用いると良い。
Amazon S3 Glacier Instant Retrieval
四半期に1度程度しかアクセスがないが、即時の取り出しが必要な場合に、これを用いると良いとされる。
特徴
- 3以上のAZにまたがってデータを保存
- イレブンナインの耐久性
- 99.9%の可用性(SLA99%)
- 最低サイズ128KiB(これを下回る場合、128KiB扱いになる)
- 最低保管期間90日(90日以内に上書き・削除などを行った場合、90日分の費用が発生する)
- ミリ秒単位でアクセス可能
- S3標準 - IAより安価なストレージ料金と、高価な取得・保存料金
用途
四半期に一度程度しかアクセスしない、ログの保存などに用いると良い。また、これより下のクラスになると、取り出しが時間がかかるようになるため、ほとんどアクセスがないが、瞬時のアクセスが必要な場合もこれ。
Amazon S3 Glacier Flexible Retrieval
1年に1回から2回程度しかアクセスせず、ある程度の待ち時間が許容される場合に、これを使うのが良いとされている。
特徴
- 3以上のAZにまたがってデータを保存
- イレブンナインの耐久性
- 99.99%の可用性(SLA99.9%)
- 保存時にS3標準の8KiBとこのクラスの32KiBが追加で付与される
- 最低保管期間90日(90日以内に上書き・削除などを行った場合、90日分の費用が発生する)
- ストレージ料金はS3 Glacier Instant Retrievalよりさらに安い
- 3種類の取り出し速度のオプションあり。取り出し後の取得はS3標準と同じ料金。保存コストは高い
- 迅速 - 高価だが、数分で取り出し可能
- 標準 - 安価に、数時間で取り出し可能
- 大容量 - 無料で、半日ほどで取り出し可能
用途
1年に1回程度のアクセスを見込む、数時間の取得ラグが許容されるログなどに適切。
Amazon S3 Glacier Deep Archive
ほとんどアクセスがないが、保存が必要なデータで、長時間の待ち時間が許容される場合に、これを使うのが良いとされている。
特徴
- 3以上のAZにまたがってデータを保存
- イレブンナインの耐久性
- 99.99%の可用性(SLA99.9%)
- 保存時にS3標準の8KiBとこのクラスの32KiBが追加で付与される
- 最低保管期間180日(180日以内に上書き・削除などを行った場合、180日分の費用が発生する)
- ストレージ料金はS3 Glacier Flexible Retrievalよりさらに安い
- 2種類の取り出し速度のオプションあり。取り出し後の取得はS3標準と同じ料金。保存コストは高い
- 標準 - そこそこの価格で、半日以内で取り出し可能
- 大容量 - 安価に、2日以内で取り出し可能
用途
法的な理由で保存が必要な、ほとんどアクセスすることがないログに適している。
Amazon S3 Intelligent-Tiering
アクセス頻度が不明な場合に、それをAWSが監視して、適宜ストレージクラスを移動してくれるクラスである。
特徴
- 3以上のAZにまたがってデータを保存
- イレブンナインの耐久性
- 99.9%の可用性(SLA99%)
- 最低サイズは実質128KiB(128KiB未満の場合、常に標準として扱う)
- 最低保存期間の定めなし
- アーカイブティアに落ちていない限り、ミリ秒単位でアクセス可能
- それぞれのクラスに応じた料金に加え、オブジェクトの監視料金がかかる
用途
アクセス頻度が全く読めないような場合に適している
まとめ
- とりあえずよくわからないならS3標準に入れておく
- サイズをある程度大きくまとめないと、下のクラスへ移すのは困難
- ログはライフライクルポリシーでどんどん下のクラスへ落とす