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LaTeXの環境構築 ~VSCodeでLaTeXを使いたいだけなのに TeX Liveの導入が必要なのは何故?~

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誰向けの記事か

  • VS Codeを利用して$\LaTeX$を利用したいが、環境構築ができていない人
  • VS Codeを利用して$\LaTeX$を利用したいのに、$\TeX$ Liveを導入しないといけない理由が分からない人

TeX Live は何故必要なのか

  • $\TeX$ Live の役割
    • $\TeX$ Liveは$\TeX$のディストリビューションである
  • ディストリビューションとは
    • 動作に必要な複数のソフトウェアのパッケージ(組み合わせ)
    • 配布用に構成されたソフトウェア群

TeX Live は専用エディタではなく、コンパイル等に必要なソフトウェアがまとめられたパッケージです。
そのため、VSCodeで LaTeX を利用したい場合も TeX Live が必要になります。

LaTeX Workshopとは何か

  • VS Codeに $\LaTeX$ の統合環境を構築する拡張機能
    • 予測変換が、使用可能になる
    • 数式が、マウスオーバーで確認可能になる
    • コンパイルのデフォルト設定を使用・変更できるようになる
      • デフォルト設定に応じて、tex形式のコードが保存される度、自動的にコンパイルされるようになる

TeXworks」と「LaTeX Workshop」は別物です。

「TeXworks」は専用エディタである為、VSCodeを使用してLaTeXを使用する場合には必要ありません。
しかし、「LaTeX Workshop、VS Codeで$\LaTeX$の統合環境を提供する拡張機能である為、こちらは必要です

「PATHを通す」とは何をしているか

  • 登録したパスをコマンドの検索対象にする

  • プログラム名のみで実行可能にすることを目的として行う
    • 絶対パスを記載せずに呼び出す事を可能にする
    • C:\texlive\2024\bin\windows\lualatex.exeと呼び出すところを、lualatexと呼び出すだけで実行できるようにしている
      PATHが正常に登録されたかを確認する
      • 絶対パスからlualatex.exeを起動している様子
      • 通したPATHからlualatex.exeを起動している様子

導入手順

TeX Liveの導入

インストールに2時間程度かかります

  1. install-tl-windows.exe をダウンロードする
  2. install-tl-windows.exe を実行する

  3. インストーラーが起動したら、Installが選択された状態でNext >を押す
    • 実際の動作画像TeX Liveのインストールの実際の動作画面の画像 InstallとUnpackの選択画面

  4. Installを押す
    • 実際の動作画像

  5. 展開が終わり、$\TeX$ Live インストーラーのウィンドウが表示されるまで待つ
    • 展開中のウィンドウの画像
    • TeX Live インストーラーのウィンドウの画像TeX Live インストーラーのウィンドウの画像

  6. TeX Live YYYYインストーラの設定が完了したらインストールを押す
    • TeXworksはTeX専用テキストエディタの為、必要ない場合はチェックを外す (詳細は[LaTeX Workshopとは何か] を参照)


  7. インストールが完了するまで2時間程度待つ
    • インストーラーの進捗状況を表示するウィンドウの画像インストーラーの進捗状況を表示するウィンドウの画像
    • インストール完了後のウィンドウの画像

  8. インストーラーのウィンドウを閉じる
    • 実際の動作画像

環境変数の設定 (PATHを通す)

この作業の意味は「PATHを通す」とは何をしているかの項に記載しています。

  1. win + Xキーを押す

  2. Nキーを押して設定画面を開く

  3. 検索バーにシステム環境変数の編集と入力し開く
    • 開いた時のウィンドウ

  4. Nキーを押し環境変数の設定を開く
    • 開いた時のウィンドウ

    手順3の時に環境変数を編集と入力していた場合、「システム環境変数」の編集は行えません

    環境変数を編集と入力していた時のウィンドウ

  5. 変数「Path」を選択し、編集を押す
    • ユーザー環境変数の「Path」とシステム環境変数の「Path」は、どちらでもよい
    • 違いは優先度であり、システム環境変数 > ユーザー環境変数となっている

  6. 実行ファイルがインストールされた場所のパスが存在しているか確認する
    • 実行ファイルがインストールされた場所のパスは、デフォルトではC:\texlive\YYYY\bin\windows
      (YYYYにはバージョンである年が入る)
    • パスが存在していた時の画像

  7. 6.でパスが存在していなかった場合、追加する
    1. 新規ボタンを押す
    2. 実行ファイルがインストールされた場所のパスを入力する
    3. "環境変数名の編集"ウィンドウを、[OK]ボタンを押して閉じる
    4. "環境変数"ウィンドウを、[OK]ボタンを押して閉じる
    5. "システムのプロパティウィンドウ"を、[OK]ボタンを押して閉じる

    OKボタンを押さなかった場合、編集が反映されません。

PATHが正常に登録されたかを確認する

  1. Win + Rキーを押す

  2. "ファイル名を指定して実行"のウィンドウが表示される
    • "ファイル名を指定して実行"のウィンドウの画像[ファイル名を指定して実行]のウィンドウの画像

  3. "名前"にlualatexと入力し、OKを押す
    • 入力した画像[ファイル名を指定して実行]のウィンドウのテキストボックスに、[lualatex]と入力している画像

  4. lualatex.exeが起動する
    • 正常に指定できており、起動できた場合の画像Pathを正常に指定できており、lualatex.exeが起動できた場合のウィンドウ
    • 正常に指定できず、起動できなかった場合の画像Pathを正常に指定できず、lualatex.exeを起動できなかった場合のウィンドウ

  5. lualatex.exeを終了する
    一連の動作画面lualatex.exeを終了させる一連の操作のgifアニメーション
    1. Ctrl + Zを入力する
    2. エンターを押す
    3. ウィンドウが閉じて終了する

VS Code側の環境構築を行う

LaTeX Workshopを導入する

導入する理由は、LaTeX Workshopとは何か を参照して下さい

  1. VS Codeの拡張機能で「``LaTeX Workshop``」を検索する (James-Yu作)VS Codeでlatex-workshopを検索しているスクリーンショット

  2. 導入する

LaTeX Workshopを設定する (LuaLaTeX をコンパイルのデフォルト設定にする)

  1. Ctrl + Shift + P を押す
  2. コマンドパレットから「``基本設定: ユーザー設定を開く (JSON)``」を実行する
  3. [settings.json]が開かれる
  4. 末尾にデフォルト設定を追加する
    • 追加する内容
          "latex-workshop.latex.tools": [
              {
                  "name": "latexmk",
                  "command": "latexmk",
                  "args": [
                      "-e",
                      "$lualatex=q/lualatex %O -synctex=1 -interaction=nonstopmode -file-line-error %S/",
                      "-e",
                      "$bibtex=q/bibtexu %O %B/",
                      "-e",
                      "$biber=q/biber %O --bblencoding=utf8 -u -U --output_safechars %B/",
                      "-e",
                      "$makeindex=q/upmendex %O -o %D %S/",
                      "-norc",
                      "-gg",
                      "-pdflua",
                      "%DOC%"
                  ]
              }
          ],
          "latex-workshop.latex.recipe.default": "latexmk",
          "latex-workshop.latex.autoBuild.run": "onSave"
      
    • 追加した様子

動作確認 (Hello, LaTeX!)

環境設定が正常にできているか、サンプルコードをコンパイルする事で、確認します。

  1. Hello.tex というファイルを作成する
  2. Hello.tex に以下のサンプルコードをコピーして貼り付ける
    \documentclass[a4paper, 11pt]{ltjarticle}
    \begin{document}
    こんにちは、\LaTeX!
    VSCodeで環境構築ができました。
    \end{document}
    
  3. VS Codeの自動保存が実行されるか、手動で保存(Ctrl + S)すると、自動的にコンパイルが実行されます
    • デフォルトで自動的にコンパイルされるが、settings.json"latex-workshop.latex.autoBuild.run": "onSave" を設定した理由は、自動的にコンパイルされる事を明示する為
    • Hello.pdf と 中間ファイルが生成されている
  4. VSCodeの右上にある「View LaTeX PDF」ボタン(虫眼鏡に紙のアイコン)をクリックするか、Ctrl + Alt + V を押します。
    • 正常に出力されたPDFがVSCode内でプレビューされます

まとめ

この記事では、VSCodeで$\LaTeX$を利用するために必要な、以下の環境構築ステップを解説しました。

  1. $\TeX$ Liveの導入: $\LaTeX$のコンパイルに必要な「本体(ディストリビューション)」をインストールした
  2. 環境変数(PATH)の設定: VSCode(やPC全体)が$\TeX$ Liveのコマンド(lualatexなど)をどこからでも呼び出せるように「通り道」を登録した
  3. LaTeX Workshopの導入と設定: VSCodeと$\TeX$ Liveを連携させ、保存時に自動コンパイル(PDF化)する設定を行った

そして、タイトルの疑問である「なぜVSCodeなのにTeX Liveが必要なのか?」の答えは、TeX Live はエディターではなくコンパイラ(PDF変換機)であり、逆に VS Code は エディター(文章作成ソフト)である為、VS Codeを使用して$\LaTeX$をPDFに変換するにはコンパイラであるTeX Liveが別途必要となるから」でした。


参考文献

ディストリビューション | 「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典

内容別参考ページ

導入方法

その他

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