Pathを通すとか、環境変数を設定するとか、
なんとなくでしか理解してなかったのですが、明確に理解すると、
コマンドを円滑に使えることのありがたみを感じるようになったので、まとめてみました。
実行環境
- OS: MacOS v10.13
- Terminal: iTerms
- Shell: zsh
Pathを通すとは
コマンドが格納されているPathを登録することです。
分かりにくいかもしれないので、詳しく記載します。
例えば、下記の2つは同じ動作をします。
$ pwd
$ /bin/pwd
これは、 /bin
というPathが通されている時に成り立ちます。
$ pwd
を実行することで、 $ /bin/pwd
を実行するように設定する、
これが、Pathを通すと同義なのです。
極端に言えば、Pathなんて通さなくていいんです。
毎回、コマンドを打つ時は、
$ /bin/pwd
$ /bin/date
などのように打てばいいんです。
でも、面倒くさいですよね。w
スマートにコマンドを打てるようにするために、Pathを通しているのです。
通っているPathを確認
通っているPathは、echoコマンドで確認できます。
$ echo $PATH
/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
:
は区切りの意味。縦に並び替えてみます。
/usr/local/bin
/usr/bin
/bin
/usr/sbin
/sbin
各Pathの中身を確認してみます。※本当はもっと長いので、...で一部省略。
$ ls /usr/local/bin
bin-proxy heroku sandbox-pod
brew htmldiff terminal-notifier
bundle httpclient tig
...
$ ls /usr/bin
2to3- httpdstat.d profiles
2to3-2.7 ibtool prove
AssetCacheLocatorUtil iconutil prove5.18
AssetCacheManagerUtil iconv psed
AssetCacheTetheratorUtil ictool psed5.18
BuildStrings id pstopdf
CpMac idle pstruct
DeRez idle2.7 pstruct5.18
GetFileInfo idlj ptar
...
$ ls /bin
[ cp df expr launchctl mkdir pwd sleep test
bash csh domainname hostname link mv rm stty unlink
cat date echo kill ln pax rmdir sync wait4path
chmod dd ed ksh ls ps sh tcsh zsh
$ ls /usr/sbin
AppleFileServer disktool newsyslog slapconfig
BootCacheControl diskutil nfs4mapid slapdn
DevToolsSecurity distnoted nlcontrol slapindex
DirectoryService dnctl notifyd slappasswd
FileStatsAgent dnsextd ntpd slapschema
KernelEventAgent dot_clean ntpdate slaptest
NetBootClientStatus dsconfigad ntpdc smbd
...
$ ls /sbin
apfs_hfs_convert fsck_hfs kextunload mount_exfat newfs_apfs quotacheck
autodiskmount fsck_msdos launchd mount_fdesc newfs_exfat reboot
disklabel fsck_udf md5 mount_ftp newfs_hfs route
...
たくさん出てきました。これら全てがコマンドなんです。
知らないコマンドだらけで焦りますね。w
Pathの設定・追加
exportコマンドを利用します。
Pathを /xxx/bin
だけにしたい場合、
$ export PATH=/xxx/bin
とすれば、Pathは /xxx/bin
だけに上書きされます。
Pathに /xxx/bin
を追加したい場合は、
$ export PATH=/xxx/bin:$PATH
となります。間違えてPath追加しようと思って、
上を書いてしまったことがある方いるのではないでしょうか。
既に設定されているPathを全消しするケースはほぼないと思うので、
上記間違えないように気をつけましょう。
Pathの取り消し
Pathを全消ししたい場合(ほぼないと思いますが)、
$ unset PATH
で消えます。
Pathの優先順位
同じコマンドが2つ以上あった場合、
下記で一番左、今回であれば /usr/local/bin
が優先されます。
$ echo $PATH
/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
つまりたとえば、 /usr/local/bin/hage
と /bin/hage
が2つ存在する場合、
$ hage
で実行されるのは /usr/local/bin/hage
となります。
コマンドの格納パスを探す
コマンドの格納パスは、whichコマンドで探すことができます。
$ which vi
/usr/bin/vi
環境変数とは
環境変数とは何なのか。一言で言うと、Terminal環境内における変数です。
往々にして、PCの環境についての変数です。
printenv
というコマンドを打ってみます。
環境変数 Environment Variable
をprintするという意味ですね。
※private情報なので、一部抜粋。
PWD=/Users/fuwamaki
SHELL=/bin/zsh
PATH=/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
COLORTERM=truecolor
HOME=/Users/fuwamaki
USER=fuwamaki
LOGNAME=fuwamaki
ZSH=/Users/fuwamaki/.oh-my-zsh
PAGER=less
LESS=-R
LC_CTYPE=en_US.UTF-8
LSCOLORS=Gxfxcxdxbxegedabagacad
_=/usr/bin/printenv
PC環境内の変数一覧が表示されました。
-
USER
という環境変数のvalueがfuwamaki
-
PWD
という環境変数のvalueが/Users/fuwamaki
という意味です。
環境変数はPCそれぞれでデフォルトでいくつか定義されていますが、
もちろんカスタマイズすることもできます。
自分の場合、シェルとしてzshを利用しているので、
SHELL=/bin/zsh
に設定しています。
環境変数とPath
上記に PATH=/usr/local/bin:/usr/bin:/bin:/usr/sbin:/sbin
という記載があります。
つまり、 Pathは環境変数のうちの1つ です。
環境変数の設定
環境変数の設定はPath同様、exportコマンドを利用します。
環境変数SAMPLE
に値fuwa
を追加するには下記を実行します。
$ export SAMPLE="fuwa"
環境変数の更新
元々環境変数SAMPLE="fuwa"
が設定されていたとします。その時、
$ export SAMPLE="fuwafuwa"
を実行すると、環境変数SAMPLE
の値がfuwafuwa
に更新されます。
環境変数を表示するexportコマンド
環境変数を表示するコマンドは $ printenv
と先ほど記載しましたが、
$ export -p
も環境変数を表示します。
$ export -p
は厳密に言えば、exportで設定された環境変数です。
そのためシェル変数(後述)がある場合など、微妙に両者の結果は異なることがあります。
環境変数が消えてしまう?
環境変数を追加したのに、消えたことってないでしょうか?
exportで操作した環境変数は、設定したTerminalでだけにしか反映されません。
Terminalを再起動したり、別タブでTerminalを開いたりすると、
新しいTerminalの方には、exportで追加した環境変数はいません。
つまりexportコマンドは、exportするTerminalの環境変数を操作しているだけです。
PC自体の環境変数を操作しているわけではないのです。
永続的な環境変数を設定する
Terminalを立ち上げた時に、該当の環境変数が設定されていれば良いですよね。
Terminal立ち上げ時に実行されるファイルに、
exportで環境変数を追加する処理を加えれば良いです。
シェルの設定ファイル、今回の場合であれば.zshrc
に処理を加えます。
.zshrc
はターミナル立ち上げ時に必ず読み込まれます。
bashを利用している方は、bash_profile
や.bashrc
が相当します。
下記を.zshrc
ファイルの中に追加で記載します。
export SAMPLE="fuwa"
.zshrc
ファイルが読み込まれないといけないので、
Terminalを再起動します。
または、再起動せずにsourceコマンドで.zshrc
を読み込んでも良いです。
$ source ~/.zshrc
Terminal立ち上げ時に上記のexport行が必ず読み込まれるので、
永続的な環境変数を設定できたことになります。
シェル変数
環境変数と似たようなもので、シェル変数というものがあります。
シェル変数とは、現在実行中のシェルだけで有効な変数です。
シェル変数の追加
exportのような、シェル変数を操作する用のコマンドはありません。
シェル変数SAMPLE
に値fuwa
を追加するには下記を実行します。
$ SAMPLE="fuwa"
シェル変数が追加されたかどうかを確認しましょう。
echoコマンドを利用します。
$ echo $SAMPLE
fuwa
$
を必ずつけてください。これでシェル変数の追加ができました。
シェル変数を環境変数にする
シェル変数SAMPLEを事前に設定しておけば、
$ export SAMPLE
とすれば、SAMPLEは環境変数になります。
シェル変数と環境変数の違い
- シェル変数: 現在実行中のシェルだけで有効な変数
- 環境変数: シェルから実行したコマンドにも引き継がれる変数
です。これを具体的に説明するには、
親プロセスと子プロセスの説明が必要なので、詳しくは別記事にします。
コマンドまとめ
今回特に紹介したかったコマンドを下記にまとめます。
$ printenv #環境変数の一覧を表示
$ export -p #exportした変数の一覧を表示
$ echo [message] #messageの内容表示
$ echo $[環境変数] #環境変数のvalueを表示
$ which [コマンド] #コマンドの格納パスを表示
$ export [環境変数]=[value] #環境変数にvalueを設定
$ [シェル変数]=[value] #シェル変数にvalueを設定
$ export [シェル変数] #シェル変数を環境変数に設定
$ unset [変数] #変数の設定を取り消し
$ source [ファイル] #ファイルを読み込む