🏁 導入
Power Platform を使って業務を自動化・効率化している企業で、
最近じわじわ増えている問い合わせがあります。
それが 「AI Builder を使っていただけのはずなのに、Copilot クレジットが気づいたら減っている」 という問題。
これは実は仕様で、
AI Builder の容量を使い切ると、自動的に Copilot クレジットに切り替えて処理を継続する
という挙動が裏で走っています。
知らないと コスト予測のズレ、見えない消費、想定外の課金 に直結するため、
管理者にとってはかなり重要なポイントです。

🎯 結論
AI Builder の上限に達すると処理が止まるわけではなく、
Power Platform Copilot クレジットを裏側で消費しながら“継続実行”される仕様になっている。
つまり、
- AI Builder のつもりで使っていた
- でも実際には Copilot クレジットが減っていた
という事象が普通に起きる。
これが“知られていないコストリスク”になっています。
🔧 解決策(実務的対応 & 管理手順)
1. 使用量の確認場所は必ず「両方」見る
Power Platform 管理センター
→ リソース
→ 容量
確認すべきは次の2つ:
- AI Builder capacity
- Power Platform Copilot クレジット
どちらか片方だけ見ていると消費の正体に気づけない。
2. 実務で特に起こりやすいシナリオ
■ 大量の紙書類や請求書の読み取り自動化
フォーム認識(AI Builder)を毎日・大量に回す業務では、
AI Builder の容量はすぐ枯渇しやすい。
枯渇後 → Copilot クレジットが裏で高速消費される。
■ 画像認識を含む Power Automate のバックオフィス処理
例:
- 商品画像を分類して SharePoint に振り分け
- 写真から設備異常を検知
- 顧客ID付き画像をファイル整理
画像解析ステップは全部 AI Builder扱いだが、
上限を超えても止まらず Copilot クレジットを削って継続される。
■ Dataverse 外での文章生成・要約
Power Automate や Copilot Studio で文章を自動生成する処理は、
AI Builder モデルを使うパターンも多い。
「生成AIの利用量はAI Builder側だろう」と思っていると、
実は Copilot クレジットのほうが激しく消費されている ケースがある。
■ チャットボット(Q&A)による社内問い合わせ自動化
Copilot Studio のチャットボットに
- 文書検索
- 回答生成
- 補足文作成
などをさせると、裏側では生成AIを何度も呼び出すため、
クレジット消費が見えづらくなる。
3. 運用・回避策
- 月初に残量を見て“消費カレンダー”をつける
- AI Builder の利用が多い処理は優先度を整理する
- 大量バッチ処理は夜間にまとめず、小分けにして検証
- フロー内に「どのAIステップで何をしているか」を明記
- プロダクト部門には必ずこの仕様を説明して承認を取る
📈 結果 / 効果
この仕様を理解して運用に取り入れると…
- 想定外のクレジット消費が激減する
- 予算計画が立てやすくなる
- 現場の AI 活用スピードを落とさずに安全運用できる
- 管理センターの見える化が改善され、問い合わせ対応が早くなる
バックオフィス業務からカスタマーサポート部門まで、どの部署でもメリットが大きい。
📝 学び・まとめ
- AI Builder が上限に達すると Copilot クレジットに自動切替
- 画像解析・文書解析・生成AI・チャット処理は特に消費しやすい
- 実務システムの“隠れたコスト”になりやすい
- 管理者は必ず 両方のクレジット残量を継続監視すること
- 運用ルールと説明体制を整えると事故を防げる
🚀 次のステップ(読者が今日できる行動)
- 自社環境の AI Builder / Copilot クレジット残量を確認
- 大量処理のフローを洗い出し、AI利用ステップを可視化
- 担当部門に「切り替え仕様」を説明しておく
- 重要フローほど“どのAI機能を使っているか”コメントを書く
- クレジット消費のピーク時間帯があればログで確認
“研修やハッカソン”以外でも、
日常業務の中にこの仕様の落とし穴は潜んでいます。
管理者がこの知識を持っているだけで、システム運用の安定性は劇的に変わります。