WiFi
Wi-Fi
切り分けリスト

WiFi が不安定なときの確認事項(自宅・オフィス編)

ソフトウェア・エンジニアのための Wi-Fi 切り分けリスト

「WiFi の調子が悪い」(通信はできるものの遅かったり、反応がない)と言われたときの「●●を試してどうか」の切り分けと、解決した場合の直った理由(考えられる原因)のリストです。

思い出したら適宜追加して行きますが、追加項目・修正事項があればコメントでなく「編集リクエスト」で送ってくださーい。

注意するポイント

  • ハード面

    1. 電圧(の不足)
    2. 発熱(による熱暴走)
    3. 電源の極性(コンセントの向き)
    4. 電源ノイズ(によるパケット落ち)
    5. 複数のアクセスポイント(各々アクセスポイント名が異り遠くの AP につながったまま)
    6. 2.4GHz 帯(の機器が多く混雑している)
    7. WiFi 規格混在(による 802.11b/g/n/a/ac アンテナの奪い合い)
  • ソフト面

    1. IP アドレス(DHCP と固定 IP で奪い合い)
    2. バッファ容量(通信機器のメモリにゴミが溜まる ∴ 要再起動)
    3. ファームウエア(要アップデートの再起動待ちによるメモリ不足)
    4. データの流れ(WAN 側からのアクセス過多はないか)
    5. 名前解決(DNS か Bonjour か)

疑うポイント

  1. 熱暴走していないかを疑う
  2. 熱暴走によりメモリにゴミデータが溜まりバッファ容量が減っていることを疑う(∴ 再起動が必要)
  3. 機器でなく、配線やコンセントの電源系統を疑う
  4. ノイズが入ることでパケット落ちしている可能性を疑う(WiFiは電源ノイズが大敵
  5. 交流でもコンセントには挿す向きがある
  6. 機器側にも挿す向きがある
  7. LED照明と可変照明を疑う(そもそも LED はノイズを発して発光するため)
  8. タコ足すると本体の温度が上がる(∴ 熱暴走しやすくなる)

便利なポイント

  1. Android 持ちなら WiFi Analyzer 系のアプリがチャンネル干渉や電波強度のチェックに便利
  2. テスターがあればコンセントや電源の極性を簡単にチェックできるので便利

WiFi やネットワークの設定に翻弄される前に、まずは電源の極性を正確に合わせること、電圧の変化やノイズの多い機器と電源を一緒にしないことで「これらの懸念事項を先に潰しておく」ことをおすすめします。

知っておくと助かる基礎知識

電源の極性

直流のプラス、マイナスと同じように、交流電源にも極性があります。ホットとコールドです。ホットが電力会社から流れてくる方で、コールドが地面に接地して逃す方です。そのため、コールド側をアース(Earth)やグラウンドとも呼ばれます。

厳密にはコールド、アース、グラウンドは違うのですが、一般ユーザーとして必要なのは「逃げる側」つまり「どちらがアース側か」を意識するだけで電波系の精密機械は安定性が増すので知っておきたいポイントです。(我々ソフトウェアエンジニアには「どちらが IN で、どちらが OUT か」と流れで捉えると良いかもしれません)

AC 電源(交流)は学校で習ったように、どちらの向きでも動きます。しかし、パソコンや WiFi ルーターなどの精密機器は直流で動いていることを忘れてはいけません。

想定していた向きと違う場合に ACアダプタよしなに処理してくれているだけで、この時、電流の流れ(方向)を無理やり変えているためノイズが発生します。潮の流れが変わると波が立つのと同じで、流れどころに迷ったエネルギーがノイズになるのです。

また、電圧が大きく変化すると、流れが切り替わった際のノイズも強くなります。これも波と同じです。電子レンジの電源タップなどと併用すると顕著です。

そのため、コンセントと機器のアース側を合わせるだけで電流の流れがスムーズになるのでノイズが減る、という理屈です。「逆流させないための配線やコンセント向き」を考えると良いと思います。

コンセント側の極性(ジャック、凹)

機器側の極性(プラグ、凸)

  • ケーブルに白い線や文字が印字されている方がアースです。
  • 2本飛び出ているプラグのうち「C」「N」「G」「W」の文字が「○」や「△」で根元に書かれている方がアースです。(Cold, Neutral, Ground, White)
  • 2本飛び出ているプラグのうち、片方の先端が大きくなっている方がアースです。
  • 2本飛び出ているプラグのうち、アース線が飛び出ている方がアースです。
  • 3本飛び出ているプラグのうち、1本だけハブにされているのがアースです。

AC アダプタから直接電源プラグが飛び出ているタイプは判断が難しく、私自身簡単も見極められる方法を見い出せていません。プラグが直接出ているのでケーブルの白線などのようには判断できず、大抵は2本のプラグの形状も同じで、根元のマークもないからです。テスターを使うにしても注意書きに「+」(プラス)や「ー」(マイナス)が書かれた極性記号の「◇」(菱形)「○」(丸型)の違いでも異なるため、AC アダプタの場合は挿す向きを逆にしてどうかというモヤモヤした判断になります。(簡単な判断方法をご存知の方がいらしたら是非情報求む!)

電源ノイズ

どのような機器がノイズをハッスルしてるかの簡単な見極めは以下の2つです。

  1. 電極を激しく切り替えているか(モーターなど)
  2. 電圧を激しく上げ下げしているか(CPU や電子レンジ、冷蔵庫など)

WiFi が電源ノイズや電波ノイズに弱いと言われる一番の原因はノイズによってパケット・データが壊れるからです。

これは、先述の「電源の極性」でもあった流れが変わることによる波立ちがノイズになるからです。これらの要素がある機器とは別の系統からネットワーク機器の電源を取ることをおすすめします。

電子レンジや冷蔵庫は有名なのですが、実はパソコンも電源ノイズを多く発しています。ファンのモーターや CPU など全部盛りだからです。パソコン内部では、それらのノイズを踏まえた設計をしているのですが、外部に流れ出る電流に乗ったノイズまでは面倒を見ない、と行ったところでしょうか。

ノイズによるパケット落ち

パケット・データは、LAN ケーブル内では電圧の高い・低いを「オン」「オフ」の信号として流れるため、ノイズが入ることで、データのバイナリ(0/1)の並びが変わってしまいチェックサム(パケットのハッシュ値)が合わなくなります。

これによりデータが壊れたとみなされ、パケットの再送が発生します。TCP/IP はパケットが壊れることを前提としているので、パケットの再送自体は、ちょっとした程度であれば問題がないのですが、継続してノイズが出ていると、パケットの再送が増えるぶん他のパケットのスペースが減ります。これが電源ノイズによるパケット落ちです。

電波も同様に特定周波数(速度)で「オン」「オフ」を繰り返した信号なのですが、同じ周波数でノイズが発生するとチェックサムがわずデータが壊れてしまうのです。

つまり、「何がノイズを発しているのか」「どこでノイズを拾っているのか」を見極めるのが大事なポイントとなります。

建設業者の電気屋さんに配線を頼んでいる場合の注意点(壁裏・床下の LAN 配線)

LAN 配線やマルチコンセントの LAN くちなどの弱電工事は(知識があれば)誰でもできるのですが、電源コンセントなどの(100V 以上の)強電工事は資格がないと違法になるため、知識があっても電気屋さんに施工をお願いする必要があります。しかし、電気屋さんは電子屋さんではないため、ルーターなどの精密機械に関する要件は工事前にきちんと確認する必要があります。

LAN ケーブルの種類

壁裏・床下・マルチコンセントといった交換が難しい LAN 配線は事前の注意が必要です。

オフィスや新築物件など、ギガビットイーサーと指定してもスイッチング・ハブだけギガビットにしてケーブルは Cat5(頑張ってCat5e)が使われたり、ギガ指定しても「Cat5eでもギガでるから」と(Cat6 より安く要件も網羅できると)判断して Cat5e のケーブルを平気で使うところが多いので注意しましょう。ギガといった速度指定ではなくケーブルの種類で注文しましょう。一度配線してしまうと 5 ~ 10 年はそのケーブル速度のままなので、しつこいくらい Cat6 以上と言った方がいいです。

ネットワーク機器の放熱

設置される場所によってスイッチング・ハブやルーターの発熱には注意が必要です。

天井裏(点検口内)・弱電盤などの閉鎖空間に設置する場合は、スイッチング・ハブにはメタル筐体の指定をおすすめします。これは、オフィスの弱電盤内や天井裏は一般家庭に比べ熱が篭りやすく、安いプラスチック筐体が使われていると放熱性が悪いため誤動作を起こすことが多くあります。メタル筐体の方が放熱性が良くオフィスにおいては安定性は高いです。

設置エリア内の電源

点検口、屋根裏や弱電盤に引いてもらう電源のコンセントくちの個数と電源系統には注意が必要です。

これらの放置されやすい場所にコンセントくちを多く設置することを電気屋さんは好みません。埃による火事を恐れるためです。そのため、予め言われた機器の台数+1台程度のコンセントくちが用意されます。ONU(終端装置)、ルーター、ハブ、WiFiアンテナ、NAS など、設置する可能性のある機器を十分検討しましょう。後出しジャンケンすると、タコ足配線せざるを得ない結果になります。タコ足は機器の発熱を招きます。
 また、新築であった場合、もしくは可能な場合、キッチン(給湯室)やエアコン類とは別の電源の系統を使うように指定しましょう。電源ノイズはパケット落ちを招きます。

コンセントのアースの配線

アースくち(コンセントのくちが大きいほう)に、きちんとアースが配線されていない、つまり電源の配線が逆の場合がまれによくあるので注意が必要です。

コンセントは交流であるため、どちら向きでも動いてしまうので気付きづらいポイントです。アースを合わせないと電源ノイズが発生しやすくなり、一般の電気機器は大丈夫でも(特に電波系の)電子機器はノイズにすこぶる弱いため、パケット落ちを招きます。ユーザーが挿す向きを変えれば良いだけなのですが、予め注意しておかないと、アースの向きが重要なユーザーである旨が電気屋さんに伝わりません。電気屋さんからすると、ユーザーが右利きか左利きか程度の認識だからです。
 自分でもアースくちはどちらか簡単に確認できるので、一般家庭でもチェックして自分でマーク付けなどを付けておくと便利です。コンセントと機器のアースを合わせるところ(ハード面)から原因を潰して行くと切り分けが楽になっていきます。

基本(最初の切り分け)

特定クライアントのみの現象であるか

原因
  • 同一機種の中で特定の端末のみの場合は、OS やアプリのアップデート、端末の熱暴走、電圧不足を疑う
  • 特定機種のみの場合は、機器の相性(iOS と旧タイプの BUFFALO の組み合わせなど)を疑う
  • 他のクライアントと設定の違いを疑う(DNSを変更していないか、など)

WiFi ルーター(以下AP)を再起動してどうか

原因
  • ルーターの自動アップデート後、うまく再起動/反映されなかった
  • 他の AP と WiFi のチャンネルが干渉していた
  • 複数モバイル端末からの残骸があった
    • メモリ・オーバーフロー(動画などの通信データのカスがメモリに溜まっていた)
    • DHCP の空きIPがなかった(Webカメラなど同一端末に複数IPが振られることがある。ゴースト・クライアント)
    • 熱暴走していた(すぐに再発する可能性大)
    • 電源ノイズなどによりバグっていた(不定期に再発する可能性大)
    • 電圧不足によりバグっていた(不定期に再発する可能性大)

AP のファームウェアアップデート → 再起動してどうか

原因
  • ルーターにパッチがあたっていなかった(アプリケーションの相性不具合)
  • セキュリティ・パッチがあたっておらず、クライアント・アプリケーションがネゴシエーションにタイムアウトしていた

ONU → ルーター → AP の順に再起動してどうか

原因
  • グローバルIPに外部からのアクセスが大量にあった
  • いずれかの機器がバグっていた
  • いずれかの機器が熱暴走していた(すぐに再発する可能性大)

どこかの LAN ケーブルが挟まっていたり噛んでいないか確認してどうか

原因
  • ドアに挟まって皮一枚で繋がっている LAN ケーブルでも、銅線が一本でもつながっていれば遅いながらも通信できたりするので注意

電源関連の切り分け

LAN ケーブルと電源ケーブルを束ねていたら離してみてどうか

原因
  • 束ねたことにより磁場が発生しノイズを拾っていた。
    • どうしても束ねる必要がある場合、シールド付きの LAN ケーブルにするか、アルミ箔シールドのチューブを検討する。配線のしなおしは大変だが LAN ケーブルにアルミ箔を巻いて、スパイラルチューブで固定しても割と効果がある。アース付きコンセント(ネジでアースを止めるタイプ)の場合はアルミ箔を接触させ逃すのも手。その場合、感電注意。

コンセントに直刺ししてどうか(タコ足配線しないでどうか)

原因
  • 容量を食う機器があるなどで、電圧が下がり動作が不安定&発熱している
  • 電源ノイズの多い機器が繋がっている

電源コンセントの挿す向きを左右逆に挿してどうか

原因
  • 機器のノイズはアース(グラウンド)に流れていくため、アースの向きが異なると動作はするもののノイズが逆流してくるものがある。

電源タップに挿さっているコンセントのアースの向きを統一してどうか

原因
  • 他の機器からの電源ノイズによりパケット落ち、もしくはチップの誤作動が発生している可能性がある
    • 向きの合わせ方
      • コンセントくちや電源プラグを見ると片方だけ大きかったり、根元にマークが付いているので同じ向きに合わせる。より正確にはテスターを使う方法があるが、ここでは割愛。

他の電源系列から電源を供給してどうか

原因
  • 同系列の電源系統に電子レンジ、冷蔵庫、空調、LED照明などがあり、ノイズを拾ってきてしまっている
  • 電圧が下がっている

ちょっと時間や作業が必要な切り分け

時間帯によってクライアント数が増えていないか

原因
  • 同じ瞬間の同時接続の台数を超えているため、セッションの取り合いがおきています
    • WiFi ルータの接続数には「瞬間同時接続数」「接続可能台数」「接続登録台数」の3つがあります。
    • マニュアルには接続可能数が記載されていますが、DHCPで割り当てられる台数であったりするので注意。
      一般的に民間機の AP の場合は同じ瞬間に接続できる台数は5〜6台が大半です。ノート + iPhone + iPad + Amazon Fire + Alexa がある場合、端末が1〜2台増えるとセッションの取り合いが発生し(体感的に)不安定になります。その場合は、同機種の AP を増やして、①同じ SSID、②同じパスワード、③異なるチャンネルに設定して増設することをおすすめします。

他のメーカーのWiFiデバイス(クライアント)で試してどうか

原因
  • iOS 端末でのみ再現される場合
    • WiFiルーターのセキュリティ認証を変えてみる
    • OS のアップデートをしてみる
    • DHCP でクライアントの MAC アドレスを登録し IP を固定してみる

HUB やルーターを室外/設置エリアから出してどうか

原因
  • おそらく熱暴走しています。空気がこもらない工夫を考えてください。

HUB やLAN ケーブルを Cat6 以上に交換してどうか(できれば●ギガビット対応のもの)

原因
  • 動画などのストリーム系のデータが増え、パケット詰まりしていた
  • LAN ケーブルが劣化していた
  • LAN ケーブルが電源ケーブルと平行に束ねられてい(てノイズが発生してい)た

マルチコンセント(壁)のLANくちを使わずルーターから AP に別途 LAN を引っ張ってきてどうか

原因
  • 壁内 LAN ケーブルが劣化していた
  • 壁内 LAN ケーブルが電源ケーブルと平行に束ねられてい(てノイズが発生してい)た

WiFiの周波数を 2.4GHz → 5GHz のみに固定してどうか

原因
  • 同一(2.4GHz)周波数帯の他のデバイスの電波やノイズと干渉していた
    ※電波法では、機器が発するノイズの周波数にも規制があり、その中で 2.4GHz 帯は規制が緩いため、この帯域にノイズを発生する機器は多く存在する。(電子レンジ、空調、LED照明、可変照明など)

すでに 5GHz の場合、チャンネルを 34〜48 ch内に固定してどうか

原因
  • チャンネルの自動切り替わりにより気象レーダーを検知してDFS(Dynamic Frequency Selection)機能が働いた
    • 自動設定により AP が空きチャンネルに切り替わった際、空きチャンネルが W53/W65 と呼ばれる 52〜140ch の間のチャンネル帯であった場合、気象レーダーと干渉しないか監視を行うため 1 分以上通信できなくなる。その際にクライアントが他の AP を探しに行ってしまうなど、体感的に不安定に感じてしまう。

複数アクセスポイント(AP)がある場合

各 AP のチャンネルが重ならないように変更してどうか

原因
  • チャンネルが重なっていたため、チャンネル間で干渉していた

各 AP 間の距離を離してしてどうか

原因
  • お互いの電波が強く干渉しあっていた。
    • スペースの問題から離して置けない場合、苦肉の策としてダンボールにアルミ箔を貼って、AP の間に置くだけでも効果がある。

各 AP のチャンネルが被らないようにし SSID とパスワードを統一してどうか

原因
  • 電波の弱い AP (SSID)を掴んだままなため、パケット落ちしている
    • 「HOME-1F」「HOME-2F」などエリアごとに AP の SSID を分けている場合、移動してもクライアントは少しでも繋がる場合は、接続を離さず繋げようとするので、同じ SSID+パスワード であれば、手近の電波の強い AP につなげてくれる。


所感

何故かハードも得意と誤解されがちなソフトウェア・エンジニア。

「パソコン得意なんだろ」という理由だけで、WiFi ルーターの設置をさせられ、「不安定だ」とクレームを受け、出向作業が何故かヘルプデスクになってしまい作業が進まない、でも「知ってる」けど「知らないと言えない」世知辛い IT フリーランサーのためのチェック事項です。