複数の材料を組み合わせて製品を作るとき、どの材料をどのくらい配合すれば、評価の高い製品になるのでしょうか。
配合比率だけでなく、製造時の温度なども結果に影響する場合、検討すべき組み合わせはさらに増えますが、すべての条件を実験して確かめるには手間と時間がかかってしまいます。
このようなときに、統計ソフト「JMP(ジャンプ)」の「三角図」を使えば、データから傾向をつかんで有望な条件を絞り込む手がかりになります。
今回は、JMPのサンプルデータ「Fish Patty.jmp」を使い、3種類の魚の配合比率と焼成温度によって、パティの食感の評価がどのように変化するかを三角図で確認します。
3種類の材料の配合を三角図で表す
材料(今回のデータでは、「ボラ」「タイ」「ニベ」の3種類)の配合比率は、合計が常に100%になります。そのため、2つの成分の割合が決まれば、残りの1つは、100%から2つの成分の割合の合計を引いた値として決まります。たとえば、ボラが30%、タイが50%なら、ニベは20%(100%−30%−50%)です。
このようなデータを仮に、二次元の「散布図」で表そうとすると、2つの成分は軸にできるものの、残りの1つについては軸として出てきません。
他方、三角図ならば3つの比率を、1枚の2次元の図で、どの成分も同じ扱いで表すことが可能です。
三角図では、三角形の3つの頂点が、それぞれ1種類の材料を100%使用した状態を表します。辺上は2種類の材料を組み合わせた状態、内部は3種類を混合した状態です。
JMPの三角図では、配合比率を三角形上の位置で表し、予測式などの数式を含む列を指定すると、その値の等高線を三角形に重ねて表示でき、塗りつぶすと、色の分布で示せます。
予測式が示す配合比率と予測値の関係を、三角形の中の色の分布から、視覚的に捉えられます。他の条件(温度など)がある場合は、スライダーで値を指定した状態の分布が表示されます。
[JMPで描いた三角図]
JMPで三角図を作成する
ここでは、JMPのサンプルデータ「Fish Patty.jmp」を使い、配合比率に応じた食感の予測評価を表す三角図を作成します。
手順1:サンプルデータを開く
JMPのメニューから[ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Fish Patty.jmp」を開きます。
このデータには、魚の配合比率を示す「ボラ」「タイ」「ニベ」の列、焼成温度を示す「温度」の列、実験で得られた食感の評価を示す「評価」の列などが含まれています。
また、「予測評価」列には、魚の配合比率と焼成温度をもとに食感の評価を予測する、応答曲面モデルの予測式が設定されています。
手順2:三角図を作成する
上のメニューから「グラフ」>「三角図」を選択します。
列の一覧から「ボラ」「タイ」「ニベ」を選択し、「X, プロット」をクリックします。続いて「予測評価」を選択して「等高線の計算式」をクリックし、「OK」を押します。
すると、新たなウィンドウで三角図が表示されます。
手順3:予測評価を色で表示する
作成された三角図の赤い三角ボタンをクリックし、「等高線間を塗りつぶす」>「上を塗りつぶす」を選択します。
これで、配合比率に応じた予測評価が色で表現されます。
[温度を400°Fに設定した三角図]
今回の表示では、赤系の領域ほど予測評価が高く、青系の領域ほど低いことを示しています。灰色は、その中間にあたる領域です。右側の凡例で、各色に対応する予測評価の範囲を確認できます。
また、配色は好みのものに変更できます。三角図の赤い三角ボタンから「カラーテーマ...」を選択して、さまざまなグラデーションを選択できます。
手順4:温度を変えて比較する
次に、三角図の下に表示される「温度」のスライダーを操作し、温度をサンプルデータの測定値である375°F、425°Fにそれぞれ設定して、色の分布の変化を比較してみましょう。
このように、配合比率を表す三角図と温度スライダーを組み合わせることで、温度が変わったときに、どのような配合で高い評価が予測されるかを調べられます。
・375°Fでは、タイとボラの組み合わせに加え、ボラを主体とした配合にも注目
まず、温度を375°Fに設定した三角図を見てみましょう。
赤系の領域は、三角形の上部から左辺に沿って広がっています。この部分は、タイとボラの割合が高く、ニベの割合が低い配合に相当します。
タイ100%の頂点も赤系で示されているため、375°Fでは、タイを主体とする配合や、タイとボラを組み合わせてニベを少なめにした配合が、高い予測評価につながる候補と考えられます。
また、三角形の下辺にも赤系の領域が見られます。下辺ではタイの割合がゼロとなり、ボラとニベの2種類を組み合わせることになります。この領域からは、タイを使わない場合でも、ボラを比較的多く含む配合に検討の余地がありそうです。
一方、三角形の右側には青系の領域が広がっています。特にニベを多く含む配合では、予測評価が低い傾向が見られます。
つまり、375°Fでは、タイとボラを組み合わせてニベを少なくする配合に加え、タイをあまり使わずにボラを多く含む別の配合も候補になりそうです。
ただし、赤い領域の中でも評価には違いがあり、最も高い評価が得られる配合を特定するには、予測値を数値で確認する必要があります。
・425°Fでは、高評価が予測される配合の範囲が変わる
次に、温度を425°Fに設定してみます。
375°Fの図と比べると、赤系の領域の広がりが変化しています。375°Fでは、タイ100%の頂点を含めて上部から左辺にかけて赤系の領域が広がっていましたが、425°Fでは、頂点付近は灰色になり、赤系の領域は主に左辺に沿った範囲に見られます。
この変化から、425°Fでは、タイ100%という配合よりも、タイとボラを組み合わせ、ニベを少なめにした配合に高い予測評価が期待できる可能性が考えられます。
375°Fで高評価が予測された配合が、温度を上げても同じように高い評価になるとは限らないことがわかります。
下辺の色の分布にも違いがあります。375°Fでは、ボラとニベを組み合わせる下辺に比較的広い赤系の領域が見られましたが、425°Fでは、その領域が大幅に小さくなって(ほとんどなくなって)います。
したがって、375°Fで候補になったボラとニベの組み合わせを、そのまま425°Fでも有望と判断するのは適切ではなさそうです。
・実験した温度以外の予測もスライダーで確認
実験で評価を測ったのは、375°Fと425°Fの2つの温度だけです。ただし、「予測評価」の列には予測式が含まれているため、スライダーを動かせば、これ以外の温度についても、予測評価の分布を表示できます。この画面では、約322.54°Fから約477.46°Fまで動かせました。
たとえば、2つの温度の間(400°Fなど)に合わせると、実験していない温度での予測を確認できます。
ただし、表示されているのは測定値ではなく、予測式から計算した値です。特に、375°F〜425°Fの外側は、実験した範囲を延ばした予測なので、傾向の目安として見て、確かめるには追加の実験が必要です。
三角図から得た仮説を、次の実験につなげる
JMPの三角図の利点は、最適な条件をインタラクティブかつ視覚的に捉え、次に検証する条件を考える手がかりを得られることです。
材料の組み合わせが結果に影響する製品開発や工程改善でも、こうした可視化は条件の探索に役立つはずです。
ぜひ今回の記事をもとに、手持ちのデータでも試してみてください!

