GuGuGuです。
今回は、聴覚障害があるエンジニアが現場で直面する「舐められる」という現実について、正直に書いてみたいと思います。
正直、書くかどうか迷いました。
でも、こういう話こそ書かないといけないと思ったんです。これからの若い世代のためにも。
ちなみに、おっさんはデフエンジニアの会のメンバーでもあります。
この会の説明記事を読んだとき、
「スキルのアップデートが難しい環境があるのに、それを理解されないまま、スキルを低く見られてしまう」
「いくら勉強して力をつけたとしても、聴者(=聴こえる人)からは『聴こえない』というだけで低く見られることがある」
という部分に、ものすごく共感したんです。
「これ、おっさんが感じてることそのものじゃん」 と思って、すぐに参加を決めました。
今回の記事は、そういう経験を踏まえて書いています。
■ 聞こえないエンジニアは「できない人」扱いされやすい
結論から言うと、
聞こえないというだけで、
「技術力がない」「仕事ができない」
と勝手に判断されることが、本当に多い。
おっさんは10年以上エンジニアをやっていますが、
初対面の客先や同僚に、こういう態度を取られることがしょっちゅうあります。
- 説明が異常に丁寧(子供に話すような感じ)
- 最初から期待されていない空気
- 重要な仕事を任されない
- 「大丈夫?できる?」と何度も確認される
- 「なんでこの人が来たの?舐めてんの?」と言われる
いやいや、聞こえないだけで頭が悪いわけじゃないんだけど。
でもこれが現実なんです。
■ 客先でのトラブル例(実話)
ここからは、おっさんが実際に経験した客先でのトラブルを書きます。
(トラブル例1)客先で「通訳つけてください」と言われた
ある案件で客先常駐することになったとき、
事前に挨拶メールを送ったときに「聞こえない」ということを説明したら、
客先の担当者からはこう返ってきました。
「GuuGuuGuu さんが来るときは通訳の方をつけていただけますか?
じゃないとコミュニケーションが取れないと思うので」
いや、待って。
おっさん、チャットも使えるし、メールも書けるし、
画面共有しながら説明もできるんだけど。
それを伝えると、
「でもやっぱり聞こえない人に話しても分からないでしょ?」
と、おっさんを見る前から判断された。
まだ会ったこともないのに???
(トラブル例2)トラブル対応で「音声で指示できないからダメ」と文句を言われた
あるとき、システムに不具合が出て緊急対応が必要になりました。
おっさんはすぐにログを確認して原因を特定し、
修正方法を共有しました。
でも客先の担当者が言ったのがこれ。
「文字でのやりとりはちょっと大変だから、
次からは別の人にお願いしてもいいですか?」
いやいやいや。
おっさん、30分で原因特定して修正案出したんですけど。
結果を出せても音声じゃないからダメと判断されたんです。
でも実際は、
文字でやり取りした方が正確だし、記録も残るし、むしろ効率的なんですよ。
それに悪いけど、同じチームメンバーからは「これはぼくらにはちょっと難しいかも。グーグーグーさんじゃないと無理だと思うから、お願い!行ってきて!」と言われて行ったんですよ。
それを理解してもらえず、
「音声じゃないとダメ」というだけで判断される。
これが本当に悔しかった。じゃ、もうやんねーよ。これ元に戻して帰ろうか?と思ったくらいです。(しませんでしたけどね。)
(トラブル例3)「聞こえないのに、よくエンジニアやってますね」と言われた
これは本当にあった話です。
ある客先で、初めて会った担当者に自己紹介をしたとき、
「へー、聞こえないのに、よくエンジニアやってますね」
と言われました。
いや、おっさん10年以上この道のエンジニアやってるんだけど。
でも相手は悪気なく言っているんです。
むしろ「すごいね」のつもりで言っている。
でもこれ、裏を返せば
「聞こえない人はエンジニアに向いていない」
「聞こえない人がそんな仕事できるわけがない」
という前提があるから出てくる言葉なんですよね。
おっさんは笑顔で「ありがとうございます」と返しましたが、
内心は 「何がすごいんだよ、普通に仕事してるだけだよ」 と思っていました。
■ 同僚からの見下し(これも実話)
客先だけじゃなく、同じ会社の同僚からも舐められることがありました。
(見下し例1)「GuuGuuGuu さんには簡単な仕事を任せよう」
ある案件のキックオフミーティングで、
タスク分担をしていたときのこと。
リーダーがこう言いました。
「GuuGuuGuu さんには、コミュニケーションが少ない単純作業を任せましょう」
いや、待って。
おっさん、設計もできるし、複雑なロジックも書けるんだけど。
むしろ他メンバーに教えることもあるけど?
でも 「聞こえない=コミュニケーションが取れない=簡単な仕事しかできない」
という思い込みで判断された。
おっさんは 「いや、設計もできますよ」 と伝えましたが、
「いや、でも会議とかあるし…」 と言われて結局、単純作業を任されました。
これが本当に悔しかった。
こういうことが積み重なるとスキルを磨くことも難しいし、経験も積めなくなるんだよな・・。
そしてやる気がなくなって転職・・・なんだよな。分かってんのかなー?
(見下し例2)「GuuGuuGuu さんは会議に出なくていいよ」
ある案件で、週次の進捗会議がありました。
おっさんも参加するつもりでいたのですが、
リーダーから 「GuuGuuGuu さんは会議に出なくていいよ。後で議事録送るから」 と言われました。
いや、おっさんも参加したいんだけど。
でもリーダーは 「会議は音声中心だから、GuuGuuGuu さんには負担だと思って」 と言ってきました。
配慮のつもりで言っているんだろうけど、これは完全に排除です。
おっさんは 「文字起こしツール使えば参加できます」 と伝えましたが、
「でも準備が大変だし…」 と言われて結局、参加できませんでした。
配慮という名の排除。
これが一番大嫌い。
(見下し例3)「GuuGuuGuu さんがいると会議が長くなるから」
これは本当に言われた言葉です。
ある案件で、緊急の打ち合わせが必要になったとき、
同僚がこう言いました。
「GuuGuuGuuさんがいると文字起こしの準備とか必要だし、他のメンバーもGuuGuuGuuさんに合わせて話すとかあるから、会議が長くなるんですよね。
今回は急ぎなので、GuuGuuGuuさん抜きでやりましょう。あとで議事録送るんでそれ見てください。」
いや、おっさん邪魔者扱いかよ。
でもこれが現実なんです。
音声中心の文化では、
聞こえない人がいるだけで 「手間」「負担」 と思われるんです。
おっさんは怒り心頭。ゆでダコになりました。
結局その会議の内容は議事録でしか分からないのであとあと色々とズレまくって・・・。
(見下し例4)「文字で書いたのに何で伝わらないんだ!」と逆ギレされた
これも本当にあった話です。
ある案件で、同僚とチャットでやり取りをしていたときのこと。
同僚が文字で説明してくれたんですが、
文章で何を言っているのか全く理解できなかった。
例えば、
「さっきの話で前に言ったあれで進めといて。よろしく」
みたいな感じ。
いや、「さっきの話」って何?「前に言ったあれ」って何?
おっさんは丁寧に、
「すみません、もう少し具体的に教えていただけますか?」
と聞き返しました。
そしたら同僚がこう言ってきた。
「いや、文字で書いたじゃないですか。何で伝わらないんですか?」
は???
いやいやいや。
あなたが文字を書くことに慣れていないから、伝わる文章になっていないんですけど。
でも相手は 「文字で書いたのに伝わらないGuuGuuGuu さんが悪い」 と思っている。
「聞こえない人には文字で書いてって言われたから文字で書いたのに!」 とか。
逆ギレかよ。
音声だと、
・声のトーン
・前後の文脈
・指差し
・表情
などで補完できるから、多少雑な説明でも伝わることがあるらしいです。
でも文字だと、正確に書かないと伝わらない。
こちらは文字を見たまんま情報を得るので。
それを理解せずに、
「文字で書いたんだからそのまま伝わるはず」
と思い込んでいる人が本当に多い。
そして伝わらないと、
「聞こえない人は理解力が低い」
と思われる。
いや、あなたの文章力の問題なんですけど。
でも、ちょっと待ってほしい
ここで、おっさんが本当に言いたいことがあります。
音声でのコミュニケーションだって、何度もすり合わせが必要じゃないですか?
例えば、
聞こえる同士でも、会議で何度も確認し合ったり、
実際に会って話してやっと認識が一致したり、
「あれ、そういう意味だったんですか?」みたいなことは日常茶飯事でしょう。
それなのに、文字でのやり取りで何度かすり合わせが必要になると、
「やはり聞こえないから意思疎通が難しいんですね」
って言われるんですよ。
は?何それ?
音声でも何度もすり合わせするのに、
文字で何度かすり合わせすると「聞こえないからやっぱり駄目かなぁ」って言われる。
それこそ見下しじゃないのか?
聞こえる人同士のコミュニケーションだって完璧じゃないのに、
文字でのコミュニケーションだけ「一発で伝わらないとダメ」みたいな基準を押し付けられる。
そして伝わらないと「聞こえないから」という理由にされる。
違うだろ。
コミュニケーションってそもそも、何度もすり合わせるものなんだよ。
それを、文字だと「聞こえないから」という理由にされるのが、
本当に腹立たしい。
ほんと、ばかみたいな話です。
むしろ聞こえる人ってなんでこんななの?と思ってしまいます。(おっと)
それに、聞こえる人は、普段から声でやり取りしているので、
文字でのやりとりに慣れていない人が多いんですよね。
LINEでやり取りもあるけど、それと仕事は別だし…。
ってなわけで、おっさんから見ても、
聞こえない人相手に文字で説明することが難しい人は本当に多い。
「ああ、この人文字での説明に慣れていない人だなー」
と思って、こちらから
「これは〇〇ですか?」
と確認してカバーすることもしょっちゅう。
でも聞こえる人は、「自分が文字で説明することに慣れていない」ことに気づいていない。
聞こえない人は自分で
「自分は聞こえないからこういうことが苦手だ、こうしてほしい」
など色々と考えて動けるのに、
聞こえる人は
「自分は聞こえるから大丈夫」
と思って自分を見つめなおすこともしない。
それどころか、聞こえない人を下に見て「聞こえないから悪い」と思って接してくる。
これ、厄介です。
いつもいつも「自分は聞こえるから間違ってるはずがない」と思っている。
本当に気づいてほしいと思います。まったく。
聞こえる人もわが身を振り返ってほしい。
■ もし相手が外国人だったら同じことをする?と言いたい
ここからは、おっさんが本当に言いたいことです。
もし相手が外国人エンジニアだったら、同じことをするのか?
例えば、
日本語が話せない外国人エンジニアが来たとき、
「日本語が話せないから簡単な仕事しかできない」
「日本語が話せないから会議に出なくていい」
「日本語が話せないから時間がかかる」
と言いますか?
言わないでしょう。
むしろ、
- 英語で会議をする
- 翻訳ツールを使う
- ドキュメントを英語で書く
など、相手に合わせる努力をするはずです。
でも、聞こえない人に対しては、
「音声が使えないから仕方ない」
「配慮するのが大変だから」
「話せない人は日本語も難しいだろうし仕事もできないだろう」
と言って、排除する。
これ、おかしくないですか?
外国人には配慮するのに、
聞こえない人には配慮しない。
これは明らかに 差別 だと思います。
ダブルスタンダードって言葉知ってる?と声を大にして言いたい。
聞こえない人を頭が悪い人、何もできない人扱いしないでほしい。
さらに言うと、同じ聴覚障害者を比較しての差別がある
ここで、もう一つ言いたいことがあります。
周囲の人の、声が出せる難聴者と文字でやり取りする人への扱いが、全然違うんです。
例えば、
声が出せて、ある程度音声でのコミュニケーションができる難聴者は、
「この人は仕事ができる」
「普通にコミュニケーションが取れる」
と思いがち。
(配慮が要らないから)会議にもどんどん参加して!と言ってる人もいる。
でも、声が出せなくて文字でやり取りする人は、
「この人は仕事ができない」
「重要な仕事は任せられない」
と思いがち。
そして(配慮が大変だし、日本語もきっとわからないだろうから)会議には参加しなくていいよ、と言ってくる。
これって差別じゃね?
同じ聴覚障害者なのに、
音声ができるかどうかで評価が変わる。
技術力は関係ないのに、
コミュニケーション手段だけで判断される。
おっさんは声を大にして言いたい。
「音声が使えるかどうかと、仕事ができるかどうかは別問題だろ」
でも現実は、
音声が使えない=仕事ができない
という偏見がある。
これは明らかに差別です。
おっさんはさらに声を大にして言いたい。
「もし相手が外国人だったら同じことをするのか?」
「音声が使えないだけで仕事ができないと判断するのは差別じゃないのか?」
そして、さらにさらに声を大にして言いたい。
聞こえない人たちがこれを読んで「それならやはり声ができる方が良いのかな」と思うのは違う!
声ができるかできないかは関係なく!どんな人でも平等に働けることが大事!
■ 解決方法(おっさんなりの答え)
ここまで散々愚痴を書いてきましたが、
最後に解決方法を書いておきます。(長くなった)
(解決方法1)最初から「できること・できないこと」を明確に伝える
おっさんが学んだのは、
最初から自分の能力を明確に伝えることです。
- 音声は使えないけど、チャットとメールは使える
- 文字起こしツールがあれば会議に参加できる
- 設計もコーディングもできる
- むしろ文字でやり取りした方が記録が残って正確
これを最初に伝えることで、
「できない人」扱いされることが減ります。
(解決方法2)仕事ができるできない以前に、環境が整えば力を発揮できる
ここで、おっさんが本当に言いたいことがあります。
「実績を見せれば認められる」という考え方は、実は間違っていると思うんです。
なぜなら、それは
「仕事ができる人だけが尊重される」
「仕事ができない人は差別されても仕方ない」
という前提になってしまうから。
それは違う。
おっさんが本当に言いたいのは、
仕事ができるできない以前に、周囲の理解やスムーズなコミュニケーションがあれば、聞こえない人も力を発揮できることがある
ということです。
例えば、
・会議を文字で進める
・チャットで丁寧にやり取りする
・文字起こしツールを導入する
・「音声じゃないとダメ」という固定観念を捨てる
こういう環境が整っていれば、
聞こえない人も普通に仕事ができるんです。
逆に言えば、
環境が整っていないから力を発揮できないだけ、という人もいる。
それなのに、
「聞こえないから仕事ができない」
と判断されるのは、完全に間違っています。
おっさんは転職を繰り返してきましたが、
理解のある環境に入ったとき、
「ああ、おっさんって普通に仕事できるんだな」
と思いました。
それまでは、
・会議についていけない
・情報が入ってこない
・孤立する
・周りからもバカにされる
という状況で、
「おっさんって仕事できないのかな…」
と自信を失っていました。
でも、違ったんです。
環境が整っていなかっただけ。
だから、
「実績を見せて認められる」という考え方ではなく、
「環境を整えれば力を発揮できる人もいる」という考え方が大事
だと思っています。
そして、その環境を作るのは、
聞こえない人だけの責任ではなく、周囲の人たちの責任でもある
と思っています。
(解決方法3)強気でいく
おっさんは最近、強気でいくことにしました。
「音声じゃないとダメ」 と言われたら、
「文字でやった方が記録が残って正確ですよ」 と返す。
「会議に出なくていい」 と言われたら、
「いや、おっさんも参加します。文字起こしツール使います。おっさんも一緒に考えて意見を言いたい!」 と言う。
「簡単な仕事しかできない」 と言われたら、
「いや、設計もコーディングもできますよ。今までの経験はこれこれです。やらせてください」 と言う。
遠慮しても何も変わらない。
だから強気でいく。もう遠慮しない。
(解決方法4)理解のある環境を選ぶ
最後に、これが一番大事だと思います。
理解のない環境では、どれだけ頑張っても報われない。
おっさんは転職を繰り返してきましたが、
理解のある会社に出会えたときは、本当に楽でした。
- 最初から文字でやり取りしてくれる
- 文字起こしツールを会社が導入してくれる
- 「聞こえない=できない」と思わない
こういう環境を選ぶことが、一番大事です。
もし今の環境が辛いなら、
転職を検討するのもありだと思います。
おっさんも、何度も転職してきましたが、
最終的には理解のある環境に出会えてよかったと思っています。
(でもまだまだ足りないけどね)
■ まとめ:聞こえないエンジニアは舐められる。でも、それを変えられるのは自分だ。
聞こえないエンジニアは、舐められることが多いです。
これは現実です。
でも、
環境が整えば、聞こえない人も力を発揮できます。
そして、強気で自分の必要な配慮を伝えていけば、状況は変わります。
そして、
理解のある環境を選べば、もっと楽になります。
おっさんは、これからも強気でいきます。
聞こえないからって、舐めんなよ。