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SESの現場SEだからこそ身につく7つのスキルとリアルな苦労

Last updated at Posted at 2025-12-06

SES常駐SEとして「現場でしか経験できないこと」をまとめてみた

SESで現場常駐していると、

  • 自社メンバーとは働き方が違う
  • 受託開発とも全然違う
  • 転職サイトの説明とも違う

みたいな、「やってみないと分からない世界」が結構あります。

この記事では、SESの現場SEだからこそ経験できることを、できるだけポジ・ネガ両面からまとめます。

本記事は、特定の企業や現場を批判する意図はありません。
筆者が経験した「あるあるネタ」をベースにしており、
これからSESを検討する方・すでに携わっている方の参考になれば幸いです。

また、企業や現場によって文化や活動、運用ルールは大きく異なります。
ここに記載している内容はあくまで一例であり、すべてのSES現場に
当てはまるものではない点をご承知ください。


1. 仕様書より「現場ルール」で動く世界

SESで常駐すると、まずぶつかるのがこれです。

  • 仕様書はあるけど、現実と合っていない
  • 最新の仕様は議事録やメール、そして口頭だけ
  • 「これ、どこに書いてありますか?」への答えが
    →「○○さんに聞いて」「あのフォルダにあるはず」

現場あるある

  • 口頭仕様が正義
    -「このボタン、押しちゃダメです。理由は…昔いろいろあって…」
  • Excelの”運用マニュアル”がバージョン26くらいまである
  • 暗黙ルールが多すぎて、1ヶ月たっても新しいルールが出てくる

ここで身につくスキル

  • 情報がバラバラでもパズルのように組み立てる力
  • ドキュメントがなくても、実画面・ログ・履歴から仕様を逆算する力
  • 「とりあえず聞くべき人」を素早く見つける探索能力

2. 多重請負ならではの「立ち位置ゲーム」

SES現場は、だいたいこんな構造になりがちです。

エンドユーザー → 元請け → 一次請け → … → 自社 → 自分

この中で自分のポジションを見誤ると、めちゃくちゃ疲れます。

ありがちなシーン

  • 立場的には作業者扱いだが、実質リーダー役になっている
  • 「仕様決めには参加できないけど、決まった仕様の矛盾は自分に跳ねてくる」
  • 他社メンバーと一緒に作業しているが、
    それぞれの契約範囲が違うので、どこまでやるかの線引きが難しい

ここで身につくスキル

  • 「自分の守備範囲」を柔軟に変えるバッファ力
  • 立場が違う相手と話すための言葉の選び方
  • 「それは契約的に難しいですが、代わりに○○ならできます」という
    落としどころの提案力

3. 現場ごとに違う「文化」に適応する力

SESの特徴は、現場を変えるたびに文化もガラッと変わることです。

  • ドキュメント命の現場
  • Slackで雑に決まっていく現場
  • メール+Excel文化で10年以上続いている現場
  • そもそも開発よりも保守・運用が主役の現場

最初の数週間でやること

  • 「この現場は何が最優先か」を観察する
    • 品質?スピード?コスト?政治力?(←意外と重要)
  • 評価されるのは技術力なのか、報連相なのか、残業時間なのか
  • 発言に一番重みを持つのは
    -立場なのか
    -年次なのか
    -スキルなのか

ここで身につくスキル

  • 短期間で現場の暗黙の価値観を読み取る力
  • 「この人の一言が現場を動かす」というキーパーソン察知力
  • 自分のスタイルを現場に合わせてチューニングする柔軟性

4. エンドユーザーに近いからこその「泥臭い調整」

SESの現場SEは、ユーザーと距離が近いポジションに入るケースも多いです。

  • ユーザー部門からの「ちょっとしたお願い」が直接飛んでくる
  • 「これ、すぐ直せる?」が意外と全然すぐじゃない
  • 逆に、ちょっとしたSQLバッチ修正で喜んでもらえることも多い

よくあるやりとり(イメージ)

ユーザー: 「この項目、1つ増やせない?」
自分: 「画面項目だけなら簡単そうですが、
 マスタ・帳票・インタフェースも影響しそうなので確認させてください」

ユーザーは画面の見た目だけをイメージしていますが、
実際は裏側の影響範囲が広く、それを説明して納得してもらうのが現場SEの腕の見せ所です。

ここで身につくスキル

  • 技術用語を使わずに影響範囲を説明する翻訳力
  • 「すぐできそう」と言われたときに、
    一度飲み込んで冷静に工数を見積もるブレーキ力
  • ユーザーと開発側の間で、期待値を調整する交渉力

5. 突発障害と「誰も知らないシステム」との戦い

保守・運用メインの現場だと、突発障害対応は日常です。

  • 「○○のシステムが動かない!」の第一報が自分に来る
  • 作った人も設計者もすでにいない
  • ドキュメントは古く、ログだけが真実を語っている

障害対応のリアル

  • 夜間・早朝の電話:「○○が動いてないです!」
  • ログを必死に追いながら、
    「ユーザーへの影響範囲」「応急措置」「恒久対応」を整理
  • 報告書では、原因と対策を分かりやすく文章化しないといけない

ここで身につくスキル

  • 「原因特定80%、応急対応20%」みたいな優先度の切り替え
  • ログからシステムの構造を逆算するリバースエンジニアリング力
  • 障害時にパニックになっている周囲に対して、
    一旦状況を整理して伝えるファシリテーション力

6. 自社と現場の間で揺れる「帰属意識」とキャリア観

SES常駐SEならではの悩みもあります。

  • 毎日一緒にいるのは常駐先のメンバー → 自社の人とは疎遠になりがち
  • 実績や評価は現場で出している → でも評価するのは自社
  • スキルアップの方向性も、現場の要望に引っ張られる

よくあるモヤモヤ

  • 「自分のキャリアは、この現場の延長線上でいいのか?」
  • 「現場では重宝されているけど、市場価値としてどうなんだろう?」
  • 「最新技術より、レガシー運用のスキルばかり上がっていく…」

ここで考えるようになること

  • 自分の中で
    -「現場で求められるスキル」
    -「自分が伸ばしたいスキル」
    を分けて考える
  • 現場での経験を「ただの作業」ではなく、
    「転職で語れる実績」 に翻訳してストックしておく

7. SES現場SEとして生き残るためのマインドセット

最後に、現場SEとして役に立つマインドをいくつか。

① 技術だけじゃなく「現場理解」もスキルとしてカウントする

  • ドメイン知識(業務知識)
  • 現場文化の理解
  • 関係者との信頼関係

これらは転職時にも十分アピール材料になります。

② 1つの現場で完結させず、経験を「汎用化」する

  • 「この現場では○○だった」を
    どの現場でも通用する○○のやり方」に抽象化しておく
  • 例:
    -障害対応 → 「ログを読み解くフロー」「切り分けのコツ」
    -ユーザー調整 → 「要望を仕様に落とすヒアリングの型」

③ 現場に合わせつつ、自分の軸も持つ

  • 「現場のやり方」に合わせるのは大事
    でも、自分の中の
    -コード品質
    -ドキュメントの残し方
    -コミュニケーションスタイル
    などの最低ラインは決めておく

おわりに

SESの現場SEは、華やかな最新技術よりも、泥臭い現場対応が多いポジションです。

ただ、その中で身につく

  • ドメイン知識
  • 調整力
  • 障害対応力
  • 立ち位置を見極める力

は、どんな環境に行っても活きる「現場力」だと思います。

もしあなたもSESの現場SEとして働いているなら、
「ただの作業」ではなく、自分の武器がどこにあるかを意識してみると、
少し見える景色が変わるかもしれません。


以上、SESの現場SEならではの「現場でしか経験できないこと」のまとめでした。
「こんなのもあるよ!」というのがあれば、コメントで教えてもらえるとうれしいです。

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