2024/08/27 に IBM から AD24-0665 として「特定のプログラムの販売終了およびサポート終了:IBM Backup, Recovery and Media Services for i (non-expiring version)、IBM CICS Transaction Server for i、IBM i サービス プロバイダー月次ライセンス」が発表されています。
今回の PowerVS IBM i 日記は、この影響について考えていきます。
なお、EOM は End of Market で販売の終了、EOS は End of Support でサポート終了のことです。
5770-BR1 Backup Recovery and Media Services (永続ライセンス)
BRMS の永続ライセンス版の 5770-BR1 の EOM/EOS が発表されました。
- EOM: 2025/01/01
- EOS: 2025/09/30
それ以降も、5770-BR1 をお使いの場合、使用法と既知の不具合に対するサポートは提供されますが、新規の修正である PTF は作成されません。
後継は、サブスクリプションライセンスで提供される「5770-BR2 Backup Recovery and Media Services」です。AD23-0531 で 2024/01/09 に発表されました。
この時点で、IBM i 7.3 以前は EOS 済みのため、5770-BR2 は、IBM i 7.4 以降の対応になります。
BR1 と BR2 では LPP 番号が異なります。PTF 番号も異なります。BR1 の EOS 後、BR2 向けに作られた PTF は BR1 には適用できません。
一方、ライブラリーは QBRM、QUSRBRM のままです。LPP 番号以外のコード自体は同じようです。
BR2 への移行方法
移行方法のガイドは IBM のサイトではなく Fortra のサイトにありました。
私は、これを見つけられませんでした。POWER の TechSales の方に教えてもらいました。
Fortra は旧 HelpSystems で、そこから社名変更した会社のようです。
移行手順はこちらです。
ざっくりと説明すると、このような手順になるようです。
- 念のため「SAVLIB LIB(QUSRBRM)」でユーザーデータをバックアップ
- 「SEVSEVDTA」で Functional Usage 情報をバックアップ
- 「DLTLICPGM LICPGM(5770BR1) OPTION(*ALL)」で BR1 の削除
- 注意: QUSRBRM は削除しないこと!
- QUSRBRM のファイルに、ユーザー作成の従属ファイルが無いことを確認(あれば削除)
- 「DLTLICPGM LICPGM(5770BR2)」で BR2 の導入
- BRMS の PTF の適用
PowerVS IBM i では、まだ BR2 は利用できません
BR2 の PowerVS への追加は調整中とのことでした。 BR2 が EOS になるまでには、利用可能になるはずです。
情報が得られれば、更新します。
IBM CICS Transaction Server for i (5770-DFH)
IBM i (5770-SS1)の機能としてエンタイトルメントされています。そのため特定の EOM 日はありません。
- EOS: 2025/09/30
EOS後は、こちらも 使用法と既知の不具合に対するサポートは提供されます。
新規の不具合に対して PTF は作成されませんが、現在の CICS 関連の機能をそのまま使い続けることは可能です。十分に枯れた製品のため、実質的には、それで問題はないのかもしれません。
特定の後継製品があるわけではありません。
移行先は IBM i のネイティブ・オプション (CL コマンド、Rest API、またはその他のカスタム・アプリケーションなど)になります。
発表レターでは HiComp などが移行サービスを提供しているそうです。
PowerVS 上でご利用いただいていた場合でも、もし、ご利用であれば同様の影響を受けます。
IBM i サービスプロバイダー月間ライセンス (5770-MS1、 5770-MP1、 5770-MR1、 5770-MH1、 5770-MC1、5770-MSE)
こちらは、以前より IBM i を独自 Cloud で提供するサービスプロバイダー向けに、IBM i とその関連ソフトウェアを、月次ライセンスで提供しているものです。
ライセンスの契約方法だけの話で、導入ソフトウェアや機能の話ではありません。そのため EOS はありません。
- EOM: 2025/09/30
後継は、一般のお客様にも利用可能になった IBM i サブスクリプション・ターム・ライセンスです。
もともと PowerVS IBM i は時間課金であり、こちらの EOM は PowerVS IBM i のご利用には影響しません。
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