Claude認定資格は4つある
Anthropicの公式認定資格は、2026年8月時点で4つ提供されています。
| 資格 | 対象 | 価格 | 設問数 | ドメイン数 |
|---|---|---|---|---|
| CCAO-F(Associate – Foundations) | 非技術職 | $99 | 60 | 7 |
| CCDV-F(Developer – Foundations) | 開発者 | $125 | 53 | 8 |
| CCAR-F(Architect – Foundations) | ソリューションアーキテクト | $125 | 60 | 5 |
| CCAR-P(Architect – Professional) | エンタープライズアーキテクト | $175 | 63 | 7 |
役割の軸が Associate(使う人)/ Developer(作る人)/ Architect(決める人)の3系統あり、Architectだけ Foundations と Professional の2段階に分かれています。
今回はこのうち、ソリューションアーキテクト向けの CCAR-F の出題範囲を、公式試験ガイド(全39ページ)をもとに詳しく見ていきます。2026年3月12日にリリースされた、このプログラム最初の資格です。
この試験には、他の3資格にない大きな構造上の特徴があります。そこから見ていきます。
本記事の内容は Anthropic 公式の Exam Guide に基づいています(2026年8月時点)。
出題される「6つのシナリオ」が公開されている
CCAR-Fはシナリオベースの試験です。しかも公式ガイドにこう書かれています。
Exam structure: 4 scenarios drawn from a bank of 6
6つのシナリオのバンクから4つがランダムに出題される構造です。そして、その6つ全部が公式ガイドに記載されています。
| # | シナリオ | 主要ドメイン |
|---|---|---|
| 1 | カスタマーサポート解決エージェント | D1 / D2 / D5 |
| 2 | Claude Codeによるコード生成 | D3 / D5 |
| 3 | マルチエージェント調査システム | D1 / D2 / D5 |
| 4 | Claudeによる開発者生産性ツール | D2 / D3 / D1 |
| 5 | Claude Code の CI/CD 組み込み | D3 / D4 |
| 6 | 構造化データ抽出 | D4 / D5 |
各シナリオの内容も具体的です。
シナリオ1: カスタマーサポート解決エージェント
Claude Agent SDK を使い、返品・請求の紛争・アカウント問題といった曖昧性の高い依頼を処理する。バックエンドには MCP ツール(get_customer, lookup_order, process_refund, escalate_to_human)でアクセス。初回接触での解決率80%以上を目標としつつ、いつエスカレーションすべきかを判断する。
シナリオ2: Claude Codeによるコード生成
コード生成・リファクタリング・デバッグ・ドキュメント作成にClaude Codeを使う。カスタムスラッシュコマンドとCLAUDE.md設定でワークフローに統合し、プランモードと直接実行の使い分けを理解する。
シナリオ3: マルチエージェント調査システム
コーディネーターエージェントが専門サブエージェント(Web検索担当、文書分析担当、統合担当、レポート生成担当)に委譲する構成。引用付きの包括的なレポートを生成する。
シナリオ4: Claudeによる開発者生産性ツール
未知のコードベースの探索、レガシーシステムの理解、ボイラープレート生成、繰り返し作業の自動化。ビルトインツール(Read, Write, Bash, Grep, Glob) とMCPサーバを組み合わせる。
シナリオ5: Claude Code の CI/CD 組み込み
CI/CDパイプラインで自動コードレビュー、テストケース生成、PRへのフィードバックを実行する。実行可能なフィードバックを出しつつ、誤検知を最小化するプロンプト設計。
シナリオ6: 構造化データ抽出
非構造化ドキュメントから情報を抽出し、JSONスキーマで検証する。エッジケースを適切に扱い、下流システムと連携する。
出題される文脈が事前に全部わかっているというのは、対策上かなり有利です。この6つの状況で「自分ならどう設計するか」を説明できる状態を作れば、それがそのまま試験対策になります。
Claude Code が主要ドメインになるシナリオが3つ(2, 4, 5) ある点も見逃せません。
試験仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | CCAR-F |
| 設問数 | 60問 |
| 出題形式 | 多肢選択+複数回答(各設問に選択すべき数が明記される) |
| 試験構造 | 6つのシナリオバンクから4つを出題 |
| 試験時間 | 120分(1問あたり約2分) |
| 合格ライン | 720 / 1000(スケールドスコア) |
| 受験料 | $125 USD |
| 配信 | Pearson VUE(オンラインプロクター / テストセンター) |
| 有効期限 | 12ヶ月 |
| 結果通知 | 合否+スケールドスコア+ドメイン別の正答率 |
「各設問に選択すべき数が明記される」のは地味に重要です。複数回答問題で何個選べばいいか迷う必要がありません。
スコアレポートにドメイン別の正答率が出る点も4資格共通の仕様です。落ちた場合、どのドメインが弱かったかが分かった状態で再挑戦できます。
想定読者
対象はClaudeで本番アプリケーションを設計・実装するソリューションアーキテクトです。公式ガイドは対象読者を役職名ではなく「どんな実務経験を持っているか」で定義しており、その内容がそのまま推奨経験になっています。
推奨経験(前提資格はなし)
必須の前提資格やコースはなく、認定は試験の結果のみで判定されます。
- Claude Agent SDK を使ったエージェントアプリの構築(マルチエージェントのオーケストレーション、サブエージェント委譲、ツール統合、ライフサイクルフック)
- Claude Code のチーム向け設定とカスタマイズ(CLAUDE.md、Agent Skills、MCPサーバ統合、プランモード)
- バックエンド統合のための MCP ツール/リソースのインターフェース設計
- 信頼できる構造化出力を生むプロンプト設計(JSONスキーマ、Few-shot、抽出パターン)
- 長文・マルチターン・マルチエージェント間の受け渡しにおけるコンテキストウィンドウ管理
- CI/CDへの組み込み(自動コードレビュー、テスト生成、PRフィードバック)
- エスカレーションと信頼性の判断(エラー処理、Human-in-the-loop、自己評価パターン)
そして「典型的には Claude API / Agent SDK / Claude Code / MCP での実務経験6ヶ月以上」とされています。
出題ドメインと配点
| # | ドメイン | 配点 | 60問換算 | タスク数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Agentic Architecture & Orchestration | 27% | 約16問 | 7 |
| 3 | Claude Code Configuration & Workflows | 20% | 約12問 | 6 |
| 4 | Prompt Engineering & Structured Output | 20% | 約12問 | 6 |
| 2 | Tool Design & MCP Integration | 18% | 約11問 | 5 |
| 5 | Context Management & Reliability | 15% | 約9問 | 6 |
合計100%。ドメインが5つしかないのがこの試験の特徴です(他の3資格は7〜8)。全30個のタスクステートメントが公式ガイドに列挙されており、試験問題はこれに対して作られます。番号は公式ガイドの定義順で、以下は配点の大きい順に並べています。
Agentic Architecture & Orchestration(27%)
最大のドメイン。7つのタスクステートメントがあります。
- 自律的なタスク実行のためのエージェントループの設計と実装
- コーディネーター・サブエージェント構成でのマルチエージェントのオーケストレーション
- サブエージェントの呼び出し、コンテキスト受け渡し、spawn の設定
- 強制(enforcement)と引き継ぎ(handoff)を伴う複数ステップのワークフローの実装
- ツール呼び出しの傍受とデータ処理のための Agent SDK フックの適用
- 複雑なワークフローに対するタスク分解戦略の設計
- セッション状態、再開(resumption)、フォーク(forking) の管理
公式ガイドの本文から、具体的に問われる内容がいくつか読み取れます。
コンテキスト受け渡しの粒度が明確な論点になっています。「先行エージェントの完全な調査結果をサブエージェントのプロンプトに直接含める」ことの是非や、エージェント間で文脈を渡す際に出典(ページ番号など)を保持して帰属を維持する必要性が挙げられています。多く渡せばいいという話ではありません。
プログラム的な強制とプロンプトによる指示の違いも出てきます。フックや前提条件ゲートで下流のツール呼び出しをブロックする実装と、プロンプトで「〜してください」と書くことは信頼性が根本的に違う、という論点です。金額の閾値(例:$500超)で人間のエスカレーションに振り分ける、といった具体例も記載されています。
セッションの再開かフォークかの判断も入っています。先行コンテキストがおおむね有効なら再開、そうでなければ新規で始める、という切り分けです。
Claude Code Configuration & Workflows(20%)
6つのタスクステートメントです。
- CLAUDE.md ファイルの階層、スコープ、設定
- カスタムスラッシュコマンドと Skills の作成・設定
- 条件付きで規約を読み込ませるパス固有ルールの適用
- プランモードと直接実行のどちらを使うかの判断
- 段階的な改善のための反復リファインメント技法
- CI/CDパイプラインへの Claude Code の統合
プランモードの判断基準が具体的に書かれています。プランモードは大規模な変更、複数の妥当なアプローチが存在する場合、複雑なタスク向け。一方直接実行は単純でスコープが明確な変更(バリデーションを1つ追加する、明確なスタックトレースがあるバグを直す、日付チェックの条件を足す)に適している、という切り分けです。
インタビューパターンという手法も出てきます。Claude側に質問させることで、開発者が気づいていない考慮事項(キャッシュの無効化戦略など)を洗い出させる使い方です。
「パス固有ルール」は、ディレクトリごとに異なる規約を条件付きで読み込ませる設定で、モノレポなどで効いてきます。
Prompt Engineering & Structured Output(20%)
6つのタスクステートメントです。
- 精度を上げるための明示的な基準を持つプロンプト設計
- 出力の一貫性を高める Few-shot プロンプティング
- ツール使用とJSONスキーマによる構造化出力の強制
- 抽出処理における検証・リトライ・フィードバックループの実装
- 効率的なバッチ処理戦略の設計
- マルチインスタンス/マルチパスのレビューアーキテクチャの設計
タスク4.4が実装者向けで濃い内容です。リトライ時に具体的な検証エラーをプロンプトに追記して、モデルの自己修正を誘導する手法が挙げられています。さらに、意味的な検証エラー(値の合計が合わない、フィールドの位置が違う)を検出するために、calculated_total と stated_total を両方抽出して突き合わせるという具体的な設計まで書かれています。
バッチ処理については Message Batches API のコスト50%削減、最大24時間の処理ウィンドウ、完了時刻の保証なしという具体的な数値が明記されています。
Tool Design & MCP Integration(18%)
5つのタスクステートメントです。
- 明確な説明を持つ効果的なツールインターフェースの設計
- MCPツールに対する構造化されたエラーレスポンスの実装
- エージェント間でのツールの適切な配分とツール設定
- MCPサーバの Claude Code およびエージェントワークフローへの統合
- ビルトインツール(Read, Write, Edit, Bash, Grep, Glob) の選択と適用
エラー設計が独立したタスクになっているのが特徴的です。一過性エラー(タイムアウト、サービス不可)、検証エラー(不正な入力)、権限エラーを区別し、errorCategory を含む構造化されたエラーメタデータを返す設計が問われます。
そして繰り返し出てくるのが、アクセス失敗と「有効な空結果」の区別です。検索して0件だったのか、検索自体が失敗したのか。これを混同するとリトライすべきでない場面でリトライしたり、逆に失敗を見逃したりします。マルチエージェント構成ではコーディネーター側の判断に直結するため、D5でも同じ論点が登場します。
Context Management & Reliability(15%)
6つのタスクステートメントです。
- 重要情報を保持する会話コンテキストの管理
- 効果的なエスカレーションと曖昧性解決のパターンの設計
- マルチエージェント間のエラー伝播戦略の実装
- 大規模コードベース探索でのコンテキスト管理
- 人間によるレビューのワークフローと確信度キャリブレーションの設計
- マルチエージェントにおける情報の出所(provenance)の保持と不確実性の扱い
「確信度キャリブレーション」が明示されているのが興味深い点です。単に人間に回すかどうかではなく、確信度をどう見積もってどこに閾値を置くかという設計が問われます。
エラー伝播については、解決できなかった場合に「何を試したか」と「部分的な結果」を含めてコーディネーターに返す、という具体的な指針が書かれています。
配点から見えること
ドメインが5つしかないことが、この試験の性格を決めています。
他の3資格は7〜8ドメインに分かれていて、下位ドメインには数%しかないものもあります。CCDV-Fなら最小2.6%=約1問なので、捨てても影響がありません。一方CCAR-Fは**最小のドメインでも15%(約9問)**あり、捨てられるドメインが存在しません。1ドメインあたりの粒度が粗く、その分だけ中身が深い。広さより深さを問う設計です。
もう一つが Claude Code の扱いです。開発者向けの CCDV-F では Claude Code の配点は 3.1%(1〜2問) しかありません。名前は「Developer」のほうが近そうに見えますが、Claude Code を軸に考えるならこちらのほうが6倍以上重いという逆転が起きています。
学習順序をどう考えるか
配点だけ見れば D1(27%)から手を付けたくなりますが、公式のタスクステートメントを読むと、D4(プロンプトと構造化出力)が他ドメインの前提になっていることが分かります。構造化出力の強制、検証とリトライ、Few-shot の使い方が曖昧なままでは、D1のエージェント設計もD2のツール設計も議論できません。
一方で D3(Claude Code)はシナリオ6つ中3つで主要ドメインになっており、普段からClaude Codeを使っている人にとっては実務の延長で取れる部分です。60問中12問相当なので、ここが埋まっているかどうかで難易度が大きく変わります。
受験について
公式ガイドによると、登録とスケジューリングは Anthropic Partner Academy と Pearson VUE を通じて行います。決済時の価格は「所属するパートナーティアに応じた割引が反映される」と記載されており、パートナープログラムを前提とした設計です。個人が単独で申し込む導線については公式ガイドに記載がなく、Pearson VUEのページには「認定は Claude Partner Network に参加する組織に開かれている」とあります。所属組織の状況を先に確認するのが確実です。
まとめ
- $125・60問・5ドメイン・120分・720点合格。前提資格はなし(推奨経験は6ヶ月以上)
- 6つのシナリオバンクから4つが出題される構造で、6つ全部が公式ガイドに公開されている
- Claude Code が主要ドメインになるシナリオが3つ
- 全30個のタスクステートメントが公開されており、試験問題はこれに対して作られる
- 最大は Agentic Architecture & Orchestration の27%(約16問)
- Claude Code が20%。CCDV-F(3.1%)の6倍以上
- スコアレポートにドメイン別の正答率が出る
- 学習は配点順ではなく、前提知識である D4 から入るのが現実的
関連記事
同じ公式試験ガイドをもとに、ほかの資格と申し込み手順もまとめています。
- 【Claude認定資格】CCAR-P(Claude Certified Architect - Professional)の出題範囲
- 【Claude認定資格】CCAO-F(Claude Certified Associate - Foundations)の出題範囲
- 【Claude認定資格】申込から受験当日までの手順
参考
- Claude Certified Architect – Foundations Exam Guide(Anthropic 公式)
- Pearson VUE — Anthropic Claude Certification Program