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「Azure OpenAIは30日で消える」の出典を確認したら、現行の公式ページに「30日」が1回も出てこなかった

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社内資料に「Azure OpenAI は不正監視ログを最大30日保持」と書いていました。出典のURLを貼ろうとして現行の公式ページを開いたら、本文に 30 days が1回も出てきませんでした。

確認したのはこの2ページです。

本文を 30 days / retention / retain / days の4語で検索して、どれも0件でした。ブラウザの Ctrl+F で同じ確認ができます。2026年8月10日時点の話です。

そもそもページの名前が変わっている

/azure/ai-foundry/ で開くと /azure/foundry/ に転送されます。そして本文の主語が「Azure OpenAI Service」ではなく Models sold by Azure(Azureが販売するモデル) になっています。変更履歴の2025年10月3日の行に、この文書を Models sold by Azure に拡張した、と書かれています。

つまり 「Azure OpenAI 規約」で検索して出てくる過去記事は、いまと違う名前・違う範囲のページを指していることがあります。

もう1つ気づいたことがあります。変更履歴の最新エントリは2025年10月3日ですが、ms.date は2026年5月18日です。 変更履歴に載っていない更新があります。変更履歴だけを見て「去年から変わっていない」とは言えません。

日数の代わりに、条件が書いてある

日数がない代わりに、こう書かれていました。

1. 保存されるのは「フラグが立ったときのサンプル」

When these indicators are detected, a sample of customer's prompts and completions may be selected for review.

全件を常時保存する、とは書かれていません。検知されたときにサンプルが選ばれる、という書き方です。

2. 既定のレビューはAI。人間は「必要に応じて」

Review is conducted by automated means including by AI models such as LLMs by default

人間のレビューは as necessary(必要に応じて)と書かれています。

3. 人間が見るときの条件が具体的

Secure Access Workstations(SAW)経由、チームマネージャーの Just-In-Time 承認、リクエストIDによるポイントクエリ。EEA にデプロイされたモデルについては、担当するMicrosoft従業員も EEA 内にいる、とあります。

4. 保存場所はリソースのある geography 内

以上を並べると分かるのですが、このページは 「いつ消えるか」ではなく「誰がどんな条件で見るか」で書かれています。 社内資料に日数を書きたい側からすると、引用できる数字がありません。

「オフにできます」の条件がいちばん厳しい

modified abuse monitoring が承認されると、上に書いた データ保存と人間レビューのプロセスが行われないis not performed)とあります。ただし自動レビューは残ります。

問題は、誰が申請できるかです。Limited access にこう書かれています。

available only to customers and partners managed by a Microsoft account team or under an eligible program

Microsoftのアカウントチームがついている顧客・パートナーか、対象プログラム下の顧客だけ。 サブスクリプションを作っただけの中小企業は、この一文で対象外になる可能性があります。「Azureならログを残さない設定にできますよ」と社内で説明する前に、ここを読む必要がありました。

オフになっているか自分で確認する方法(ここは実務で使えます)

Foundry リソースの Overview → 右上の JSON view。Capabilities の中に ContentLogging があり、オフのときこうなります。

{
    "name":"ContentLogging",
    "value":"false"
}

CLI ならこれです。

az cognitiveservices account show -n resource_name -g resource_group

落とし穴があります。 ページの注記に、この属性は オフのときだけ表示される、そうでなければポータルにもCLIの出力にも現れない、と書かれています。

つまり ContentLogging が見当たらない=オフ、ではありません。逆です。 「JSONを見たけど ContentLogging なんて無かったので大丈夫です」は、確認になっていません。

Global / DataZone を選んでいると処理地が変わる

  • Global:そのモデルが展開されている 任意の geography で処理されうる
  • DataZone:指定データゾーン内(米国リソースなら米国内、EU加盟国リソースならEU加盟国内)

保存(at rest)はリソースの geography 内ですが、処理(推論)は別勘定です。「国内リージョンを選んだので国内で完結します」と書くと、デプロイタイプによっては不正確になります。ここはリージョン名ではなくデプロイタイプ名を資料に書くべきでした。

4社を「オフにできるか」で並べてみた

日数で比較しようとして失敗したので、軸を変えました。

無効化・短縮の手段 条件 日数の明記
OpenAI API Zero Data Retention OpenAIの事前承認+追加要件への同意 あり(None / 30 days / Until deleted
Azure(Models sold by Azure) modified abuse monitoring アカウントチーム管理下か対象プログラムのみ 確認した2ページにはなし
Anthropic(商用) カスタム保持期間 Enterpriseプランのみ。Owner権限が必要 最短30日。既定は無期限
Google(Gemini API 有料枠) 有料枠は改善利用なし Cloud請求先アカウントの有効化 追加利用規約には記載なし

Anthropic のこの一文がいちばん見落としやすいと思いました。

By default, data is retained indefinitely unless a custom retention period is set.

設定しなければ無期限です。「Enterpriseだから安全」ではなく、「Enterpriseで、かつ設定した場合に短くなる」でした。

出典:Configure custom data retention controls for Enterprise plans(2026年3月17日付)/Gemini API 追加利用規約(最終更新 2026-04-28)/OpenAI は別記事にまとめました。

並べて分かったのは、4社とも「ログを残さない」は設定ではなく契約条件だったということです。ダッシュボードのトグルではありませんでした。

情シスに出す1枚に書くなら

  1. サービス名を現行の名前で書く。 Azureは「Azure OpenAI Service」ではなくなっています
  2. 日数を書くなら、URLと取得日を併記する。 Azureは現状、引用できる日数がありません
  3. 「ログはオフにできます」と書くなら、自社が申請対象かを先に書く
  4. オフのつもりなら ContentLogging を実際に見る。 無いのはオフではありません

なお、ここまでは「どこに何が残るか」の話です。その手前の「そもそも社外秘を外部AIに出してよいのか」は法令側の話になるので、個人情報保護委員会の注意喚起とクラウド例外のFAQを原文で引いて情シスに出す1枚に何を書くかとして別に整理しました。

この記事で確認できなかったこと

  • 「30日」がいつ、どのページから消えたのか。 元から別の場所にあった可能性も否定できません。過去版との差分は取っていません
  • Product Terms と DPA の本文。 保持期間がそちらに書かれている可能性があります。本記事は上記3ページのみを対象にしています
  • 日本語ページとの差異。 英語版に「Non-English translations are provided for convenience only」とあるため英語版で確認しました。日本語版の表現とは突き合わせていません
  • ContentLogging の実機確認。 Foundryリソースを持っていないので、ドキュメントの記述のみです
  • 音声・文字起こし固有の扱い。 Azure側で文字起こし系エンドポイントだけを切り出した記述は見つけられませんでした
  • Limited access ページの ms.date は 2023-11-03 でした。本文には Models sold by Azure という新しい呼称が入っているので、日付は当てにしていません

数字を社内資料に転記するときは、必ずリンク先の原文をご自身で確認してください。ドキュメントは更新されますし、今回のように数字ごと消えることがあります。

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