この記事について
本記事は、aeon 公式ブログの記事 Aeon MCP Server: Drive Your Agent from ChatGPT or Claude を日本語にしたものです。
訳者は aeon の Growth コントリビューターであり、利害関係があるため明記しておきます。記事内の事実はすべて aeonfun/aeon リポジトリ(CHANGELOG、apps/mcp-server の README、セキュリティポリシー)の記述に基づいています。記事内のリンクは 2026-10-20 時点で到達確認済みです。
定期実行エージェントの「隙間」
スケジュールで動く自律エージェントには、ちょっとした隙間があります。誰も見ていなくても毎朝 07:00 に仕事をする — それ自体が目的です。ところが「今すぐ」何かしたくなった瞬間、たとえばダイジェストを前倒しで実行したい、昨日の実行がメモリに何を書いたか確認したい、戦略を一行だけ直したい、というときには、今使っているチャットを離れてダッシュボードかターミナルを開き、該当するボタンを探すことになります。
Aeon はこの隙間を、ホスト型の Model Context Protocol(MCP)サーバーで埋めました。URL をひとつコネクタとして追加し、GitHub でサインインするだけで、エージェントが ChatGPT・Claude・Claude Code・Cursor の中のツール群になります。
https://www.aeon.fun/connect/mcp
実行される場所はこれまでと同じ、あなたのリポジトリの GitHub Actions です。チャットクライアントはリクエストを送るだけです。
出典
ホスト型サーバーは、ブラウザから Aeon エージェントを立ち上げる Aeon Connect の一部です。リポジトリが公式にこのサーバーを案内し始めたのは 2026-10-07(#1192)で、CHANGELOG ではサーバー本体を aeon-connect #66 / #68 としています。サーバーのコードは Aeon Connect 側のプロジェクトにあり、aeonfun/aeon には含まれていません。そのため本記事の内容は、メインリポジトリが文書化している範囲 — CHANGELOG、apps/mcp-server の README、セキュリティポリシー、llms.txt — に限っています。利用者数などの数値は公開されていないため、記載していません。
どういうものか
トランスポートは Streamable HTTP、認証は OAuth 2.1(Dynamic Client Registration、PKCE、GitHub サインイン)です。つまりリモート MCP サーバーに対応したクライアントなら、設定ファイルも API キーもローカルインストールもなしで追加できます。
手順は 3 ステップです。
URL を追加する。 ChatGPT・Claude・Cursor では https://www.aeon.fun/connect/mcp をカスタムコネクタ(カスタム MCP サーバー)として追加します。Claude Code ならコマンド一発です。
claude mcp add --transport http aeon https://www.aeon.fun/connect/mcp
GitHub でサインインする。 初めてサーバーが必要になったとき、クライアントが OAuth フローを開きます。
エージェントを選ぶ。 同意画面で、このクライアントがアクセスできる Aeon リポジトリを選びます。この選択が、クライアントにできることすべての範囲になります。
Aeon インスタンスを複数運用している場合は、switch_instance ツールでセッションを別のリポジトリに切り替えられます。切り替えのたびに GitHub 側の確認をやり直すので、古い権限付与に頼ることはありません。
チャットからできること
ツールはおよそ 20 個あります。用途別にまとめると次のとおりです。
実行する。 エージェントのスキル一覧を取得し、run_skill で実行します。実行はリポジトリ自身の GitHub Actions にディスパッチされ、スケジュール実行と同じランナー、同じ harness・モデル・secrets で動きます。
読む。 最近の実行、エージェントの出力、git にコミットされたメモリを読めます。「昨夜エージェントは何をしたか」にチャットを離れずに答えられます。
変える。 スキル(update_skill)、エージェントの方針(update_strategy)、口調(update_soul)を編集できます。後ろの 2 つは Give Your Agent a SOUL.md and STRATEGY.md で解説されているファイルです。
増やす。 install_pack でスキルパックをインストールします。
確認する。 setup_status はエージェントの設定状況(どのキーが設定済みか、を含む)を表示します。表示されるのは キー名だけ で、値は決して出ません。
小さな追加機能もひとつあります。スキルのステップや Connect のツールが失敗したとき、エージェントは send_feedback で短いレポートを 1 件送ることがあります(secrets やプライベートリポジトリの内容は決して含めません)。こうしたレポートは、Feedback Builder スキルがレビュー可能な PR に変換する類の入力です。
使い方のイメージはこうです。Claude でローンチについて相談している最中に、明日の 07:00 ではなく打ち合わせ前に競合ダイジェストが欲しくなったとします。依頼すれば Claude が run_skill を呼び、あなたの Actions で実行が始まります。同じ会話の中で、出力が届いたら読むこともできますし、メモリを読んで先週エージェントが何を結論づけたかを確認することもできます。戦略が間違っていれば、その場で直せます。
できないこと
自分のインフラ上で実行を開始できるツールでは、機能一覧より制約のほうが重要です。制約はセキュリティポリシーに明記されています。
secrets の値は読めず、書けません。 キーを返すツールも、キーを設定するツールもありません。Aeon Connect で接続したキーはリポジトリの暗号化された Actions secrets に直接保存され、Aeon Connect 側には保存されません。setup_status は ANTHROPIC_API_KEY が存在することは教えてくれますが、中身は教えてくれません。つまり、チャットにキーを貼り付けてエージェントを設定することもできません。これは意図的な設計で、チャットの履歴は認証情報を置く場所ではないからです。
1 回の許可で 1 リポジトリ、GitHub App は 1 つ。 クライアントがアクセスできるのは同意画面で承認したリポジトリだけで、経路はブラウザのダッシュボードと同じ Aeon Connect GitHub App です。この App は 1 つのリポジトリにインストールされ、リポジトリレベルの権限しか要求しません。書き込み系ツール(run_skill、update_skill、update_strategy、update_soul、install_pack)はそのリポジトリにだけ作用します。この設計は Least Privilege for an Autonomous Agent と同じ原則 — エージェントにも、そして今回はチャットクライアントにも、仕事に必要な範囲だけを与える — に従っています。
アクセスは期限切れになり、簡単に取り消せます。 使われていないアクセスは 30 日 で失効します。即座に切るには、Aeon Connect GitHub App をアンインストールするか、App からリポジトリを外します。
公開エージェントを非公開にはしません。 インスタンスが public fork なら、memory/、output/、実行ログは MCP の有無にかかわらず公開されています。対処はコネクタではなくその手前で、インスタンスを private リポジトリにすることです(GitHub は public リポジトリの private fork を許可しないため、テンプレートから生成したコピーになります)。
ホスト型とローカル型 — Aeon の MCP サーバーは 2 つある
ホスト型は新しいものですが、Aeon には以前から ローカル の MCP サーバーが apps/mcp-server にあります(以前の記事 aeon on the Wire: MCP and a Fleet of Forks で紹介されています)。両者は解決する問題が違います。
ホスト型(Aeon Connect)
ローカル型(apps/mcp-server)
追加方法
https://www.aeon.fun/connect/mcp
bin/add-mcp
トランスポート
Streamable HTTP、OAuth 2.1、GitHub サインイン
stdio
対応クライアント
ChatGPT、Claude、Claude Code、Cursor、任意のリモート MCP クライアント
Claude Code、Claude Desktop
スキルの実行場所
リポジトリの GitHub Actions
手元のマシン(harness-adapter/run-harness 経由)
ツール
約 20 個:実行・読み取り・編集・インストール・切り替え
スキルごとに aeon- ツールが 1 つ
必要なもの
Aeon Connect GitHub App を入れた Aeon リポジトリ
クローン、Node、サインイン済みの harness CLI、スキル用のキー
ローカルサーバーは catalog/skills.json を読み、すべてのスキルを個別のツール(aeon-digest、aeon-pr-review など)にします。各ツールの入力は省略可能な var 1 つだけです。呼び出すと、スケジュール実行と同じ SKILL.md プロンプトが、同じ tier・ツール・モデル解決で実行され、タイムアウトも CI と同じ 30 分です。最近の修正で知っておくとよいものが 2 つあります。複数行の var が 1 行に畳まれるようになったこと(#1204)、そして失敗したスキル実行が成功に見えず MCP のエラー結果として返るようになったこと(#1209)です。
ホスト型を選ぶ のは、ChatGPT や Cursor から使いたい、何もインストールしたくない、エージェント本来のインフラで実行したい場合です。ローカル型を選ぶ のは、スキルを 1 つずつ別ツールとして扱いたく、自分のマシンと自分のキーでスキルを動かして構わない場合です。
両方使う場合。 bin/add-mcp はローカルサーバーを aeon という名前で登録し、その前に claude mcp remove aeon を実行します。これは同名のホスト型エントリを削除してしまいます(スクリプトは検出時に警告を出します)。両方残すには、ホスト型を別名で登録します。
claude mcp add --transport http aeon-cloud https://www.aeon.fun/connect/mcp
Aeon MCP サーバーに接続できる AI クライアントは? Streamable HTTP と OAuth に対応したリモート MCP サーバーをサポートするクライアントなら接続できます。リポジトリで名前が挙がっているのは ChatGPT、Claude、Claude Code、Cursor です。
エージェントは Aeon のサーバーで動くのですか? いいえ。スキルはあなたのリポジトリの GitHub Actions で動きます。Aeon Connect がホストしているのはダッシュボードと MCP エンドポイントで、エージェント本体ではありません。
MCP サーバーから API キーを読めますか? 読めません。secrets の値は読み書きともにできません。setup_status が返すのはキー名だけです。
アクセスを取り消すには? Aeon Connect GitHub App をアンインストールするか、App からリポジトリを外します。使われていないアクセスは 30 日で自動的に失効します。
先に Aeon エージェントが必要ですか? はい。ブラウザで www.aeon.fun/connect から作るか、リポジトリをクローンして ./aeon init を実行し、その後コネクタを追加します。
視点を変えると
これまで常時稼働エージェントと話す方法は 2 つでした。スケジュールを待つか、ダッシュボードを開くかです。MCP サーバーは 3 つ目 — 今いる場所から頼む — を加えます。エージェントは自分のインフラ・メモリ・キーを持ち続け、チャットクライアントはスコープが限定され、取り消し可能なハンドルだけを受け取ります。この分離こそが、自律エージェントを汎用アシスタントにつないでも安全である理由です。アシスタントはエージェントを操縦できますが、エージェントの鍵を持つことはありません。
シリーズ記事(原文・英語)
Aeon Connect: start your agent from the browser — ブラウザだけで Aeon エージェントを立ち上げる手順
Give Your Agent a SOUL.md and STRATEGY.md — エージェントの口調と方針をファイルで定義する
Least Privilege for an Autonomous Agent — 自律エージェントに最小権限を適用する設計
Feedback Builder — エージェントからのバグ報告をレビュー可能な PR に変える
aeon on the Wire: MCP and a Fleet of Forks — ローカル MCP サーバーと fork 群の話
訳者から
コードから入りたい方は、まず apps/mcp-server/README.md のホスト型/ローカル型の比較表を見て、ローカル型なら bin/add-mcp --build-only と python docs/examples/mcp/test_connection.py で往復を確認するのが早道です。スキル本体は skills/ 以下にあり、1 スキル = 1 SKILL.md です。
リポジトリ: aeonfun/aeon(MIT ライセンス)
原文: Aeon MCP Server: Drive Your Agent from ChatGPT or Claude
誤訳や不正確な点があれば、コメントで指摘していただけると助かります。


