はじめに
本記事は📖『努力は仕組化できる』の読書メモ・実践記の第2回です。
前回の記事では「第1章 「努力」を行動経済学で考える」について紹介しました。
第2章では、「努力が勝手に続く」4つの仕組みについて取り上げます。
努力の継続に悩んでいる方にとって、再現性のあるヒントがきっと見つかるはずです。
Contents(全10章構成)
- 第1章 「努力」を行動経済学で考える
- 第2章 「努力が勝手に続く」4つの仕組み ☜ ココ
- 第3章 「努力を楽しむ」ことはできるのか
- 第4章 必要な努力が無理なく続く2つのナッジ
- 第5章 「誘惑」と戦う
- 第6章 【努力しない言い訳】と戦う①
- 第7章 【努力しない言い訳】と戦う②
- 第8章 「環境からの悪影響」と戦う
- 第9章 他人からの低い評価に立ち向かう
- 第10章 人は何故公開するのか?
第2章 「努力が勝手に続く」4つの仕組み
4つの仕組みの説明に入る前に、なぜ「努力を続けること」が難しいのかを、まず考えてみましょう。
たとえば筋トレや語学学習、ダイエットなど、最初のうちは変化を感じやすく、やる気も高まります。
しかし、時間が経つにつれて成果が見えにくくなり、「これを続ける意味はあるのだろうか?」と疑問が湧きます。
このような状況で達成感や進捗が得られないと、モチベーションが低下し、やがて継続が難しくなるのです。
1.フィードバックで変化を自覚させる
フィードバック(Feedback)
過去の行動や結果に対する評価や振り返りをもとに得られた情報から、改善点を見つけ出すこと。
<実験>安全行動の習慣化を目的にした現場介入
某企業で週の目標値を92%に設定し、毎週の成果をグラフ化と目標との乖離を可視化してフィードバックしたところ…
時期 | 保護具の着用率(%) |
---|---|
介入前(施策をしない通常状態) | 76〜85%程度 |
介入後(施策実施中) | 92%に急上昇し、その水準をキープ |
このように目標設定×フィードバックの可視化は、行動変容に大きな効果をもたらします。
継続と成長を促すには、「振り返る→調整する→続ける」というサイクルが極めて重要です。
2.フィードフォワードでやりやすくする
フィードフォワード(Feedforward)
未来の行動やありたい姿に向けて、前向きな提案やアドバイスを行うこと。
<実験>フィードフォワードとフィードバックの2つの介入条件で鉱業の作業現場での安全行動の実施率を比較。
条件 | 結果 |
---|---|
フィードバック条件(過去の行動を振り返る) | 一定の効果はあるが、影響の持続性や主体的な行動感覚(セルフマネジメント)に欠ける傾向 |
フィードフォワード条件(未来の行動を宣言する) | 介入期において安全行動が大きく向上し、その後のフォローアップ期でも影響が持続 |
著者はこの違いについて、「自分で決めて行動した」という感覚の強さが継続のモチベーションにつながると説明しています。
習慣を定着させる方法
努力を続けるためには、「意志」ではなく、「計画」が強い味方になります。
特に、実行意図(Implementation Intention)は、「いつ・どこで・何を・どのように行うか」を事前に具体化することで、行動の確率を高めてくれる手法です。
この2つの仕組みを組み合わせることで、「努力を努力と思わずに続けられる」状態を作ることができる、と本書は述べています。
同じ仕掛けで「悪い習慣」もやめられる?
ただし、実行意図にも限界はあります。
実行意図(Implementation Intention)は、新しい行動や習慣を始めるには効果があるが、既存の悪い習慣をやめるには効果が弱いという指摘があるのです。
「禁煙」や「不健康な食習慣の改善」など、悪い習慣を断ち切るための努力には、実行意図だけでは不十分であると指摘されています。
3.努力の自動化
ここで紹介されるキーワードが 「自動化」 です。
たとえばあなたは、
- 何も考えずにスマホを開いてSNSを見ていた
- いつもの駅の自販機でコーヒーを買っていた
- 通勤電車でなんとなくニュースアプリを開いている
──こんなふうに“気づいたらやっている”という行動はありませんか?
こうした行動は、もはや「努力している」とは感じられないかもしれません。
このような「意識せずとも自然と行っている行動」は、習慣になっているといえます。
自動化とは、努力を「無意識で行動できる状態」に変え、習慣として落とし込むことなのです。
行動が自動化されるまでの時間は?
「食後に1杯の水を飲む」という小さな行動が時間経過と共にどのように習慣化(自動化)されていくかを示した研究によると
約 18〜20日目 あたりから習慣化が始まり
↓
66日目(中値)前後でかなりの自動化が進む
個人差はあるものの、約2ヶ月間継続できると「努力しなくてもできる行動」になっていくのです。
4.教育の力で習慣を変える
「1日に5種類の野菜や果物を食べよう」という行動目標を与えられたグループにおいて、行動の意味や必要性を理解しているかどうかで、自動化の度合いに差が見られました。
「教育の力」とは、行動に意味を与え、納得感を育むことで、自律的な選択を可能にすることです。
意味や目的に腹落ちしていない行動は、長続きしません。
人は、その行動に「意味がある」と感じ、かつ「自分の意志で選んだもの」だと実感できたとき、はじめて継続できるのです。
まとめ
-
フィードバックで変化を自覚させる
適切な目標と可視化されたフィードバックが、継続の原動力となる。 -
フィードフォワードでやりやすくする
未来の自分に約束することで、行動のスイッチが入りやすくなる。 -
努力の自動化
2ヶ月の継続で“無意識にできる”行動へ。 -
教育の力で習慣を変える
意味の理解が、行動の定着と深さを生む。
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毎日コツコツ進めて「習慣化クエスト」をクリアしましょう!
おわりに
この章を読んで、「意志に頼らず、行動を仕組みに落とし込む」発想に深く納得しました。意志に頼らずとも、仕組みで支えれば努力は続けられる。
自分もこれまで挫折していたことを、「いつ・どこで・何を」に変換し、再チャレンジしてみたくなりました。
また、「人をやる気にさせる人」は、うまくフィードバックを可視化し提供しているとのこと。
職場のチームでも、状況を共有・見える化する仕組みを整えてみたいと思います。
特に「18日〜66日」は習慣化のブースト期間と捉え、そこだけちょっと頑張ってみる──
続けるためのハードルをグッと下がり、「気づけば続いていた...」状態になれるかもしれません🦉