この記事はGitHub Copilotと一緒に書きました。
はじめに
普段、Teamsでチームメンバーとやり取りをしていると、チャットの中に色々な情報が散在していきます。「あのタスク完了したよ」「こういう学びがあった」「あの件は解決済み」——こうした断片的な情報が流れていってしまうのは、なんだかもったいないですよね。
「じゃあExcelで管理しよう」という話は何度か出たのですが、結局のところ人がチャットを読んで→人がExcelを更新するという運用になりがちで、続かないんですよね。Plannerもまだ人が更新する部分が多く、同じ結果でした。
そこで、M365 Copilotを使ってTeamsチャットをしているだけで案件のステータス管理ができないか試した結果比較的簡単にうまくいったのでご紹介します。
Copilot StudioやGitHub Copilotでやればもっと効率化できるかと思いますが、使わない前提で書いています。
対象読者
- M365 Copilot を利用中で、業務効率化に興味がある方
- Teamsチャットの情報整理に課題を感じている方
- Microsoft 365 Copilot 系のライセンスをお持ちの方(Workタブが表示されている方)
背景・課題
私のチームでは、普段のやり取りをTeamsチャットで行っています。タスクの完了報告、技術的な学び、問題の解決報告——これらが日々のチャットの中に流れていきます。
ある日、こんな会話がありました。
「最近どのタスクが終わったか分からなくなってきたね」
「Excelでステータス管理しない?」
「誰が更新するの?」
「………」
ステータス管理をExcelでやる場合の課題を整理するとこうなります。
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 転記コスト | チャットを読んで → Excelに手入力。二度手間 |
| 鮮度の問題 | 更新が遅れると台帳の信頼性が下がる |
| 運用の持続性 | 最初はやるけど、だんだん誰も更新しなくなる |
解決したかったのは、Teamsチャットそのものを一次情報として活用し、人が管理用に手作業を行う時間をなくすことでした。
Copilotを使ったアプローチ
プロンプトコーチに相談
まずはM365 Copilotのプロンプトコーチに「チャットをコンテキストにしてステータス管理したい」という要件を相談してみました。
M365 Copilotにはプロンプトの書き方をアドバイスしてくれる「プロンプトコーチ」の機能があります。困ったらまず相談してみるのがおすすめです。
プロンプトコーチからは、スケジュールされたプロンプトを使う構成が提案されました。定期的にチャットを参照して、ステータスを整理・出力するというアプローチです。
ここでいうスケジュールされたプロンプトは、あらかじめ実行タイミングを決めて、同じプロンプトを定期実行できる機能です。毎回手動で「昨日分だけ見て整理して」と打たなくてもよくなるので、運用の手間を減らしやすいです。概要は Microsoft のサポートページ(Copilot プロンプトをスケジュールする)が分かりやすかったです。なお、利用可否や画面表示はテナント設定・ライセンス・ロールアウト状況によって異なる可能性があります。最新要件は公式ページでご確認ください。
私の使い方では「朝に前日分を要約」のような固定リズムが作れるのが特に便利でした。定期実行に任せることで、やり忘れを減らしつつ、Teams チャットを一次情報として扱う流れを維持しやすくなります。
提案されたプロンプトをそのまま試してみたところ——
初期実行の結果
それなりに有用な結果が返ってきました。チャットの内容からタスクの完了状況や学びを拾ってくれています。
ただ、実運用を考えると、いくつか気になる点がありました。
- 出力が長文で、Teams上で確認するには見づらい(Copilot上で右にスクロールしなければ)
- どのチャットを参照しているか曖昧
- たまにステータスの判定が間違っている
「使えそうだけど、このままだとちょっと実用には厳しいな」というのが正直な感想でした。
プロンプトの改善ポイント(試行錯誤)
ここからいくつかの改善を重ねて、実用レベルまで持っていきました。
① 出力形式の改善
最初のプロンプトでは出力が冗長だったので、情報量を絞りました。
以下のTeamsチャットの内容を分析し、直近のステータスを表形式で出力してください。
## 出力フォーマット
| 案件 | 判定ステータス | 判定理由 |
の形式で出力してください。
## ルール
- ステータスは「完了」「進行中」「未着手」「解決済み」のいずれか
- 備考には関連する学びやメモがあれば簡潔に記載
Copilotの出力を再度Teamsへコピペして使いたいので、横方向のスクロールバーが出ないよう列を絞りました。
Markdown形式のテーブルにしたかったのですが、Teamsでのレンダリングに納得がいかずに断念しました。
② 対象チャットの明示(Work IQ のコンテキスト制御)
初期のプロンプトでは「どのチャットを見ればいいか」が曖昧でした。公表情報ベースでは、M365 Copilotの裏側には Work IQ というインテリジェンス層があり、Microsoft Graph を通じてメール・チャット・ファイル・会議など幅広い業務データを参照できる仕組みと理解しています。さらに、Semantic Index for Microsoft 365 がこれらのデータを意味的にインデックス化することで、単なるキーワード検索ではなく文脈を踏まえた検索につながる、と理解しています。Copilotがチャットの文脈を理解しやすい背景には、こうした仕組みがあるのかなと感じています。
Work IQ は Ignite 2025 で発表された概念で、M365 Copilot に「あなたの仕事の文脈」を付与するインテリジェンス層だと理解しています。公表情報ベースでは、Data(データ取得・RAG)・Memory(ユーザーの習慣や好みの記憶)・Inference(推論) の3つの柱でコンテキストを最適化する整理が示されています。なお、Work IQ MCP の仕組みを調査してみたは補助解説(非公式)として参考になります。
ただし、対象を絞らないと関係ないチャットやチャネルの情報まで拾ってきてしまうこともありました。「色々見えるからこそ、余計なものも見えてしまう」という感じです。
そこで、Teamsのチームチャットのリンクをプロンプトに直接指定するようにしました。
以下のTeamsチャットを参照してください:
[チーム名 - チャネル名のリンク]
上記チャットの内容のみを対象として、ステータスを整理してください。
他のチャットやチャネルの情報は参照しないでください。
こうすることで、Copilotが余計なコンテキストを拾いに行くのを抑制できます。「どこを見ればいいか」を明示的に絞ることで、意図しない情報が混ざるのを防ぎ、出力の精度が安定しました。
Work IQ の Data 層は Microsoft Graph を通じてメール・チャット・ファイルなど幅広い業務データにアクセスできます。便利な反面、対象を絞らないと関係ない情報がノイズとして混入することがあるかもしれません。プロンプトでスコープを明示するのが有効な場合があります。
詳しくは Microsoft 365 Copilot のしくみ をご参照ください。
③ フィードバックループ
これが個人的に気に入っている点です。
最初は、Copilotが出力するステータスに誤りが含まれることがありました。
例えば「進行中」なのに「完了」と判定されていたり。
そこで、Copilotの出力に対してTeams上で「ここは違う」と指摘を残すようにしました。
すると、次回プロンプトを実行したとき、その指摘もチャットのコンテキストに含まれるため、Copilotの判定が改善することがあります。
↑ こういったフィードバックをチャットに書いておくと、次回実行時に以下のように判定が改善しました。
つまり、チャット内のフィードバックがそのまま「参照コンテキスト」として機能するわけです。わざわざプロンプトを書き換えなくても、チャットで指摘するだけでCopilotが次回参照する情報が更新され、出力に改善傾向が見られました。
ただし、指摘内容が毎回必ず同じように反映される保証はないため、重要な判定は人が最終確認する運用が安全です。
モデルはGPT 5.4 Think deeperが最も精度よく拾ってくれると思います。
スケジュールされたプロンプトを使うかどうかは用途や結果を見ながら調整することを推奨します。※何度か試行した結果、私の場合はあまり精度がよくなかったです。
④ コンテキスト制御(直近7日間)
もう一つ重要だったのが、参照する期間を限定することです。
プロンプトに「直近7日間のチャットのみを参照してください」と明示しました。
参照範囲: 直近7日間のチャットメッセージのみ
それ以前のメッセージは無視してください。
これにより、古い完了済みタスクが何度も出力されるといったノイズが減り、精度が安定しました。
期間を短くしすぎると情報が漏れ、長くしすぎるとノイズが増えます。チームの活動頻度に合わせて調整するのがよいかと思います。私の場合は7日間がちょうどよかったです。
また、Copilotが期間指定を厳密に守る保証はありません。あくまで目安としてプロンプトに記載しています。
ここが画期的だと思ったポイント
実際に運用してみて、この仕組みの何が良いのかを整理してみました。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| Teamsチャットが一次情報 | 別の管理台帳を作らない。チャットそのものだけ見ればOK |
| 人が転記しない | Copilotがチャットから自動で拾う。人はチャットするだけでよい |
| Work IQ による精度 | Work IQ の Data・Memory・Inference が業務文脈の最適化に寄与すると理解している |
| フィードバックで精度向上 | 間違いの指摘もチャットに書くだけ。次回実行時に反映される |
| 運用コストが低い | 普段のTeamsチャットをそのまま続けるだけ。追加の作業がほぼない |
チームメンバーに「Excel更新してください」というと中々続かないのですが、チャットに直接ステータス貼ると間違えは修正したくなる心理が働くようで結構修正してくれます。いつも使っているコミュニケーションツール(Teams)で使えているので効果があるのかなと思います。
最後に
今回は、TeamsチャットをM365 Copilotでステータス管理に変えてみた話を共有しました。
やってみて分かったのは、「チャットで普段通りやり取りするだけで、勝手にステータスが整理される」という体験が思った以上に快適だということです。
M365 Copilotは日々進化しているので、Copilot の共同作業機能(Cowork)を筆頭に今後もっと色々なことができるようになるはずです。
今後もトライ&エラーを繰り返して改善していきたいと思います。
何かご意見やアドバイスがあれば、コメントで優しく教えていただけると嬉しいです。
以下のように工夫をしてみるとさらに使いやすいかもしれません。
- Excelに結果を張り付けて管理
- エージェント化してプロンプトを保存
- 表だけをアウトプットするようにプロンプトを編集
- PJによって更新頻度を変える
- 共有しなくていい時は無理に更新しない
また、Copilot CoworkでSkill化する等更に安定する使い方はあると思います。




