短期間でゲームを作る場合、最大のボトルネックは「作業量」ではなく
意思決定・設計・実装の往復コストだと感じています。
この記事では、
LLM(生成AI)を実装・シナリオ・アセット制作に積極的に組み込み、
心理戦ミステリーADVゲームを約5日で完成させたプロセスをまとめます。
🔗 公開中のゲーム
https://a-night-of-definitions.vercel.app/
作ったものの概要
- ジャンル:心理戦ミステリーADV
- 形式:ブラウザゲーム(Web)
- 特徴:
- 対話・探索・推理を組み合わせたADV
- 「言葉の定義」が変わることで真実の解釈が変化するシステム
- 一本道構成だが、最終判断による分岐あり(の予定)
この記事ではゲーム内容そのものではなく、開発方法に焦点を当てます。
使用した技術・ツール
生成AIの役割分担
| 領域 | 使用ツール | 役割 |
|---|---|---|
| ビジュアル | Stable Diffusion | タイトル画面・雰囲気CG.キャラクター素材 |
| 音楽 | Suno | BGM生成 |
| コード | Claude Code / Codex / 自作 | 実装・調整 |
| シナリオ | ChatGPT + 自分 | 構造設計・推敲 |
ポイントは「全部AIに任せない」ことです。
設計段階:LLMは「発想生成」ではなく「構造化」に使う
シナリオ設計では、ChatGPTを次の用途で使いました。
- アイデア出し → 使わない
- 設定の肉付け → 使わない
- 構造の壁打ち → 使う
- 仕様の矛盾チェック → 使う
特に有効だったのは、
- シナリオ構成の破綻チェック
- 推理フェーズの条件整理
- プレイヤーの責任がどこで発生するかの明文化
LLMは「物語を作る存在」ではなく、
人間が作った構造を言語化・検証する存在として使いました。
実装:Claude Codeは「高速プロトタイピング装置」
コード生成では Claude Code / Codex を併用しました。
LLMに任せた部分
- UIの雛形
- 会話ログ管理
- フラグ管理ロジック
- セーブ/ロードの骨組み
人間がやった部分
- 状態遷移の最終設計
- 推理・排除条件の設計
- LLMコードのレビューと削減
- 「ゲームとして気持ち悪い挙動」の修正
LLMはコードを書く速度は非常に速いですが、
ゲームロジックの責任を持てるのは人間だけです。
アセット制作:割り切りが重要
- 絵:Stable Diffusion
→ 世界観の統一を重視。 - 曲:Suno
→ ループ前提。ボーカルなし。
「完璧な素材」のイメージに近づけながら「実装と噛み合う素材」を目指しました。
5日で作れた理由
LLMを使ったから、というより
次の3点を徹底したからだと思っています。
- ストーリー構成にに矛盾が発生しないよう豆にチェックした
- 仕様を文章で完全に書き切った
- LLMの出力を必ず人間が見て修正する
LLMは「時間短縮装置」ではなく、
設計の粗を早く露呈させる装置でした。
作ってみて分かったこと
- LLMは「全部やらせる」と破綻する
- 仕様が文章で書けないものは実装できない
- ゲーム開発において一番重いのは「意味の設計」
特にADVでは、
コードよりも「言葉の定義」が一番重いと再認識しました。
まとめ
- LLMはゲーム開発の速度を上げるが、責任は取らない
- 人間は設計と判断に集中すべき
- 短期間開発ほど「構造」を先に固める価値がある
LLMを使った個人開発の一例として、
何かの参考になれば幸いです。