MIERUNE Advent Calendar 2025

Linux デスクトップをはじめよう！ HHKB を「改造」して最強の環境を作る話

Last updated at 2025-12-16Posted at 2025-12-12

これは MIERUNE Advent Calendar 2025 の13日目の記事です。
昨日は @rena_n さんの「Pythonで音を3D可視化してみた」で、明日は @kntoshiya さんの「あなたの町に信号はいくつある？QGISで北海道の市町村ごとの信号数を数えてみた」でした。

（小学生やIT初心者の方々に向けて、わかりやすい文章にしてます）

こんにちは！MIERUNEの鈴木です。
メリークリスマス！

今回紹介するのは、 Linux（リナックス）のお話です。

おじさんが勤めている MIERUNE って会社では、地図の事や位置情報のことをお仕事にしてるのだけど、ちょっと違うお話でごめんなさい。

でも、パソコンを使うすべての人に関係あるかもしれない、ニッチだけど便利なカスタマイズについてお知らせしたいと思います。

Windows 10 から Manjaro Linux へお引越し

おじさんのお家には、ゲームをするための Windows 10 のパソコンがありました。

でも、Windows 10 だけど、2025年の10月でサポート（マイクロソフトのお世話）が終わってしまい、そのまま使い続けるとコンピュータウイルス（パソコンに悪さをするプログラム）などに感染する危険が増えてしまいます（こういうの「脆弱性（ぜいじゃくせい）が高まる」っていいます）。

しかし、おじさんのパソコンは古くて最新の Windows 11 にはできませんでした。

「パソコン…もう買い替えなきゃダメかな…？😢 おこづかい足りないよ…」

そこで思いついたのが、OS（パソコンを動かす基本ソフト）を Linux に入れ替えることでした！

実際に入れ替えてみると、最近の Linux ってすごいんです。Mac や Windows と同じくらい使いやすくなっていてびっくりしました。

いつものお仕事で使ってるアプリもブラウザ（インターネットを見るアプリ。Google Chromeなど）だけで動くものが増えたし、日本語の入力も「fcitx5-mozc」というソフトを入れたらバッチリ。

毎日の作業で困ることはほとんどありません。

そして一番心配だったゲームも「Steam」というソフトのおかげで、Windows 用のゲームがほとんどそのまま動きました！

これなら安心して乗り換えられますね。

（Hollow Knight:SILKSONG。難しいけど楽しい！）

こんな記事もあるので見てみてください。

Steam 上のLinuxゲーマーがついに3％を突破
- https://gigazine.net/news/20251104-steam-linux-user-3/

選んだ Linux の種類（ディストリビューション）は、「Manjaro Linux（マンジャロ・リナックス）」です。

これは、一度インストールした後は、少しずつアップデートされていく仕組み（ローリングリリース）なので、大きな更新作業がいらず、使うのが楽ちんなんです。

画面の見た目（ウィンドウマネージャー）は、ウィンドウをタイルみたくキレイに並べてくれる「i3wm」を使っています。

Linux って、ちゃんとお仕事できるの？

「Linux って、黒い画面で文字ばかり打つんでしょ？それで仕事はできるの？」と思っている人。

安心してください！

Linux はおじさんが使う地図ツール（GIS）やプログラミングまで、こんなにたくさんのツールが動くんです！

クリックして動くツールの一覧を見る

GIS

ArcGIS, QGIS, GDAL, PDAL, geos, mapserver, proj, PostGIS, pgrouting, Maptitude, CARTO

Office Suite

Microsoft 365 (ブラウザ), Google Workspace (ブラウザ)

データベース

PostgreSQL, MySQL (および派生のDB）, DuckDB, SQLite, CockroachDB, Redis, MongoDB

開発ツール

Python, Rust, Java, aws-cli, Apache, Nginx, Node.js, Gunicorn, uWSGI, OpenCV

コンテナ・仮想マシン

Docker, VMware

テキストエディタ

Vim, Nano, Emacs, VS Code

ネットワーク

Tailscale, Cloudflare Warp, OpenVPN, NordVPN, OpenSSH

ブラウザ

Chrominum, FireFox, Vivaldi

配信

OBS Studio

コミュニケーション

Slack, Discord, Zoom, Teams (ブラウザ)

その他

xterm, rxvt-unicode (urxvt), Wine（Windowsツール）, Steam（ゲーム）, Blender（3D）, 1password（パスワード管理）

世の中のサーバー（ネットの向こうにあるコンピュータ。時々、お家でサーバー作ってる「逸般人（いっぱんじん）」もいるよ）のほとんどは Linux で動いているので、開発ツールが動くのは当たり前だよね。

動かなくて困るのは、Microsoft Office のアプリ版や、Adobe のソフト（Photoshopなど）くらいかな？

お絵描きが目的なら Mac や Windows、iPad を使うのが便利だと思います。

こんな記事もあるので見てみてね

月刊デスクトップLinux 創刊号(2025年3月号)
- https://note.com/desktoplinux/n/n4e29b3af9d33

キーボードの設定が合わない！大問題！

キーボードは「HHKB」が最高！（異論もあるよ）

さて、ここからが本題です。おじさんは Happy Hacking Keyboard (HHKB) という、ちょっと高級なキーボードをいつも使っています。

このキーボード、打ち心地が最高！また、「A」キーの横に「Ctrl」キーがあるのが便利で、これに慣れると他のキーボードが使いにくくなるくらいです。

おじさんはこの HHKB の 「日本語配列（JIS）」 という形が大好きです。

なんといっても、Enter キーが大きくて「ッターン！」と押しやすい！ カチャカチャカチャカチャ「ッターン！」 ってカッコイイし、最高だよね！
「変換」「無変換」キーがあって、日本語と英語の切り替えが楽だよ
矢印キー（カーソルキー）がちゃんとあるよ

でも、キー配列は「US配列」がいい

キーボードの形は日本語配列が好きなんですが、キーを押したときの配置（設定）は 「US配列（英語配列）」 が好きなんです。

その理由は、特にプログラミングするときは、

記号（' " [ ] など）がきれいに並んでいる
ホームポジション（指を置く基本の位置）が真ん中で使いやすい

こんなふうに、US配列の方が指を動かす距離が短くて楽ちんだからです。

なので、おじさんは「見た目は日本語キーボードだけど、中身は US配列で使う」という設定にしています。

「JISUS（ジザス）配列」の悩み

みんなもおじさんのキーボードを使うと困ってしまうと思います。

「キーボードの印字（ひらがな）と、画面に出る文字が違うじゃん！」😠

そうなんです。これはある意味で矛盾しています。でも、タッチタイピング（手元を見ないで打つこと）ができれば問題ありませんよ。

この「日本語キーボード」+「US配列」の組み合わせは、一部のマニアの間で 「JISUS（ジザス）配列」 と呼ばれています。

「オー！ジーザス！（なんてこった）」と言いたくなるくらい設定がややこしいから…ってわけじゃないですよ！

ただ設定を変えるだけだと、キーの数が違うので問題が起きます。下の画像を見てください。赤い枠の数や場所が違いますよね？

なので設定変えてそのまま使うと、「このキーを押しても何も反応しない！」「入力したい記号（\や_）がどこにもない！」という悲しいことが起きます。

Linux でキーボードを「改造」しよう

Linux が楽しいのはここから。Linux の力を使って、キーの割り当てを変更しましょう。今回は「xmodmap（エックス・モッド・マップ）」というコマンドを使います。（Windows や Mac は別のアプリでできるよ）

作戦：消えてしまったキーを復活させる

日本語キーボードをUS設定にすると、「バックスラッシュ（\）」や「チルダ（〜）」が行方不明になります。これを、使っていないキーに割り当てて復活させます。

1. キーボード設定を一時的に「US」にする

まずはターミナル（黒い画面）を開いて、以下の魔法の言葉（コマンド）を打ちます。

$ setxkbmap us
# （元に戻すときは setxkbmap jp と打ってね）

2. キーの「ID番号」を調べる (xev)

パソコンは、キーボードのどのキーが押されたかを「番号（キーコード）」で判断しています。行方不明のキーを割り当てるために、**「今、使っていないキーの番号」**を調べます。

xev という調査ツールを使います。入っていない場合はインストールしましょう。

$ sudo pacman -S xorg-xev  # Manjaroの場合
$ xev

xev を起動して、使いたいキー（例えば「む」のキーや「ー」のキー）を押すと、黒い画面に番号が出てきます。

おじさんの環境ではこうなっていました。

「￥」キー ... 番号 132
「ろ」キー ... 番号 97

3. 新しい役割を与える (xmodmap)

キーボードの文字の番号がわかったので、xmodmap コマンドを使って、パソコンに新しいルールを教えます。

番号 132 を押したら、バー（|）とバックスラッシュ（\）を出して！
番号 97 を押したら、チルダ（~）とバッククォート（`）を出して！

としてみます。

$ xmodmap -e 'keycode 132 = backslash bar backslash bar'
$ xmodmap -e 'keycode 97 = grave asciitilde grave asciitilde'

これらを入力したあと、キーが使えるようになります！

4. 設定をずっと使えるようにする

でも、そのままにしていると、パソコンを再起動したあと、変更したキーボードの設定の事を忘れてしまいます。

なので、変更した設定をファイルに保存しておきましょう。

$ xmodmap -pke > ~/.Xmodmap

これで ~/.Xmodmap というファイルに設定が保存されました。

あとは、OSにログインした時、自動でファイルを読み込むようにします。私は i3wm を使っているので、i3wm の設定ファイルにこんなふうに書きました。

# i3 の設定ファイル (~/.config/i3/config)
exec_always --no-startup-id xmodmap ~/.Xmodmap

これで、おじさんにとっては快適なキーボードの完成です！

まとめ

最後にまとめます。

最近の Linux はとっても使いやすい！（Windows のゲームも動くよ）
Linux は地図アプリも動くし、プログラミングもバッチリできるよ
「日本語キーボード」を「US配列」で使うと、プログラマー気分が盛り上がるよ
キーがおかしくなっても、自分好みに直せるよ

あと、この Linux マシン、無駄なソフトが動いていないからか、地図ソフトの QGIS が爆速で起動します。ちょっと見てみてよ、この速さ！

Linux は、Windows や Mac のように、何もしなくても使いやすいわけではありません。でも「自分だけの最強のマシン」を作っている感じがして、とても楽しいですよ。

みなさんも自宅に古いPCがあったら Linux を入れて遊んでみませんか？

Linux のことがわかると、パソコンで困っている色々な人からどんどん声がかかって人気者になれるよ！

きっと！！たぶん！！！

それじゃあ、またね！

参考資料

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