はじめに:なぜ「2つの案」が必要なのか
私は普段、若手や仲間に対して「案は必ず2つ以上考えてきて」と伝えています。
1つだけだと、どうしてもバイアスや先入観が入ってしまい、ベストな解にならないことが多いからです。
比較対象があって初めて、物事の良し悪しは立体的に見えてきます。
論理的には、これは筋が通っているアプローチだと思っています。
ただ、ふと気付いたことがありました。
一生懸命考えた自分の案が採用されなかった時、心のどこかで 「負けた」「認められなかった」 という、モヤッとした感情を抱く人がいるのではないか、と。
比較のために複数案出すことは大事ですが、その結果「選ばれなかった案」がただの敗者になってしまうのは、健全ではない気がします。
カプセルトイに見る「未知(シークレット)」の価値
そこで、最近密かに実践している考えがあります。
それが 「2つの案と、1つのシークレット」 という考え方です。
今のガチャガチャには、多くのシリーズに 「シークレット」 という枠が用意されています。
何が出るかわからないけれど、もし出たらすごく嬉しい特別なもの。
この「未知」の存在が、ガチャを回す行為自体をワクワクさせています。
これを見ていて私は思いました。
仕事の提案にも、この「シークレット」を持たせられないだろうか?
3つ目の枠は、あえて「空」にしておく
具体的には、準備してきた「A案」「B案」に加えて、 「自分でもまだ認識していない、未知の解」 というストックを最初から持っておくのです。
もちろん、これは隠し持った3つ目の具体的な案のことではありません。
あえて正解を持たず、「まだここにはない答え」が入るための空白を用意しておくイメージです。
このシークレットを引き当てるには、机の前で一人で考えていても出てきません。
- 持ち寄った案が、他人の意見とぶつかった時
- 会議室を出て、散歩をしながらふと会話した時
- 「なんか違うんだよね」という違和感を共有できた時
自身の案を上回る何かが生まれそうになった瞬間、初めてこのシークレットが 「解放」 され、形が見えてくるのです。
否定を「きっかけ」に変える
なぜこんな枠を用意するかというと、自分の案が通らなかった時の意味合いを変えたいからです。
自分の持ってきた「A案」と「B案」が否定されたとしても、それは「負け」ではありません。
「シークレットを解放するための、きっかけになった」 と捉えることができます。
- 「自分の案は通らなかった」ではなく、
- 「自分の案のおかげで、もっと凄いシークレットが出た(当たりが出た!)」
そう思えるようになれば、会議は「戦い」や「審査」の場から、「チームで当たりを探すガチャ」 のような場に変わります。
おわりに
正解を1つ持ってこようとすると、プレッシャーで視野が狭くなります。
かといって、ただ比較用の案を持ってくるだけでは、選ばれなかった時に寂しさが残ります。
だからこそ、ポケットに 「未完成のシークレット」 を忍ばせておく。
私たちの仕事は、誰かの案をジャッジすることだけではありません。
仲間と一緒にこの「シークレット」の正体を見つけ出し、「当たりが出たね!」と喜び合うこと。
そんな瞬間を増やしていくために、私は今日も3つ目の枠を空けておこうと思います。