Posted at
MetalDay 16

[iOS]MetalでGPUコンピューティング(11) MTLRenderCommandEncoder

More than 1 year has passed since last update.

この記事は、Metal Advent Calendar2016の16日目です。

これまで、MetalのGPUコンピューティングについて解説記事を書いてきました。

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (1) 最小限のコードの記述と特性の把握

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (2) 群知能

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (3) MTLDevice

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (4) MTKView

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (5) MTLLibrary

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (6) MTLCommandQueue

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (7) MTLCommandBuffer

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (8) MTLComputeCommandEncoder

[iOS] MetalでGPUコンピューティング (9) MTLComputePipelineState

[iOS] MetalでGPUコンピューティング(10) Metal Shading Languageで記述されたライフゲームのロジック


本記事では、前回に引き続きAppleが提供するサンプルコードの解説を行います。

扱うサンプルコードは、前回と同じライフゲームのアプリ、MetalGameOfLifeです。

MetalGameOfLife

IMG_5933.PNG

(実行画面)

今回は、GPUコンピューティングとは直接関係はありませんが、サンプルコード内のMTLRenderCommandEncoderについて解説を行います。

MTLRenderCommandEncoderはグラフィックレンダリング用の状態やコマンドをコマンドバッファにエンコーディングするためのエンコーダーです。

GPUコンピューティング用のエンコーダー、MTLComputeCommandEncoderと対をなしています。

MTLRenderCommandEncoderはクラスではなくプロトコルです。

MTLRenderCommandEncoderのオブジェクト(エンコーダー)は、MTLCommandBufferのオブジェクト(コマンドバッファ)により生成されます。そして、エンコーダーによってエンコードされたレンダリング用のコマンドはコマンドバッファに格納されます。

エンコーディングは、MTLCommandBufferオブジェクトの生成の都度行われます。

繰り返しになるのですが、このサンプルコードは、主に以下のファイルで構成されています。

AAPLRender.h

AAPLRender.m

AAPLViewController.h

AAPLViewController.m

Sharder.metal

このうち、AAPLRender.mには並列コンピューティング及び描画のCPU側のロジックが、Shader.metalには頂点シェーダー、フラグメントシェーダー、GPUコンピューティング用のシェーダーが書かれています。

ここからは、サンプルコード内におけるMTLComputeCommandEncoderの使用箇所を解説していきます。

AAPLRender.mに以下の記述があります。MTLCommandBufferのcomputeCommandEncoderメソッドによりエンコーダーが生成されています。この記述は毎フレームごとに呼ばれる箇所にあります。


AAPLRender.m

id<MTLRenderCommandEncoder> renderEncoder = [commandBuffer renderCommandEncoderWithDescriptor:renderPassDescriptor];


また、以下のコードでは、MTLRenderPipelineStateのオブクジェクトをエンコーダーに設定しています。MTLRenderPipelineStateのオブジェクトは、頂点シェーダーやフラグメントシェーダーなどの関数を含んでいます。


AAPLRender.m

[renderEncoder setRenderPipelineState:self.renderPipelineState];


以下のコードでは、エンコーダーに使用するリソースの指定を行なっています。リソースはシェーダー内の関数の引数として渡されます。一つのエンコーダーで、頂点シェーダー用の頂点データとフラグメントシェーダー用のテクスチャを指定することができます。

ここでは、画面表示用のテクスチャとカラーマップ用のテクスチャを指定しています。


AAPLRender.m

[renderEncoder setVertexBuffer:self.vertexBuffer offset:0 atIndex:0];

[renderEncoder setFragmentTexture:self.currentGameStateTexture atIndex:0];
[renderEncoder setFragmentTexture:self.colorMap atIndex:1];

頂点バッファとテクスチャにはインデックスが振られています。シェーダー側の関数では、このインデックスを利用してデータの識別を行います。

以下のコードでは、三角形の描画を行います。今回は二つの直角三角形で画面全体の長方形を覆うので、頂点の数は6つとなります。


AAPLRender.m

[renderEncoder drawPrimitives:MTLPrimitiveTypeTriangle vertexStart:0 vertexCount:6];                                  


以下では、endEncodingメソッドによりエンコーダーからのコマンドが完了したことを宣言しています。この宣言があると、これ以上エンコーダーを使用することはできなくなります。


AAPLRender.m

[renderEncoder endEncoding];


このように、MTLRenderCommandEncoderはコマンドバッファに対して各種レンダリング用のコマンドをエンコードする役割を担っています。

今回はライフゲームのサンプルコード内におけるMTLRenderCommandEncoderの解説を行いました。

次回以降、さらに他の箇所についての解説を行なっていきます。