はじめに
SORACOM Discovery 2025 で「SORACOM Flux」にアプリテンプレート機能が追加されました。以前から SORACOM Flux を触ってはいたのですが、アプリテンプレートを一通り眺めてみて、テンプレートの構成や設計方針、使い方の工夫などを観察することで、Fluxの思想や活用のヒントが見えてきたように感じます。
本記事では、テンプレートを眺めて気づいた点や、Fluxの使い方に関するちょっとしたコツを個人的な視点で整理してみたいと思います。これからFluxを使ってみようという方や、テンプレートを参考に自分のフローを設計したい方にとって、何かしらのヒントになれば幸いです。
テンプレート一覧をざっと見てみた
アプリテンプレート機能では、代表的なユースケースに最適化された8種類のテンプレートが公開されています。これらは、Fluxのアプリケーション構築をより手軽にするためのもので、ユーザーはテンプレートを選択するだけで基本構成が複製され、最小限のパラメーター調整で利用開始できるようになっているようです。
現在のアプリテンプレートは大きく2つのカテゴリに分類されており、以下のようになっています。
業務の自動化を支援するテンプレート
- 温湿度センサーから熱中症リスク計算し多言語でチャットにお知らせ
- ソラカメで人数検知して可視化と通知
- ソラカメで異常の検知と通知
- pingによるデバイス死活監視
SORACOMの運用を支援するテンプレート
- IoT SIMデータ通信量の通知
- SAMユーザーMFAチェックアプリ
- IoTプラットフォームSORACOMの利用料金の通知
- ソラカメの定期スリープと定期起動
私の場合は、このテンプレートの分類だと、「業務の自動化を支援する」のような何かの課題を解決する運用を考えることが多かったのですが、「SORACOM の運用を支援する」といった使い方も出来ることに気が付かされました。
テンプレートを眺めてみるだけでも、Fluxがどのようなユースケースを想定しているか、そしてどんな構成が「使いやすい」とされているかが見えてきます。次のセクションでは、これらのテンプレートから見えてきた設計の考え方について掘り下げてみたいと思います。
テンプレートから考える SORACOM Flux の使いこなし
Slack通知アクションの活用
アプリケーションの多くは、最終的に何かしらユーザーに通知するような構成になることが多いのかと思いますが、今回のアプリテンプレートではSlack通知が多用されているのが、印象的です。これは、現場やチームでの即時共有を前提とした使い方の例であり、その中でもSlack通知を前提とすることで、容易に SORACOM Flux と連携できるのが分かります。
もちろん、メール送信やWebhook機能でのGoogleチャットへの連携などもテンプレートには含まれていますが、Slack通知は連携しやすくなっている印象を受けました。
スケジュールタイマーイベントソースが利用可能
これは、私が気が付いていなかっただけなのですが、2025年3月頃にスケジュールタイマーイベントソースが追加されていたようです。これにより、特定の時刻や曜日など、指定したスケジュールに基づいて Flux アプリを起動することが可能となります。
尚、このスケジュールタイマーイベントソースは、FluxのStandardプラン以上で利用可能な機能ということで、アプリテンプレートの画面でも丁寧に表示されています。
さいごに
アプリテンプレートは「すぐに使える便利な機能」であると同時に、「Fluxの使い方を学ぶ教材」としても非常に優れていると感じました。今後のテンプレートの充実にも期待しつつも、自分でもテンプレートをベースにした構成を試してみたいと思います。