はじめに
人事業務をしている中、最近「心理的安全性」という言葉をよく耳にします。
字面から「心が安全であることだよね~(?)」と思い、知った気になっていました。
が、改めて意味を聞かれると説明できない自分に気づき、調べてみることにしました。
心理的安全性とは
組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって
人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。
心理的安全性が高いと以下の行動が活発になると言われています。
・ミスや失敗の報告ができる
・誰かの意見に対する反論ができる
・質問やアイデアの提案ができる
・「報告」「連絡」「相談」が活発になる
・自発性、主体性を持って仕事に取り組める
・意欲を持って挑戦できる
心理的安全性が注目された背景
Google社は生産性向上させる働き方を明らかにするためのプロジェクトを行った結果、
労働生産性を向上させるためには5つの要素が必要であることが判明しました。
そのうちの1つが「心理的安全性」だったのです。
心理的安全性が高いチームのメンバーは以下のような特徴がありました。
・離職率が低い
・メンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用できる
・収益性が高い
・マネージャーから評価される機会が2倍多い
つまり、心理的安全性を高めるとチームのパフォーマンスと創造性が向上するのです!
心理的安全性がもたらすメリット
パフォーマンスが向上し、業績や成果につながる
心理的安全性が高いと、安心して仕事に集中できる環境になります。その結果、個人のパフォーマンスが向上し、仕事の効率や業績向上につながります。積極的に議論し、納得した上で目標に向かうので、目標達成のスピードも速くなるでしょう。
コミュニケーションが活発になる
不安を感じて発言を控えることがなくなるため、個人間のコミュニケーションが活発になります。
コミュニケーションが円滑になると、メンバー同士での情報交換がスムーズになります。失敗や不正などのネガティブな情報も集まりやすくなるので、早い段階で気づいてすぐに対応が可能です。
また、どのような意見でも受け入れてもらえるという安心感があれば、創造的なアイディアや既存の考えを覆すような発想が出やすくなります。結果として現状を良くするための提言が積極的に行われるため、イノベーションが促進されます。
エンゲージメントが高まる
心理的に安全な職場では自分の能力を生かせるため組織への愛着心が深まり、エンゲージメントが高まります。離職率も低くなるため、優秀な人材の流出を防ぐ効果も期待できると言われています。
心理的安全性を向上させるために
心理的安全性を向上させるためには、5つの行動が必要だと言われています。
心理的安全性を体験できる仕組みをつくる
発言することに自体に慣れていないと、職場で自由に発言することは難しいかもしれません。そこで、1on1で上司と話す時間や部署を超えてメンバーが集まりディスカッションの場がある勉強会などを設定し、安心して雑談や対話を繰り返せる機会をつくります。業務から少し離れた場所で心理的安全性を体験することで、発言することへの不安を徐々に取り除くことができます。
特定の人に偏らず発言できるようにする
自由に意見を言い合っているように見えても、一部のメンバーだけがいつも発言している場合があります。
一人ひとりが発言できているかどうかをチェックし、立場の弱い人や新しく入った人などへ意識的に発言を促すことが大切です。
何のために発言するのか共通した価値観を持つ
役職や年齢に関係なく意見を伝えられる風通しの良い組織にすることは、トップダウンが多い日本の会社では難しく感じられるかもしれません。発言するには「お客様のため」、「良い商品を作るため」であるという価値観を共有すると、チームに一体感が出て意見が言いやすくなるでしょう。
アサーティブ・コミュニケーションを心掛ける
アサーティブ・コミュニケーションとは、相手を尊重しながら対等に自分の要望や感情を伝えるコミュニケーション方法です。アサーティブなコミュニケーション技術を学ぶことにより、要求や気持ちを適切に表現できるようになるため、心理的安全性を高めるのに役立ちます。
飲み会や食事会を実施する
職場以外の場所で交流することによってリラックスした状態になり、心理的安全性が高まりやすくなります。
他の方法を実践する前に、まずは飲み会や食事会の時間で心理的安全性を高める方法を試してみるのも良いでしょう。大勢での会食が難しい場合には、2~3人などの少人数での食事でも実践の価値はあります。
心理的安全性を低下させる原因
向上の反対、低下させる原因についても調べてみました。
その結果、4つの不安が関係していることがわかりました。
無知だと思われる不安
質問や確認をしたくても「こんなことも知らないのかと思われないか」と不安になり、その結果、気になることがあっても質問しづらくなってしまうケースです。
無能だと思われる不安
ミスや失敗した時に「仕事ができないと思われるのでは」と不安になり、自分の失敗や弱点を認めなかったり、ミスを報告しなかったりするようになるケースです。
邪魔をしていると思われる不安
自分が発言することで「話の邪魔をしていると思われないか」不安になり、提案や発言をしなくなってしまうケースです。
ネガティブだと思われる不安
改善を提案したくても「他の人の意見を批判していると否定的に捉えられるのでは」と不安になり、現状の批判をしなくなったり、意見があっても言わなくなってしまうケースです。
企業が取り入れている具体例
心理的安全性を向上させるために、各企業が実施している施策も調査してみました。
システムを開発したり制度を導入する等、会社全体で実施しているところが多い印象です。
・株式会社メルカリメルチップ
・株式会社LIFULL 「日本一働きたい会社」創りの秘訣
しかし思うことが…
心理的安全性を高めることができるのは、経営者や管理職だけのように思えました。
もっとハードルが低くて、私たちでも簡単にできる働きかけはないのでしょうか…
心理的安全性を向上させるために私たちができること
改めて心理的安全性を向上させる5つのポイントを見てみましょう。
心理的安全性を体験できる仕組みをつくる
発言に対する不安を取り除き、自由に発言できる環境であればよいのです。そのため、私たちが簡単にできる行動例として以下が挙げられます。
・打合せ開始時に自ら元気よく挨拶する
・誰かの発言に対して必ずリアクションをする
特定の人に偏らず発言できるようにする
メンバー全員が発言できる状況が好ましいですよね。そのため、私たちが簡単にできる行動例として以下が挙げられます。
・発言するメンバーを決める際、挙手性ではなく指名制にする
・ルーレット等のツールを使用し、公平に発言者を決める
何のために発言するのか共通した価値観を持つ
共通の認識を持ち、チームに一体感を持たせることが重要です。そのため、私たちが簡単にできる行動例として以下が挙げられます。
・打合せの前に目的を確認する
アサーティブ・コミュニケーションを心掛ける
互いに要求や気持ちを素直に共有できる状態にすることがベストです。そのため、私たちが簡単にできる行動例として以下が挙げられます。
・相手の気持ちに共感する姿勢を持つ
・相手の要求や気持ちを否定しない
飲み会や食事会を実施する
職場以外の場所で交流を持つことで、気軽に雑談できるようになり心理的安全性の向上につながります。そのため、私たちが簡単にできる行動例として以下が挙げられます。
・食事会を企画する
・チャットツール等を活用して雑談できる場所を準備する
さいごに
心理的安全性が高いとチームメンバーのパフォーマンスが向上されます。
これはエンジニアだけでなく、その職種においても意識しておきたいですよね。
心理的安全性を高めるためには経営層やリーダーの働きだけでなく、メンバーの小さな行動が繋がっていると考えます。
先ほど挙げた行動例は私が思いついたものであり、ごく一部かと思います。
みなさんも思いついた方法は積極的に取り入れて、チームの心理的安全性を向上させていきましょう!
参考資料
・心理的安全性とは | 人材育成・組織開発 お役立ち情報・用語集
・心理的安全性とは?メリット・デメリットから施策具体例まで紹介
・心理的安全性の高い組織のメリットを解説!ぬるま湯組織にしないためには?
・心理的安全性の作り方とは?効果やチーム作りの方法を解説