1. はじめに
AWSを学習するときに必ず出てくるのが、以下のようなネットワーク構成です。
- パブリックサブネット
- プライベートサブネット
- ALB(Application Load Balancer)
- 踏み台サーバー(Bastion Host)
- NATゲートウェイ
ですが、初心者からすると「なんでこんなに複雑なの?」「直接EC2にアクセスすればいいのでは?」と思ってしまうことも多いです。
そこで今回は、「家」にたとえて直感的に理解できる説明として記事にしました。
2. 対象となる方
- AWSに限らず、IT全般の初学者の方
- AWSを学び始めたばかりで、ネットワーク設計の基本がよく分からない方
- AWS構成図を、ITに精通していないお客様向けに分かりやすく説明したい方
3. 今回説明する構成図
4. パブリックサブネットとプライベートサブネット
-
パブリックサブネット
構成図の緑色の箇所になります。
例えると、家の門の外にあるインターホンに相当します。
誰でも歩道や道路から触れることができる場所をイメージしてください。
インターネットとつながっているため、外からアクセス可能です。
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プライベートサブネット
構成図の青色の箇所にあたります。
こちらは、家の玄関やリビングに相当します。
もちろん外から直接は入れません。
鍵を持っている人や、門でチェックを受けた人だけが入れる空間です。
外から丸見えの場所(パブリック)と、安全な内部空間(プライベート)を分けることで、セキュリティを確保します。
5. ALBは正面玄関の受付
本構成では、利用者がアプリを使うときは、必ず正面玄関の受付(ALB) を通るようにします。
- 受付(ALB)で「この人は入っていいか?」を確認
- 許可された人だけが、リビング(EC2のアプリ)に案内される
これにより、外部から直接サーバーに入れない構造になります。
補足:実際のALBはもう少し多機能です
1. 案内係(負荷分散)
ALBは複数のサーバーに人を振り分ける案内係でもあります。
例)
- 玄関に複数の案内係がいて、訪問者を空いている部屋(EC2)に案内する
- 人気のレストランで「こちらの席にどうぞ」と振り分けるイメージ
これにより、サーバーの負荷が1台に集中せず、分散させることが可能です。
2. サービスごとの入り口(ルーティング)
ALBは、アクセスする「URLのパス」に応じて案内先を変えることもできます。
例)
- /app1 → アプリAのサーバーへ
- /app2 → アプリBのサーバーへ
家でたとえると、玄関で来客に応じて『リビングに案内』『客室に案内』をする受付係です。
6. 踏み台サーバーは「守衛室」
管理者がサーバーにログインするときも、直接リビングには行けません。
- まずは「守衛室(踏み台サーバー)」に立ち寄り、本人確認を受ける
- 守衛室を通った人だけが、サーバーにログインできる
管理者ですら裏口から直接入れない構成にすることで、安全性を高めます。
7. 秘密鍵は特別な合鍵
守衛室に入るには、特別な合鍵(秘密鍵) が必要です。
- 秘密鍵を持っている人だけが守衛室に入れる
- 守衛室には、その合鍵でしか開かない鍵穴(公開鍵)がついている
- 鍵がない人は絶対に入れない
秘密鍵は「本人しか持っていない特別な合鍵」であり、管理者だけが安全にアクセスできる仕組みです。
8. NATゲートウェイは「宅配代行サービス」
プライベートサブネットのサーバーは外から直接アクセスされないと同時に、自分からインターネットに出ることもできません。
しかし、ソフトウェア更新や外部サービス利用のために外に出たいこともあります。
そこで登場するのが NATゲートウェイ(宅配代行サービス) です。
- 家の中の人(プライベートサブネットのEC2)が「牛乳が欲しい」と注文
- 宅配代行(NATゲートウェイ)が代わりにお店(インターネット)へ買い物に行く
- 商品を家の中に届けてくれる
- お店側からは「代行サービスからの注文」にしか見えず、家の中の人が直接見えることはない
これにより、外からは見えないけど、安全に外へ出られる仕組みが実現します。
9. まとめ
- パブリックサブネット:門の外(誰でも見える場所)
- プライベートサブネット:家の中(外から直接は入れない)
- ALB:正面玄関の受付(利用者は必ずここを通る)
- 踏み台サーバー:守衛室(管理者も必ずここを通る)
- 秘密鍵:守衛室に入るための特別な合鍵
- NATゲートウェイ:宅配代行サービス(安全に外のサービスを利用できる仕組み)
AWSのネットワーク設計は初学者の方にとっては一見複雑ですが、家に例えて 「安全にするための動線づくり」 と考えるとシンプルに理解できます。
10. おわりに
この記事では、家に例えてAWSネットワークの基本的な考え方を紹介しました。
本記事によってAWS構成が理解できたり、お客様向けに分かりやすく説明するきっかけになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
