前書き
この記事は Microsoft Power BI Advent Calendar 2025 シリーズ2 の 5 日目の記事です。
(空いていたので、後から埋めています)
はじめに
私は仕事で企業から依頼を受けて Power BI の研修講師を担当しています。受講者の方は、その組織の社員だったり、職員だったりします。これまでにたぶん 1000 人以上の方に参加していただきましたが、実に様々な方がいらっしゃいました。
今回は、
「どうやら受講者にこういう傾向があると、あまりうまく組織内で活用が進まないぞ」
ということがわかってきましたので、この記事ではその特徴を紹介してみようと思います。
1. 研修を受講すればできるようになると思っている
世の中にある研修はおそらくすべてそうなのですが、
「受講すればその研修が設定しているゴールに必ず辿り着く」
なんてことはありません。
どんなときでも、学習は常に受講者がするべきものです。
研修や講義で伝えられるのは、正しい考え方に基づいた正しい方向と正しい手段です。それを理解しさいようするのは受講者本人です。
ところが、手取り足取りその道を、手を引いて連れていってもらえると思っている方に出会うことがあります。この考え方はなかなかに辛いところです。小学生くらいのお子様なら、わかります。私の研修に参加される方は全員成人(大人)なのです。
仮に手取り足取り連れて行ったとしても、その方にスキルは身につくのでしょうか?
つまり、研修から業務に戻ったら、ひとりでそのスキルを発揮できるか?ということですが、これはとても難しいことでしょう。
逆説的に言うと、研修でたかだか数時間、話を聞いただけでできることに価値があるのでしょうか?
もちろん知っていることでできることはあります。ですが、知っていればできることは、いまの世の中、インターネットで検索すれば、簡単に知ることができるでしょう。研修で大事なのは検索すれば知れることではなく、基本に基づいた考え方です。
その講師がどう考え、どう使っているのか?
これをどん欲に理解しようとすることが求められます。
そしてそれにはできるようになりたいという強い気持ち、モチベーションが必要です。
受講前に準備できることのひとつは、その目的を整理し、明確にしておくことでしょう。
2. 完全なる受け身で参加する
上記 1 で既に触れていることですが、積極的に研修に参加する姿勢というのは、何よりも強いものです。しかし、研修講師をしているものとしての感覚値ですが、受講者の半分以上の方は、研修への参加が受け身になっています。
受講のきっかけが
- 上司からの指示
- チームで一番の若手だから
などの理由の場合は、致し方ないかもしれません。ですが、そういった場合、それは業務指示というわけです。つまり基本的に拒否権はなく、業務上必要となるスキルを身に付けることをミッションにされているわけです。そのスキルを身に付けなければ、自身が業務上困ることになるわけですから、よい機会として捉えることが必要です。
「会社のお金でスキルを身に付けることができる、きっかけをもらえた!ラッキー😊✨」
くらい逞しく思っていい話です。
それを
- 「あぁー面倒だなぁ。Power BI?データ?興味ないんだよなぁ...」
- 「まぁ、どうせ数時間話を聞いていれば、終わるんだろう。我慢、がまん...」
といった姿勢では、もったいない。この上なく、もったいないことです。
また、講師の話を聞いて考えないというのも、受け身な人の特徴です。ただ聞いているだけ、ただ受講しているだけ、ただそこにいるだけ、というのは、これまたもったいない。
話を聞いていて、考えているとというのは、理解をしようとしていることになります。当然、そうやって考えながら気聞いていても、わからないことは出てきます。わからないことが出てきたら、質問のチャンスですよね。
「いまこう言われて、私はこのように理解したのですが、そうであれば、こういった場合はどうなりますか?」
考えている人の質問というのは、このようにとても具体的で、そのシナリオが思い浮かぶものです。このような質問はよい質問と言えるでしょう。
3. なぜ学ぶのか、わかっていない(目標がない)
こちらも前項の続きになります。
たとえ、上司からの指示で受講することになったとしても、自分で目標設定ができる人は、上手く学ぶことができます。
もっとも、組織として考えた場合、なぜ学ぶのか?という目標は、まずは組織が与えるべきでしょう。少なくとも説明責任があるわけです。
「我が社では、データ活用を推進していくことになっている。いついつまでにこういったスキルを持つ人材を○○人、各部署に配置することになる。そのためのツールは Power BI を選定した。そのために各部署にまずは推進役となる人に Power BI のスキルを身に付けてもらいたい。我こそはと思う人は、自ら挙手をして、来月に開催される研修を受けてほしい」
こんな感じで公募されることが理想ですが、組織によっては、挙手制ではなく、指名制の場合もあることでしょう。いずれの場合も、上司からの説明があるとなしでは、受講する理由の解像度はまるで異なることになります。
もしご自身がそう言った場面に出くわしたら、ぜひとも上司や組織にその理由をたずねてみてください。受講者にはそれを知る権利があります。その上で、個人的な目標を設定して臨めば、一石二鳥ですね!
4. 業務の中の研修だと、わかっていない
組織において開催される研修というのは、基本的に業務時間中に行われます。ということは言わずもがな、それは「仕事」の一環ということです。仕事だということは、達成するべきミッションがあるわけです。
ただ、受講者の方を見ていると、仕事じゃないと思っていると思われる方に出会うことがあります。それは必死さに現れます。ミッションだと理解していれば、辿り着かなければならないところがあるわけです。もし辿り着かなければ、ミッションが達成されないわけですから、仕事が完遂しません。「できなかった」という事実のみ、残ります。
また、研修の目標にもつながる話ですが、研修が終わった後、チームでこういったことを求められるだろうなというのは、少しアンテナを張っていれば、わかるものです。組織人として、求められることを察知する能力はとても重要なものです。
5. 講師に対しての質問が喧嘩腰
たとえば講師が技術的に間違ったことを言ったのであれば、それは質問によって、正してあげて全然かまいません。むしろそうすることが、他の受講者のためになります。ただし、大人として冷静に質問をすることが求められるでしょう。
たまにいらっしゃるのが、その分野をある程度経験されていると自認されている方は、自信をもっています。それ自体は悪いことではないのですが、その自信が故に、知らないことを説明されて、自分自身がこれまでやっていた方法と異なるもの、あるいは否定されるものである場合に、喧嘩腰で質問をしてくる人がいます。
こういう場合、講師が思っているのは
「そんなに自信があるなら、あなたが社内で講師をやりなさいよ」
ということです。そうすれば、組織も余計なコストを支払うことがなくなるわけですから、とても良いことなはずです。
また
「そんなにできると思っている人がなぜこの研修を受講しているのだろう...?」
とも思います。
ただ、残念なのは、自信があるが故、自分以外の方法を認めない人である場合、組織にとって、あまり良い結果になりません。例を挙げれば、とある人が作ったマクロ入り Excel ファイルが業務で使用されていて、その中身は誰も把握しておらず、秘伝のたれのようになってしまっているケースはこれに該当することがあります。
どんな人であれば、研修を受けるのであれば、素直に聞くという姿勢は、講師のためだけでなく、他の受講者のためにも必要なことでしょう。そのうえで、異なる考えを質問したくなったのであれば、終わってから聞いてみるというのがいいかもしれません。
まとめ
今回はこのくらいにしておきます。
もし、みなさんが研修を受講することになったら、上記のようなことを少し考えてみると、より良い結果が得られるかもしれません。