前書き
この記事は Microsoft Power BI Advent Calendar 2025 シリーズ2 の 4 日目の記事です。
(空いていたので、後から埋めています)
はじめに
私は仕事で企業から依頼を受けて Power BI の研修講師を担当しています。その際、企業や組織の中の「研修担当」の方とお話をします。組織によっては、人事部の教育担当の方だったり、社内のDX推進の事務局の方だったりと、呼び名は様々です。
これまでにそんな研修担当者や事務局の方とたくさん話をしてきましたが、
「どうやらこういう傾向があると、あまりうまく組織内で活用が進まないぞ」
ということがわかってきましたので、この記事ではその特徴を紹介してみようと思います。
注意⚠️
もし私のクライアント様で「なに私(弊社)のことを書いているんだ!」と思われた方は、ご安心ください。あなただけではなく、他社にも数多く同じような方がいらっしゃいます。私に文句を言う前に、冷静に見直しをしてみることをお勧めいたします。
また以降の内容は、事実に基づいたフィクションです。
1. 研修担当者が該当の製品に興味がない
私の場合は、Power BI の研修講師を担当していますので、ここでいう該当の製品は Power BI を指します。研修の内容を決める際に、何度も打ち合わせをするわけですが、話をしているとわかってしまいます。
「あぁ、この人、Power BI に興味がないんだ...」
この場合、もちろんその人は Power BI を使うスキルは持っていません。おそらく上司の方か上層部から、データ活用の教育を実施するように指示をされたのでしょう。既に少し前に Power BI が導入されていることも少なくありません。ただ、活用が進んでいないので、研修を開催するように指示を受けたということです。
このパターンの場合、残念ながら、活用は進みません。
え、研修の内容が悪いんじゃないかって?
はい、その可能性も否定できないので、毎度、私自身は振り返りをしています。ですが、似たような内容を他社で実施した場合に、目を見張るような活用が進むこともあります。
思うに、BI というのは組織で取り組むものです。組織で取り組み、活用を進め、普及させるには、中心となる部署(旗振り役)が必要になります。研修担当や事務局という部署にはその役割が求められるのです。その旗振り役が Power BI に興味ないどころか、スキルも持ち合わせていないのであれば、活用は進みません。
2. 研修時に事務局の人が誰も参加していない
おそらく今のご時世、研修担当で専任という方はあまりいらっしゃらないのかもしれません。多くの方が他の業務と兼務をされているのか、忙しいようです。そのため、研修の時刻になり、私が Teams なり Zoom なりのオンラインMTGに参加すると、研修担当の方がいないのです。
メールまたはメッセージツールを確認すると、自分は参加できないので進めておいてくださいとのこと。私は全く問題ありません。研修講師をする上でひとりでも問題なく、進めることができます。ある意味で信頼されているのかな?なんて思ったりもしますが、実はこの状況、とてもよろしくないのです。
まず、研修の質を確認できません。組織において、研修担当という役割を担っているのであれば、受講者の方にその品質を担保する必要があります。もちろん、直接的には講師である私の仕事です。ですが、描いていた通りのことが研修で実施されているか、見守る責務は、研修担当者の方にあるはずです。
研修に参加していないので、その結果は受講者の方が回答してくださったアンケートで知ることになります。ただ、アンケートというのは、事実のみが書かれるわけではなく、受講者の方のバイアスがかかって回答がなされます。その場にいれば、「あーそういうふうに受け取られたか」とわかるものですが、そこに参加していない人が後から読んだだけでは、わかるようなものではありません。
また、研修は生き物です。講師という人が行うものですから、当然毎回の質は異なります。もし、毎回同じものでなければならないというのであれば、事前に動画を収録して、オンデマンドで見てもらえば、済むことでしょう。事前収録の動画の弱点は、一方通行だということです。受講者の方からすると、質問ができないわけです。
一方通行で理解できるようなものであれば、それは研修を実施するほどの難しさがないということになります。残念ながら、私が担当している Power BI は、それほど簡単なものではありません。
研修を実際に人がやることの利点を生かして、滞りなく開催されたか、これを見守るには、研修担当者が一緒に参加する必要があるのです。
事実、そういった企業さんではあまり活用が進んでいないことが、後に確認をされています。
3. 研修後の目標がない
「Power BI の研修を実施して、希望者が無事に受講出来たら、それでおしまい」
そうでしょうか?研修担当の仕事はそれだけですか?
そもそも組織はなぜその研修を開催したのですか?
そこには明確にゴールがあったはずです。そのゴールに少しでも近づくために、研修を開催したはずですよね。ならば、研修後、そのゴールに近づくことができたのか、確かめる必要があります。その確認方法は研修実施前に定義されていなければなりません。そうしないと、効果測定ができないからです。
組織は組織のお金を使って、研修を実施します。それは投資に他なりません。投資にはリターンが必要です。リターンを定量化する必要があります。
研修を実施するのであれば、担当者として、ロードマップを描き、目標を定めて、いつまでにどうなるということを組織にコミットすることが求められるでしょう。
闇雲に受講者の機会を与えるだけで、どうなるものでもありません。もし、目標がない状態で成果が出たとしたら、それは受講者の方がとてつもなく優秀だった、という偶然に過ぎません。組織としては喜ばしいことかもしれませんが、それでは教育がギャンブルになってしまいます。
ひとつの研修を企画することは、ひとつのプロジェクトを進めることです。プロジェクトリーダーとしての自覚を持つことが必要になります。そうして、目指すべきところに受講者を導き、連れていく。そんな素晴らしい仕事が研修担当という役割に求められると思います。
おわりに(対策含む)
他にも挙げようと思えばあるのですが、今回はこのくらいにしておきます。上記1~3のすべて「~ない」というタイトルを付けました。
- 研修担当者が該当の製品に興味がない
- 研修時に事務局の人が誰も参加していない
- 研修後の目標がない
これらの対策は簡単ですよね。
研修担当者が該当の製品に興味を持って、受講者より先に勉強をする。そうして、研修時にオブザーバーとして参加をする。研修後は事前に定義しておいた組織の目標にいかに近づくことができたか、数か月の時間をおいて、確認する。その数か月の間、受講者の方からの質問を受け付けるなど、サポート体制を整えておく。
これは私が研修講師を担当する中で、クライアント様を客観視してわかった結果です。
信じるか、信じないかは、あなた次第。
願わくば、この内容が皆さんにとってのクリスマスプレゼントになれば、この上なく幸いでございます。