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❄️snowflakeにおけるデータガバナンスの実践

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はじめに

データガバナンスは、企業がデータを安全かつ効果的に管理するための重要な要素です。特に、Snowflakeのようなクラウドデータウェアハウス(DWH)では、その機能が多岐にわたるため、適切な設計と運用が求められます。本記事では、Snowflakeが提供するデータガバナンス関連機能を「データ品質・可視化」「セキュリティ・制御」「監査・依存関係」の3つの視点から整理し、実務での設計指針を示します。

課題

多くの企業では、Snowflakeのガバナンス機能が多岐にわたるため、どの機能をどの目的で利用すべきかが整理できていません。この結果、セキュリティ設定や品質監視が属人的になりやすく、組織全体での一貫性が欠如することがあります。これにより、データの信頼性や安全性が損なわれるリスクが高まります。

解決アプローチ

Snowflakeのガバナンス機能を以下の3つの視点に分類し、体系的に整理します。

  1. データ品質・可視化

    • データの品質を監視し、可視化するためのメトリックを設定します。
  2. セキュリティ・制御

    • 列レベルおよび行レベルのセキュリティを設計し、データへのアクセスを制御します。
  3. 監査・依存関係

    • アクセス履歴やロール依存関係を分析し、監査の設計を行います。

これらの視点を基に、Snowflakeのタグベースマスキングポリシーなど、実務での設計・運用指針を示します。

実装ステップ

snowflakeでは、SQLベースでデータガバナンスを実装します。

1. データ品質監視とメトリック収集

  • Query HistoryInformation Schemaを使用して、データの品質を監視します。
  • 例:
    SELECT *
    FROM SNOWFLAKE.ACCOUNT_USAGE.QUERY_HISTORY
    WHERE EXECUTION_STATUS = 'SUCCESS'
    AND START_TIME > DATEADD(day, -7, CURRENT_DATE());
    

2. 列レベル/行レベルセキュリティの設計

  • 列レベルおよび行レベルのセキュリティを設計し、必要なアクセス権を設定します。
  • 例:
      -- 1. 行アクセスポリシーの作成
      CREATE OR REPLACE ROW ACCESS POLICY region_filter_policy
      AS (record_region_id VARCHAR)  -- 👈 テーブルの列(ここではREGION_ID)を引数として受け取る
      RETURNS BOOLEAN ->
          -- ユーザーのロールが 'ADMIN' の場合はすべての行を表示
          (CURRENT_ROLE() = 'ADMIN' OR
           -- それ以外の場合、ユーザーのロールが行の地域IDと一致する場合のみ表示
           CURRENT_ROLE() = record_region_id);
      
      -- 2. テーブルへのポリシーの適用
      ALTER TABLE sales_data 
      ADD ROW ACCESS POLICY region_filter_policy ON (region_id); 
      -- 👈 sales_dataテーブルの'region_id'列をポリシーの引数(record_region_id)に渡す
      
      -- 3. 検証('EAST'ロールのユーザーの場合)
      USE ROLE EAST;
      SELECT * FROM sales_data;
      -- 👈 結果:REGION_IDが 'EAST' の行のみが表示される
    

3. オブジェクトタグ付けと分類

  • データオブジェクトにタグを付け、分類します。これにより、データの管理が容易になります。
  • 例:
      -- テーブル 'ANALYTICS_VIEW' 全体にタグを割り当て
      ALTER TABLE ANALYTICS_VIEW
          SET TAG GOVERNANCE_DB.TAGS_SCHEMA.CONFIDENTIAL_LEVEL = 'PUBLIC';
    

4. タグベースのマスキングポリシー実装

  • タグを基にしたマスキングポリシーを実装し、データのセキュリティを強化します。
  • 例:
      -- 1. タグベースのマスキングポリシーの作成
      CREATE OR REPLACE MASKING POLICY tag_based_masking
      AS (val VARCHAR)
      RETURNS VARCHAR ->
          CASE
              -- 列に 'PII' タグが設定されている AND ユーザーロールが 'ANALYST' の場合
              WHEN SYSTEM$GET_TAG('CONFIDENTIAL_LEVEL', CURRENT_COLUMN_NAME(), 'COLUMN') = 'PII' 
                   AND CURRENT_ROLE() = 'ANALYST'
              THEN 'XXXXXXXXXX'  -- 完全マスク
              
              -- それ以外(ADMINなど)の場合
              ELSE val
          END;
      
      -- 2. マスキングポリシーをタグ自体にバインド(紐づけ)
      ALTER TAG GOVERNANCE_DB.TAGS_SCHEMA.CONFIDENTIAL_LEVEL
          SET MASKING POLICY tag_based_masking;
      
      -- 👆 この設定により、今後 'CONFIDENTIAL_LEVEL' = 'PII' が設定されたすべての列に、
      --    上記のマスキンクポリシーが自動的に適用されます。
    

5. アクセス履歴/依存関係分析による監査設計

  • アクセス履歴や依存関係を分析し、監査の設計を行います。
  • 例:
      --過去7日間に、機密性の高い列にアクセスしたユーザーとアクセス元を特定
      SELECT *
      FROM
          snowflake.account_usage.access_history
      WHERE
          -- 過去7日間のアクセスを対象とする
          query_start_time >= DATEADD(day, -7, CURRENT_TIMESTAMP()) 
          AND 
          -- アクセスされたオブジェクトの中に、PIIタグが付与された列が含まれていることを確認
          EXISTS (
              SELECT 1
              FROM LATERAL FLATTEN(input => base_objects_accessed) AS accessed_obj
              WHERE accessed_obj.value:objectId = (
                  -- 'CUSTOMERS'テーブルの'EMAIL'列をPIIとして例示
                  SELECT 
                      t.table_id || '.' || c.column_id 
                  FROM 
                      snowflake.account_usage.tables t
                  JOIN 
                      snowflake.account_usage.columns c ON t.table_id = c.table_id
                  WHERE 
                      t.table_name = 'CUSTOMERS' AND c.column_name = 'EMAIL'
                      -- 実際にはタグ情報ビューから取得しますが、ここでは単純化
              )
          )
      ORDER BY 
          query_start_time DESC;
    

6. 実務におけるガバナンス設計

  • 組織全体で再利用可能な「統制設計フレームワーク」を作成します。これには、各機能の利用目的や設定方法を明記します。実務への適用ポイントは以下です。

実務適用のポイント

  • 管理境界を明確化する
     セキュリティ(ロール・認証)と構造(テーブル・ビュー)の責務を分ける。

  • ACCOUNT_USAGEを中心に統制設計を内包する
     Snowflake内部のメタデータを監視対象とし、外部監査ツール依存を減らす。

  • タグ駆動設計を採用する
     機密区分や責任者情報をタグでメタデータ化し、
     マスキング/監査/可視化に一貫して利用する。

7.snowflakeの他社製品と比較した強み

snowflakeのガバナンス機能では、データウェアハウス内で完結した、シンプルで一貫したSQLインターフェースに統合することで、開発者・運用者にとっての使いやすさと、ポリシー管理の確実性において優位性を持っています。これにより、データガバナンスの実施が簡素化され、組織全体のデータ管理が向上します。

まとめ

Snowflakeにおけるデータガバナンスは、データ品質、セキュリティ、監査の3つの視点から体系的に整理することが重要です。具体的な実装ステップを通じて、企業は一貫したデータガバナンスを実現し、データの信頼性と安全性を高めることができます。

ご案内

snowflakeのガバナンス機能について、実務でどのように設計し、どの管理主体に運用して貰うべきか、詳細が気になる方はぜひ気軽にお問い合わせください。
表形式でまとめた資料を無料でお渡しさせていただきます。
※私個人で作成したものであり、参考程度にご活用願います。

参考資料

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📘 MyWay Going(マイウェイ・ゴーイング)

データ連携基盤・ETL・DB設計を専門とするフリーランスエンジニアのポートフォリオサイトです。
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