Oracle Cloud Infrastructure (OCI) のコンピュート性能は、Amazon Web Services (AWS) EC2と比べて本当に優れているのでしょうか?本検証レポートでは、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク性能を徹底比較し、実際のワークロードでのパフォーマンスやコストパフォーマンスを詳細に分析します。この記事を読むことで、OCIが特定の高性能ワークロードで強みを発揮する一方で、AWS EC2が持つ汎用性やエコシステムの強みも明確になり、あなたのワークロードに最適なクラウド選択の参考になると幸いです。
1.なぜOCIとAWSの性能比較が重要なのか
現代のビジネスにおいて、クラウドサービスの利用はもはや不可欠な要素となっています。特に、企業の基盤となるシステムやアプリケーションを稼働させる上で、クラウドのコンピュート性能は、その応答速度、処理能力、そしてユーザー体験に直結する極めて重要な要素です。
しかし、数多あるクラウドサービスの中から、自社の要件に最適なものを選び出すのは容易ではありません。特に、主要なクラウドプロバイダーであるOracle Cloud Infrastructure (OCI)とAmazon Web Services (AWS)のコンピュートサービス(AWS EC2)は、それぞれ異なる強みや特徴を打ち出しており、その性能差について具体的な情報を求める声が多く聞かれます。
1.1 クラウド移行・最適化におけるコンピュート性能の重要性
クラウドへの移行を検討している企業、あるいは既存のクラウド環境を最適化しようとしている企業にとって、コンピュート性能の選択はビジネスの成否を分けると言っても過言ではありません。アプリケーションのパフォーマンスが不足すれば、顧客満足度の低下や機会損失につながりかねませんし、過剰な性能を選択すれば、不必要なコスト増大を招きます。
1.1.1 ビジネス成長を支えるインフラ選定の課題
デジタル変革が加速する現代において、企業は常に変化する市場のニーズに迅速に対応できるITインフラを求めています。クラウドは柔軟性とスケーラビリティを提供しますが、その多様なサービスの中から、自社のワークロードに最適なコンピュートインスタンスを見極めることは、専門知識を要する複雑な課題です。特に、高性能なデータベースやデータ分析、機械学習などのワークロードでは、わずかな性能差が全体の処理時間に大きな影響を与えることがあります。
1.1.2 コストと性能のトレードオフ
クラウドインフラの選定においては、「性能」と「コスト」のバランスが常に問われます。一般的に、高性能なインスタンスほど利用料金は高くなりますが、その性能がビジネスに与える価値を考慮すれば、必ずしも低コストが最善の選択とは限りません。逆に、コストを抑えようとすると、必要なパフォーマンスが得られず、結果として業務効率の低下や機会損失を招く可能性もあります。この複雑なトレードオフを最適に解決するためには、客観的な性能データに基づいた意思決定が不可欠です。
1.2 OCIとAWS、両クラウドのコンピュートサービス
Oracle Cloud Infrastructure (OCI)は、その高いパフォーマンスと低コストを特徴として近年注目を集めています。特に、Oracle Databaseのワークロードに最適化された設計や、ベアメタルインスタンス、RDMAネットワークなどの提供により、特定の高負荷ワークロードにおいて優れた性能を発揮すると謳われています。
一方、Amazon Web Services (AWS)のAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)は、クラウド市場のデファクトスタンダードとして、その圧倒的なインスタンスタイプの多様性、豊富なサービス連携、そして広範なグローバル展開により、多くの企業に利用されています。幅広いワークロードに対応できる汎用性と成熟したエコシステムが最大の強みです。
1.2.1 OCIの強みとAWSの普及度
OCIは、「Gen 2 Cloud」として、基盤となるネットワークやストレージの設計思想が異なり、特にエンタープライズ向けのミッションクリティカルなワークロードにおいて、高いSLAと予測可能なパフォーマンスを提供することを目指しています。また、Oracle製品との親和性の高さも特筆すべき点です。
対してAWSは、数多くのインスタンスファミリーとタイプを提供し、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク性能の組み合わせを細かく選択できる柔軟性が特徴です。スタートアップから大企業まで、あらゆる規模の組織が、その多様な選択肢の中から最適なインスタンスを見つけることができます。
1.2.2 本記事が提供する価値:客観的なデータに基づく意思決定
本記事では、OCIとAWS、これらのクラウドプロバイダーのコンピュートサービスについて、客観的なベンチマークテストデータに基づいた徹底的な性能比較を行います。単なる機能比較に留まらず、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークといった各要素のパフォーマンスを詳細に検証し、実際のワークロードでどのような差が生じるのかを明らかにします。
この検証レポートを通じて、読者の皆様が自身のパフォーマンス要件とコスト最適化の目標に基づき、OCIとAWS のどちらがより適しているのかを判断するための、具体的な指針と洞察を得られることを目指します。
2. 検証環境と測定方法
本検証では、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)とAWS(Amazon Elastic Compute Cloud)におけるコンピュート性能を公平かつ網羅的に比較するため、厳格な検証環境の構築と測定方法の確立を行いました。両クラウドプロバイダーの特性を考慮し、できる限り同等の条件で比較できるインスタンスタイプを選定し、客観的な数値に基づいて性能差を評価します。
2.1 検証対象インスタンスの選定
性能比較の公平性を保つため、OCIとAWSそれぞれから、一般的なワークロードで利用される汎用インスタンスタイプを中心に選定しました。特に、CPUコア数とメモリ容量が近い構成のインスタンスを複数パターン用意し、それぞれの性能特性を深掘りします。
2.1.1 比較対象インスタンスタイプ
以下の基準に基づき、主要なインスタンスタイプを選定しました。OCIのフレキシブルインスタンス(VM.Standard.E3.Flex, VM.Standard.E4.Flex)は、CPUコア数とメモリ容量を細かく調整できるため、AWSの固定構成インスタンスと最も近いスペックに調整して比較を行いました。
| クラウドプロバイダー | インスタンスファミリー | インスタンスタイプ例 | CPUコア数(vCPU) | メモリ(GB) | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| OCI | AMD EPYC汎用 | VM.Standard.E3.Flex | 2, 4, 8など | 16, 32, 64など | フレキシブルなCPUとメモリ構成 |
| OCI | AMD EPYC汎用 | VM.Standard.E4.Flex | 2, 4, 8など | 16, 32, 64など | 最新世代のAMD EPYCプロセッサ |
| AWS | 汎用 | m6i.large, m6i.xlarge | 2, 4 | 8, 16 | Intel Xeonプロセッサ搭載 |
| AWS | 汎用 | m6a.large, m6a.xlarge | 2, 4 | 8, 16 | AMD EPYCプロセッサ搭載 |
| AWS | コンピューティング最適化 | c6i.large, c6i.xlarge | 2, 4 | 4, 8 | Intel Xeonプロセッサ搭載、CPU性能重視 |
2.1.2 リージョンとOS
検証は、両クラウドプロバイダーの日本国内のリージョン(OCI 東京リージョン、AWS 東京リージョン)で実施しました。これにより、地理的な要因によるネットワークレイテンシの影響を最小限に抑え、公平な比較を可能にしています。
オペレーティングシステム(OS)は、各インスタンスで「Ubuntu Server 22.04 LTS」を採用しました。これは、広く利用されており、ベンチマークツールの導入が容易であるためです。OSのバージョンや設定は、可能な限りデフォルトに近い状態を維持し、余計なバックグラウンドプロセスが性能に影響を与えないよう配慮しました。
2.2 性能測定ツールと評価指標
CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークの各性能を客観的に評価するため、業界標準のベンチマークツールを使用しました。それぞれのツールが測定する主要な指標を基に、性能を比較分析します。
2.2.1 CPU性能測定
CPU性能の測定には、以下のツールと指標を用いました。
- Sysbench (CPU): 整数演算と浮動小数点演算の性能を評価します。特に、シングルスレッドおよびマルチスレッド環境での計算能力を測定し、CPUの純粋な処理能力を比較します。
- Geekbench 6: シングルコアおよびマルチコアのCPUスコアを測定します。これは、一般的なアプリケーションでのパフォーマンスをシミュレートする幅広いワークロードが含まれており、総合的なCPU性能を把握するのに適しています。
- UnixBench: システム全体のパフォーマンスを総合的に評価するベンチマークスイートです。CPUだけでなく、ファイルI/Oやパイプ処理なども含めたUnix系の処理能力を測定します。
2.2.2 メモリ性能測定
メモリ性能の測定には、以下のツールと指標を用いました。
- Sysbench (Memory): メモリの読み書きスループットとレイテンシを測定します。特に、大規模なデータセットに対するメモリ帯域幅の性能を評価します。
- STREAM: メモリ帯域幅の測定に特化したベンチマークです。主に、CPUとメモリ間のデータ転送速度(MB/s)を評価し、メモリ集約型ワークロードにおける性能を比較します。
2.2.3 ストレージ性能測定
ストレージ性能の測定には、以下のツールと指標を用いました。
- FIO (Flexible I/O Tester): ブロックストレージ(OCI Block Volume、AWS EBS)およびインスタンスストレージ(NVMe SSD)のIOPS(Input/Output Operations Per Second)、スループット(読み書き速度)、レイテンシを詳細に測定します。ランダムリード/ライト、シーケンシャルリード/ライトなど、様々なI/Oパターンでテストを実施し、実際のワークロードに近い条件で評価します。
- ddコマンド: シンプルなファイル読み書きテストとして、シーケンシャルなディスクI/Oスループットの簡易測定に用います。
2.2.4 ネットワーク性能測定
ネットワーク性能の測定には、以下のツールと指標を用いました。
- iPerf3: インスタンス間のネットワークスループット(帯域幅)を測定します。同一VCN/VPC内、および異なるクラウドプロバイダー間(インターネット経由)の通信速度を評価し、ネットワークのボトルネックを特定します。
- ping/traceroute: ネットワークのレイテンシ(遅延)と経路を測定し、通信の安定性や応答速度を評価します。
2.3 測定手順と環境設定
性能測定の信頼性と再現性を確保するため、以下の手順と環境設定に則って検証を実施しました。
2.3.1 インスタンスの起動と初期設定
各クラウドプロバイダーで選定したインスタンスタイプを起動し、SSH接続設定を行います。OSの初期設定後、必要なベンチマークツールをインストールし、環境変数やカーネルパラメータなど、性能に影響を与える可能性のある設定は、特別な指示がない限りデフォルトのまま維持しました。ベンチマーク実行前に、システムのキャッシュをクリアし、余計なプロセスが動作していないことを確認します。
2.3.2 ベンチマークの実行
各ベンチマークツールは、公式ドキュメントや推奨される設定に基づき実行しました。例えば、FIOではブロックサイズ、キュー深度、スレッド数などのパラメータを複数パターンでテストし、様々なワークロードをシミュレートしました。各テストは、インスタンスが安定した状態であることを確認した上で開始し、他の外部要因による影響を排除しました。
2.3.3 複数回測定と平均値の採用
測定結果のばらつきを考慮し、各ベンチマークテストは最低3回実行し、その平均値を最終的な性能スコアとして採用しました。これにより、一時的なネットワークの混雑やシステム負荷の変動による誤差を最小限に抑え、より信頼性の高いデータを得ることを目指しました。また、長時間のテストが必要な場合は、ウォームアップ期間を設けてから測定を開始し、安定した性能が発揮される状態を確認しました。
3. 性能検証結果 - CPU・メモリ・ストレージ性能の徹底比較
本章では、OCIとAWSのコンピュートインスタンスについて、CPU、メモリ、ストレージの各性能を詳細に比較検証した結果を報告します。 それぞれのクラウドプロバイダーが提供する多様なインスタンスタイプの中から、代表的なものを選択し、公平な条件でベンチマークテストを実施しました。 これにより、それぞれのプラットフォームが持つ特性と、どのようなワークロードに適しているのかが明らかになります。
3.1 CPU性能の比較
クラウド環境におけるCPU性能は、アプリケーションの処理速度に直結する最も重要な要素の一つです。 OCIとAWSでは、それぞれ異なるCPUアーキテクチャや世代のプロセッサを採用しており、その性能特性には明確な違いが見られます。 今回の検証では、汎用的なワークロードを想定し、SysbenchやGeekbenchといった業界標準のベンチマークツールを用いて、シングルスレッド性能とマルチスレッド性能の両面から比較を行いました。
3.1.1 CPUアーキテクチャとコアあたりの性能
OCIのVM.Standard.E4.Flexインスタンスは、AMD EPYCプロセッサをベースとしており、高いコア密度と優れたコストパフォーマンスが特徴です。 一方、AWS EC2のM6iやC6iインスタンスは、Intel Xeonプロセッサを採用しており、特にシングルスレッド性能において高いパフォーマンスを発揮する傾向が見られました。 また、OCIのVM.Standard.A1.FlexやAWSのM6g/C6gインスタンスに代表されるArmベースのプロセッサ(AWS Graviton2/3、Ampere Altra)は、 電力効率に優れ、特定のワークロード、特にコンテナ化されたアプリケーションやマイクロサービスにおいて高いコスト効率と優れたスループットを実現します。
具体的なベンチマーク結果では、マルチスレッド性能を重視するバッチ処理やデータ分析ワークロードにおいては、OCIのE4.Flexが非常に競争力のある結果を示しました。 これは、AMD EPYCプロセッサが持つ多数のコアと高いクロック周波数の組み合わせによるものです。 対照的に、Webサーバーや一部のデータベースのようにシングルスレッド性能がボトルネックになりやすいワークロードでは、Intel Xeonベースのインスタンスが優位に立つ場面もありました。
3.1.2 OCIのFlexシェイプの優位性
OCIの大きな特徴の一つが「Flexシェイプ」です。 これは、vCPUとメモリの比率をユーザーが自由に設定できるという点で、AWS EC2の固定されたインスタンスタイプとは大きく異なります。 例えば、特定のワークロードでCPUは多く必要だがメモリはそれほどでもない、あるいはその逆といった場合に、無駄なくリソースを割り当てることが可能です。 これにより、リソースの最適化とコスト削減に貢献し、真に必要な性能をピンポイントで調達できるというメリットがあります。
3.2 メモリ性能の比較
メモリ性能は、データベースやインメモリキャッシュ、ビッグデータ処理など、大量のデータを高速に扱うアプリケーションにとって非常に重要です。 メモリの帯域幅やレイテンシは、システム全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
3.2.1 メモリ帯域幅とレイテンシ
検証の結果、OCIとAWSのいずれのプラットフォームも、選択するインスタンスタイプによってメモリの帯域幅とレイテンシに違いが見られました。 一般的に、より高性能なインスタンスタイプ、特に高メモリを謳うインスタンスでは、より広いメモリ帯域幅と低いレイテンシが提供されます。 OCIのFlexシェイプでは、メモリ量を細かく調整できるため、ワークロードの要件に合わせて最適なメモリ構成を選択できる点が強みです。 例えば、メモリ集約型のデータベースでは、必要なメモリ量を確保しつつ、CPUリソースを最適化することで、高い費用対効果を得ることが可能です。
ベンチマークツール(例: Stream Benchmark)を用いたテストでは、OCIのE4.FlexやAWSのR6iなどの高メモリインスタンスが、優れたメモリ帯域幅を発揮しました。 これは、これらのインスタンスが採用するプロセッサのメモリコントローラ性能や、物理的なメモリ構成に起因します。 レイテンシについては、インスタンスが稼働する物理サーバーの構成やネットワーク設計に依存するため、厳密な比較は難しいですが、両者ともに一般的なクラウド環境として十分な低レイテンシを実現していました。
3.3 ストレージ性能の比較
ストレージ性能は、I/O集約型のアプリケーション、例えばデータベース、ログ処理、大規模なファイルシステムなどにおいて、ボトルネックになりやすい要素です。 OCIとAWSでは、ブロックストレージサービス(OCI Block VolumeとAWS EBS)を中心に、異なる特性を持つストレージタイプを提供しています。
3.3.1 ブロックストレージのIOPSとスループット
OCIのブロックボリュームは、プロビジョニングされたIOPSとスループットが保証される点が特徴です。 特に「Ultra High Performance」オプションを選択した場合、非常に高いIOPSとスループットを実現し、ミッションクリティカルなデータベースやトランザクション処理に最適です。 AWS EBSも同様に「io2 Block Express」などの高性能タイプを提供しており、同等レベルのパフォーマンスを達成可能です。 検証結果では、OCIのブロックボリュームは、設定された性能を安定して提供し、AWS EBSの汎用SSD(gp3)やプロビジョンドIOPS SSD(io2)と比較しても遜色のない、あるいは特定の条件下で優れた結果を示しました。
以下の表は、代表的なブロックストレージタイプの性能比較の概要です。
| クラウドプロバイダー | ストレージタイプ | 最大IOPS(例) | 最大スループット(例) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| OCI | Balanced Performance | 〜35,000 | 〜480 MB/s | 汎用的なアプリケーション、開発環境 |
| OCI | Higher Performance | 〜75,000 | 〜600 MB/s | 高性能データベース、I/O集約型アプリケーション |
| OCI | Ultra High Performance | 〜300,000 | 〜2,680 MB/s | ミッションクリティカルなデータベース、ビッグデータ分析 |
| AWS | gp3 (汎用SSD) | 〜16,000 | 〜1,000 MB/s | 汎用的なアプリケーション、開発環境 |
| AWS | io2 (プロビジョンドIOPS SSD) | 〜64,000 | 〜1,000 MB/s | 高性能データベース、I/O集約型アプリケーション |
| AWS | io2 Block Express | 〜256,000 | 〜4,000 MB/s | ミッションクリティカルなデータベース、SAP HANA |
※上記の数値は、ボリュームサイズやインスタンスタイプによって変動する最大値の例であり、実際のワークロードや設定によって異なる場合があります。
3.3.2 ローカルNVMe SSDの性能
一部のインスタンスタイプ、特にベアメタルインスタンスや特定の高性能VMインスタンスでは、ローカルに接続されたNVMe SSDを利用できます。 これらのストレージは、ネットワーク経由のブロックストレージと比較して、圧倒的に低いレイテンシと高いIOPS・スループットを提供します。 OCIでは「VM.Standard3.Flex」や「BM.Standard.E4.128」のようなインスタンスがローカルNVMe SSDを搭載しており、 AWSでも「Im4gn」や「Is4gen」のようなインスタンスが同様の特性を持ちます。 非常にI/O集約的なワークロード、例えば高速なデータキャッシュ、リアルタイム分析、ビッグデータ処理の中間ストレージなどにおいては、 このローカルNVMe SSDの有無と性能が、全体のパフォーマンスを大きく左右する要因となります。 検証では、両クラウドプロバイダーともに、ローカルNVMe SSDが提供する性能は非常に高く、特定の超高速I/Oを必要とするシナリオでその真価を発揮することが確認されました。
まとめ
ここまでの検証により、OCIとAWSのコンピュート性能について、CPU、メモリ、ストレージの各要素で明確な特性の違いが浮き彫りになりました。OCIは特に高負荷なワークロードにおいて優れた性能を発揮し、AWSは汎用的な用途での安定性と選択肢の豊富さが際立っています。しかし、クラウド選択において性能だけが決定要因ではありません。ネットワーク性能やデータ転送コスト、そして実際のビジネスシーンでどちらがより適しているかという実用的な観点が、最終的な意思決定を大きく左右します。
後半では、これらの技術検証結果を踏まえて、より実践的な視点から両プラットフォームを分析していきます。 ネットワーク性能とコストパフォーマンスの詳細比較、そして具体的なワークロードシナリオに基づく推奨の使い分けまで、あなたのクラウド選択に直接役立てば幸いです。