はじめに
グラフィックスや 3D、ゲーム開発の文脈で
・pixel(ピクセル)
・texel(テクセル)
という言葉が出てきます。
どちらも「小さな点」を意味しているように見えますが、
指しているものはまったく違います。
この記事では
・pixel と texel の定義
・それぞれが存在する空間
・なぜ区別する必要があるのか
を整理します。
pixel とは何か
pixel は picture element の略で、
画面上の最小描画単位
です。
つまり
・モニターの 1 ドット
・画像の 1 点
・レンダリング結果の 1 画素
が pixel です。
pixel は スクリーン空間 に存在します。
解像度が 1920x1080 のディスプレイなら
1920×1080 個の pixel が並んでいます。
pixel は
・表示結果
・レンダリングの最終出力
・人間が見る単位
です。
texel とは何か
texel は texture element の略で、
テクスチャ画像上の最小単位
です。
つまり
・テクスチャ画像の 1 ドット
・UV 座標に対応する色データ
・マテリアルが参照する色情報
が texel です。
texel は テクスチャ空間(UV 空間) に存在します。
例えば 1024x1024 のテクスチャなら
1024×1024 個の texel があります。
texel は
・表面の模様
・材質の色情報
・シェーダが参照する入力データ
です。
空間の違い
| 種類 | 属する空間 | 役割 |
|---|---|---|
| pixel | スクリーン空間 | 表示結果 |
| texel | テクスチャ空間(UV空間) | 表面データ |
pixel は 結果、texel は 素材 です。
なぜ区別する必要があるのか
フィルタリングの説明が変わる
・テクスチャフィルタリング → texel をどう補間するか
・アンチエイリアス → pixel をどう平均化するか
処理対象が違います。
解像度の意味が違う
「テクスチャ解像度 4K」は texel の数、
「画面解像度 4K」は pixel の数です。
ミップマップの理解
ミップマップは texel の解像度を段階的に落としたものです。
pixel とは無関係に準備されます。
サンプリングの方向が違う
シェーダは
UV → texel を参照 → 色取得 → それを pixel に書く
という流れで動きます。
まとめ
・pixel は画面の点
・texel はテクスチャの点
・存在する空間が違う
・用途も意味も違う
似た言葉ですが、役割はまったく別物です。