Intel Core Ultra は、従来の「CPUの性能向上」という路線から一歩進み、用途別アクセラレータを内蔵する設計へと大きく舵を切ったプロセッサです。
特に注目されているのが NPU(Neural Processing Unit)の搭載です。
Core Ultraの位置づけ
従来のCPUは、ほぼすべての処理をCPUコアとGPUで担ってきました。
Core Ultraではそこに
- CPU(汎用計算)
- GPU(並列描画・並列計算)
- NPU(AI推論専用)
という役割分担が明確に導入されました。
NPUとは何か
NPUは、ニューラルネットワークの推論処理を高速かつ省電力で実行するための専用回路です。
- 行列積演算に最適化
- 低精度演算(INT8 / FP16)中心
- 高スループット・低消費電力
という特徴があります。
これにより、音声認識、画像分類、ノイズ除去、背景ぼかしなどの処理を常時オンでも実行可能になります。
なぜNPUが必要になったのか
AI処理をCPUで行うと
- 消費電力が大きい
- 他の処理を圧迫する
- 常時実行が難しい
という問題がありました。
GPUは高速ですが、電力消費が大きく、モバイル用途には向きません。
NPUは「軽いが大量に回す」AI処理に最適です。
実際の用途
- Windows Studio Effects(背景ぼかし、視線補正)
- 音声ノイズ除去
- ローカルAI推論(Copilot+系機能)
- 画像分類や顔認識
これらがクラウドに送らずローカルで完結します。
エンジニア視点での変化
開発者にとっての変化は
- AI処理がインフラではなく端末側へ降りてくる
- レイテンシが小さくなる
- プライバシー面で有利
- オフラインでも動く
という点です。
従来CPUとの決定的な違い
| 観点 | 従来CPU | Core Ultra |
|---|---|---|
| 設計思想 | 汎用性能最大化 | 用途別分業 |
| AI処理 | CPU/GPU任せ | NPU専用 |
| 電力効率 | 中 | 高 |
| 常時AI | 難しい | 可能 |
今後どうなるか
今後のCPUは
- 単純なクロック競争から脱却
- 用途別アクセラレータの集合体へ
と進化していくと考えられます。
NPUはその第一歩です。
まとめ
Core Ultraは単なる新CPUではなく、「計算を分業する時代」の始まりを示す製品です。
AIを前提とした設計に変わったことが、本質的な違いだと感じています。