動画配信サービスを提供するアプリでは、パフォーマンスやエラーなど基本的なアプリのオブザーバビリティに加えて、再生の遅延やバッファリングなど動画品質も観測する必要があります。本記事では、これまで解説してきた動画配信サービスのオブザーバビリティに関する一連の記事を整理し、基礎から応用までどのようなステップで実装・理解を進めるべきかを体系的にまとめます。
動画配信におけるオブザーバビリティの全体像
動画配信サービスの運用では先述の通り、通常のアプリへのオブザーバビリティだけでは不十分です。ユーザーが「快適に視聴できているか」という動画の再生品質を軸にした観測が不可欠になります。
フルスタックオブザーバビリティの重要性
動画視聴体験は、再生プレイヤー、デバイス、ネットワーク、バックエンドAPI、そしてCDNなど、複雑な要素が連鎖して成立しています。個別のコンポーネントだけでなく、これらを横断的に観測する「フルスタック」の視点が、問題解決のスピードを決定付けます。
動画配信サービスでのフルスタックオブザーバビリティのメリットについては以下の記事でまとめています。まずは目指すべきゴールのイメージをこの記事を参考に考えてみてください。
New Relic Streaming Video & Ads の概要
動画配信サービスでは、オブザーバビリティの観点で他のアプリと大きく異なる点があります。そうです、動画品質を観測する必要がある点です。そしてこれはユーザー体験の最重要な指標となります。New Relicは、アプリの品質と動画再生体験を統合的に観測できる唯一のプラットフォームです。まずは以下の記事でNew Relicが動画品質の観測についてどのような機能を持っているのか確認してみましょう。
Step 1:基盤となるアプリケーションの計装
では早速計装を始めましょう。動画品質のデータを収集する前に、まずはサービスを支えるアプリのデータを収集します。オブザーバビリティ実装の基本の「キ」です。
フロントエンドの計装
再生した動画をユーザーが視聴するのはWebアプリやモバイルアプリなどのフロントエンドアプリになります。ここでのパフォーマンスがユーザー体験につながりますので、計装してデータを収集しましょう。
- Browser
- Mobile
バックエンドの計装
フロントエンドと同じく、ユーザーの新規登録やログインなどの認証系を始めとして、サービスにとって重要な処理を担っています。こちらも計装しましょう。
- APM (Application Performance Monitoring)
この他CDNやDBなどアプリに関連するコンポーネントがある場合は個別にインテグレーションがあったりするので、そちらも実装しましょう。できるだけ多くのデータを収集しておくことで、「動画が流れない原因が、プレイヤーにあるのか、それとも手前のフロントエンドアプリやバックエンドのAPIにあるのか」など複雑な切り分けが可能になります。
Step 2:動画再生の観測(基本実装)
アプリのデータが揃ったら、いよいよ動画品質を計装します。
video.js を用いた実装例
以下の記事では多くのサービスで採用されている動画プレイヤーである video.js の計装を例として紹介しています。
この他モバイルでの計装を実施する場合はこちらのドキュメントAndroid・iOSを参考にしてみてください。
主要指標とイベントデータの理解
データが収集され始めたら、どんなデータを確認できるのかを理解することが重要です。VideoAction などの動画品質イベントで収集されている指標を理解しましょう!
Step 3:高度な分析とカスタマイズ
動画配信サービスのアプリと動画プレイヤーにエージェントが導入できれば、動画配信サービスのオブザーバビリティの基本的な部分はできている状態になります。ここからは応用編です。自分たちのサービスで必要な指標をカスタム属性として収集しましょう。こうすることでさらに解像度を高めてサービスの統合的な品質を観測することができます。
カスタム属性による視聴体験分析
カスタム属性を収集するAPIを使用し、ビジネスデータなど追加の情報を付加します。
Step 4:ビジネスオブザーバビリティへの昇華
最後は観測データをビジネス起点で可視化します。ビジネスのコンテキストと関連づけてテレメトリーデータを確認できるようにしておくことで、サービスの状況をより深く理解することができます。単純に「エラーが起きている」だけではなく、その影響がビジネス的にどんなものかを理解できます。また上層部の方やサービスに関連した他部門の方など、ノンテックな方達にもサービスの健全性や影響が分かりやすくなります。
Pathpoint によるビジネスプロセスの可視化
New Relic Pathpoint を活用し、ユーザーの「視聴体験のジャーニー」を可視化します。
まとめ
動画配信サービスのオブザーバビリティは、以下の3つの価値をもたらします。
- MTTR(平均修復時間)の短縮:複雑なスタックから真の原因を迅速に特定できる!
- ユーザー離脱の防止:ユーザー体験の低下を検知し、解約予備軍を減らす!
- ビジネス成長の加速:エンジニアリングの成果がビジネス価値につながっていることを証明する!
この記事を参考に是非皆さんの動画配信サービスにオブザーバビリティを実装してみてください!
その他
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