はじめに
- こちらの記事は1994年4月1日に発行された、RFC1607について紹介しています。
- このRFC1607ですが、「2023年からの逆タイムカプセルからのメッセージ」という体で内容が記載されています。
- 1994年当時の「30年後の未来予想」が書かれているので、2023年最後に振り返ってみると面白い発見があるかと思い、内容を調べてみたという記事になります。
RFC1607について
- 所謂「ジョークRFC」と呼ばれる4月1日のエイプリルフールジョークとして発行されたRFCとなります。
- 詳しくはこちらをご確認ください。
内容
RFC1607の内容の内、特に気になった点を紹介します。
2023年には火星に人類の拠点があり、通信速度は数Tbpsある
I just wanted to let you know that I have settled in my new offices at the Exobiology Lab at the Interplanetary Space Exploration Agency's base here on Mars.
The trip out was uneventful and did let me get through an awful lot of reading in preparation for my three year term here.
There is an excellent library of material here at the lab and reasonable communications back home, thanks to the CommRing satellites that were put up last year here.
The transfer rates are only a few terabits per second, but this is usually adequate for the most part.
- 火星に宇宙探査局の基地がある
- 通信衛星により、火星でも数テラビット／秒の通信が出来る
と記載があります。
通信速度について調べてみると、1995年当時には
通信速度は14.4～22.8kbps
程度で、2000年ごろに56kbpsで通信できるモデムが普及し始めました。
とあり、当時から比較すると非常に高速な通信が可能となっているだろう、という予想があったという事になりますね。
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No78/NL78_0320.pdf
実際はというと、
- 2020年には178Tbpsの転送速度を達成
- 2023年には1.2Tbpsで336kmの長距離通信を達成
といった状況のようです。
ロンドン大学は2020年8月19日、XteraやKDDI総合研究所と共同で、ネットワーク転送速度の世界記録となる178テラビット/秒を達成したと発表した。
国立情報学研究所（NII）とNTT、NTT東日本、富士通の4社は2023年10月30日、1波長当たり1.2テラビット／秒と超高速な光通信で世界最長の伝送距離を達成したと発表した。
また、衛星通信と言うと2022年に日本でも利用開始したStarlinkが思い起こされますが、ビジネス向けプランだと
ダウンロード40〜220 Mbps以上
アップロード8〜25 Mbps以上
遅延20〜60ミリ秒
という事でした。
なので、通信衛星で1Tbpsという未来予想にはまだまだ程遠い、という事にはなりますね。
https://www.starlink.com/business?referral=RC-1002-98582-6&utm_source=google%20paid%20search
嗅覚シミュレーター付きのVRヘッドセットが存在している
We've been doing some simulation work to test various theories of bio-history on Mars and I have attached the output of one of the more interesting runs.
The results are best viewed with a model VR-95HR/OS headset with the peripheral glove adapter.
I would recommend finding an outdoor location if you activate the olfactory simulator since some of the outputs are pretty rank!
You'll notice that atmospheric outgassing seriously interfered with any potential complex life form development.
They have the VR-95HR/OS headsets here for entertainment purposes, but they will work fine for examining the results of the simulation.
- VRヘッドセット、グローブがある
- 嗅覚シミュレーターなる機能も存在する
- VRヘッドセットは娯楽用としても利用されている
と記載があります。
今回初めて知ったのですが、1990年代前後には「第一次VRブーム」が到来しており、この時点でハンドトラッキング用のグローブも存在していたようです。
https://xrcloud.jp/blog/articles/business/8999/
また、においの再現ではありませんが、2022年にはパナソニック インダストリーが人工嗅覚として、においの判別に関する実証に成功しています。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00561/
2021年にはFacebookがMetaへと社名変更し、メタバース上でのコミュニケーションやゲームソフトも普及してきている中で、1994年の未来予想として当たっている部分もある、という点には非常に驚きました。
10億台以上のコンピューターがシステム上に存在
Well, that takes us up to about 20 years ago, which still seems a far cry from our current state of technology.
With over a billion computers in the system and most of the populations of information-intensive countries fully linked, some of the more technically-astute back at the turn of the millennium may have had some inkling of what was in store for the next two decades.
- 10億台のコンピュータがシステムに存在
- 情報集約的な国の人口のほとんどが完全にリンク
という記載があります。
2008年のニュースで「世界のPC台数が10億台を突破」とあります。
スマートフォンが全世界で普及していることを考えると、コンピュータに関しては1994年の予想よりも驚くべきスピードで普及が進んでいるのかもしれませんね。
https://xtech.nikkei.com/it/article/Research/20080624/309341/
おわりに
RFCのFinal Commentsの欄には、
It will be an interesting two or three decades ahead!
とあり、1994年時点で楽しみにしている2,30年後の未来予想の内、実際に実現している事もあると考えると、非常にワクワクした気持ちになります。
2023年時点で不可能であったり、空想上の事柄に関しても、2,30年後には可能になっている事も多いでしょうし、未来に希望が持てるような、面白いRFCでした。
気になる方は実際のRFCも見て頂けると面白いのではないかと思います。
参考文献
ジョークRFC
ジョークRFC一覧 - Qiita
rfc1607
[Joke-RFC] RFC1607 21世紀からの展望
通信速度について
インターネットことはじめ（JPNICニュースレター78号）
ネットワーク通信で世界最速となる178Tbpsを達成 ロンドン大学ら
NII・NTT・富士通など、1波長1.2テラビット／秒の光通信で世界最長距離を達成
ビジネス向けStarlink
VR・嗅覚シミュレーターについて
【VRの歴史】VR技術発展の主要な出来事まとめ
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00561/
PC台数について
世界のPC台数が10億台を突破，2014年には20億台に