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Secure the post-quantum future解説①認識と行動の隔たり

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はじめに

この記事は「PQC Advent Calendar 2025」の 19 日目です。
本記事はIBM Institute for Business Valueレポート"Secure the post-quantum future"の解説となります。

本レポートについて

本レポートは、組織のQuantum Safeの進捗状況を理解できるようにすることを目的としています。
28か国・14業界にわたる750名の経営幹部を対象に包括的な調査を実施した結果をまとめています。
Quantum Safeの進捗状況を示す指標(耐量子準備度指数)に基づき調査した結果、世界全体の平均スコアとしては2023年の21ポイントから2025年には25ポイントへ増加しました。
耐量子準備度指数は、発見・観測・変革の3つの領域で構成されており、調査の結果として発見・観測といった初期段階においては進捗が見られましたが、変革については低いスコアとなりました。

認識と行動の乖離

ビジネス全体で、Quantum Safeへの必要性の認識は広く普及していることが分かりました。
73%の組織が、ビジネスリーダーと技術リーダーがQuantum Safe戦略について密接に連携していると報告しています。これは、強固な準備活動につながる部門横断的な関与が、一定レベルで存在していることを示しています。
一方でわずか19%の組織のみが、Quantum Safeの短期的な成熟度目標を計画しています。
このギャップは、組織が準備を進めてはいるものの、行動へと移すための具体的なマイルストーンを設定できていないことを示しています。

戦略的アセットとしてのクリプト・インベントリ

戦略的な成熟度の低さを示す兆候の一つが、クリプト・インベントリから得られる知見の活用不足です。
危殆化する暗号アルゴリズムの利用状況を可視化し、移行対象のスコープを特定することが、Quantum Safe対応の始めに取り組む事項となります。

調査結果として、クリプト・インベントリを完了している組織は3社に1社未満(30%)でした。
その知見を事業変革の取り組みに適用しているのは、さらに少数(24%)にとどまります。

クリプト・インベントリを作成すること自体をゴール(目的化)するのではなく、そこからどのような示唆を得てQuantum Safe対応に活用していくか、検討することが重要と考えます。

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まとめ

本記事ではレポートの解説として、Quantum Safe対応の意識啓発は進んでいるものの、実行に移せている組織が少ないことを紹介しました。特にQuantum Safe対応に向けて必要となる、クリプト・インベントリの整備や活用が十分ではないことを説明しました。

参考文献

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