2025年バックエンド開発者の目線から見た現実
まず最初に、この記事を読んでくださる皆さんへ
今年最後のご挨拶をお送りしたいと思います。
そろそろ年末が近づいてきましたね。
2025年も残りわずかですが、皆さんにとって
充実した一年、そして成長の多い一年であったことを願っています。
今年もさまざまな新技術が登場し、
特に生成AIを中心とした “AIブーム” が再び大きく盛り上がった一年でした。
開発スタイルそのものが変わりつつあり、
エンジニアとしても多くの刺激を受けたのではないでしょうか。
実際、私自身も日常的にAIを開発に取り入れるようになり、
その進化のスピードに驚かされ続けています。
そんな時代の流れの中で、ふとこんな疑問が浮かびました。
「生成AIは、本当に開発者の役割を代わることができるのか?」
この記事では、実際にAIを使いながら開発を行っている
現役エンジニアの視点から、
AIが代替できる領域、代替できない領域を整理してみたいと思います。
開発の“当たり前”はすでに変わった
私たちは今、想像以上のスピードで進化する時代の中にいます。
かつて「開発をする」と言えば
- 言語やフレームワークの学習
- 環境構築
- データモデリング
- プログラミング
- デバッグ
この一連の流れを習得するまでに、数ヶ月〜数年の積み重ねが必要でした。
しかし今はどうでしょうか?
生成AIの登場により、
クリック一つ、指示一つでプロジェクトが立ち上がり、
場合によってはWebアプリが丸ごと生成される時代になりました。
これにより、私は個人的に
開発への参入障壁は劇的に低くなったと感じています。
AIがすでに代替し始めている領域
✔) アイデア → コードへの高速変換
自然言語で
「API作って」「検索ロジック追加して」「DBテーブル生成して」
と依頼するだけで、AIは即座にコードを生成してくれます。
これは人間がキーボードを叩く速度では到底追いつけない領域です。
✔) 初見エラーの解析
型エラー、依存関係エラー、ビルド失敗など
AIはエラーログ解析が非常に得意です。
人間が調べるよりも圧倒的に早く、
原因と解決方法を提示してくれます。
✔) 単純作業の自動化
以下のような “エンジニアがやりたくない作業” は、
ほぼAIで自動化できるようになりました。
- CRUD生成
- DTO ↔ Entity の変換
- テストデータ作成
- APIドキュメント生成
- 重複コードの排除
- 型やバリデーションの補完
これらはすでにAIが得意とする領域であり、
人間が時間をかける必要がどんどん減っています。
それでもAIが“完全に代替”できない理由
❌) 設計と実装は全く別物だから
AIはコードの生成は得意ですが、
「なぜその構造にすべきか」「どんな思想で設計すべきか」
といった “設計の本質” は理解していません。
プロジェクト全体の方向性を決めるのは、依然として人間です。
❌) 大規模開発に必要な文脈を保てない
スケールが大きくなるほど必要になるのが
- ドメイン理解
- 設計思想の一貫性
- 既存コードとの整合性
- バージョン互換性
- トランザクション管理
- 長期運用を見据えた判断
これらはAIが自主的に行うのは困難です。
指示が増えるほど、
誤解したコード・重複したコード・使われないファイル が増え、
プロジェクトは崩壊していきます。
❌) 品質の最終責任はエンジニアにある
AIが生成したコードであっても、
- パフォーマンスは十分か
- セキュリティは安全か
- 設計思想に合っているか
- 障害時の挙動は問題ないか
これらを判断するのはエンジニアの役目です。
本番運用においては、AIに任せきりにはできません。
結論:AIは「代替」ではなく「拡張」である
AIはすでに開発行為の多くを肩代わりしていますが、
開発者そのものを完全に置き換える段階にはまだ到達していません。
むしろ開発者の役割はこう変わっています。
| 過去の開発者 | 現在の開発者 |
|---|---|
| 手でコードを書く人 | AIに指示し、品質を監督する人 |
| 実装中心 | 設計・検証中心 |
| バグを自力で探す | AIに意図を説明させながら修正する |
| 手作業で構築 | オーケストレーション(指揮)の役割 |
AIは開発者の敵ではなく、
開発者の価値を引き上げる強力なツールです。
そしてこれからの未来について
最後に、個人的に強く感じていることがあります。
生成AIによって
開発の参入障壁は確実に下がりました。
以前は専門的な学習に数年必要だった領域にも、
今では誰でも挑戦できるようになりました。
もちろんその一方で、
エンジニア間の競争はこれまで以上に激しくなる とも思っています。
AIを使いこなせるかどうかが
これからのエンジニアの価値を大きく左右するでしょう。
しかしこれは悲観すべき未来ではありません。
むしろ、私はこれを
誰もが開発に触れられる、より未来的でオープンな時代の到来
だと感じています。
AIが広げた新しい土壌は、
エンジニアにとっても、これから学ぶ人にとっても、
大きなチャンスとなるでしょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
2026年も、より良い技術と共に成長していけることを願っています。